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第6話 早く都市の外で練習したいのですが  ~あっ私、紅茶でお願いします

昨年は空梅雨でしたが今年は九州を始め各所で降雨災害に見舞われております。

被災した方や亡くなられた方々にはお悔やみ申し上げます。


投稿者は大学時代長崎市で過ごし夏の終わりに台風二連発で街中が大変な事態になって当人も被災した経験があります。

とにもかくにも身の安全を確保してください。


速い終息を、復興を願います。

地下訓練場からニーナに案内されるようにして階上へ上がり3階へとたどり着いた。


3階には1階の喧騒は全く届かず廊下を行きかう者がいない静寂の世界であったが、知矢の耳は何か違和感を感じ、鑑定を周囲に行ってみた。


”この周囲には遮音と防御の障壁が張られています”


と出た。


やっぱりかと思っていると「こちらです」とニーナさんが廊下の奥の一室へ誘ってくれた。


失礼しますと声をかけて入室するに従い知矢も”失礼します”と行儀よく入ってみると、すぐにあるのは応接用のソファーとテーブル、壁には剣や槍・盾が飾られ如何にも冒険者ギルド長の部屋という感じだ。


「おう来たな、座ってくれ、ニーナ何か飲み物頼む、俺はガラムだ、お前は何が良い」


既にソファーに座って待っていたギルド長にソファーを勧められたので素直に従い座るとすぐ飲み物を聞かれたが、まだこの世界の飲料に詳しくないのがばれるかもと躊躇していたら


「まだ若いから果物ジュースが良いか、ニーナ何かあったろう適当に出してやれ」


「はい」とニーナさんが隣室に向かおうとしたところを、つい”若いから”って言う処に反抗してしまい


「いや、すいませんニーナさん、何かリストありますか?」と聞いてしまった。


日本でのサラリーマン時代は「出されたものを黙って飲め」とか「一口だけ挨拶で口を付けても全部飲むな」とか若い頃に上司や先輩方に訪問先でのレクチャーを受けたものだが、その頃から不満に思っていたのは、せっかく出してくれたのだからきちんといただく、もし好みを聞かれたら常識やある範囲で要望を伝える、という事をタブー視されていた事だ。


だが俺は自分一人で他社を訪問、打ち合わせをする様になると聞かれたらしっかり要望は伝えたし、最後まで美味しくいただいて入れてくれた事務員の女性たちには一言礼を言って退出する事を己に課していた。

それがサラリーマン・マナー的にはどうかは置いておいて、聞かれたら要望を伝える姿勢が取引や打合せにも功を奏して良い結果が得られたと信じている。


なのでそれ以来ハッキリとした意思を伝えるのが肝心だと思って生きていたが・・・

一度死んだせいなのか、その事を忘れて先ほどは躊躇してしまったのは俺らしくないと慌てて伝えたが、逆に(子供が大人ぶって)とみられたかもしれないと後悔したのはニーナさんの「はい、こちらのメニューからお選びください」と温かい目で言われてしまった後だった。



恥ずかしさを隠して「では紅茶をください」と答えたのが精いっぱいだったが、それはニーナさんに対してで、逆にギルド長に対しては「この野郎」という気持ちで対していた。


「おいおい、そんな怖い顔するなよ、悪かった子供扱いして」

とすぐに顔に出る様じゃやはり中身はともかく今は子供なのだが。



ニーナさんの入れてくれた紅茶を一口、口にすると日本で飲んでいた紅茶とは若干異なる物の香りが口の中に広がり微かなフルーティーさも感じる美味しい物だった。


ギルド長の飲んでいる”ガラム”は見た感じ泥の様な、ひょっとしたらコーヒーに似た物かもしれないが漂う香りは少々薬臭さも感じる変な飲み物だった。

いつか飲む機会もあるだろうが俺は紅茶派だからこれで十分だが。


「さて、んじゃ少し落ち着いた所で先ずは自己紹介と行くか

俺はもう知ってるだろうがこの商業中核都市”ラグーン”で冒険者ギルドを預かる

ガイン・パムラス て者だ、一応冒険者ランクはAだが最近は冒険より管理職・デスクワークばかりでその頃の力はねえけどな」


「今日は仲裁に入っていただきありがとうございました、新人冒険者、ギルド加入希望の

トーヤと申します。16歳の若輩者ですがよろしくお願いいたします。」


と、転移して若返ったのだし老齢だった事は忘れ一応年下としてきちんと挨拶をしておこうと決めたのであった。

このガインと名乗ったギルド長、控えめにその頃の力は何て言っているがどうして、その引き締まった体躯から醸し出される物は鈍った感じなんて、逆に今本気で掛かってこられたら避ける前どころか気が付かない内に心臓を掴まれそうな気がする。


あまり舐めない方が良さそうだと本能的に感じるのであった。


試しに”鑑定”してみた


 ・種族 人族 (45)身体LV85 冒険者ランクA-

 ・知性 B級

 ・耐力 A級

 ・成長 B級

 ・武力 A級

 ・幸力 C級

 ・筋力 A級

 ・速力 C級

 ・魔力 C級


 ・特力 基礎生活魔法LV3、風魔法LV6、火魔法LV5


 ・行使力 弓術LV15、大剣術LV35、片手剣術LV68、体術LV30、盾術LV38、事務処理能力LV8


こんな感じだった。

やはりかなりの力を秘めているなまあ、俺よりは基礎ランク低めだが、その代わり片手剣術LV68は驚異的だと思う、なんといっても俺は未だLV10だしな。速さと知性、魔力は上回るがきっとLV68はその差を凌駕するに十分な経験値と実力何だと思う。


だけど事務処理能力LV8ってギルド長としてどうなんだ?

さっきちらっと鑑定したニーナさんは 事務処理能力LV51だったけどな。




「まあ、そう畏まらなくって良いぜ、冒険者同士フランクにいこうや」


その言葉を真に受けてタメ口を聞いた馬鹿がサラリーマン時代にいたっけな、もちろん先方は気分を害して取引が疎遠になったと聞いている。


まあ、探りながら付き合いをしていくか、なんて考えながら


「いえ、私はまだ冒険者でもありませんし、ギルドで功績もある先輩にはそれ相応の敬意を払わせてもらいます。しかし、私も育ちが出てしまう事もあるかもしれませんからその折はご容赦ください。」


と、一応予防線を張っとく。


「おう、その育ちだ!お前なんだあの剣技は!

あの場であれが見えたのは俺の他に1人位だぞ、その口調といいどこかの貴族か他国の領地持ちで産まれたころ頃から鍛錬を積んでたって感じだ。そうなのか?」



俺のステータスで”剣技”はLV10だがこの世界でどれほどの位置なのか未だ把握できていないからうかつなことも言えないよな。



神様に与えられた力、でも最高神様は


(「それを礎に能力を得たたのならそれはおぬしの力であり結果だ、悲喜する必要もなければ喧伝する必要もない。確実なのはその結果としてステータスに現れとる」)



て言ってたし、やはり日本にいた頃に得られた力が”剣技”はLV10って事なんだよな。それなら


「いえ、そんな大層な出身ではありませんよ、皆さんの知りもしない名もない田舎で師匠から教わった、それだけです。あとは色々実践を積んできた結果という処ですね。」


実際日本での知矢は平民であるしニーナやガインの知らない地で産まれたのも本当だ、嘘は言ってない


この世界に嘘を見抜く様な特殊能力が在ったとしても嘘ではないから問題ないだろうとも考えていた。


「嘘は言っちゃあいないようだが、まだ知り合ったばかりだ中々腹を割ってって訳にはいかんか」

とガインも追及の手をあっさり緩めてくれたがおそらく()()と言う事だろう。


今後観察しながら俺の能力を見定めるつもりらしいがこっちは”目指せのんびり老後”がかかってるんだ、そんな場面に出くわさない事を願うよ。



「ギルド長!個人のステータスや能力の源を探る様なことはマナー違反ですよ!」

とニーナさんが援護射撃、さすが優しさと気の使いようは溢れる品格に現れてるよな。


しかし、そうかやはり能力に関してマナーがあるんだな。

それは都合がいいし少し安心だ。



「わかってるよ、ちょっと気になっただけだ、まあトーヤが自分でこれからも色々披露してくれるのを待つさ」

いや、披露しねえし!


「ニーナ、もう申請手続き受け付けたんだろ(鑑定済んでんだろ)」


「はい、ギルド長、トーヤさんの申請は受け付けました

           (はい、鑑定済みで犯罪歴はありませんよ)」



( )内の会話が聞こえそうな上司と部下のやり取りだったが知矢はそ知らぬ振りをして聞いていた。



「なら問題ねえな、さっきの騒ぎの発端、身体LV2だったか、あの剣技を見せられたら問題にもなんねえな、すぐにぐんぐんLVアップして俺なんか追い抜かれちまうさ、じゃあこんあとこで暑苦しいおやじと話してても詰まんねえだろうからっ早速下でニーナにギルド証貰っちまいな。」



と、これ以上探れないと見たギルド長は諦めて知矢にギルド所属の許可を与えることにした。



「ありがとうございますギルド長、今後ともよろしくお願いいたします。」と席を立ち礼をして退室しようとした所



「そうだトーヤ、今、住まいはどうしてんだ?」と唐突に聴いてきた、居場所を把握しておきたいのかもしれない。



「今は、”木こりの宿とご飯”に泊まってますよ、今後ずーっとそこに泊まるかは決めてませんから明日はまた別の宿かもしれませんが」



知矢も(「教えねえよ」)と言外に伝えた。



チィッ!っと音が出そうな顔つきで食えねえ奴だなとその後は素直に送り出してくれた。



ニーナに先導され階下へ向かいながら


「”木こりの宿とご飯”にお泊りなんですね、あそこは美味しい食事と気風の良いおかみさんで評判なんですよ、私も時に夕食ついでに飲みに行ったりしてます、今度一緒に飲みましょうね」とニーナは先ほどのギルド長と知矢の会話の真意に気づく様子も感じられなかった。



「ええ、本当に美味しいですよね、ご主人は巨体で無愛想そうに見えますが、優しいし機敏に動く働き者の夫婦でしたね」と何気なく返す。



「ご主人は本当、寡黙な方ですけど料理はほとんどあのご主人の手で作られているんですよ、昔は看板の通り”木こり”だったそうですが事故で腰を痛めて木こりの様な重労働は出来なくなって奥さんのやっていた宿に食堂を増やして今に至るそうです」

と宿の情報もさりげなく教えてくれた。



1階に戻り再びニーナさんのカウンターへと促され


「只今ギルド証を発行してきますので少々お待ちくださいね」


と、1人待たされたので暇つぶしに周囲を観察しようとしたが、知矢が周囲に視線を送るとそれまでざわつきながら会話をしていた周囲の冒険者たちが目をそらし声を潜めてそ知らぬふりをしていた。


カウンターとは反対の側は椅子やテーブルがいくつも配置され、さらに奥は居酒屋の様な飲み屋と食堂を兼用したようになっていたため、昼前だが幾人かがおもいおもいにテーブルを囲み飲み食いをしていたが、そんな彼らも知矢の視線を受けると下を向いてしまった。


まあ、おそらく先ほどの訓練場での結末を見たり聞いたりしたことで”若い新人”が””只の新人では無く”下手にちょっかいを出して”ギャポーズ”の様に赤っ恥を欠かされたり、とっちめられて立場を無くすことを恐れている様子であった。


チョットやりすぎたかな?と知矢は思ったが最初あの受付の変な女と冒険者が絡んできたときは異世界物の定番イベント!!と、少しわくわくしてしまったのは事実だし楽しいイベントだったと後悔はしていない。

逆にここで様子見をしている冒険者やギャポーズの様なうだつの上がらなそうな者以外の本当の強者に出くわさなくてよかったと思う。




そうこうしている間にニーナさんが戻ってきた。


「大変お待たせいたしました、こちらがトーヤさんの”ギルド会員証”です」

と、一枚の名刺を一回り大きくしたようなプレートを目の前に置いた。


「では、冒険者ギルドについて大まかに説明しますね」と話を始めた。


要は

F~Sまでギルドランクが有る 

ランクを上げるには貢献ポイントを貯める必要がある

常時依頼

通常依頼

指名依頼

強制依頼

が有り、自分のランクより1ランク上までの依頼を受けることができるが、依頼者によっては低いランク者を嫌がることもある。


Fランクはただの身分証だが、Eランクから発行されるギルド証は生体認証機能が備わり以下の機能がついてくる。



・ギルドによる身分確認保証

・複製防止

・依頼履歴、賞罰履歴の記録

・ギルドへの通貨の預け入れ・引き出し及び指定商店などでの支払い機能

・Cランク以上になると国境通過時入国審査の免除もしくは簡素化

・Aランク以上だと各国での税の免除及び各種優遇処置


等が有るらしい、で俺のFランクカードはこの都市での出入り時の身分証位の役割しかない。


さらにFランクは、7日に一度は必ずギルドへ出頭し、何らかの依頼を受けなければ即その資格が消滅する。(病気等の理由があればその限りではない)


Eランクからは3年以内に何らかの依頼を受け続ければ自動更新される。

Fランクは会費無料、Eランクから年間会費が徴収されるが、ほとんどは依頼料から差し引かれるので通常わざわざ会費を払いに来る者はいない。


後は冊子を渡され「きちんと読んでくださいね」と爽やかな笑顔で言われた。


「ではこれにて説明は終わりですが、何かご質問はありますか?」


「いえ、十分理解できたと思います。これからよろしくお願いしますね、ニーナ主任」


と、手を差し出すと一瞬「えっ」と驚いた顔をしたが、すぐににこやかに笑みをたたえながら握手を交わし


「はい!頑張ってくださいね、トーヤさんは強い力をお持ちの様ですが、冒険者としては最初は無理をなさらず、お気を付けてください。

私は殆どここにいますので、何でもいつでも聞きに来てくださいね。」


御活躍を期待しております。

と、最後に付け加えられ、名残惜しいがニーナさんの手を離し俺はギルドを後にしたのだった。


閲覧者200人突破ありがとうございます。

まだ大きな騒ぎもイベントも、探検なども何もありませんが基本的にのんびり老後の為にゆるゆる行きますのでよろしくお願いします。


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