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第93話 スライムそして謎の物体接近? ~「うふっ、ご主人様と二人きりなんて初めて!」

金曜の夜、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

今週もお疲れさまでした。週末の夜を小説でも読みながらお過ごしください

(わし明日も仕事であるがな(-_-;))


では第93話

どうぞ



「よし、そのまま右へ2歩そして前に1200mm、深さ300。ゆっくりだ両手を広げて左右から優しく包み込む様に」


獲物の位置を誘導されノブユキは恐るおそるゆっくり泥で全く見えない水中へ手を差し入れた。



「な、何か気持ち悪い物が手に触れました・・・」ノブユキはその感触に嫌そうな顔をしながら目は真剣に水面を凝視している。


「そうそれだなゆっくりゆっくりとすくう様に持ち上げてみろ」

知矢は膝まで泥に入りながらあまり近寄らない様にしつつノブユキへ指図する。

その手には木桶が抱えられいつでも差し出せるように身構えていた。



「ぅひょひょひょぁ」変な声を絞り出すノブユキが水面から手に何かを捧げる様に持ち上げるとその手には泥の固まりがぷるんぷるんしていて透かさず知矢は桶を差し出しノブユキは慎重に流し込むようにそれを入れた。


「ふーっ」脱力したノブユキは今にも膝から泥水へへたり込みそうになるが何とか身を保っていた。

「よ~し、ご苦労さん。気を付けて岸へ上がって休め。」

知矢にそくされ重い足を何とか泥から持ち上げる様に歩みを進め岸へたどり着き待っていたワイズマンが水の魔道具で手足の泥を流してくれた。


続いて知矢も岸へ上がり桶を置くとワイズマンから魔道具をもらい自分で手足をすすぐのだった。



「ニャア、さっきの湖にいた奴よりずいぶん大きいニャ」

桶の中をのぞき込むニャアラスは中の獲物をツンツン指で触れながら泥を落として大きさを比較している。



昼前に目的の湖へ到着した知矢と使用人のスライム捕獲作戦御一行様は早速透き通る湖の水の中から数匹のスライムを探し出し捕獲し、今は湖の脇にある湿地帯に生息する個体を捕獲中である。


「どうだニャアラス湖のスライムと沼のスライムは違いがあるか」


手足をタオルで拭きながら声をかける知矢に

「ニャア、そうだニャ、大きさは一回り大きいし色は少し濁った色をしてるニャ。でもひょっとしてもっと洗えば湖のみたいに綺麗で透き通るような青紫色みたいになるかもニャ」


そう言いながらニャアラスは桶の泥水を捨て新たな清水を水の魔道具から桶へと補給してはスライムを洗浄している。


今沼で捕獲したスライムの大きさはおおよそ直径300φ程その前の湖で捕獲した個体は200φ。この大きさの違いは場所なのか生態なのか種別なのかはわからない。

この後も湿地で何匹か捕獲して比べるつもりだ。



「しかしこれだけ大人しいし害が無いと言われているのにスライムを調べたり研究する人が居なかったのは不思議ですね」

ノブユキは知矢の指示で冒険者ギルドの魔物図鑑や討伐報告の履歴を調べていたのだったが全くと言っていいほど情報がほとんど存在しなかったのだ。


「いやだからじゃねえの。害もないし見た目に食べられそうにもないから誰も狩ったりする必要も無いんだし。」ワイズマンも一緒に桶を覗き込みながら答えたが実際その通りである。



確かに都市のそば、河や池にはあまりいないスライムであるが近隣でもわずかな生息は確認されており身近な魔物と言えば身近な魔物ではある。

見た目ものっろりと移動し陸で見かける場合は日向ぼっこの様に日差しの下でじっとしていたり触れても噛み付く、毒を吐く、とげが刺さる等一切危険も無いとされている。


過去に試しに食べてみようとした者がいたという話は聞くがナイフで切ったりフライパンで炒めたり、鍋で煮たりしてもただどろどろと形を崩し鍋の底に残るのはドロッとした液体だけで何の味も歯ごたえも無いとの風聞が一般的だ。


という事で害も無く食べられもしない魔物をだれも見向きもしなくなったと言う訳である。


ましてやこの世界で水、排水を浄化すると言う概念も少なくそれにスライムを利用すると言う考えに至る理屈は全く存在しなかった。

それ故使用人たちも主の発案に懐疑的ではあったがもちろん知矢の考えや行動を否定する者など一人とていない。

いまは黙って指示通り捕獲を繰り返し洗ったスライムを鉄なべを並べて1匹づつ分け入れて観察中である。


ちなみに元冒険者の獣人ミレ以外の使用人の女性軍は過剰な悲喜感は無いもののスライムの観察に積極的になれそうに無かったため知矢も無理強いはせずキャンプ地の準備や衣食活動に精励してもらう。



並べた鉄鍋はその数全部で40個。半分は湖の綺麗で透き通る水中で生息していた個体。残りが湿地の泥沼に生息していた個体である。


両方を同じように洗浄して同じように水を汚して綺麗になるかを観察する。

その為に使用店の流しの排水を樽に入れ運んできたのだ。


数日樽に入れ乾燥濃縮をおこなったので異臭がする。これを鉄鍋の中へ一定量入れて汚れがどうなるかを検証するのだ。

その他にも繊維を染めて服にするときに出た残りの汁や油汚れがこびりついた布きれなど色々試す。



予定数のスライムの捕獲洗浄選別が終わりベースキャンプを設営した箇所と湖の間にずらりと鍋を並べあとは時折様子を観察するだけである。


そこでまだ夕刻には間があるので知矢を除く元冒険者組とその他数名が周辺を散策しながら狩りをしたいと申し出て来た為、夕食のおかずを増やしてくれとギムを筆頭に探索を許した。

「じゃあ大物を仕留めて来るニャ!」

意気揚々と湖の周囲に広がる浅い森へとワイワイ言いながら入っていった。


念のため知矢は感知魔法で確認したりレーダーを立ち上げたが巨獣や未確認巨大生物などの反応は無かったため「ニャアラスが居れば何とかなるな」と安心して送り出した。



残されたミミと紅茶を飲みながら知矢は湖の風景を観ながらのんびりとした心地よい時間を過ごしていた。



(ああ、こんなふうにのんびり過ごすのが目的だったよな)と思いながら少し気温が低く感じるようになった冬前の風を感じながらこの世界に来たときの事を思い出した。



ただのんびりと言っても知矢の性格だと何かしらせわしなく活動していないと気が済まない気性の為どの世界に居てものんびりと余生を送るのは無理なことであった。



(嫁ちゃんどうしてるかな。孫ちゃん元気かな。息子は会社を上手く切り盛りしているかな・・・)



バイクでの死亡事故から最高神との出会い。異世界への転移そして冒険者になったと思ったら次々と騒ぎや事件に遭遇しいつの間にか奴隷を雇って商売まで始め貴族と交わり・・・そんな中で久しぶりの時間を過ごしているとやはり日本でのことが思い出される。



(最高神様は嫁ちゃんにちゃんと手紙渡してくれたかな。どんな風に思ってるだろう。荒唐無稽な話だし”詐欺”とか”いたずら”と思って捨てられちゃったかな・・・そう言えば”指南書”に質問書けば答えてくれるって言ってたな。それで聞いてみようかな。嫁ちゃんからの返事は無理だろうけどな)


等とのんびりしてしているとつい日本の事が気になって来て少し心に寂しさ、望郷の念が湧き上がりそうだった為、椅子から立ち上がりスライムを覗きに行った。




「う~ん。流石に未だ変化はないか」と湖の個体から順に観察していくと沼地から採取した個体の内キッチン排水を濃縮させたものに明らかな変化が見られた。


「うん?匂いが弱くなってるな。それに濁りも・・」


その他の鍋を覗くとやはり油汚れの物も浮いていた油脂が無くなり乳化現象を起こしていた水も濁りが薄まっているのを考えるとこれは浄化作用だとするとものすごい速度であった。


「ご主人様」とミミが鍋を見つめる知矢の様子を観に来た。


「ああ、ミミか、いやあ凄いぞ。もう既に汚れがかなり減ってきている。この調子だと今夜にも真水になりそうな勢いだ。」


「ええっ!、ではやはりスライムって汚れを綺麗にしてくれるのですか」


「今のところそんな様子が見られるが全部が全部かはまだ分からないな。もう少し様子を観て明日は条件を色々変えてやってみるか。」


そんな話をしながら再びテーブルへ戻る知矢にミミは暖かい紅茶を入れなおしお茶菓子にクッキーを供してくれた。


「ご主人様、紅茶よりビールの方が良かったですか」


「いやまだ紅茶が良いな。どうも俺は陽の出ている時間に酒を飲む習慣が無くてな。暗くなってからゆっくり飲むとしよう。」紅茶を飲みながらクッキーを頬張る知矢その横でニコニコしながら一緒に紅茶を飲むミミそんな時間を過ごしていた。



すると知矢がミミと会話しているとき知矢の感知魔法”レーダー”の表示窓が開き赤いアラートが光り出した。


ガバッと椅子から立ち上がった知矢を見てミミは何事かと声を掛けようとしたが「ミミ離れろ!何か魔物が来る!早く!」

と言われ直ぐに魔馬車の荷台の裏へ走り隠れた。



知矢は取りあえずミミが離れた事を確認するとレーダに移った赤い光が近寄ってくる距離を測りながら水面を見つめる。


”ピーン正体不確認の物体接近間もなく最終安全ラインに到達”コミュニケーション・ナビゲーターの(仮称)コナビが発報する。


「コナビ、魚の魔物か何かか、大きさは」


「ピーン推定16m、魚もしくは怪魚もしくは水龍と思われます」


(魚だとしたら陸に居ればそれほど危険はないが水龍、だとすると上陸するのか?)


少ない情報では行動の方向を決めきれない知矢はとにかく動きを見定めようと水面へ集中する。


静かな湖面が僅かに波をうち始めると岸から30m程の湖面が突如盛り上がったと思うと大量の水を纏った何かが姿を現した。

「Gyaaaaa!!」噴火の様に水撃が吹き上がりその中から何かの咆哮が辺りに響き渡る。


「きゃあああ」ミミがその咆哮に怯える声が聞こえた。

「ピョンピョン!ミミに付いててやれ!もしもの時は彼女を守れ!出来るな」

知矢の従魔へ指示を出すと「了解」と思念が届き知矢の肩からぴょんと飛び出していった。


水撃の壁が次第に静まるとそこに現れたのは青黒い「龍?」が姿を見せた。

その体躯は30m離れているにもかかわらず思わず見上げてしまう程。

知矢は相対したままどうすれば良いか判断が付かなかった。

それはそうだ。

龍に出くわすなど思いもよらず対する術も思いつかない。


知矢は刀を抜き気にもならず逃げるべきかどうすべきか判断が付かなかった。

その高く伸びる巨体から知矢を見下ろす龍



『ドラゴ◎ボールを集めし者よ汝の望みを一つかなえてやろう』



(なんて話じゃないよな)と懐かしい物語を思い出しながら龍を見つめる知矢はその巨体を前に動けずにいた。




すると龍はゆっくりとさざ波を作りながらゆっくり岸へ、知矢の方へ接近する。



危機迫る知矢!


龍を目の前にして果たしてどう戦うのか!!








先日日曜のKCBMの参加をどうしようかなどと考えていた話を書きましたが先週のレースが降雨でバイクは未だドロドロのままガレージの中でごじゃる。

今夜洗車しようかなと思っていましたが天気予報を見て日曜日は雨か・・・今夜寒いな・・・


結局洗車は手つかず、小説の更新をしておりました。

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[一言] 手っに入ぃれろっ!ドラゴンボール(心臓)!
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