表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/257

第61話 剣と剣  ~ボンタ「何かギャボーズと同じ展開に見えるっす?」

9/6日曜日皆様いかがお過ごしですか

台風接近の地方の方は十分に備えてください。私も以前記載しましたが長崎で大型台風で被災し辛い思い出があります。堅固な建物でじっとして

良かったら小説でも読んでくださいね。


では第61話

どうぞ



「団員!整列!!」



第1騎士団長モンドールの声が響き目の前には館に残っていた10名ほどの騎士団員が整列した。


その中には先日まで騎士団長の責にいたマリエッタの姿もあったがその顔色は悪くさえない。




ここはアンコール伯爵の屋敷裏の中庭にある練兵場だ。


主である管理貴族、アンコール伯爵の命も無く知矢の命にて集められた騎士団員達。


整列する団員達の前には第1団長のモンドールが脇に控え号令をかけた後振り返って主であるアンコール伯爵の方を見るが如何にも若い冒険者にしか見えない知矢が何故か伯爵と並びたちしかも両手を腰に当て胸を張り団員達を睥睨へいげいしていた。



勿論モンドールはこの招集が知矢の命で発せられたのは解っているが何故その命に自分が従ってしまったかを解っておらず、ただその隣にいる主が何も言わない事で自らの行動が間違ってはおらず諫められる事は無いであろうとも思っていた。



しかしそのほかの騎士団の団員達は自分たちの主の横に並び主より大きな態度をするこの若者を訝しむも平素より上官の命令に従う習慣の為か何も言葉を発せず元直立不動で控えていた。




そして暫し間を置き団員を前にして口を開いたのは知矢である。



「俺は冒険者のトーヤだ。今はあなた達の主であるアンコール伯爵の命を受けこの場にいる。

つまりこれから俺が発する命はアンコール伯爵の命と同じであることをよく理解してもらいたい。」



思いもよらぬ知矢の言葉に誰もが疑問を持ちが目の前には団長もおりましてや伯爵自らも目の前にいるのに何も口を挟まないのだ。団員が何かを言えるはずもない。



その中でマリエッタだけは何か言いたそうにしていたが先ほど自害するのを止められさらに厳しく叱られたためかそれとも知矢が発した命令と言う言葉に従ったのかはわからないが悪い顔色でとにかくうつむき加減で立っていた。、



「よし、今から行うのは模擬訓練だ。使用するのはこの訓練用の剣だが知っての通り刃は潰してあるが当たれば軽くて骨折、悪ければ死に至る事は十分承知だと思う。


戦うのは俺と、マリエッタお前だ。」



名指しで指名されたマリエッタは一瞬ビクッと体を震わせたが先ほどとは違い急激に顔に赤みが差し握りしめたこぶしへ力が入ったのが見て取れる。



「他の団員はこの勝負、訓練の結果の見届け人だ。この模擬戦にマリエッタが負けた場合は俺の奴隷に成れ。」



周囲が一気にざわつく。それもそうだ伯爵の娘であるマリエッタにたいして模擬戦とはいえ勝負をし負けたら奴隷になるなどそんな話を聞いた事は無い。

しかし父親でもある伯爵が目の前で話を聞いているにもかかわらずその厳しい表情を崩さぬばかりかひと言も口を挟まないのであるから尋常な事態では無い事だけはわかった。



騎士団の面々もマリエッタが起こした事件については承知しているし今までも散々騒ぎを起こしその度に団員や団長がその後始末をしていたのだから今回はとうとう伯爵主怒らせ相当の処分が告げられるであろうとのうわさは団員達にもささやかれていた。



しかしまさかそれがこの場での模擬戦に負けたら奴隷落ちとはいささか話が飛躍しているようにも感じた。



しかし先にモンドールが言った様に本来帝国の法に照らせは死刑でもおかしくない出来事である。そういった意味では伯爵による娘への甘さが加味され形式的に模擬戦と言う形で戦わせ勝った暁にはうやむやに無罪放免なのだなと皆が瞬時に認識をした。



しかしこの模擬戦がそんな甘い事では無いのをこの後知るのであった。



「もし俺がマリエッタの負けた場合は俺の全資産と所有する奴隷、そして経営する魔道具商店の全ての権利を渡す・もちろん俺もお前の奴隷に成ろう。



伯爵の娘が奴隷に落ちるか、平民の俺の持つ全てを手に入れるかそう悪い勝負ではないはずだ。

伯爵様よ、魔鉱石発見で俺に与えられる予定の報酬は大体幾らだ。それもふくまれるんだが。」



知矢の問いにアンコール伯爵はおおよそだがと前置きし「白金貨1枚と青金貨8枚、もしくはそれ以上じゃ」



と答える。


何でも無いように聞いた知矢は

「じゃあその他の俺の資産を併せて大体白金貨2枚と青金貨2枚以上にはなる。それに加え40名にもおよぶ奴隷と魔道具の数々が手に入るんだ。文句はあるまい、どうだマリエッタやるか、それとも恐れて逃げるか」



わざと周囲の者へこの出鱈目な模擬戦の価値を押し付け、さらにマリエッタには挑発をして周囲の雰囲気と共に自らの闘争心に火を点けやらざる得ない状態に仕向ける知矢であった。



「よかろう!この勝負受けようではないか!私は真剣でも構わない!お前の財産などいらないが私の剣でこの身の潔白を晴らそう!そしてお前を一生奴隷としてこき使ってやる!」



先ほどまで泣いていたカラスが笑ったのか、精神的に追い詰められたことなど忘れついでに自分の犯した罪まで忘れてしまったのか勝てば罪まで消えると勘違いする辺りが短慮の脳筋なマリエッタらしい。



(文系の大学でスポーツやってるやつに多いよなこのタイプ)と変な感想を思い浮かべた知矢は予定通りの展開に話をすすめるのであった。


「よし、その言葉忘れるなと言いたいがどうせお前の事だ、すぐにおのれの立場や行動を忘れるに決まってる。だから契約をしたのちに戦おう」


と知矢が伯爵の方へ合図を送ると



「ザイードをここへ」と伯爵が背後に控えていた執事へ命じた。



すると執事に連れられすぐに現れたのは”奴隷商会長”のザイードであった。



「伯爵さま、お呼びにより参上いたしました。」と丁寧に腰を折り伯爵得挨拶をする。


「うむ、ザイード忙しいのに済まぬな。話は聞いておるやも知れぬがこれからトーヤ殿とわが娘マリエッタがこの場で戦うにあたり敗者をそれぞれの奴隷にする事となった。

公平を期し決着後互いが約束を違えない為に先にこの場で奴隷契約を行う。



もちろん勝者が敗者を奴隷にする契約だ。できるな。」



「もちろん可能でございます。それでよろしいのですね。」

ザイードも事前に話を聞いてはいたが本気でこんな勝負による契約など前代未聞だ。伯爵へ念を押すのも無理はない。


うむ、と再び了解を示した伯爵の意向を受けザイードは持ってきたバックより既に先の条件を書き記した書面を取り出し伯爵の前に置いた。



「では2人ともなければこの書類をよく読み異論がなければサインをする様に。良いかマリエッタ!」

と娘へも念を押す。



「はいお父様、私が剣による勝負でこの者に負けるはずもございません。ましてやこの度は騎士団の面々もお父様の目もございます。卑怯な手など使えるわけもございません。必ず勝利を我が手に!」



本当にまるで自分が悪くなかったと信じているかのように力強く答える娘を見て父であるアンコール伯爵は心の底から何か残念な気持ちが沸き起こりすでに知矢へ娘をさっさと引き渡した方が世のため人の為敷いては伯爵家と帝国の為ではないかと暗い気持ちになるのであった。



そんな父の様子を見たマリエッタは(お父様はもしかして私が負けた時のことを心配しているに違いない、お父様の為にもこの剣で成敗してやらねば)


と再び思い込んだ自分物語の中で勘違いに浸るのであった。

実に幸せな性格と記憶力のたまものである。



両者奴隷契約書へサインを行い臨時に作られた闘技エリアに立つ。


周囲ではアンコール伯爵を始めモンドール団長、騎士団の面々、執事やザイードが居並び成り行きを見守っていた。


そこから歩み出たモンドールが審判を務めるようで闘技場の中央に進み出て両者を代わる代わる見て声をかけた。


「両者準備は良いか。勝負は1度、どちらかが戦闘不能に陥ればその場で決着である。剣を失っても同様だ。今回は剣がかする程度では不問とする。ただし命を落としそうな大けがを負うような状況が見受けられた場合は即戦いを止める。

良いな!」


とのモンドールの言葉に黙って頷く二人。


互いに騎士団の訓練用に用意されていた刃を丸めてある剣をもち10m程離れて相対する。



緊張で静まり返る中、間を置いたのちモンドールが叫ぶ


「それでは始め!!!」



モンドールの合図とともに大柄な剣を上段に掲げたマリエッタが素早く間合いを詰め知矢へとその剣を一気に振り降ろそうと


「貴様あ!!!この正義の剣を受けろ!!!」

あくまでも正義を気取るマリエッタが鬼の形相で迫りくる。



対する知矢は・・・






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ