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怪物2号

「お、俺の事を知っているんですか?」

「当然、これでも下界には興味があるからね」

 

 背を向けたまま、癖毛の女性。恐らくは北の魔王らしき人物はそう言った。俺の想像とはかけ離れた知的な背中だ。

 そして珍しくまともな会話をしている事もあってか、俺は緊張していた。

 北の魔王らしき人物は何やらカタカタとタイプしている。

 どうやらこの空中神殿の制御のようだった。

 

 この規格外の場所で、どうせくだらない物や魔物がいると思っていた。

 しかし蓋を開ければ俺の想像の斜め上を行く展開に声が出ない。

 しかし、俺よりも先にこの世界で北の魔王をやっていた人物である。いろんな事を教えてもらいたいし、できる事なら俺の商店街作りを手伝ったりしてくれないかとそんな事も思った。

 

 そして、ゆっくりと油圧式のターンチェアを回して彼女が振り返った。


「……へぇ、実物は大分若いな。マスターくん。じゃあ、そうだな。帰りたまえ、ここは君の来る場所じゃない」


 癖毛の赤髪に、人を食ったような表情。

 やや幼さが残るが……

 

 こいつ、小さいけどエメスにそっくりだ。というかよく見ると人間じゃねぇ……

 

「……ちょっと待て! 本当にあんた北の魔王か? 均整が取れすぎてるし、どう考えてもその……ゴーレムじゃないのか?」


 俺の言葉に、目の前のゴーレムはフンと鼻で笑った。


「マスターくん。君はこの唯が北の魔王であると一言でも言ったかな? 勝手に君がそう思い込んでこの北の魔王の依代になるハズであった唯に語りかけていただけだろう?」

「あんたやっぱり……いや……エメスと同じ北の魔王に作られた……」

「そうさ! 唯一女性型としてシズネ・クロガネに生み出されたそちらの失敗作とは違うプレアデスとは唯の事さ。性癖の違いでシズネ・クロガネと袂を分ったけどね。君たちがここに来た理由、北の魔王が残した薄いグリモア(同人誌)目当てだろ?」

「いや違いますよ。BL同人誌探しにこんなとこ来ませんわ」

「はっはっは、残念だったね。エルフ物でも中年を超えた作品しかここにはないよ」

 

 俺の話を聞かないプレアデス。こいつ、エメスと同じで自分の性癖に正直なタイプだ。

 

「うん、まぁいいや。プレアデスさんとやら、俺たちはカジノを作るのに装飾品やらを北の魔王のダンジョンからいただきに来ただけなので、必要な物が手に入ったら帰りますので、どうかごゆっくりその薄いグリモアでも眺めててくださいね。じゃあ俺たちはこれで」

 

 こいつはあれだ……引きこもりの喪女的なゴーレムだ。

 その俺の予想も軽く超えて、プレアデスは俺たちの前に立ち塞がった。

 

「待ちたまえよマスターくんとその一行と失敗作。今、カジノ……と言ったようだね? カジノ。いい響だ。シズネの世界にあったという遊技場か」

 

 そういう生きて行くのにどうでもいい知識は持ってるのな。

 プレアデスは俺を残念そうに見つめ少し目を瞑ってから何かを理解すると話し出した。

 

「君の言うカジノに必要な物、確かにここにある装飾品や他の神殿にある物を漁れば見つかるかもしれない。が、どうしても手に入らない物がある事を見落としてはいまいかい?」


 なんだ? ルーレットは作ればいい。

 流石にスロットマシーンなんかはこの世界にはいらないだろう。

 それとも提供する酒の種類だろうか? 一応この国にはビールもワインもコニャックみたいな物もある。

 あっ! もしかして、カクテルか? カクテルは確かにノビスの街でも見た事がない。というかあんまり俺カクテルとか飲まないんだよな。

 

 俺がプレアデスを見るとプレアデスはようやく気づいたかと頷いた。こいつ、有能かもしれない。

 

「プレアデスさんとやら、カジノに併設したバーに酒の種類。カクテルが全然ないと言いたいんじゃないか?」

「ふん、半分正解かな」


 すげぇ、まだ何かあるのか!


「バーに必要なものは何か? パフォーマンスしかできないフレアバーテンダーでも、男の視線を楽しませるバーメイドでもない。貫禄のあるナイスミドルのバーテンダー。おじ様要素が圧倒的に足りないと何故わからないんだい?」

 

 こいつはダメだ。期待した俺がやっぱり馬鹿だった。


「みんな、さっさとずらかろう」

 

 そう言った俺にプレアデスは慌てる。


「待ちたまえよマスターくん! 君たちは土足で唯の城に上がり込んだ不躾な連中だ。何なら排除したって良いところ、唯はこの天空並みに広い心を持って招き入れた事を忘れてはいけない。それにおじ様が立つバーカウンターを想像してご覧よ! 君の商店街という国は大繁盛間違いない」

 

 どうしてオッサンがバーテンやってるだけで大繁盛なんだ。

 まぁ、わかるよ! 渋いおじさんのマスターね。

 

 しかし、ゴーレムという連中はどいつもこいつも頭のネジがぶっ飛んでいるのだろうか?

 今のところ北の魔王が作ったゴーレムしか知らんけど……

 

「お前さんの言う事も一理ある。確かにここの主はお前さんで俺たちは勝手に来た。それに関しては謝罪する」

「ふむ、マスターくんは変なところ律儀だね。まぁ魔導超兵である唯と戦うという選択肢は即死を意味するからね」

「うん、先ほどからアプリがお前さんを超やばいモンスターとして認識はしてるわ。エメスより二段階くらいランクが上の魔物なんだな」

 

 一応、プレアデスは北の魔王の依代になるハズだった。

 それだけにかなり強力な魔物であったという事なんだろう。名前もつけられているしな。


「まぁいいや。オッサンのバーテンを入れるという事を承認すればここにあるものは持ち帰っても構わないって事でいいんだな? それならまぁ悪くない条件に思えるし、何とかそういう人材を募集してみるよ」

「ノンノンノン! マスターくんはダメダメだなぁ。ウェルタースオリジナルを渡せばイケてるお爺さんだと思っている老害くらいダメダメだ」

 

 今、ウェルタースオリジナルって確実に言ったよな? やっぱり北の魔王は地球人。


「……じゃあ何だよ? どうすればいいんだ? 小さな頭脳しかない俺に教えてはくれませんかね? プレアデスさん」

 

 俺がさん付けで呼ぶ事に少し驚いたプレアデス。

 

「マスターくん、君は変なところ礼儀も持ち合わせているね。まぁ、ズバリ唯がおじ様を選ぼうじゃあないか!」

 

 そうきたか……こいつ、地上に下ろすの嫌だなぁ。エメスの姉妹みたいな感じでしょ?

 

「唯であれば、その人間が嘘偽りがないかすぐに体温、心音、表情の変化から察知できる。そして、マスターくんに理解がないような各種作法も唯が研修する事ですら容易。そう、唯の手に触れたおじ様は若かりし頃の情熱を思い出し、夜の街に唯と共に消えゆく宿命」

 

 おぉ、研修中にどっか言っちゃったよプレアデスとオッサン。

 

「そう! 唯がおじ様と向かった先は寡黙なおじ様バーテンダーが働く隠れ家的バー。そこでは素敵なおじ様達が各々に自分のフェイバリットリカーに口鼓を打っている。そこで唯は徐にカウンターに入り、察したバーテンダーは唯にスペースを譲る。そこで唯が作るカクテルに酔いしれ、おじさま達と朝まで」

 

 続きがあったことに聞き入ってしまったが、すげぇくだらない話だった。まぁ知ってたけど……

 しかし、確かにカクテル、サングリアやタピオカなど、飲み歩きできる。要するに映えるお洒落飲み物はありだ。


「プレアデスさんよ。お前さん、カクテルとか作れる系の優秀なゴーレムだったりするん?」

 

 俺の質問にプレアデスは眼鏡の位置を直す素振りをして……

 

「マスターくん、君が少し甘めで度数が強め、果実の蒸留酒が好きなんだね。ならばそうだね……ベコポンの絞り汁に、ブドウの焼きワイン。そして唯が精製したリキュール」


 魔法で氷を一欠片作るプレアデスさん、すげぇなオイ。

 それらをシェイカーに入れるとシャカシャカと振った。

 

「……そうだな。唯は一応。創造の王たる北の魔王。シズネ・クロガネの知識と技術を共有されているのだ。例えばガラスの創造スキル、そしてその応用で変形、このカクテルにおすすめのガラスの盃は大体こんなところじゃないかい? 細い持ち手、ジェントルは唯はが渡す手にふれ、優しく微笑むのだろう。ふふっ、いい 実にいい!」

 

 頭のおかしな妄想をしながらプレアデスは見事なショートグラスを作り出した。この感じで食器とかグラスこいつに作ってもらおう。

 プレアデスはショートグラスに作ったカクテルを入れた。

 

「……これ、サイドカーか……美味い! ほんと美味いよ!」

 

 プレアデスは俺はの感動を分かっていたように口元を緩める。

 まぁ……こいつは頭のお味噌の方は普通に異常値振り切ってるけど、有用かもしれない。

 

「…………マスター。プレアデスの口車に乗せられていると我は宣言す! その程度の合成酒を作り出すこと、我も容易いとアンサーをだす。クリエイト・ソーダ! クリエイト・ミード! ガルン、ベコポンの絞り汁。アステマ。砂糖を所望する。十倍にして返す事を約束せり! 枯れかけている雄に欲情する愚かすぎるゴーレムなど存在価値はないと確信せり! さぁ、マスター!」

 

 飲んだ事はないけど蜂蜜で作る最古のビール。ミードか、それに柑橘系の味をつけたレモンビール的な何か……

 

 木製のジョッキで呑むこれはこの世界の人々には合うかもな。

 

「これも美味いな。と言うか、エメスさんよ。お前さん普通のことができるじゃないか……むしろそれにドン引きですわ……」


 普段からちゃんと働いてくれればどれだけ俺の心労が減るだろうか……。

 

 珍しく目を見開いてエメスはプレアデスに対抗しているらしい。


「失敗作は実にくだらない事で張り合うようだ。おじ様を枯れかけている雄と表現するか、いいだろう。雄になれない男児などに現を抜かしているから君はシズネ・クロガネに廃棄されたのだろう?」

 

 エメスが目の色を変えた。流石に廃棄されただの、失敗作だのと言われれば腹も立つだろう。一発くらい殴ってもいいんじゃないかと俺は思った。

 

 エメスの体に急激に魔法力が充填されていく。

 

「……プレアデス。空の神殿に廃棄された特殊ゴーレム。北の魔王シズネ・クロガネの傀儡にもなれず愚かしい知識のハリボテと名付けり、我の事をどう言おうが構わない。が、ショタ愛を否定、それ即ち戦争と知れ」

 

 怒っている理由そっち? 変態ってさ。沸点マジわかんねーんだよな。怖っ……

 スラちゃんを引率にガルンとアステマには空中神殿探索に向かわしている。

 

 そして冷静を装っていたプレアデスの逆鱗に触れる。

 さらにエメスは追加の口撃を続ける。 


「……枯れた雄。生殖機能に問題のある生命体に夢を抱く愚かな旧式ゴーレムと確定。神殿の前の銅像に関して絶望的な悲壮感を感じる事、この上なし。幻想の世界より戻ることを進める。現実のオッサンはつがいの妻や子に蔑ろにされ、稼いだ給金をほぼ全て取り上げられ、わずかばかりの駄賃。小遣いなる物を渡される惨めすぎる生物であると無知な貴様に講説したり!」


 プレアデスからバチバチバチと帯電。


「ははっ、失敗作よ。言わせておけば面白い事を言ってくれるじゃないか? この天空よりも広い心を持つ唯を少しばかり怒らせるなんて凄いじゃないか、しかしこの空よりも深く高尚なおじ様について失敗作は何も分かってはいない。例えばそこにいるマスターくん。いずれはおじ様になっていくのだ……はっ! そうか、マスターくん、三十年後はパートナーになろう」

「愚かは貴様と決まり! マスターはショタ化できり」

「………そうか、マスターくん。そういう感じだったのかい? ならば君も失敗作もここで消滅させてあげよう。せめておじ様になれたなら、情状酌量があったかもしれないけど、残念だよ」

 

 プレアデスの地雷はなんなんだろう。

 と言うか、エメス謝れよ。魔物ランク的には絶対勝てない相手だからね。


「笑止! 旧式のポンコツが魔導超兵などと片腹痛し、また少し勘違いしている事を訂正す! 我はマスターに対しては過去ショタ、現在、未来シニア全てにおいて性的な奴隷であると宣言す! マスター、ご安心と宣言す」

 

 何? 俺はどう反応したらいいんだろう。

 プレアデスさんは眼鏡を外す。

 こいつ、なんか大二病っぽいんだよな。知的っぽいところもなんか思い返せば……

 プレアデスはベコポンを握るとそれを絞ってジュースを作り、それを飲み干した。

 

「君を物理的に破壊する事は容易いが、これで勝負をしないかい? フェアだろ?」

 

 ドンとプレアデスが取り出したのは“魔物殺し“と書かれた一升瓶。

 どっちが酒強いか的な? 

 理解した。完全に大二病だわ。


 ※大二病とは、大学生になると突然、政経の話をしたり、イミフなセミナーに通ったりする意識高い系大二病、アニメや漫画などが好きなのにも関わらず、マイナーバンドを聴き始め、イミフなブランドを好んで着たり、流行り物、なんとかを滅する刃とか其方の名はとかをやたら貶すオンリーワン系大二病、はたまた高校時代陰キャだったのにデビューし出してから、大して飲めもしないのに、オールした事をSNSに撒き散らし、彼女(彼氏)欲しいと喚き散らし、実際リアル陽キャの前では無口になる偽パリピ系大二病などが多くを占める。

 

 そんな中でもコイツは酒を飲み始めた大学生に陥りやすい厨二病の変異タイプ。

 この病気の厄介な事はアニメやらに影響されて妄想の世界に生きるのではなく、無駄に社会に触れた事で自分が大人になったとか、他よりも知的であるとか思い出す。

 マイナーなインディーズバンドにハマり出したり、みんなビール頼んでいる中で何故か日本酒を一杯目に頼みだしたりする。

 

 ファミリー居酒屋の日本酒ははっきり言って美味くはない。

 ジョッキのビールもサーバーをしっかり洗っていなかったり銘柄不正があるので、オススメは瓶ビールを頼むことだ。そして大二病でもややこしいのが俺(私)酒豪ですからキャラ。

 こいつら実際大して強くないのがミソだ。


「そのデュエル受けると宣言す! 我、下の穴は洪水。比例し、上の穴はザルと知るがいい! 愚かなる旧式魔導超兵め。引導を渡してくれよう。ショットグラスにジョッキを所望する」


 エメスはたまに俺たちと晩酌をする。強いか弱いかは知らないが普通にのむ。

 それに対してプレアデスは未知数だ。

 

「ショットグラスにジョッキ? 何を考えているのやら」

 

 俺はエメスが用意した物が何を意味しているのか俺は知っていた。

 昔、少しだけ勤めた会社で飲まされた爆弾カクテル。

 

「ボイラー・メーカー」

 

 誰が初めにやりだしたのか定かではない。

 

 何杯も飲めば完全にぶっ飛ぶ野蛮な酒の飲み方の一つだ。


「貴様に引導を渡すカクテル。その名も背伸びしたショタに漬け込んで、“酒に酔わせて後ろから“ 作り方は至って簡単。ジョッキに注いだミードビールに度数40度の焼きワインの入ったショットを落として呑む。至って簡潔なり、我より」

 

 そう言ったエメスはなみなみと注いだミードのビールが入ったジョッキにショットグラスを落としてそれをクイっと飲み干した。

 

「ほほう。失敗作故にそんな児戯みたいな物で唯と飲み比べようとは笑止千万というやつだな。マスターくん、残念だったね。こんな愚かしいゴーレムが君の従者となった事」

 

 そう言ってプレアデスは目の色を変え、ジョッキにミードビールを注ぐ。

 流れるような手つきで注いだショットグラスのブランデー。

 それを見惚れるようにジョッキに落とした。

 

「…………全く、なんて粗暴で下品なカクテルなんだ。それ……きゅぅん……」

 

 一口飲んで、プレアデスは顔を真っ赤に染めてぶっ倒れた。

 そしてコロンと転がる、“魔物殺し“果物のお酒。瓶にはアルコール一%未満と書いてあった。

 

「こいつ、下戸なのに飲み比べしようとしたのか? だいぶ頭おかしいな」



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 酒に驚く程弱いゴーレム。プレアデスを俺が介抱していた頃。

 北の魔王の封印した第三の神殿・海底神殿に大司祭サンデーは単身でやってきていた。

 

「警備システムを突破し、海底神殿にやってきた者。人間の聖職者。何用か? 事と次第によっては処刑する」

 

 長い黒髪のセーラータイプの軍服を着た女性型ゴーレム。彼女はまさに北の魔王・シズネ・クロガネが生み出した最強最悪にして、最古の意識を持つゴーレム。

 いや、魔導機神。別名を王種を冠する者・機械王。

 

「これはこれは、機械王。貴女に会いにやってまいりましたぁ。ファナリル聖教会大司祭・サンデーと申します」

 

 サンデーの挨拶に機械王と呼ばれたゴーレムは瞬時に武装のロックを解除する。

 

「何用かと問うている。身共の言葉は軽くない。身共を生み出した人間もそれ故に身共をここに封じた。この海の深さに免じ、もう一度だけ身共。機械王。ウルスラ・ジ・エンドが申す。人間、いや。邪な心を持つ聖職者の皮を被った者よ。この静かに機械王の魂を諫める海底神殿に何用か?」

 

 機械王ウルスラにサンデーは片膝をついた。


「……これはこれは失礼を仕りました。ウルスラ様。北の魔王が手に余ったという貴女にお願いがあって参りました」

「願いとは何か?」

「北の魔王が生み出した最終兵器カタストロフについて」

 

 その返答と共に、ウルスラは全身から魔法攻撃を放つ。

 …………それをサンデーは障壁魔法で受け切った。

 その光景に驚くこともなくウルスラは座っていた玉座から腰を上げる。

 

「身共は、地上に住まう魔王だ勇者王だと言っている連中よりも遥かに強いぞ? 死を持って悔いるがいい」


 ……そう、サンデーは本当に怒らせてはいけない存在を怒らせた。

 さらに言えば冗談も何も通じない。殺害すると決めたらそうし終わるまで絶対に考えを変えない。

 ……ウルスラというゴーレムはそんなゴーレムだった。

 故に、北の魔王にも意見しまくり、手に負えず海底に廃棄。

 

「……貴様。ユニオンの力か? それも一万や二万の数ではない…………信じられない程の命を使った規格外のユニオンか、やはり貴様は生かしておけない」

 

 ウルスラは本気でサンデーを抹消しようとした。

 サンデーは鞄から二つの宝玉を取り出してそれをウルスラに見せる。

 

 ………………その時、ウルスラの体に不思議な事が起こった。


「身共の体が身共の命令を完全に拒否している……理解不能。何をした?」

「機械王ウルスラ様。貴女には現北のCEO犬神猫々の殺害と、その後、私たちを導く聖女王様によって滅ぼされる。これは宝玉命令です」

「馬鹿な……身共の意識が侵食……」

 

 サンデーは機械王ウルスラを残して地上へとポータルで移動した。

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