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灯台下暮らし  作者: 夜寝眩
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「姉さんどうかしたの?」

夕食を一緒に食べながら難しい顔で考え事をしている姉に問いかける。

姉の梨沙(りさ)は何でも出来る。スポーツ、学問、容姿も優れたとても魅力的な人だ。

僕はそんな姉が誇らしくもあり、羨ましいとも思う。


そんな姉が難しい顔で考えている様子を見て、何があったのか気になり話しかける。

「大丈夫よ、気にしないで」

素っ気ない返事に委縮してしまう。

姉は高校3年生となり、進路や将来の事を意識する時期だ。

まだ1年生の僕には分からない悩みがあるのだろう。

ただ、力になりたいと思ってしまう。話を聞くだけでもいい。姉の悩みを理解したい、今姉が何を考えているのか、どう思っているのかを知りたいと思う。

そんなのは只の自己満足だ。そんなことをしたって姉の悩みが解決するわけがない。

ただ姉弟として昔のように色んなことを話してみたいと思う。

昔から僕は姉の背中を追ってきた。姉のように何でも出来る人間になりたいと。そう思ってきた。

もし、僕が姉のように優秀な人間だったなら姉は僕を頼ってくれるのだろうか。


幼いころ、姉に「姉さんのように何でも出来るようになりたい」言ったことがある。姉はそんな僕に「修は修のままでいい。今の修が大好きで大切なんだよ」そう言ってくれたことがある。

いまもそう思ってくれているのだろうか。

高校生になって最近の姉を見ていると気になるようになった。

特に最近はすれ違いが多い気がする。高校生の姉弟とはそんなものだと友人にも言われているし、両親も梨沙も色々考える時期だからしょうがないと言う。

ただ、僕はそういう世間の姉弟の関係や時期の問題ではなく。もっと何か違う悩みを姉は抱えていて自分で処理しきれずにいるのではないかと思っている。

だってあのなんでもできる姉がこうも悩んでいるのだ。

3月頃から少しずつ姉との距離が開いていって、4月も終わりに近づいている今では姉は僕を避けているようにも見られる。この変化は急すぎる。

姉が大人になったのか、僕が子供のままなのか。

分からない、分からないけれどこのままだと僕たち姉弟の関係は決定的に崩壊してしまう。

そんな漠然とした悪い予感がする。


悪い予感程よくあたる。

この時の僕はこの悪い予感から目を背けず、しっかりと向き合うべきだった。

そうすればあんなことにはならなかったのかもしれない。


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