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第56話 騎士団と伯爵  ~「おい!!」 従卒(ビクッ!) 「お茶だ!」

少々遅くなりましたが投稿いたします

よろしくお願いします。


では第56話です







そろそろいい加減紅茶の飲み過ぎで知矢がもよおしてきそうな程の時間が過ぎていた。


知矢とニーナは最初こそは最近の出来事を語り合ったりしていたが段々と取り留めのない話になり今は互いに口を閉ざしニーナは部屋に飾られている剣や防具を美術品の観点から眺めていたりしていた。


知矢は既にソファーでうつらうつら船を漕ぐしまつだ。



さらに時間が過ぎて知矢はとっくに熟睡しニーナは仕事の事を気にしだした頃である。



「あ〜あ、よく寝た」と大きな伸びをしながら知矢が目を覚ましてニーナを見ると困った子ねと苦笑いながら微笑ましく知矢を見ていた。



「ニーナさんごめんなさい、寝てしまってふぁわ〜」とあくびをする始末だ。


「いいえ、仕方ありませんよこれだけまたされると。でもあとどれくらいなのでしょうね?」


と答えながらニーナは側で控える従卒の子へ視線を向けた。


だが従卒の男の子は困った顔をするばかりで答えられる立場に無いのは理解していた。


「ニーナさん、そろそろの様ですよ。」

「えっ?」

「ずーっと慌ただしい気配がこの館を走り回っていましたが、先程から奥の部屋に集まっていた気配がこちらに向かっている様ですから」


と事もなく答える。


それを耳にした従卒の子は

「えっ?」と廊下の方を見たが何も聞こえて来ないと思っていた。



知矢には常時展開しているレーダーがある。



気配感知魔法の応用だがほぼ24時間気配感知魔法を使い続けられる様になってからはレーダー表示もそれこそ寝ていても目の前に表示されていた。



勿論他者には気づかれず、己のみにしか見えないのだが。



そのレーダーにある部屋で固まっていた緑色の集団がこぞってこちらへ移動をしてきた。



少しすると廊下の外で人の気配がすると

コンコンとノックと共に重厚な扉が内側に開かれた。



1番に入ってきたのは第1騎士団長モンドール。


つかさず従卒の子は背筋を改め敬礼する。



それに視線を送り頷くと自らも扉の脇により次に入ってくる者達を迎えるのであった。



「いや〜あ、大変お待たせいたしました〜」



のんびり間延びした口調で入ってきたのは50歳前後の細身で色白、身長も知矢程もない位の男だった。




その顔は知矢に言わせればホームベースの様でもあり2つの目は開いているのか解らない程細く笑っている様にしか見えない。


髪は肩口でそろえられた金髪。非常に上品に見える。

黒い縁の方眼鏡をかけ鼻の下と顎には立派なひげを蓄えているのも特徴だ。



しかし騎士団の制服に身を包み胸には小さいが金色に光る階級章、金色の下地に付く星の数は3。

3つの青い宝石が小さく輝いていた。


その証から間違いなく騎士団最高位、上級騎士団長である。




その人物が部屋へ入り付いてきた他の団員は外に控え何者も近づけぬ様みえる。


上級騎士団長を見たニーナは即座に立ち上がると深く頭を下げ礼を表すのだがその隣にいた知矢は何気にすることなくソファーへ深く腰掛けたままである。



「トーヤ様、上級騎士団長のオフトレーヤ閣下ですよ!」と小声で促すが


「いやいや、お気になさらず、どうかお掛けください」


とにこやかに着座を勧めると自らも向かい側のソファーへ腰を据えた。



第1騎士団長のモンドールも隣に座り側で敬礼したままの従卒へ「おい、閣下にお茶を、それと彼らにも暖かい物に入れ変えろ」と命じたが



「いや、もう何十杯も頂きましたからね、それより早く帰して欲しいですね」


と知矢が言い放つと隣のニーナが驚いてあ然としてしまった。



モンドール団長は少しだけ驚いた顔をしたがすぐ隣のオフトレーヤが引取り


「いやあ、本当に長い事お待たせして申し訳ありません。


事か事ですし、しかもトーヤさんでしたね、貴方への度々ご迷惑おかけした事への対処に苦慮しましてね〜」



と変わらず笑みを浮かべながらその細い目で知矢をみていた。




「改めまして、私がアンコール伯爵よりこの騎士団を任されております、ケビン・オフトレーヤと申します。



前回とそしてこの度、二度も続けて部下があなた方へ大変なご迷惑をお掛けしました事をここにお詫び致します。」



と目の前のテーブルに頭を擦り付ける程深く下げ詫びを口にした。



隣にいたモンドールも併せて頭を下げるのである。



知矢は詫びて頭を下げる二人、いやオフトレーヤを見つめながら無言でいる。



先程オフトレーヤが部屋へ入ってきた時に鑑定魔法を使っていたのだがその結果からこの男のにこやかな顔には騙されない方が良いなと思っていた。




無言を貫く知矢にオロオロするニーナ。



無言の知矢をしたから覗き込むように様子を伺うオフトレーヤ。



モンドー団長もどう口を出したものかと頭を少しづつ上げながら様子を伺う。




しばらく緊張した空気がその場を支配するがついに知矢の口が開かれた。



「で?」



一般的に言えば大変失礼な物言いであるが知矢はそれ以上言葉を発しない。



当然ニーナもモンドール団長も驚いて知矢をみる。



しかしオフトレーヤは特に驚く様子も見せず


「はい、そうですねではお忙しいでしょうから話を進めさせて頂きますね〜」


と変わらない調子で応える。



「先ず、先に起きた出来事、事件から話しますね〜」



間延びしながらのんびり語りだすオフトレーヤだ。



知矢の店、魔道具商店への言われなき疑いによる捜索へ対する詫びは現在も行われている騎士団兵士による治安維持活動実施の無料継続。



ただし出来れば店が落ち着くまでとかあと2ヶ月程で勘弁願いたい。



きっかけとなった第3副騎士団長の第2商業ギルドとの癒着は法に乗っ取り厳正に処分する。



これに、鑑み騎士団より損害保証名目で大金貨3枚を支払う。



そして本日発生した第1騎士団長による民間人への殺人未遂事件は既に騎士団長の職を解任し見柄は管理貴族家預かりとなっているので沙汰はそちらから出る。



騎士団長のしでかした事への賠償として青金貨1枚を支払う。



勿論ザザン商会に関しては今も捜査、捜索、尋問を実施中なのでそれらは罪が確定しだい厳正に処分する。





以上の内容をのんびりとした口調で報告する上級騎士団長であった。






「いやあ〜あのマリエッタ、あの子はね幼い頃からよく知ってますが本当は気の良い正義感に溢れた娘なのですよ〜



ですが些か短慮な時がありましてねこのモンドールも副騎士団長として側で指導を重ねていたのですが残念です。」




「正義感と言う言葉で何の証拠も無い無実の者に剣を向け剰え一つ間違えば殺されていた、今回はたまたま未熟なせいか剣先が甘く逸れていたからこうして座ってますがね。



貴族の姫とはこんな無法な者なのですね。」



と詫びと保証を提示されても眉1つ動かさず逆に嫌味を返す知矢へニーナが



「トーヤ様、お怒りはご最もですが少しお言葉が過ぎると存じます。

ここはオフトレーヤ閣下の顔をたててお詫びと保証をお受けになるべきかと存じます。」



とオフトレーヤへ助け舟を出すのだった。



「いや~あ、手厳しい。


日頃から高貴さは義務を強制する、剣は民を守ると教えられて育ったはずなんですがねえ~」



と薄ら笑いをかえない。




知矢としては特に保証は求める気は無いし詫びてさえくれて罪は罪として厳正に処分してくれるのみで十分だった。



しかしこの目の前の薄ら笑いを顔にした様な男の話を聞いている内にイライラし始めつい嫌味を口にしたのだ。



知矢がイライラした理由、それはオフトレーヤのステータスであった。

それは・・・





「俺はさっきっから言っているが、もう早く帰りたいんだが、この茶番劇はいつまで続くんだ

アンコール伯爵様よ!」




ニーナは「えっ?伯爵?」という顔をして知矢を見る。




方やモンドールは驚愕を浮かべて口をあんぐりと開けてしまった。




そしてオフトレーヤ上級騎士団長は


「・・・・・」


下を向き黙っているが






「・・・・ハッハッハッ、そうか、そう来たか!流石期待のA級冒険者だトーヤ君!」



先ほどまでの間延びした声音と異なり少し低い声だがしっかりとした自信に満ち溢れる口調へと変貌を遂げた。



「ひょっとするととは思ったが君は相当高位の鑑定魔法の使い手なのだな。



そうだ、私は当商業中核都市ラグーンを預かる管理貴族を拝命しているアンコール伯爵だ。

騙すような真似をして済まなかったな。」



ハッハッハッーと悪びれもせず大笑いをする伯爵へ知矢は嫌そうな顔をするのだった。




以前からオフトレーヤ上級騎士団長を見知っていたニーナは唖然とした顔で何が何やらとおろおろしていた。




「いや、すまないねギルドのお嬢さん、そいてトーヤ君。



私は貴族として政務につく傍ら昔から騎士団と共に現場に出たがるたちでな、おかげで色々な物を見聞き出来大変助かっているよ。まあ、部下たちには迷惑な話だと思うがな」



とモンドール団長の方を見るが



「いえ閣下の行動力とご英断にはいつも助けられております」

と汗をかきながら答えるのが精いっぱいの様子だった。




「直答をお許しください閣下」


ニーナが問う。



「構わんよお嬢さん、貴方にも聞く権利はある。」


と鷹揚に答える。




「では失礼して。


私は以前より閣下のお姿は遠目にて拝見したことが何度もございますが・・今のお姿とは」



「はっはっはっ当然の疑問であるな。その答えはトーヤ君もすでに見抜いているのだろう。」


知矢を試す様にそうだ?という顔をするアンコール伯爵。



知矢はハッアっとため息をつくと



「ニーナさん、この伯爵さまはですね変わった特力の持ち主なんですよ。」



と言いながらちらりと伯爵の方を見ると自信気な顔で頷く。




面倒な奴だと思いながらもニーナの為に説明する。



「つまり、変化魔法を使えるんですよこの伯爵さまは。ただし何人もは無理みたいですけどね、ですね()()()()




最後までめんどくさそうに解説をするのであった。




うむ、と満足げに頷いたアンコール伯爵



「そうだ、まさにその通りでな、ただしお嬢さん、この事はここだけの話じゃぞ。お嬢さんにも多大な迷惑をかけたので特別じゃ」とニコニコしながら自慢そうに語った。




思わぬ秘密を打ち明けられたニーナは「はっ、ハイけっして他へは漏らしません。閣下!」と聞いてはいけない事を知ってしまったと少し後悔をしていた。




「さて、この後の話はわしが伯爵に戻って話をさせてもらおうか。」



と言いながら席を立ち「モンドール後は頼むぞ」


と言いながら部屋を出て行くのであった。



「はい、閣下」と敬礼をしアンコール伯爵の退出を見送る。



廊下で控えていた騎士たちもそれに続いたようで外に人の気配はなくなった。




改めてソファーに座り直し知矢を見たモンドール団長は



「色々と何というか重ね重ね申し訳ありません。」と改めて詫びる。



「団長のせいじゃありませんよ。あのじゃじゃ馬姫の父親らしいって事ですね」



と知矢が言うのを肯定も出来ず苦笑いをするにとどめた。



「で、伯爵に戻ってって言って姿を消しましたけど?」




「トーヤ様、申し訳ありませんがこちらで馬車を用意いたしました。恐縮ですがお1人で伯爵さまのお屋敷までご足労願いたいのですが」




真に恐縮そうな顔をして知矢へ新たな願いを言うモンドールであるが知矢は「断る!」と言いたいところを横からニーナがダメですよ断っては、という視線で訴えるのだから困ってしまった。




「はぁ~」と本日何度目なのかわからい深いため息を発したのであった。








先ほどお蕎麦屋さんで

私はおろしそばを戴きましたが

連れは鴨葱そばを食べていました。


そっちにすれば良かったかな~


きりがありませんがね(笑)

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[一言] 細目で笑顔の張り付いた人物はまず間違いなく曲者!
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