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やさぐれ  作者: くらいいんぐ
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第1話

正月のある日だった。


ピンポーンと家のドアフォンが鳴る。


少年は玄関のドアを開けた。


そこには、親友の鈴木が立っていた。

「お、どうした?」


「家が無くなった。今から出かけるよ。」


「??」


「もう会えないと思う。」


親友の鈴木は、顔色一つ変えず淡々と言って振り返ろうとした。


「おい、ちょっと待てよ。」


少年は鈴木の服を慌てて掴む。


鈴木は笑って言う。

「大丈夫だよ、なんとかなる。」


「とりあえず、うちに入んなよ。」


鈴木は、掴まれた手を振り払って走り出した。


少年はまずいと思って、うちにいた父に話した。

父は言う。

「追うな。お前に責任が持てるのか。」


少年は泣き出した。

まだ小学生3年の時だった。


~時は経て~


少年は青年になっていた。

学校を卒業し、派遣社員として働いていた。


青年は、駅前の実家に住み、父と母と暮らしてた。

兄弟は姉が1人いたが、すでに結婚し、実家を出ていた。


父は、これまた別の派遣会社を経営しており、外国人労働者を派遣に出していた。

母は専業主婦で、自治会の役員などを積極的にやっていた。


青年は今日も仕事に行く。

仕事に行く時はいつも電車とバスだった。


まあ自動車の免許を持っていなかったのだが、駅前に実家があるので、さほど気にすることもなかった。


今の派遣先は、製本の製造ラインだった。

単純作業で、流れてくる書籍にカバーをつけたりを時間まで繰り返し行う。


しかし、良いところもあった。

まだ発売前の写真集などを休み時間に見ることができたのだ。


そんな青年に、次の仕事がまわってきた。

それは、地元出身の有名画家、齋藤氏の個展のイベントのお手伝いであった。


青年は、絵を描くのが得意で、この仕事をとても楽しみにしていた。


齋藤氏の絵画を間近で見れる。そして何より齋藤氏に会える。


そんな想いで、その日が来るのを待ちわびていた。


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