1つ目の夢①
1つ目の夢は、段々と真実が分かっていくのが恐ろしいホラーみたいな夢だった。
初めは理由も分からずに自分の家から出られない軟禁のような状態が続いていることだけが分かっていて、"父役と母役の人たち"(実際の父と母とは違う見たことも無い人だった。覚醒後顔も忘れた)から心配され、「大丈夫なのか」と声をかけられていた。
場面転換し、家の呼び鈴が鳴りドアを開けると、"謎の少女役の人"(以前懇意になった事がある女性だった。
実際より少し幼めだった)がボロ切れを着た小汚い格好で出てきた。
僕の事を心配してくれて、食べ物などの必要物資の差し入れもしてくれた。
中に入れて、持ってきてもらった物を一緒に食べながら話をしているうちに、以前僕はこの謎の少女を助けた事があるのだと分かった。
それを恩義に感じているため、数年にもわたりこうして僕にこっそり物資を届けてくれているらしいと。
なぜ僕が隠密に暮らさなければならないのかは分からなかったが、少女は帰っていきその場面は終わった。
場面転換し、自分の家が少し暗く、しかし輪郭はくっきりと見えるようになった事に気づいた。
父と母が僕にかける声も変わっていて、「いつまでこんな状況なんだろうな」みたいなのだった気がする。
場面転換し、家の外で例の少女と大人の男2人が言い合っているのをドア越しに聞き耳を立てている場面から始まった。
少女は何か問い詰められてるのをはぐらかしてた。
言い合いが終わると少女がいつものように(と言っても僕は前回のそれしか知らないが)食べ物その他物資を届けてくれた。
このあたりで、この夢の中の自分の家が今の自分の家と全く同じである事に気がつく。
少女を家に上げて、大窓を開けて窓辺に腰掛けて持ってきてもらったパンを食べながら話した。
話によると、どうやら少女が以前犯した罪を僕が庇っていて、表向きには僕が犯罪者で指名手配&事件当時幼かった少女は逮捕できないけど重要参考人みたいな感じになってるらしかった。
さっきの男2人も警察だったらしい。
わざわざ僕の家の前で話してるくらいだからもう逮捕も秒読みなんだろうなと思った。
(ていうか、ガキに言いくるめられて犯人目の前にしてすごすご帰る大人2人クソ無能で笑うけど)
観念して自首すると伝えたが少女に必死に止められた。やはり恩義であり愛情を僕に感じているらしかった。
泣かれながら説得されたが、次警察が来たら自首すると押し切って帰した。
場面転換し、夢の中の部屋は、先程よりも一層正確に自分の部屋が再現されたものとなった。
壁に何か紙が貼っているのが分かり、それもまるで自分の部屋のようだった(実際の方は、ゴミ出しの曜日の紙とかバイトのシフト表とか貼ってある)。
父と母がかける声は「いつまでもこうしては居られないぞ」みたいな苛立ちを含んだものに変わっていた。
一丁前に大人の年になった息子が罪を犯して、それを自分たちの家で何年もかくまっている事を考えれば当然の反応だった。
場面転換し、再び男の警察官2人と少女が言い合っているのをドア越しに聞いていた。
僕は自首する事を決心して外に出た。
外に出ると、誰もいなかった。ただの「現実の僕が昼に外に出た時に最初に見る景色」だった。
見える景色も一段と鮮やかになり、上手く言えないけど、この段階でようやく自分はそこの世界で暮らしている人間なんだと実感が出来たような気がした。
少し家の外の道路の方まで出て警察官と少女を探したが、いなかった。
ただの普段の景色だった。
おかしいなと思いながら家に戻ると、母がすすり泣く声と父が怒鳴る声が響いた。
「いい加減にしてくれ、もうここからは出ていってくれ。ずっとそう言っているんだ」と。
この瞬間、今まで自分が知らなかった(夢の中の)自分のバックグラウンドが全て頭の中に入ってきた。
忘れていたものを思い出した感覚に近いのかもしれないが、情報量があまりにも多かった——