転生
転生
これが異世界に行くのか、過去か、はたまた未来に行くのか。
誰も知らない。
だが誰もが知っている。
小説に、特にライトノベルに多く見られる題材である。
ならば私はその世界の住人になるということだろう。
だれかの活字の上で踊らされるマリオネットに。
私は主人公かもしれないしそうでないかもしれない。
ただ、確かなことは私がナニカの操り人形であるということだろう。
《スキルを獲得しました》
《オリジンスキル 神の操り人形》
《この情報はシステムから秘匿されました》
◆◇◆◇◆◇◆
ワタシは転生した。
ワタシにあるのは前世があった、という「記憶」。
あぁ、一人称が私だったということも覚えている。
ただこれだけでは「私」の性別がワカラナイ。
まぁ今のワタシ、いや俺は男なのだ。何も気にすることはないだろう。
ん?そういえばここはどこだ?羊水の中だろうか・・・。
ヒトはこの状態の時に
・脳を守る頭骨が繋がっていない
・心臓に穴があって肺に血液が流れない
フム・・・。今のは前世の「知識」だろうか。
なるほど。これは辞書のようなものか。
いや、辞書というよりかは百科事典とやらのほうが適切かもしれない。
ただこの「百科事典」にも掲載されていない「知識」がある。
それは、
・「私」が知らない事
・真実
・あの世界の歴史&文化
気が付いたのはそれぐらいだろうか。
一つ目は当たり前のことだ。知らないことを知っているわけがない。
二つ目は文字通りだ。
例えば「私」が「鼻血の際には上を向いた方が良い」という知識を持っていたとしよう。
ならば、その「事実」が「知識」として「百科事典」に掲載されるわけだ。
三つめは、「知識チート」とかいうものをさせないためだろうか。
それとも世界の「環境」を守るため、だろうか。独自の生態系を築く島に入る時にはクツについた土をおとす必要があるらしい。それと似たようなものかもしれない。
◆◇◆◇◆◇◆
あぁ退屈してきた。
どうもこの環境は羊水などではないようだ。
「百科事典」にあるほとんどは読みつくしただろう。いや、多分まだまだあるだろうが。
俺の目についた「知識」は片っ端から得ていったから、よっぽどでない限り残っていないだろう。
検索「 」
・�樞包シ搾シ�ソ��。繹ア竭�竇。
アッッッ!!!
あった・・・!あぁ これだ。これがセカイへの入り口だ!
◆◇◆◇◆◇◆
今にして思えばあそこは「セカイのハザマ」みたいなところだったんじゃないかなって思う
「何もない」という情報が与えられていたのか「空気がない」みたいな情報が何億も与えられて構成されていたのかもしれない。俺が存在していたから多分後者だろうけど。
そうえいば無事に「転生」できた。
あれはアクセスコードだったのだろうか。
それとももっと別の「ナニカ」だったのか。
まぁとにかく俺は霊魂として生まれた。
・・・これは転生なのだろうか。
◆◇◆◇◆◇◆
さっきは「霊魂」といったがこの表現が適切であるかは分からない。
ただ、最も当てはまりそうな言葉がこれしかなかったというだけだ。
ただ、いわゆる「霊魂」とは似て非なる存在であると確信している。
精霊、いや「聖霊」とでも言うべきか。
いわゆる物質界と同一座標に存在する霊界(死者の世界ではない)に最もよく見られるものという感じだ。
この霊界と物質界をつなげる穴「界門」とでもいうべきものがあり、それを通れば行き来できるらしい。
ただ、物質界にはマナが少なく、聖霊の状態が維持できずに魂だけの存在となるらしい。
それが意味するところは「死」である。
それを防ぐためには
・強大な体内魔力を持つ
・対外魔力をあり得ないほど高効率で操作できる
・オーラで自分を保護する
・「契約」をして必要な時に「召喚」されるか
である
正直どれも非現実的である。
どれが一番可能性が高いとかではなく、どれもあり得ないぐらい無謀である、ということだ。
一つ目、「聖霊」なんていうちゃちな存在にはそんな大量のオドが保有出来る無いわけがない
というかそんな大量のオドがあれば魔獣になるか、上位存在になるだろう。
二つ目、マナとか操作できるものじゃないから。
三つ目「聖霊」にはオーラを作る器官が備わっていない。
オーラとは、HP = 生命力 - オーラ みたいなイメージだ。
HP = 生命力 = オド な「聖霊」にオーラがあるはずもなし。
四つ目、いや、こんな「聖霊」なんていうちゃちな存在と「契約」する価値がありません。
詰み申した。
最初はだいぶスローペースで進みます