第七話 オムライス
「コアラに醤油をかけろー!コアラに醤油をかけろー!」
どうも持木奈子です。オーストラリアと日本の国交に亀裂を入れそうな歌を歌ってるのは、私の妹の持木ンチャクです。妹と言っても父がビルマ(現在のミャンマー)でこしらえた腹違いの妹であることは皆様もご存知のことであろう。
「奈子お姉ちゃん、ンチャクねオムライスが食べたい。」
幼女の『食べたい。』要求、それは『作れ。』のプロパガンダ。破滅への輪舞曲である。いつもの私だとそんな加熱料理作れるわけが無いのだが、今日の私は違う。昨日ジャスティス君にオムライスの作り方を学んでいたのだ!
〜回想〜
「ジャスティス!わかめ!ジャスティス!わかめ!」
〜回想終わり〜
間違った回想をしてしまったかも知れない。まぁ海藻だったので良しとしよう。
「はよオムライス作れや。」
ンチャクからの要求が藤浪のストレート並の直球となったので、早速作り始める。
オムライス作りに欠かせないのはチキンライスを作ること。まず私は米が真っ赤になるまでケチャップをブチュる。そして焼き鳥缶を開け、ケチャップライスに混ぜ合わせる。チキンライスを作ったことがある人にとっては当たり前の話だが、タレ味の焼き鳥缶では無く、きちんと塩味を使うこと。塩味を入れることでチキンライスにコクとノビとキレが出る。まさに藤浪のストレートである。そして最後に生卵を落として、ジャスティス流オムライスの完成だ!
「どうぞ召し上がり下さい。マドモアゼル。」
一流コックの様に給仕する。そして三流お母さんのようにドキドキしながら食の動線を追う。
「こ、これは…米と間違えてイクラ使ってるやないかーい!」
いけね!間違えちゃった。やっぱり私はジャスティス君の様にうまくいかなかったわ。こんな悲しい気持ちはジャスティス君にオム奈子して貰わないといけないわね!