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幼女だらけのハウス!

 家に帰ると、玄関にはノエルとイースター、それにヴァレとブランが集まっていた。


 みんなで家に入るとリビングでお茶を飲みながら、俺の愚痴を聞いてもらう。


「それは大変だったな。ニゴーたちが最近まで魔獣型だったのは皆も知っているだろうに」


 ニゴーを膝の上に乗せ、まるで実の妹のように頭をなでながら、ノエルは同情の念を吐いてくれる。


 ニゴーは、無表情だけれど、やや頬が赤く照れているようにも見える。かわいい。


「ほんとだよね。でも進化したら人型になったってことは、元から人型だったのかな?」


 ソファに座りながら、サンゴーを膝の上で抱きしめ、ハロウィーは首を傾げた。

 サンゴーは心地よさそうに目を閉じ、愛らしい寝顔を提供してくれた。かわいい。


「二足歩行ではありましたからねぇ。それか、魔獣型、人型という区別そのものが無意味なのか」


 イースターは片足立ちで壁にもたれつつ、謎の立ちキメポーズを崩さなかった。


 そのすぐ隣で、ヨンゴーもまねっこをするように同じポーズを崩さない。かわいい。


「何をもってして人型とするかなんて人間の主観だからね」


 ゴゴーはヴァレと向かい合うようにして彼女の膝にお尻を落ち着けると、ヴァレの大きな胸に甘えていた。赤ちゃんみたいでかわいい。


「ぽよんぽよんなのです」

「ん~、ボクのおっぱい好きぃ? でもごめんねぇ、これはバニー専用なんだよ」

「はぶっ!?」


 ヴァレの隣で、ブランが小柄な体躯を赤く固めた。

 その様子を、ヴァレはにやにやと笑いながら楽しんでいた。


 みんな、お気に入りのゴーレムがいるようで何よりである。


 ちなみに、イチゴーは俺の膝の上で、ひたすら俺の胸板に甘えてくる。

 本人にその気はないのだろうけど、外見が人型になっただけで犯罪臭が止まらない。


 ――それにしても。


 その小さなつむじを見ていると思い出す。

 以前、ダストンとノエルが決闘した時に見た夢を。

 生前の俺の部屋で会った、知らない幼女。

 いまのイチゴーは、その幼女にそっくりだ。


 ――やっぱり、あれは夢じゃなくて、俺のスキルが見せたものなのか? だとすると、あのノートパソコンで見た女の子は?


 黒髪黒目の、日本人風の少女は、俺に警告した。

 

「とにかく、その子は君の味方だから。いっぱい可愛がってあげてね。それで、もしも悪い子になりそうだったら、ちゃんと叱ってあげてね。お願いね」


 何故、彼女はわざわざ叱るように言ってきたのか。

 そこに、何か重要な意味が隠れているような気がして、ひっかかりを覚える。

 すると、俺の思考を遮るように、ドアノッカーの音が割り込んできた。


 イチゴーを背負ったまま、玄関のドアを開けると、そこには遠慮がちな表情の兄さんが立っていた。


「兄さん? どうしたんだよ急に? まぁ入ってくれよ」

「いや、ちょっと届け物があっただけだ」

「それでもすぐ帰ることないだろ。弟の家なんだから」


 俺が【弟】という単語を強調すると、兄さんはどこか気後れした表情を崩し、穏やかな顔を見せてくれた。


「……そうか。それもそうだな」

「そうだよ。ほら入って。ただし、玄関で靴を脱いで上着はクローゼットに入れてくれな」


 ここでのマナーを伝えて、俺は兄さんをリビングに招いた。

 すると、兄さんはリビングの様子に少し驚いているようだった。


「今、学園を騒がせるVIPとエルダーゴーレムだらけだな。貴族科の社交サロンでもこんな光景にはお目にかかれないだろう」

「大げさだよ、とか思う俺は価値観が麻痺してるんだろうな」


 人間とほぼ同じ姿のエルダーゴーレムが五体。

 これが普通なわけがない。

 貴族科どころか、王族主催のサロンでも難しいだろう。


「空いている席に座ってくれよ。イチゴー、兄さんにコーヒーとチョコレートだ」

「わかったー♪」


 イチゴーは俺から下りると、手元に青いポリゴンを生成した。

ポリゴンが消えると、そこには一口サイズのチョコがいくつか載ったお皿と、コーヒーで満たされたカップが握られている。


「どーぞー♪」


 兄さんがソファに腰を下ろすと、イチゴーは笑顔で目の前のテーブルにコーヒーとチョコを配膳した。


★この続きは地域によっては本日発売の第三巻完結巻に収録されています。

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