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殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る

『げぼぁっ!』


 五人のみぞおちに、ゴーレムの頭が深くめり込んでいた。


 襲い掛かってきた男子たちは、体をくの字に曲げてぶっ飛んだ。


 五人は武器を手放して地面に背中を打ちつけると、腹を抱えてのたうちまわった。


 けれどそれもほんの一瞬。


 間、髪を容れず、ゴーレムたちはそこらに落ちている石で男子たちの股間を殴打し始めた。


『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッッッッ~~~~~~~~~~!!!!??』


 五人の口から五十音では表現できない奇声が放たれた。


 五人は涙と鼻水とヨダレを溢れさせながら両手で股間を押さえると、ノミのように体をまるめて動かなくなった。


 けれどイチゴーたちは攻撃の手を緩めない。

 地面に額をこすりつけて悶絶する五人の頭に向かって、腕を大きく回し始めた。

 まるで、子供のぐるぐるパンチだ。


 殴る。

 殴る。

 殴る。

 殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴るとにかく殴る。


 殴る場所が足りなくて、一部のゴーレムは背中に飛び乗り、腰の中央をメッタ打ちにしていた。


 ただしキックは使わない。足が短過ぎて届かないのだ。かわいい。


「ひぎぃいいいいいいいいいいいいいいい!」

「ぎびぃいいいいいいいいいいいいいいいいい!」

「あぐぁああああああああああああああああああああああ!」

「うぎぎぎぎぎぎぎ!」


 五人は惨憺たる有様で、さっきまでの勢いはどこへやらだった。


 反撃する気力も無く、ただ無限に続く激痛に全ての意思力を根こそぎ奪われ、ゴーレムたちの暴力を受け入れるだけの存在になり果てていた。


「ウガァアアアアアアアアアアアアア!」


 それでもただ一人、リーダー格らしき男子がやせ我慢だろう、絶叫しながら無理やり立ち上がった。


「ご、ごろじてやるぁ!」


 近くに転がっていた剣を拾おうと伸ばした手に、サンゴーがドスンと飛び乗った。


「あぎゃっ!?」


 手の甲の激痛に顔を歪めるリーダーのスネに、ニゴーとサンゴーが頭突きをかました。


「ギィッ! ッッッ~~!」


 敵ながら見上げた不屈の闘志で、リーダーはスネの痛みにも耐えた。

 そして左の拳でサンゴーを殴り飛ばした。


「痛だぁああああああああ!」


 ――あいつ馬鹿だな。


 イチゴーたちはすべすべしていて触り心地は良いものの、強度は岩石以上だ。

 詳しい強度を知らなくても、格闘家でもないのにゴーレムを素手で殴るなんて頭が足りないとしか言えない。


「ほぁ■■■■ああああああああああ!」


 スネに頭突きをしたニゴーとサンゴーが、足首をつかんで左右に全力疾走した。

 リーダーは強制的に一八〇度開脚をさせられて、股関節からミシミシと音が鳴った。


 体操選手でもない彼に、これは拷問だろう。

 さらにヨンゴーが落ちていた石で股間を殴打。


「■■■■ッ!」


 そしてこれが自律型、AIのなせる業なのだろう。


 イチゴーたちは落ちている石や枝で五人を叩いたり、ズボンを脱がせたり、靴の中に砂を入れるなど、俺が教えていない屈辱的な攻撃をし始める。


 ちっちゃくて丸くて可愛い、ゆるキャラ的ゴーレムにリンチされる不良生徒たち。

 その姿は地味に痛快で、俺はつい笑ってしまった。


「まったく、さっきまでの威勢はどこにいったんだか」

「うわぁ……ゴーレムちゃんたち本当に強いなぁ……」


 ハロウィーはすっかり感心して、ぽかんと口を開けていた。

 そんな姿も可愛かった。


「ほんとにな。それに、これだけやれば俺らに仕返しする気も起きないだろ。もう安心だ」

「でもやり過ぎじゃないかな?」

「敵の心配なんてハロウィーは優しいなぁ。襲われかけたんだぞ?」


 そんなところも、彼女の美徳だと思う。


「う~ん、それはそうかもしれないけど……」

「なんだ、何か事情でもあるのか? 実はあいつら友達とか?」

「いや、そうじゃないけど、だって……あれ、本当にだいじょうぶなの?」


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