表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/257

第54話 この正義の剣を受けてみろ!   ~はぁぁ・・・(二度目)

今朝は5時に起きて爽やかな朝の風を見に受けひとっ走り

と思いましたが明け方前からじとっとする湿気ともやっとする暑さでしたね。

4時間ほどバイクで走りましたが暑さでへとへとでした。


その後エアコンの中で涼みながら執筆させて頂きました

では第54話

どうぞご覧ください。






「貴様か!無辜むこの民を襲撃し金品を奪う狼藉者は!!」



マリエッタと名乗る騎士は知矢に細身の剣を突きつけその狙いは今にものど元を切り裂く剣幕で迫りくる。


長い金髪の髪をなびかせ急接近するマリエッタの剣先は喉元を切り裂きそうな寸前その狙いをわざと外し肩口への一撃へと変えた。



マリエッタの剣技は騎士団でも群を抜く正確無比な剣として祟られる程である。だが喉元から肩口へと狙いを変え、切り裂かずともその衝撃と痛みで相手を制圧する程度にとどめたつもりのはずが、手ごたえが無い事に気づき標的を見るとその男は体一つ分右におりマリエッタの剣は空を切る。



「・・な、何!貴様今何をした!」


狼藉物を一撃で無力化し瞬時に制圧できた気でいたマリエッタは涼しい顔をする知矢に叫びながら横薙ぎを振るった。



だが又してもマリエッタの剣先はその涼しい顔の前を大きく離れて通過しバランスを崩した勢いで回転しながら尻餅をついてしまうのだった。



地面に倒れたマリエッタは何が起こったのかわからず呆然と己の剣先を見ていた。



「おいおい騎士のお嬢ちゃんよ、無抵抗な無辜の市民にいきなり剣を振るうとは、まるで強盗犯の様だぞ。その豪奢な鎧とマントが泣くぜ」


とマリエッタを見下ろしながら言い放つ知矢。



「貴様!言うに事欠いて私を強盗呼ばわりだと!

この第一騎士団長のマリエッタ・アンコールを侮辱するのか貴様!」



知矢のセリフに我に帰ったマリエッタは立ち上がると再び剣を向け怒りに満ちた鋭い目と剣を向ける。



そこへ 「お待ちください!団長」


周囲で様子を見ていた騎士の1人が知矢とマリエッタの間へ身を入れマリエッタへ両手を向け制止する。




「邪魔をするな副団長!この狼藉物を斬るのだ!」

未だ興奮の冷めないマリエッタに



「お待ちください、マリエッタ団長!


突然冒険者へ斬りかかる等、先ずは両者の話を聞き証拠を吟味し、罪アラバその時は詰め所で詮議するのが決まり、一体何をなさっているのですか!」



興奮し激発する騎士団長から自身の身を挺し知矢を守る姿は、公明正大・清廉潔白を旨とする帝国騎士団の姿そのものであった。



「ムッ、・・・しかしそこのザザン商会のザザンよりの訴えがあったであろう。

しかも奴は命の危険にさらられ金貨の袋まで奪われたと申しているではないか、そこの者が持つ皮袋がまさにそれであろう!」


マリエッタはマベラス司教が懸命に守ろうとし胸元に抱え込んだ皮袋を指さし副団長へ反論する。



「団長!ですから見たままの状況だけで判断して短慮に動いてはいけないとお父上からも常々」

子供を諭す様に話す50絡みの副団長だが



「おい!やめんか、父の事を出すな!今ここに居る責任者は私だぞ!」


慌てて周囲の目を気にしながら小声で副団長の言葉を止めようとするが



「いいえ、止めません。そもそも私が閣下から命令されたのはマリエッタ様の指導です、その役目は団長であるマリエッタ様の命令より優先されます。


ここは先ず剣をお引きになり双方の話を冷静に聴取する事からやり直してください。」



と上官であるはずの騎士団長を指導した副団長は知矢達の方へと振り返り


「皆の者、すまなかった。悪気はなかったのだが少々正義感の強いお方で」


と詫びる副団長、知矢は(苦労人だな)と考えながらも


「少々の正義感で危うく一介の、それも無辜の市民を殺そうとする行い。これは騎士団本部いや司法貴族様へ訴え出るべき大問題だと思うのですがね」


と副団長の後ろに見えるマリエッタに向けて問う。



知矢のセリフに再び顔を真っ赤にして激発するマリエッタ


「貴様!盗人の分際で正義の剣、騎士団を侮辱するとは!やはりこの場で斬り裁いてやる!!」



興奮したマリエッタを抑える副団長そして「こらお前たち見てないで団長を抑えろ、手を貸せ!」



周囲にいた他の騎士団たちは副団長の命で慌てて団長であるマリエッタを数人がかりで羽交い絞めにしながら引きずり連れて行った。




「君、冒険者の君の怒りは解るが、頼むから少し抑えてほしい」

と恨めしそうに知矢を見る副団長。



その言葉にまるで子供の様にぷいっと頬を膨らませ横を向く知矢。

どっちもどっちだなと副団長は頭を抱えた。



その時である。


「申し訳ありませんが宜しいでしょうか」

怒って横を向く知矢の背後からニーナが恐るおそる顔を出す。


「うん?おお、君は冒険者ギルドのたしか・・」


「はい冒険者ギルド、サービスマネージャーのニーナ・スコワールドでございます。ご無沙汰いたしております。」


見知った顔だったのかニーナが副団長へ軽く頭を下げた。



「おお、そうだスコワールド嬢だったな、しばらくだ。しかしなぜ君がここへ?君も騒ぎに巻き込まれたのかな」


と突然姿を現したニーナに心配げに聞いた。


「いえ、実は・・・」


とニーナは今日、知矢を教会へ案内し子供たちへ仕事を依頼した経緯と教会を出て別れ際に知矢が多額の金貨を袋ごと寄付したところに、先ほどのザザン達が現れ司教を恫喝しそれを助けに入った知矢の行動の全てを説明したのだった。




「何と!それでは全く訴えと逆の話ではありませんか、その話に嘘偽りはございませんねスコワールド嬢!」と念を押す副団長の男。


「ハイ!当ギルド長であり司法貴族のガイン様へ誓っても!」


と牽制を込めガインの名を出すニーナ。

どこかの団長様と違い冷静で聡明だなと知矢は感心して見守っている。



「うむ~」と考えながら唸り声を出し周囲を見渡す副団長。


部下の騎士団に未だ羽交い絞めされたまま「こら!!お前たち私は団長だぞ!」と騒いでいるマリエッタ、そして手下を集めてコソコソ話をするザザン。


その様子を確認すると副団長は手の空いている団員を3人呼び寄せ小声で何かを指示した。


三人のうち2人は周囲の商店や出店などへ向かいもう1人は走ってどこかへ行ったのであった。




部下を見送った副団長は今度は知矢達の後ろで教会の玄関を背にして恐々としているマベラス司教へとゆっくり向き合った。



「恐れ入ります、マベラス司教猊下とお見受けいたします」と司教へ頭を軽く下げた。


「猊下は不要ですよ、モンドール団長、いえ今の話を聞くと新団長のお守り役と言ったとこでしょうか」と少し落ち着きを取り戻した様子で答える。



「無様、痴態をお見せいたして申し訳ございません。

どうもまだまだ幼い様で私の力不足も痛感しておりますが」と司教へ詫びるのであった。


「それで先ほどスコワールド嬢よりのお話しですが・・」


「はい、全て1つも違わず先ほど聞かせて頂いた通りでございます。確かにあのような者と知らずお金を借りてしまった私が一番の罪人つみびと、母神デミレサス様へ詫びを致せねばなりませんねえ」

と全ての騒ぎの原因は自分だと責めるのであった。



「いえ司教様、これは我々騎士団の責任でもございます。


悪い噂の絶えなかったあのような者を堂々とこの都市を歩かせていた罪でございます。ですが司教様を恫喝し孤児の子供たちを売りさばこうなどと、その様な輩は今日を境に一掃したく存じます。」



と話している間に先ほど走って行った部下の騎士が増援と思われる騎士や兵を連れ走って戻ってきた。



するとそれ以外に指示した2人の騎士もモンドールの元へ駆け戻り耳元で何かを囁いていった。


「よし分かった、お前たち配置につけ」と小声で指示すると2人の騎士は「ハッ!」と短く答え敬礼すると他の仲間の元へ走るのであった。




再び知矢とニーナの方へ顔を向けたモンドール副団長は


「団長の短慮による不始末、大変申し訳ございませんでした。


状況を見、司教陛下、スコワールド嬢の証言と併せ先ほど周囲の市民へも証言を得る事が出来ました。


よって冒険者殿、あなたの行動が正義と考えます。


これより悪しき者の捕獲を行いますが大変申し訳ありません、お手数とは申しますがこの後調書も含めましてもう少しお時間を戴ければ幸いです。」


と知矢へ対し深く腰を折り頭を下げるのであった。



未だ部下に羽交い絞めのマリエッタはその副団長の姿を見


「モンドールお前!誰に頭を下げている!!


誇り高き騎士団がそんな冒険者まがいの悪党に頭を下げるなど!!貴様は狂ったか!!」



と喚き散らし今にも部下の拘束を解き暴れ出しそうな気配を見せるが




「黙れ!!!!!この馬鹿者!!!」




と辺りに雷でも落ちた様な罵声を浴びせるモンドールにマリエッタは「ヒャッヒイ!」と一瞬ですくみ上り大人しくなってしまった。



「もう我慢ならん!マリエッタ様の騎士団ごっこは終わりです!


もう一体何度目だとお思いですか!あなたが街を巡視するたびに起こす騒ぎもうたくさんです、これ以上はこの街のいや帝国騎士団の恥にしかなりません。


管理貴族アンコール伯爵様の命は頂いてあります。


マリエッタ様、貴女の騎士としての任をこの場で解きます。

この後は即お屋敷で謹慎いただき後にお父上、アンコール伯爵様の沙汰を受けてください。



おい!お前たち、姫を屋敷へ丁重にお送りしお部屋まで連れ添え、その後何かあってもいかんお部屋の警備をしろ!厳重にな!」


とその場で緊急の沙汰を出しマリエッタを事実上拘束し屋敷へ軟禁する様だ。



余程今日まで数々のうっ憤が溜まっていたのか命令された騎士達はすぐにマリエッタの剣を取り上げ両手を抱え数人かかりで連れて行った。


その先ですぐ通りかかった馬魔車を止め訳を話し、未だ騒ぎ立てるマリエッタを押し込むと去って行った。



「さて、次だ!」とマリエッタの去って行った方から視線を戻したモンドール副団長、いや既に団長に戻った事に成るのだろうモンドール団長はザザン達の方を睨みながら


「お前たちにはじっくり話を聞かなくてはな!全員拘束しろ!詰め所で尋問する引っ立てろ」



と再び騎士たちへ命を発すると周囲を取り巻いていた騎士が一斉にザザン達を取り囲み拘束していく。


「そんな騎士様!我々はただの無辜の商人です」とザザンは今もって虚言を吐くがそんな言葉に耳を貸す者がいるわけもなく(マリエッタはすぐに信じたが)問答無用で引っ立てられるのであった。




そんなまるでドタバタ劇のような光景を呆然と見ていた知矢はザザン達が喚きながらも引きずられていく様子を見て再び嘆息するのであった。


(何か聞いた名だと思ったら貴族の姫かよ。なんだかなあ・・・・・)と思いながら。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ