第99話 龍 再び ~「あなたね私のご飯なんだからもっと味わって食べなさいよ!」
こんばんは
何とか本日も短いですが更新しました。
明日は記念すべき100話目を予定しております。
閑話にするか本編の続きにするか未だ思案中です。
皆様のご意見もございましたら感想欄へ書き込みお願いいたします。
では第99話どうぞ。
「・・・・・・・・・・・・・・!(あっご主人様悪い奴を捕まえました)」
真っ白な糸にグルんぐルンに巻かれた大きな何かが糸で身動きが取れずにその糸の中でごそごそ必死にもがいていた。
知矢の従魔ピョンピョンはその何かの上でピョンピョンと跳ねながら前脚を盛んに上げ振り主へアピールするのであった。
知矢を始め使用人達やニャアラスはその様子を唖然として見つめていた。そしてその中で知矢が主として口を開いた。
「ピョンピョン、お前やったな!凄いじゃないか。よく魔物の侵入に気が付いたな。ありがとう。ギム、すまない俺の気配感知レーダーは万能じゃなかったみたいだ。条件次第だが俺たちに悪意や興味を発していない物は感知しても警報を発報しなかったようだ。」
従魔を褒めながら自ら夜番の必要を否定した手前使用人へ詫びる知矢。
「いえ、その様なお言葉は不要です。実際危機と言う程では無かったのですから」とギムは主人の詫びを遠慮するが知矢は(思い込みは危険だな。皆の言葉に耳を貸さぬようでは皆を危険にさらす)と反省していた。
「ニャアトーヤ、この魔物食べるかニャ。糸でぐるぐる巻きだから何の魔物かわからないけど」
とニャアラスは未だその何かの上で踊る様に喜ぶ従魔に指先で「イェーイ!」とタッチしながらその何かを観察している。
「ううん、だがこの魔物ひょっとすると・・・龍みたいに見えないか?大分小ぶりだが。」
そう言いながら鑑定魔法を唱えた。すると
「龍族、水龍種 幼体 LV3 魔力F 攻撃力E 特力:噛み付く、咆哮(弱)、ブレス水撃(微弱)」と出た。
「まずいな、鑑定は水龍の幼体と出た。昼間の古龍が”眷属に手を出すなよ”と言い残していったからな。おいピョンピョン、こいつ龍族の水龍らしいが知っていたか。昼間の古龍の眷属のようだ。」
いまだ獲物の上にいる従魔に問う知矢であるが従魔は「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(ハーイ解ってましたけどこいつ私のご飯を無断で食べてましたし先にこいつから攻撃してきたのでやり返しただけですよ。)」
従魔のLV が上がったせいか主従ラインがより意思疎通を明確にし知矢は従魔の意思を言葉としてはっきり認識できるようになっていた。
「そうか、食料を横泥された上に先に手を出してきたのなら仕方がないな。ピョンピョン、お前は悪くないぞ」
そう声をかけ優しく従魔の背を指先で撫ぜるのだった。
主に撫ぜられ喜ぶ従魔だが使用人たちの顔色は悪い。
「しかしご主人様古龍が怒って攻撃してくるやもしれませんがどう致しましょうか」難しい顔をするギムであるが当然の反応であろう。
他の使用人たちも顔を青くしている。
「じゃあどうするか」
思案顔の知矢だがそこにノブユキが一案を出す。
「あのう、特に怪我をしているわけでもなさそうなのでこのまま湖へ離すと言うのは如何でしょう」
「でも古龍の元へ戻って『人間にいじめられた』とか訴えたらどうする?」ミホが懸念を示す。
「「「「「う~ん」」」」」
全員どうしたらよいか答えが出なかった。
そこへ従魔が何かを訴えるように手を振り上げた。
「どうしたピョンピョン」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(この子お腹が減って私のご飯を食べていたからご飯を上げれば大人しくなるかもです。)」
「そうか、それも手か。しかしお前のご飯を分けるのは嫌なんだろ」
「・・・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・(ご主人様が良ければ私はOKです。でも後で美味しいご飯を下さいね)」
「そうか、わかった大丈夫必ずお前には美味しいご飯を山ほどあげるさ」
従魔と話を付けた知矢は糸でぐるぐる巻きの龍へ近づき膝を折って話しかけた。
「おい、水龍の子供よ。お前が食べていたのはこのゴールデン・デス・スパイダーの食事だ。他人の物を食べたのだしお前から攻撃を仕掛けたんだから負けたのだし文句は言うなよ。いまからこの糸を外してやる。そして腹が減っているならご飯を分けてやるからな、腹いっぱいにしてから家へ帰れよ。親も心配しているだろう。」
声を掛けながら刀に差してある手裏剣を抜き糸を少しずつ切り裂いていく。
隣で従魔が知矢の言葉を通訳している様で水龍の子供は暴れるのを止めた。
糸を解き終わると後ろ足で立ち上がった水龍のの子供は両手をあげ伸びをするようなしぐさに加え尾を左右に振り戒めを解かれ窮屈だった体を解しているようだ。
知矢の指示で従魔用に保管してあった魔物の肉や内臓を大きな盥に乗せ使用人たちが運んできた。
目の前に置かれた盥の食事を見た龍の子供は一度凝視した後知矢達の方を見、そして従魔へと視線を移した。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(ご主人様が食べても良いって言っているから私のご飯を分けてあげるわ。お腹減っているのでしょう食べて良いわよ。)」
水龍の子供は置かれた桶に視線を戻し”ごくり”とのどが鳴ったような気配がすると桶の中へ顔をいれ一目散に食べ始めたのだった。
その様子を見た皆は少しホッとしたがこれで機嫌をよくして大人しく帰れば古龍も怒り、知矢達を襲撃しに来ることもないだろうと少し安堵した。
すでに湖面の先に見える山裾からは朝日が昇り始めていた。
今更再びテントで就寝とはいかない一行は「ご主人様我々も少し早いですが朝食にしましょうか」とマクの提案もありそのまま朝食の準備を始めるのだった。
いまだもぐもぐ一心不乱にご飯を食べる水龍の子供を見ながら椅子とテーブルを近くに置き様子を見ながらミミが入れてくれた紅茶をニャアラスと共に頂きながら観察している。
テーブルの隅には従魔が鎮座し同様に見守るのだった。
「しかしニャア、この龍はなんでこんなに腹が空いているんにゃ。」とその食欲に呆れながらニャアラスは疑問を投げかけた。
「確かにな。だがひょっとするとまだ幼いので狩りに失敗したのかもしれん。ほれ昨日の魔獣たちが追い立てられているように迫った事が有っただろう。あの時魔獣たちの後方から迫っていた反応は実はこいつの反応だったんだ。さっき気配感知の記録を確認したが同じ波動のようだ。」
「ああ、それで獣たちは龍に追われて逃げていたがこいつが遅くて捕まえられないとニャ。そして腹が減ってキャンプ地に迷い込んだって訳にゃ。人騒がせな龍ニャ。トーヤ、親に食事代請求しろよ」
そんな他愛もない話をしている間も龍の子供は未だ桶に顔を突っ込み食事中。
腹をいっぱいにしてご機嫌で帰るであろう。
「さて早起きだったが食事が済んだら昨日の実験の続きを手分けしてやろうか。ニャアラス、お前は狩りにでも行くか。」
龍の子供を見守っている知矢達の方へ使用人たちが個別に朝食を運んできたのでこのままニャアラスと二人食事をしながら今後の予定を話す。
「ニャア、今日俺の手が要らニャイなら沼に入り込んでいる川の上流を探検して釣でもして来るニャ。昼は魚だニャ!」
「あれ、それなら湖で釣った方が早くないか。これだけ大きな湖だ、魚も多そうだぞ。」
「ウニャ、間違って古龍でも釣ったら罰が当たるかもしれニャイからやめておく」
心神深いニャアラスさんは神の使いとも言われる古龍に遠慮した様だった。
いまだ食事中の龍の子供を眺めながら(早くお腹いっぱいにして帰れよ)と願いながら知矢達も朝食に舌鼓を打つのであった。
本日は仕事は休みでしたが日曜大工が忙しく一日働いておりました。
今日は自作ガレージの拡張工事第一弾。基礎の延長の為、地面を掘削し、叩いて固め、鉄筋を入れてモルタルを一生懸命練り、午後少し固まったベースコンクリートにブロックを並べてまたモルタルで固定。
そんな事をやっていて夕方になってしまいました。
腰が痛い・・・
ああ、今週も弓引いてないな・・・・もう三週間引いてないや。
あっ、居合の練習も全くやってない・・・・やりたいことや、やる事が多すぎて暇がない!




