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第45話 冷たい目の男  ~なんと今ならこの価格!そこの奥様おひとついかが!

本日位は早めの投稿になりました。


今日中にもう一話とも思いましたがそちらは少し難しいようです。


では第45話どうぞ



「おはよーございます」

「いらっしゃいませ」

「お試しの方はこちらに並んで下さい!」

「購入はお一人様1日一度のみ購入出来る数の制限もありますよ!」

アンドウ、ゼンゾウ、シンゾウ、ガンゾウ達の元気な声が響き渡る。



片や


「おい!そこ、横から入るな!お前は最後尾へ行け!」


「ここからは一般通行人の通り道だロープからはみ出すな」


「ここから先の通りは歩行者のみとする。

馬魔車は右へ迂回するよう!」


元気と言うよりキリットした命令口調が飛び交う。




今朝も魔道具商店は朝から大勢の客が押し寄せていた。


その数は読みどおり日毎に倍増する勢いである。


店の使用人達による客の整理が追いつかなくなって都市の人々の通行さえ妨げる事態になり始めていた。


リラレットとサンドスが協議し臨時雇で交通整理人を頼もうかと考えていたところ思わぬ助っ人が現れたのである。



先日帝国に対する叛意の疑いで騎士の捜索を受けそうになった。


これは元々全くのデマではあるが乗せられた騎士ひいては主である管理貴族の顔を潰す大失態でもある。



当時指揮官であった騎士は事態を鑑み捜索を命じた副騎士団長を越え主である伯爵へ事態の報告を行った。


報告を受けた伯爵は直ぐに事態の究明を行い結果、副騎士団長による安易な命令からだと判明した。



しかし、余りにも安易な対応と騎士団長等へ一切報告が成されなかった事に疑問が生じ副騎士団長を厳しく尋問した結果、

第2商業ギルド長との繋がり、癒着が判明した。



清廉潔白を旨とする帝国騎士団としてそして貴族の配下として重大な規律違反でありしかも犯罪行為への加担の疑惑まで生じ大騒ぎとなった。



事態を重く見た伯爵は自ら陣頭に立ち究明と綱紀粛正へと乗り出した。



すぐ様第2商業ギルドへ司直の手を差し向けたが敵もさるもの、どうやったのか司直の動きを察知し姿を消した後であった。


建物の中に残されていたのは何も知らない受付けや事務職員のみであり、


肝心のギルド長とその取り巻きたちは金品、金目の物を全て持ち去り何処かへ姿をくらましたと残された職員達は揃って困惑するばかりであった。



直ぐに全ての(ゲート)を封鎖、出入りを厳しく確認するもその軌跡を掴むことはできなかった。



管理貴族側は直ぐに他の都市へと伝令を走らせ指名手配を行い現在都市の内外を広く捜索中である。



そんな騒ぎの中、騎士団長自らが都市管理貴族の名代として魔道具商店を訪れ先日の騒ぎを再び詫び、現在の捜索状況を説明、全てが収束した暁には伯爵と正式な面会の席を用意し伯爵自らが詫びを伝える旨が伝えられた。



さらには通りの人々の様子を見るに交通整理、客捌きの手伝いを無償で申し出、兵士による人の整理が行われる事となったのである。




「いやあ、ただでこれだけの交通整理をして貰えるのは有り難い、お陰で警備の方へ集中出来ますよ

ただ少し厳重過ぎなきもしますがね」


と警備主任のサンドスは規律正しく行動し見事に人の流れを捌く兵士たちを観ながら苦笑いを浮かべる。



「ええ、でもお陰でこちらの仕事に集中出来ますからありがたいことです」

とリラレット。



「しかし第2ギルドの奴らが逃れたのは痛いですな。まだ警備の気も抜けませんや」



「大丈夫、トーヤ様の策に必ず引っ掛かる」

サーヤが奥から様子を観ながら呟く。


「まっご主人様の策は良いとして肝心のボンタさんは敵に喰らいつけているだろうか?もう3日も音沙汰が無いからな」


心配な様子をみせるサンドスだった。 



司直の手を逃れ何処かへ逃亡中の第2ギルドの一派。

騎士たちはまだその影さえ掴んでいない、しかしその以前からギルドへ忍び込み監視していたボンタ。


この数日繋もなければ姿も見せない。


「そこは問題ない、トーヤ様が太鼓判押してた。私達はただ餌を撒けば良い。」


サーヤはボソッと呟くように言うがボンタいや彼を信頼し任せた知矢の事を信じているから自らは与えられた仕事を確実にこなすと宣言し持っていた大きな紙をサンドスへ手渡すのであった。



「「ですな!(わ)」」リラレットとサンドスは同時に頷きサンドスは渡された紙を持って表へ出て行った。


その姿を見送ると

「さて私の出番ですわね」とリラレットも続く。




リラレットは大勢の客が列をなす店先へ進み出て使用人のティレットが用意したお立ち台の木箱へ登壇し周囲を見回した。



壇上へ登場した総支配人に周囲の客や通行人も気づき何事かとみまもる。



辺りの視線が静寂と共に自分へ向けられたのを確認したリラレットは精一杯の声をだす。



「お客様、そして、ご通行中の皆様へ申し上げます。


私は当魔導商店の総支配人、リラレットとと申します。


お忙しい中、またご来店の皆様へ日頃のご贔屓を賜りまして誠にありがとうございます。

この場をお借りして御礼申し上げます。」


と一度言葉を切り深く頭を下げるのであった。


と店先にいた他の使用人達も合わせるように頭を下げ人々へ感謝の礼を送る。



下げた頭を上げ再び周囲を見回したリラレットは続けて


「ここで皆様には残念なお知らせと新たに発売致します商品についてご案内がございます。」



「残念な知らせ?もう売り切れなのか?」


「新発売ってか一体何だ今度は?」


「まさか店じまいとか言わないよな」


「何言ってやがるたった今、新たに発売といっはたばかりじゃねえか」


「あっそうか」


周囲を取り囲む人々が口々に話すのを聞き流しさらに続ける。




「明日から3日間、新たな魔道具の発売準備、仕入れの為、誠に急ではございますが店を休業とさせて頂きます。


なお、新商品の発売は開けて4日後朝より行います、その際は現在販売中の品々も十分入荷致しますのでご安心頂きますようご案内いたします。


出来ましたらこの事をお知り合いの方々へもお伝え願いますれば幸いです。」



と言葉を切る。


すると直ぐに人々から


「おい支配人さん、その新発売の品はどんな物だい?教えてくれないか」


「おい、そうだそうだ物によっちゃあ考えなくちゃあな」


次々と新商品への質問がとぶ中、いよいよねとリラレットはいっそう声を響かせる様に話しだした。



「ハイ、ここでその商品を発表させて頂きます。」


一拍間を置き人々の注目を確認すると息を深く吸い込み




「新商品は!

   "マジック バック" です!」




リラレットの発表に人々は一瞬固まり辺りには急な静寂が訪れた。


その急激に押し留まれた静寂は人々の思考が停滞したせいである。


「????」



困惑したのもつかの間押し留まれた静寂が一気に開放され、まるで爆発した様な感情と発する声が一気に広がるのであった。



「マジックバックだと!」

「えっ??」

「今、なんて言った?」

「マジックバックってあのマジックバックだよな!」

「他にどのマジックバックが有るんじゃ!」

「本当にマジックバック売ってくれるなか!」

「いや確かに売ると言っても俺みたいな小商いじゃあ手に入れられる金額じゃあねえぞ」

「おい!大きさは」

「それに金額だ!」

「おうそれが問題だ!我々では青金貨なんて言われても困るぞ!」



客として並んでいたもの以外も通りを歩いていた人々もリラレットの発表に辺りは混乱と口々に質問する人々でパニックになっていた。



「静まれ!静まれ!!!」


周囲を警備整理していた兵士達もリラレットの発表に一時呆然としたが我に返り人々を鎮めるのであった。



人々の騒ぎが少し収まるのを待ち後ろに控えていたサンドスへ合図を送ると彼は丸めて抱えていた用紙を店先のかべへ高く張り出した。



「では商品について簡単にご紹介します。


あちらの掲示、1枚目をご覧下さい。」


すると人々は爆破的な喧騒を一気に鎮め張り出した用紙へと注目した。



「先ずは1番大きなマジックバック。


これは特大サイズと呼んでおります。


魔馬車の荷台約20台相当の容量になり、時間停止の機能はございません。


バック自体の大きさは一般的な行商の背負い嵩程度です。


こちらは数量限定でお値段は青金貨2枚となります」



人々は余の金額に声も出ない。



続きましてとリラレットの声にサンドスが2枚目の用紙を張り出す。



「今度は 大サイズ、こちらは魔馬車荷台15台分程、時間停止機能を備えた物です。


お値段は青金貨1枚と大金貨5枚になります」



依然一般市民には手の届かない金額に人々は諦め顔で静かに聞いていた。


一部豪商なのか立派な成の者が聞いた内容と財布を吟味する様に悩んでいる様子だ。




まだリラレットの話は続く。



「では3番目」声に合わせ3枚目の用紙が張られる。



「サイズは中になります。


容量は魔馬車5台分。時間停止機能はございません。


金額は大金貨3枚になります。」




何とか手に届くかも知れない金貨出て来たのか一部の人々が歓声をあげた。




「では次、4番目。


こちらはサイズは小になります。


容量は魔馬車1台分、時間停止機能を備えております。


お値段は……」


ここでひと呼吸置くリラレット。



「大金貨2枚!になります!」


すると多くの人が「おお!!」叫び声を上げ

「それなら何とか!」


「おう、我々でも届きそうだ、しかも時間停止機能付きだと!こりゃあ大商いも出来るぞ」


一般市民にはあまり必要がないが商いをする者にとってたかが馬魔車の荷台1つ分でも時間停止機能付きなら垂涎の品だ。


まだあちらこちらから大声で興奮しているのはそう言った商人達であろう。


リラレットの発表を聞き興味のある者たちは確認する為に掲示した用紙へと群がる。


発表が終わったかに見えたリラレットは未だ壇上にいる。


そしてまた声を発するのであった。




「はい、皆様。


実はまだございます」



リラレットの声に再び静まり返り注目する人々。

しかし「えっ?もう小サイズまで出たろ、あと何が?」


と少し困惑気味だがそんな空気を気にせずリラレットは話を進めた。




「実は当魔道具商店では一般の方々にも使えそうな容量、そして金額を検討し


マジックバック 極小(ミニ)をご用意致しました。


バックの大きさは買い物かご程度。


内容量は一般的な行商の背負い嵩3個程度です。


但し時間停止機能はございません。


そして、その金額は!」



またしてもひと呼吸置くリラレット



対する人々は固唾をのんで見守る。




「何と!小金貨1枚! です!!!」




「「「おおおおおおおお!!!!!!!」」」



値段を聞いた人々は興奮の坩堝である。


今まで個人で小さな商いをしていた者は自らの力だけだ背負い嵩1つに運べるだけの物を積み上げ必死の思いで運んでいた。


それでも理は僅か、下手をすると体を壊したりし理が無くなる様な商売だ。


それでもいつか魔馬車を手にして荷台に山の商品を積み上げる夢を見ながら皆必死に生きているのである。


荷魔馬車を手にした者はいつかもっと荷魔馬車を連ね、さらにその先の目標、自らの商会を構える目標へ向け頑張っているのである。


それが今までの何倍、何十倍の荷を運べるしかも重い荷台を引かせて魔馬に負担をかけず餌代も節約出来るのだとしたら、と未だ手にしていないマジックバックを入手したつもりになって夢を浮かべる者もいるのであった。



そんな大喧騒渦巻く店の前、誰もが興奮し夢見る中1人冷めた表情で店を見る者がいたことに周囲の誰もが気が付くことは無かった。


ただ1人を除いて。



店の2階からリラレットたちの様子を密かに眺めている物。


A級冒険者にてこの店の隠れた主、知矢である。


「おっと、あいつで間違いなさそうだ。」


知矢以外は見えないレーダースクリーンを眼前に置きその透明のスクリーン越しに黄色く点滅する表示と冷めた目つきで周囲河浮いている男を重ねた。


「十中八九奴らの手の者だ、リラレット、念押しを忘れるなよ」


と1人呟きながら使用人たちの様子を見守っていた。





「ハイ!皆さま新商品につきましては以上になります。


ですが、最初にお伝えしたことを忘れずにお知り合いの方やご友人へお伝えください。


もう一度お伝えします。当店は仕入れと新商品準備の為明日から3日間お休みさせて頂きます。

4日目に新商品を含みまして全ての販売を再開いたしますのでよろしくお願いいたします。以上です」


話を終えたリラレットは再び壇上から深く頭を下げそして降りて行った。



さあそこからは今度は人々が買い物どころの騒ぎではなくなっていた。


どのバックが良いか、容量、価格を考えながら周囲の仲間などと熱心に話し始める者や情報を誰かに伝えるのか慌てて走り去る者も大勢いた。


先の冷たい表情の男はリラレットの話が終わると人ごみの中に紛れるように去っていった。


知矢は追跡用の別画面を出しそちらは自動追尾を実行させ人心地つくのであった。







9月の連休を利用し今度は北へ向かい温泉ツーリングと思っておりましたが同行する仲間と話が中々合わずまだ宿が決まりません。


しかしGOTOにかこつけて宿を値上げし過ぎなのでは?



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