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第五話 耳までチーズたっぷりのピザ

「Oh.This is nobelu show!」


後ろの席から直訳で『これはノーベル賞です。』とネイティブな発音が聞こえる。ジャスティス君のネガティブイングリッシュだ。


「ミス持木。セレブプレイ?」


ジャスティス君から恐らく母国語で挨拶をされる。私も返しておこう。セレブプレイ。さて、ジャスティス君がこうなったのには訳がある。話は暦の上では20分後に巻きもどる。


「やあ。持木さん。」


20分前のジャスティス君。何ら変わりは無い。三味線の弦のような美しい顔だ。


「ちょっと小腹が空いてないかい?良いものがあるんだけど。」


ジャスティス君に言われ。小腹を確認する。確かに時間はもうおやつ時。まさに三時のヒロイン持木奈子である。ぎゅるる。質問の返事をお腹に任せる。


「そんな持木さんにちょうど良いものがあるんだ。昨日焼いてきたんだ。」


ガサゴソと机の奥を漁る。そんなところを探しても給食で残してしまったパンの耳ぐらいしか入ってないだろうに。


「ところで持木さんはどんなピザが好きかな?」


ガサゴソ途中に質問をするジャスティス君。流石のダブルタスク力。タスクキルをしてあげたい。


「好きなピザかー。」


ピザの種類。カルツォーネの中から出てくるチーズも好きだし。辛めのディアボラも好きだし。アンチョビがたくさん乗ったサルディナーラも好きだし。チーズがたくさんのシカゴピザも好きだ。決められないでいると、


「やっぱり僕は耳までチーズたっぷりのピザが好きだね。」


とジャスティス君がキメ顔で決めてきた。きめえ。耳までチーズたっぷりのピザ。庶民の話に聞き耳を立てて小耳にした時は寝耳に水だっだが本当にあるのか。食べてみたい。


「食べてみたい。」


本心をそのまま言葉にする。男性は言葉にして上げると喜ぶそうだ。ギャル雑誌に載っていた。


「だよね。食べてみたいよね。というわけで作ってきました。どーぞご賞味あれ。」


こいつ!私が耳までチーズピザを食べたいと思うことを読んでいたのか!流石ノルウェーと日本のハーフだぜ!これぞジャスティス飯尾!時代の流れ!人の夢!ジャスティス!ジャスティス君の素晴らしさに呆然としていると机の上にチーズが乗った棒状の物があった。これがピザ?ピザには見えないが、私はその棒状の物を永久歯で挟んだ。こ、これはピザ!パンの耳にケチャップとチーズとタバスコがかかっている!これだけで人はピザと認識するなんて!これぞ正に食のミューラーリヤー錯視!ピザ界の革命!正にナポレオン革命!そして、話は冒頭に繋がったり繋がらなかったりする。そう、未来は変えられるのだ。しかし今夜、ジャスティス君にこのピザのチーズのようにトロトロにさせられることは変えられない未来。なのかもしれない。

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