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第一話 ぎりぎり食べられるラー油

私、持木奈子。花も羨む16歳!今私は後ろの席のジャスティス飯尾君に恋してるんだ!今日は月に一回のお弁当の日!ジャスティス君に女子力がある所を見てもらいたくてアクアパッツァのアヒージョを作ってきたんだ!女子力で溺れさせてやるぞ!

「ジャスティス君。一緒にお弁当食べよ。」

「いーよ、持木さん。」

ジャスティス君はいつもどおりヌベーっとした顔で、肯定なのか否定なのか分からない返事をする。しかし!私にはそんなことはどうでもいい!痛烈!鮮烈!無理矢理一緒に食事をする!

「ジャスティス君はどんなお弁当なの?」

私のお弁当を見せびらかすために一度相手の弁当を聞く。会話の上級テクニックだ。

「僕?今日のメニューはぎりぎり食べられるラー油弁当だよ。」

「は?」

ありきたりの質問から無しきたりの回答が飛んでくる。

「なにそれ」

私は心と口がシンクロする。

「持木さん。食べ物で一番大事なものって何か分かるかい?」

質問を質問で返される。恐らくジャスティス君は中卒なのであろう。実際に現役高校生は中卒だ。やーいやーい中卒。

「それはもちろん味とかじゃないの?」

ありありきたりな回答をする。流石高卒(卒業予定)の私だ。偏差値の違いを見せつける。

「ふふん、分かってないね。持木さん。食で一番大事なのはカロリーだよ。caloly。」

あってるかあってないか分からないネイティブでネガティブな発音でカロリーと言われる。さすがノルウェーと日本のハーフだ。更にジャスティス君は続ける。

「そこで僕は考えたんだ。この世で一番カロリーのある油を可食することに成功すればノーベル平和賞を取れるんじゃないかってね。その発想の塊化がぎりぎり食べられるラー油だよ。」

シロツメクサに切り込みを入れたような顔でドヤ顔をするジャスティス君。可愛い。

「材料を聞きたいかい?」

見惚れてる私にジャスティスはドヤパワーを垂れ流す。私は恐怖に慄きながら恐る恐るその材料を聞く。

「まずはゴマ油を用意するんだ。1gあたり9kcalも取れるからね。そこに味付けのために唐辛子とにんにくとおばあちゃん、おっと味の素の事だね。僕は味の素の事を敬意と愛慕を込めてそう読んでいるんだけど、これらをいれるんだ。本当はこれをご飯にかけて食べたいところなんだけどこれじゃあ食感が無いからね。天かすで食感をプラスしよう。それで完成さ。これが未来の完全栄養食さ。」

さすが、ジャスティス君!カロリーだけじゃなくて、食感も考えているなんて!しかも唐辛子とにんにくが入ってるなんて市販の食べるラー油とほぼ味付けは変わらないじゃないか!

「持木さんも食べてみるかい?」

私はジャスティス君からぎりぎり食べられるラー油ご飯を一口いただいた。

こ、これは!鬼米のおかず無限ご飯編じゃないか!さすがジャスティス君。ノルウェー生まれは伊達じゃないぜ!

「けどこのぎりぎり食べられるラー油には一つ欠点があるんだ。それはねにんにくの多量摂取で口が臭くなることさ。これじゃあキスができなくなってしまうね。」

「いいえ。私もジャスティス君と同じぎりぎり食べられるラー油を食べたのよ。そんなのは気にしないわ。」

「持木さん。」

二人は熱い接吻をしました。

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