第60話 行先は天か地か ~オイ!そこの執事、茶だ紅茶をもて!
更新が途絶えると活動報告へは書きましたが
何とか1話分、少々短いのですが投稿できました。
この続きは今夜か明日にでもなんとかしたいと考えております。
では第60話どうぞよろしくお願いいたします。
「もうお前はこれから勝手に人に剣も向ける事を禁ずるし、死ぬことも許さない。
おれの指示で俺の元で生きろ!
これは俺からの初めての命令だ!」
自害しようとしたマリエッタの短剣を阻止した知矢はそう宣言した。
(ったく、やることなす事この間と一緒じゃねえか脳筋共が!)
モンドールを振り返ると知矢は
「あんたと言いこのバカ娘と言い何でお前らはすぐ死にたがる!」
知矢の言葉に下を向くモンドール。
「大体な、死ぬって事を責任を取った事と思っておるのがいかんのだ。それは責任を放棄し残された者へ押し付ける、逆に更なる迷惑をかける事なんだぞ。
責任を取ると言うのはな生きて生きて生き抜いて、最後まで喰らい付き全ての始末を成し遂げてその後は一生その重荷を抱えて生きる事だ。
そりゃあ辛いだろう、辛いだろうが責任を取るっていうのは辛いものだ。死ぬ方がよっぽど楽して逃げてるだけだ、家名や名誉を守って死ぬなんてそんなもんは無い。
よく覚えとけ!!」
その場にいた3人は知矢の言葉に何も言えず俯いたままだ。
(さてこの後どうしたもんかのう)後始末について思案するが良い案が浮かばない。
肝心のアンコール伯爵まで何を思うのか下を向き俯いたままだ。
(面倒だから力技だけで行くか!)と知矢はソファーからゆっくり立ち上がると。
「伯爵様よ、騎士団がいるくらいだから練兵場や訓練場がこの屋敷にはあるんだろ」
「ぇえ、いや、ああ、屋敷の裏手の中庭を訓練の場として用意してあるが、本格的な演習場は郊外になってしまうが。」
知矢に声をかけられた伯爵は戸惑いながらも答えた。
「そうか、じゃあ丁度良い。
モンドール団長、そのバカを通常の巡視時に付けてた装備に着替えさせて裏の中庭に連れて来てくれ。
それと今いる団員で手の空いている者だけでいいから集めといてくれ。」
と言うとさっさとしろとモンドールを促しモンドールはわけもわからず上司でもない知矢の指示に従い未だ覇気の戻らないマリエッタを強引に連れ出し部屋を出て行った。
「あ~あっ」
と面倒そうな声をあげ再びソファーへ腰かけあけ放たれていた扉の外でどうしたらよいのか迷う素振りの執事へ「紅茶を入れなおしてくれ」とこれまた主でもないのに勝手に命じるのであった。
すぐに呼ばれた女の使用人が静々とおいてあった茶器を一度片付け新たに用意した茶器で紅茶を二人の前に給すると一礼してすぐに部屋を出て行った。
その紅茶を美味そうに香りをかぎながら飲む知矢。
すると今まで黙っていたアンコール伯爵がゆっくりと言葉に窮する様なそぶりを見せながらもやっと口を開いた。
「トーヤ殿・・・娘を救ってくれて済まなかった。ありがとう」とまたしても深く頭を下げるのだった。
「止してくれ、もう散々頭は下げてもらった。
大体貴族、伯爵さまがそんなに簡単に平民の俺に頭を下げるものでは無いであろう。やめてくれ。
それに俺はこれからあんたにとってとてつもない事を言うぞ。
それを聞いたら救った事とに成るのかどうだかな」
と詫びの必要はないと重ねて言うがそれ以上に伯爵を脅すよな口ぶりだ。
「とてつもない事・・」
「ああ、そうだ伯爵家や他の貴族、そして街の人々が仰天するかもしれんし、逆にそんな事は受け入れられんとあんたは俺に剣を向けるかもしれんぞ」
散々脅しの文句を突きつける知矢に伯爵は奥歯を強くかみしめ下腹に力を込めて
「構わん言ってくれ、もうわしは何もかも受け入れるつもりだ。このままであの子はもっととんでもない事をしでかしていたかもしれん。
全てはわしの教育が間違っていたその責はわしにある。
だがその責をトーヤ殿へ押し付ける事に成るのだ、嫌も無い!」
と知矢を見つめすがる様にやっと言葉を口にした。
「その覚悟があれば俺もやりやすい。
んじゃあ、さっきの契約を書き直してくれ、そしてある者を呼び出してほしい。」
「ある者?」
その後知矢と伯爵はしばらく二人だけで話をつづけたのだった。
ニーナ「ねえトーヤ君私のポジションを邪魔する人が現れたらどうしましょうか?」
知矢「ポジションって・・・いやあ・・・」
ボンタ「兄貴!おいらは兄貴の傍にいるっすよ!」
ニーナ「ぇっええ、ぼ、ボンタさんが!」
知矢「・・お前がいるとややこしいからどっか見えないところに行け」
ボンタ「そんなあ兄貴!」
ニャアラス「何か楽しそうだニャ俺もまぜろトーヤ!」
ニーナ「ニャアラスさんまで!!!」
知矢「・・・・気配遮断!」
「あっ!トーヤ君が消えた!何処!!」




