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第97話 3つの魔法の輝き   ~ちょっと!それ私の!!

はい、今晩もなんとか更新できました。

明日以降の予定は変わりませんが時折閑話が度々挟まれるかもしれません。

お察しください。


では第97話

どうぞ






古龍が知矢達の前に姿を現してから一夜が明けた。



昨日の興奮もあったが使用人たちは先ずもって自らに与えられた仕事を黙々とこなす。

だが二人寄ればどうしても古龍の話題になったがそれは致し方ない事だ。


なにせ中核都市ラグーンの冒険者ギルドでもこの数十年にドラゴンの目撃情報は皆無であったし、やはりドラゴンと言えば必ずと言っていいほど物語に出てくるいわば伝説の存在であったのだから。


そんな行ける伝説を間近に見ることが出来しかも自分の使えているあるじがその古龍と会話をして無事であったと言うのだから致し方ない。




朝食を終えると元冒険者組を中心に再び沼地や湖にてスライムを探し捕獲する作業が再開された。



「すまないが湖での捕獲は出来れば変わった種類。具体的には色が異なる物や大きさがごく小さい物、逆に大きい個体が居れば優先して捕獲してほしい。沼地の方はまあ、可能であればで結構だ。何といっても見えないからな。ではよろしく。」


「「「「ハイ!」」」」


知矢の指示を聞いた元冒険者組にニャアラスを加えたグループは早速新たなスライム捕獲に向かった。



実際の所ニャアラスは水にぬれたり泥に入ると体毛の処理が大変なのでニャアラスは他の者が捕獲に集中する間周囲を警戒しながら護衛の役割を依頼されていた。



知矢は昨日捕獲した個体の浄化状況を観察し記録している。

そして条件を変えながら浄化能力をいかほどか判断するのだ。


個体の大きさや同じ場所に複数入れた時の浄化速度、どんな汚れまでを浄化するのか。その他スライムの生態も克明に観察していく。


昨日古龍が言っていた「あやつらは食べて太れば分裂して増える」と言っていた事からどうすれば増えるのかを含め何を食事にするのかさえも解っていなかった。


「マク、この鍋から向こうは沼地から捕獲してきたやつだよな」

知矢は個体の様子を紙に記録しながらそばで一緒に観察するマクへ確認した。


「はい、こちら側は全て沼の個体です。


「そうか、いや、昨日は濁っていたから解らなかったが沼の個体はどちらかと言うと色は緑っぽい半透明なんだな。湖のは青っぽい半透明。これは環境なのか、個体の種類なのかそれとも食べる物なのか。」


「ご主人様一つ疑問なのですがスライムは何を食べているのですか。汚れを食べているのでしょうか」

マクはもっともな質問をした。


知矢もそこが先ず繁殖や今後の活用におけるカギとなると思っているが果たして汚れがスライムにとって食事なのかが判然としない。


喋れないから聞く事も出来ないしと考えながら観察中だ。


「よしじゃあこうして分けて観察してみよう。水が澄んで汚れの無い個体、何種類か汚れの中に居る個体を比べてみよう。もし汚れが食事とイコールなら澄んだ水の個体はお腹を減らし何かのアクションが起きるかもしれない。逆に汚れを食べて太れば複数に分れるかもしれれないそれを見てみよう。」



この様に条件を変えながら観察を続け、加えて新たな色や大きさの異なる個体が捕獲される度に条件を比べながら観察を続けた。


昼を挟んで十分な個体数を捕獲できたので知矢は新たな捕獲は不要と指示し今は皆で手分けし様子を観察中である。


すると


「うん?」何かが知矢のレーダーに反応した。


距離がまだ感知範囲ギリギリで詳細はつかめないが大きさは小型の魔物程度なので大して気にはしなかった。


しかし知矢には何か見られている強い感情がひしひしと感じられるがすぐに脅威になりそうになかったため放置していた。

しかもその感じる方向は湖の奥の方だったので水の中では余計に知矢達では対処が出来ない。


暫くするとその感じは消えたがレーダーにはその個体がすーっと移送し湖から見えない岸の方へ上陸し林の中へ移動したようだったが感知範囲から離れたためそれ以上の事はわからなかった。


それ以降は知矢の興味も薄れ何もアクションが無い為次第に忘れて行った。



今日もそろそろ夕闇が迫ってくる頃になり周囲に配置してある光の魔道具のスイッチを入れ周囲を照らし始めた頃それは起こった。


知矢のレーダーに既に表示されていた小型の魔獣たちが急に移動を始めたのだった。

その方角は知矢達のキャンプ地を向いているように見える。まだ距離があるので知矢は感知魔法の魔力を上げ詳細を確認していると


「ニャ?トーヤあっちの方の魔物が何かザワザワしてる感じがするニャ」

流石ニャーラスの野生の感である。知矢の気配感知とほぼ同様の距離に何か異変を感じたのだった。


「ああ、俺の気配感知も同様だ。皆!警戒態勢、警備担当以外は大盾を出して馬魔車を利用した防御壁を構築、隠れて居ろ。ミミ馬魔車の上に取り付けてある大型光の準備、合図でスイッチを入れろ。ワイズマンそっちのグループは任せた」


「ハイ!」「解りました!」

使用人たちはそれぞれの役割に分れ即座に準備に入った。


「どうだニャアラス。俺の感知では小型の魔獣らしきものだけだが。」


「ニャ、多分大型はいないニャでも数が多い感じだニャ。50はいそうだニャ」


ニャアラスの言う通りレーダにも無数の黄色い点が表示されその数58と出ている。


「だけどニャ魔獣しかも小型の奴らがこんな夕暮れに一斉に動き出すなんて何でニャ?」


「大体にしてこんな動きの時は決まってるだろ」

知矢は理由を推測し半ば確信していた。


「怖い奴に追い立てられてるかニャ?」


「なるほど、そうかも知れませんぞ。奴らの後方から天敵の様な強者が現れパニックを起こしているのかもしれません。」ギムも遠くを見つめながら賛同した。


「問題はその後方の物が何かと言う事だな。コナビ!感知レーダーの範囲をもっと広くできないか」


サポートナビゲーションのコナビ(仮称)へ聞く


「ピーン!可能です。しかしその分詳細情報が不明確になります。」


「構わない、取りあえず迫る魔獣の後方にどれくらいの脅威が迫っているか位置や大きさだけでも解れば良い」


「ピーン!了解。範囲拡充しました。サーチ!。58体の魔物の後方には1体の小型魔物の反応しかありません。識別”青”」


”黄色””青”共に識別としては知矢達へ敵意を見せているわkでは無い。”黄色”は知矢達を認識し興味の対象に成っていることを示すが敵対ではない。


「ノブユキ・ミホ・ササスケ、お前たちは魔法の射程に入ると同時に魔法攻撃を開始しろ。当てなくてもいいこちら側が危険と判断して進路が逸れる様に牽制射撃だ。出来るか」


「ハイ!やってみます」三人は感覚を開けて横並びで迫る魔物へ注視して魔力を練り上げ始めた。


「俺たちは突破して来た奴のみ相手にしよう。だが無理に殺す必要もないが手加減はするなよ。」


「ハイ!」「任せるニャ」


ギムはいつもの大槌を仕舞い叩き付けて使える厚口の大剣を装備した。


逆にニャアラスは剣を背に仕舞い半槍に持ち替えくるくる回している。


知矢はその様子を見ながらいつもの日本刀に左手を添え鯉口だけは切っていた。


林の方から魔物たちの集団が駆けてくる様子が音と主に埃を巻き上げているのが確認できた。


「魔法攻撃の範囲にそろそろ入ります」ノブユキが叫ぶ。


「各自良いか、合図とともに一斉射、ミミは同時に光を付けろ。3,2,1放て!」


知矢の合図でノブユキたちがそれぞれファイヤーショットやウオーターショットを一斉に放った。

そしてミミが魔馬車の御者台上部に取り付けてある大型光の魔道具のスイッチを入れた。


炎や水の光が魔物の集団の鼻先へと打ち込まれ光の魔道具から目が眩むような光が放たれる。サーチライトである。


”ドドーン!”ビュー!”バゴーン”と魔法の着弾で振動と共に赤や青の光が弾け土煙が上がると

”GYAAAA””GUOOO”と獣たちの驚くよな叫び声が上がった。


「よし!上手いぞ」ノブユキたちが上手く鼻先へはなった魔法により集団で突進していた種々の魔獣、魔物たちは驚きや恐怖の為その進路を急激に変えた様子がサーチライトに映し出された。



尚も警戒する知矢達だが完璧に上手く行ったと見え知矢のレーダーには黄色い点がどんどん遠ざかるのが確認できた。


しかしその後方から追い立てるように迫っていた青い点はその魔獣たちを追い立てるのを止めたとか停止ししばらくするとその姿は遠くに去っていった。




魔物や正体不明の物が去った後しばらく皆で警戒をしていたがその後変化は無く警戒を解くことにした。


魔法で鼻先を攻撃した様子を確認しに行った者達は運悪く魔法の餌食になった獣を持ち帰りその数5頭。


少し焦げたり削れたりしていたが十分食料として使用できるので解体して夕食のおかずにする事になった。



使用人たちは気を取り直しそれぞれ夕食の準備に入る。



ギムとササスケは魔物を解体しその内臓は大きな木の板の上にまとめられ一部は知矢の従魔の食料となる予定だ。

革を剥いでなめし干す者、料理担当者は解体された肉を調理し始める。


手に入れた魔獣の多くはイノシシの様な豚の様な物だった。それを鉄串で焼く準備をしていたミレに知矢が

「ミレ、その鉄串のは塩味か」すると


「ハイ、よく冒険者時代に焼いて食べてたのは塩ですね。ご主人様、醤油を使った方が良いですか」と知矢が珍しく味付けに口をはさんできたので主の好きな醤油味が好みかと気を効かせた。



「あ、いや下味は塩と胡椒などで良い。良かったら何本かは焼き上がる前に一度この調味料をまんべんなく塗ってからもう一度軽く焼いて見てくれ」

と言いながら木のタッパーを差し出し蓋を開ける。


「これは味噌ですか」


「ああ、ただし味噌に辛いスパイスや香味野菜を刻んだ物を混ぜた特別品だ。食べる時にもさらにつけると美味いぞ」と差し出したのは埼玉県は東松山市の名物焼き鳥用の味噌だれだ。


彼の地では”焼き鳥”と称するが実際出て来る串焼きに使用されているのは豚肉である。

それを何故焼き鳥と称するかは・・・存じません。



ともかく味噌が手に入った事で知矢が辛いスパイスやニンニクの様な香味野菜、砂糖を煮詰め水あめ状にした物等を練り込んで作った絡み味噌である。



知矢に言わせると「これはビールに最高だ。もちろんご飯にも美味い!」との事で使用人たちは焼ける味噌の匂いを嗅ぎながら出来上がりを楽しみにしていた。




「じゃあ、いただきます!」

「「「「「いただきます!!!」」」」」


今日のメニューは知矢のリクエストでご飯が炊かれた。

そして塩と味噌の串焼き肉に葉野菜を刻んだサラダ、そして根菜の入ったみそ汁そんな夕食である。



「うーん!この串焼き最高です!」

「ちょっと私には辛いけどお米のご飯と合いますね」

「トーヤ!ビールビール!うまいニャこの串焼き!」


皆がそれぞれ美味しいと言って食べる様子に知矢は満足しながらビールを飲むのだった。



皆は食べながらワイワイガヤガヤ楽しく食事をしているがやはり先ほどの魔獣たちの事が話題に上がる。


いったい何に怯えていたのかが気になるがそれと共にノブユキたちが放った魔法が三人一斉射で綺麗に揃いながら狙いも違わず撃った事への称賛も多く聞終えた。


ノブユキ達は照れていたがまんざらでもない様子だ。


「いや本当にお前たちの魔法精度は向上しているぞ。日頃の鍛錬の成果が出ているな。そうは思わんかギム先生」


「先生など止めてください。ハハッしかしご主人様の言う通りじゃ成果が着実に上がっておる」


ノブユキを始め日本からの転移者を先祖に持つ者達も元々魔力を持ち攻撃魔法を使う事は出来ていたが如何せん正式に学んだことも碌になく故郷で口伝で伝えられたものを伝承しながら各自が自己鍛錬をしていた事でその攻撃力や精度に問題があった。


知矢はまず基礎魔力を上げる為の鍛錬やギムによる精度の向上訓練などを積み重ねここに結果を出したのである。


元々彼らは体術や剣術を得意としていた事もあり戦力の幅が広がったとも言え知矢も満足していたが彼ら自身も己の力が上がった事で色々自信が付いた事だろう。



慌ただしい夕刻になったが夜はまた静かな時が流れている。

知矢は冷たい夜風を受けながら湖畔に椅子を置き真っ暗な湖面とその先をのんびりと眺めていた。


膝の上には従魔が寝る様に丸くなりじっとしている。


「こういう夜の景色の中をのんびりするのも悪くないな」と思いつつもそろそろ冷えてきた事だしシャワーを浴びて寝ようと半睡の従魔を抱いて引き上げるのだった。



知矢や使用人たちもぐっすり寝静まった頃。


知矢のテントで一緒に寝ていた従魔がむくっと起き出し何かを窺がっている。


ゆっくり音も無くテントを抜け出した従魔はトコトコと何かを感じる方へ歩いて行った。


そこには従魔の為に蓄えてあった肉の破片や内臓が集積された甕が木の蓋をしておいてあったがそれに近づくと何かがぺちゃぺちゃと音を立てている。


従魔はその音でその何かが何をしているのか察知し「・・・・・・・・・・!!!!」(何をしているのそれは私のご飯よ!!)と身振り手振りでその何かに向けて強い波動を出し訴えた。



すると・・・・・・・・・・・





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