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サクラサク 第15話 異世界商店の『取引先開拓』

 異世界商店の能力の一つである『倉庫の拡張』に全力を出した四月一週。

 『二週である今週も引き続き倉庫の拡張頑張るぞ!』と、思ってたんだけど……容量(マス目)の方が500マスで『現在の商人ランクではこれ以上拡張出来ません』と出てしまった。

 つまり重量の拡張しか出来ないってことだな。

 もちろん重量の拡張も大事だと思うんだけどね? ひと月ふた月は今の倉庫枠でもやっていけそうだしなぁ。


 というわけで【倉庫の拡張】以外で使える異世界商店のもう一つの能力である【取引先の開拓】も試してみることに。

 『ペンティアの街を散策』と左上に表示されたかと思えば、いつもの街の地図画面が東西南北そしてお城で五分割。

 色分けされたそれぞれの上に散策に必要な魔石容量が表示される。


 各々必要な数量は


 【城】 5000

 【北】 2000

 【東】 1000

 【西】 1000

 【南】 1000


 と、お城が飛び抜けてお高い。

 そして


「……どこを探せば何が出てくるとか一切のヒント無しかよ!!」


 相変わらず説明する気はまったくない不親切設計……。


「何にしても魔石の手持ちが百個も無い現状ではどうにも出来ないんだけどさ。

 それにしても魔石1000個って……売値で考えれば20万円だよな?

 20万も使って、仕入れられるのが地球でも買える、地球のものよりも不味い野菜とかだったら目も当てられないんだけど……」


 短期間ではあるが暮らしていた見知った街でもあるペンティア。

 もちろん画面の中の街が俺の知っている街であると言う確証はないのだか……それでも当てずっぽうより多少はマシであろうと街並みを思い浮かべる俺。


「まず城……は行ったことが無いからわからん。というよりも城で仕入れる事が出来そうな物なんて想像も出来ん……」


 値段を考えれば何か良いものではありそうなんだけど……他の全部と同じ量の魔石が必要とか流石に躊躇しまくりである。


「北は王都から続く道で馬車の出入り往来が一番多かった。

 俺は使ったことないけど東には冒険者ギルドがあったよな。

 西には……ああ! 光神教のデカい教会が建ってた!

 南は良く言えば落ち着いた、普通に言えば寂れたスラムも含んだ地域だったはず」


 『取引先を探す』と言う目的で考えれば商業地区であった(俺の店も外周に近い北側にあったし)『北』一択になるんだけど……王都から運ばれてくるような品物が欲しいのか? と聞かれれば微妙な話である。

 かと言って他方……冒険者ギルドで取引……魔物の肉とか素材? 今のところ必要無さそう。

 教会……怪我の治療……そう言えばポーションとか売ってたな。 怪我した時のお守り的意味ではちょっと欲しいかも?

 スラム……闇市で違法薬物とか……まったくいらねぇ。もしかしたら掘り出し物がある可能性も微妙なレベルで?


 うん、これと言って何の参考にも指標にもならなかった。

 てなわけで(?)木曜金曜で稼いだ魔石1000個を使って最初に散策を試したのは……一番必要性が無さそうな『東』。

 ほら、どうせ最後には総当たりすることになるなら最初にハズレを引いておいた方が後々の落胆が少なそうじゃん?


『ようこそ冒険者ギルドペンティア支部へ!』


 そして、取引先として追加されたのは『冒険者ギルド』。

 ここまでは予想通りだったんだけど……これが思いもよらず大当たり!


『あなたの冒険者ギルドランクは『アイアン』ですね。

 本日はどのような御用でしょうか?

 ・下級素材の購入

 ・下級素材の売却

 ・下級教官による訓練』


 確かにこっちの探索者組合でもドロップアイテムの買い取りをしてるし、冒険者ギルドでもアイテムの買い取りをしてもらえるのは当然といえば当然なんだけど……まったくその発想は無かった俺。

 持て余していたスライムローションの売却先が見つかりホクホク顔である。

 ……もっとも、その買い取り金額は『魔石2個』と非常にしょぼい物だったのであるが。

 現金換算だと魔石2個で四百円、組合で売る半額……。


 そして、そんなアイテム買い取り以上にヤベェかもしれない機能が『下級教官による訓練』。


『おっ、活きの良さそうな新入りだな!

 今、おまえの能力で就けそうな『職業クラス』は【冒険者見習い】だけだ。

 料金は【魔石容量1000】! ……と言いたいところだが見習い割り引きってことで【500】にまけておいてやろう!』


 この五日間で溜まっていたローションの小瓶は500個ちょい。

 全部売ってしまえばもう一ヶ所取引先を開拓出来るのだが……職業、物凄く気になるじゃん?

 ゲームとかラノベだと何かしらの職業クラスに付いたら強くなる……いや、どっちかって言うと無職最強のことの方が多い気がするけれども。 ほとんどが『無職(無職とは言っていない)』だけれども。


 ほら、男の子ってこういう『職業』とか『称号』とかのシステムがあると意味もなくコンプリートしたくなるじゃん?

 だから迷いつつも(三秒しか悩まず)冒険者見習いに転職した俺は悪くないと思うんだ。


『了解! 今回は冒険者見習いで良いんだな?

 それじゃあこれから俺と一緒に訓練だ!

 なぁに、三日もあれば一端の冒険者……見習いに育ててやるよ!』


 えっ何? 三日も掛かるの!?


『ああ、知ってると思うが一度就いたクラスをマスターするまでは他の職業には就けないからな?』


 そんなの知らなかったんだけど!?


『よし! それじゃあまずはギルド外周の走り込みからだ!


 ………

 ………

 ………


 あなたの職業に【冒険者見習い】が追加されました。

 職業経験値を最大にすることで次のクラスの追加が可能になります。

 【魔物特効 小】を獲得。【HP上昇 小】を獲得。【ST上昇 小】を獲得』


 ……ああ、本当に三日掛かるわけじゃないんだ。

 そして、獲得したパッシブスキル? 的なヤツの細かい説明をしてもらえないのはそろそろ慣れた。

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