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第43話 闇に浮かぶ悪鬼か魔物か  ~こういうのが幸せって言うのかな!

2020年8月19日水曜日ですね

やはり数日前にここで書きましたが朝晩の空気が変わったと。

ですが今日は昼間の日照りも細やかながら真夏の強さを失いつつあるようです。

まだ予断を許しませんが少し我慢すれば気持ちの良い秋の風が・・・まだかな。


では今夜も第43話

ご覧ください。



その脂肪に満ち溢れた男は己がこの都市で貴族に継ぐ最大権力者であることを信じて疑わない。


故に己の発する欲望に満ち溢れた声音は神の降したもうた啓示、天啓であると言ってはばからない。



勿論そんな事を信じる者など誰もいない、特に一般市民は当然の事だ。


しかし信じてはいないが信じた振りをしているだけで日々の糧を得られ市民階級の如く朝から日が暮れる迄汗して働かなくとも金銭を得られる者にとっては振りをする事などどう言う事の無い。

ただそいつの言葉を否定せずに持ち上げていれば良いのだから。


だが一度足りその欲望に溢れる愚か者に否を突き付ける時怒りのベクトルは周囲の賛同者へと向けられる様だ。



「どう言う事だ!!何故このボンザンス様の言葉に従わず剰え逆らうのだ!

お前たち!そう思うであろう」


その脂肪と欲、権力志向に満ち溢れた者は周囲へと賛同を促す。


「へぇ、とんでもねえ奴らです! ボンザンス様のお言葉に従わないなど考えられませんや」


賛同している内は一時怒りのベクトルを向けられると解っていてもそれ以上に己も権力志向者よりお溢れで頂く甘い糧が有る内は頭を下げるものだ。




元々商業ギルドは都市における円滑な商行為の指導監督を帝国政府に代わり行い国の流通を維持する言わば守り手のはずであった。


だが数十年前この都市における商人同士のささやかな争いから商業ギルド内の派閥争いに発展した事が有った。


本来商人の集団であったはずの商業ギルドだが交易や都市間流通を行う過程で自前の防衛、警備を目的とし傭兵や冒険者を雇う事が当たり前になっていたがその戦力を一部の者が権力争いに闇で使った事から大きな争いへと発展した。


結局は帝国政府や管理貴族の介入直前互いの立場を失わないが為だけに表面上和解を示しだが己の利権は互いが譲らない為、表向き公平な運営を行うと言う名目でギルドを二つに割り互いに協力するという表向きの体制が出来上がったのであった。


どちらが発端でどちらが悪か、2つのギルドが出来て既に数十年、もう当時の事を実際に経験したものは無く組織だけが残っている状態である。



その一方の第2商業ギルドの会頭へ近年選ばれたのがボンザンスであった。


彼の父は元々第2ギルドの幹部であり自らも商会を率いる商人であった。


商売は順調で商会を息子であるボンザンスに任せギルドの幹部としての仕事にまい進できるようになっていたが父親の目が届かなくなってからのボンザンスは金と権力に強く固執する様になり父親が築いた商会とその財をいつ頃か己が築いたように錯覚し今度は地位に執着する様になっていた。


父親が年と共に病に伏すと本来選挙で選ばれるはずのギルド幹部の地位を金に飽かせ時に裏で暴力を使い手に入れてしまったのである。


その後益々増長したボンザンスはギルド幹部の地位を利用し不正な取引や強引な取引によりとうとうギルド長までのし上がったのであった。


最近は商売が広く大きく順調そうな店に目を付けてはその利権を暴力で奪い取る事も多々起こし明確な証拠を残させないがゆえに対する第1商業ギルドからの干渉も受け付けず、司直の手も届いていない状態だ。



だが、この第2商業ギルドを率いているボンザンスが配下を使い知矢の魔道具商店の秘密を手に入れようとしことごとく失敗し怒りに打ち震えてはいるがまだまだこれから幾らでも手はあると思っていた。


知矢への攻撃に失敗した者達は都市防衛騎士隊に囚われ尋問されようがボンザンスとの関係を匂わせようが己は神の使いなのだから関係ない。

最後に結果手に入れれば誰も文句を言わない等と狂信的な思考であった。



「とにかくお前たちは手を集めろ、そして奴らの店を出てきた客をことごとくひっ掴まえ買った物を奪うんだ。

客さえいなくなればあんな店泣きついてくるに決まってる。

それともっと強力な手を送り込んで店を探らせろ!取引先の名や場所を先に探り出すんだ」


と配下に息巻いている。


するとその一人が


「ボンザンス様、しかし奴らどこであんな物を手に入れてるんですかね、今まで誰も見聞きした奴もいない商品でしかも店先に山の様に標品を並べてるんですぜ。」


他の者も

「そうなんですよ、でもいくら店を張っていても荷物が運び込まれる様子がありゃあしませんどうしやすか。マジックバックったってあんな量はいるやつなんか商人が持ってるわきゃねえですし第一そんな大きけりゃ貴族でもなけりゃ手に入れるこたあ出来やせんですからね」


手下もどうすればいいのかわからない様子だった。

今までなら店の者を脅して聞き出したり忍び込んで帳簿や取引記録を盗ませればすぐにわかったのだったが今回はその手が全く効かずしかも荷を運び入れるそぶりも見えないのだから。


「馬鹿どもが、だから言ってるだろ!もっと能力のあるやつに忍び込ませたり、使用人が出てきたときにもっと大勢でふんずかまえりゃあ良いだろうが!

グダグダ言ってねえでとにかく人を集めて来い!裏町でくすぶってる奴ならいくらでもいるだろ!」


「ですがボンザンス様、裏町の奴らっちゃあほとんど南の大国からの奴らですぜ、そんな奴らを使うっていうのは・・・」


「馬鹿野郎が、だからこそ良いんじゃねえか。そいつらを良いように使ってなんかありゃあそいつらに罪をかぶせたって誰も文句言うやつ居ねえじゃねえか、よく考えろ!」


とっとと行きやがれ!と配下の者を唸り飛ばし部屋から追い出したのである。


「ったく仕えねえ奴らだ。・・・しかしあいつら本当にどこから仕入れてやがる・・・

裏町・・・南の・・・そうか!あいつらひょっとしたら!イヒヒヒヒ、こいつは美味いのに有りつけるかもしれんな、くっくっくっく」


独り合点をし何か思いついた様子でもうボンザンスの頭には魔道具の流通を手にしさらに富を増やした結果しか浮かんでこなかったのである。



その部屋の片隅で最初から今まで一人の男が誰にも気配を感じさせずに話を聞いていた事も知らずに。








ところ変わって”木こりの宿とご飯”。


夕闇が迫る薄暗さの中ひっそりと一つの影が宿の裏口へ迫る。


コンコンコン!

勝手口の木戸をたたき様子を窺がうと


「・・・あん?・・」

静かにあいた裏口から顔を見せた熊魔、いや宿の主でミンダの主人だった。

外にいるフードを被った者を見ると無言で中へ誘い入れた。


「ご主人、ありがとうございます。裏口から失礼しますが今夜もご馳走になりますね」


と裏の勝手口から厨房へ入れてもらいフードを脱いだ知矢は主に礼を言い頼んでいた個室へと向かった。


他の客に気づかれない様に気配を絶って個室へ滑り込んだ知矢の前には先に来ていたニーナがにこやかに笑顔を見せながら知矢を迎え入れた。


「トーヤ君、お先に席についていました、お疲れ様です。」


「こちらこそお待たせいたしました、お疲れ様ですニーナさん」


二人でにこやかに見つめ合いながら席に着くとすぐに


「ホイ!お待ち、先ずは飲んでてニャア」


とアルバイトに来ていたのかニャアラスがビールとワインそれに軽い摘みをすぐに持ってきてくれた。


「おお、ニャアラス、お疲れ。今日はこっちもか相変わらず働くな」


「うんニャ、もっともっと頑張って仕送りしニャア腹空かせてるやつがいるかもしれんニャア。


あっ、でもトーヤこの間の依頼助かったニャア」



先日船主としてニャアラスの手を借り緊急指名依頼を完遂した知矢はギルドから約束の報酬を受け取った物とは別に知矢からも特別報酬を払っていた。



船首としての腕も然ることながら得意の槍術にも助けられたお礼も兼ねてニャアラスが冒険者ギルドから受け取った報酬より多い額を送ったのである。



当初2重の報酬、そしてこんな多額の報酬は受け取れないと固辞されたがニャアラスがいたおかげなんだからと強引に受け取らせたのであった。


その代わり今後手助けが欲しい時は頼むと付け加え、それならばありがたく頂くとなった訳だ。



ニャアラスとしても少しでも多くの仕送りをしたいと思い兼業までしているのだ。

トーヤからの報酬は心の底からありがたく感謝していた。




「これから里にも寒い冬が来るニャア、その準備をさせるのにも金が要るところだったニャアから本当に助かった」



「もうそんなに言わなくても十分気持ちは受け取ったよ、また実入りのよさそうな仕事が在ったら声をかけるからこっちこそ頼んだぜ」


と互いに喜び合いながら互いに感謝しながらお互い長く付き合っていけそうな気がした。



「ニャアラス!いつまでくっちゃべってんだい、酒が温まっちまうよ、ホレこっちは前菜だ久しぶりにトーヤが来たんだ存分に食べていきな!」


と大皿を運んできたミンダは気を使ってニャアラスを即して退出していった。



「ニャアラスさんは本当に気持ちの良い方ですね」

とほほ笑むニーナ。

そして自らの報酬の半分以上をニャアラスへ渡している事を知っているニーナであった。



「さっ!今夜は久しぶりにトーヤさんおお話を聞きながら存分に飲みましょうね」


「ハイニーナさん」


「「かんぱーい!」」

カチンッとグラスを併せ飲みだす二人。


一口ワインを飲んだニーナは美味しそうにビールを喉へ流し込む知矢をみてまた幸せそうに微笑むのだった。






すっかり暗闇に静まり返った都市の中心部にたたずむ大きな屋敷。

ここは都市の行政刑事を担う管理貴族の屋敷である。


正面の門には警護の騎士が二人、盾を背に剣を正面に立て何物も通さぬ気概を魅せながら立っていた。


そこへ暗闇からぬっとあらわれる者。


「そこの!こんな時刻に何者だ!」と剣先を向け誰何する騎士。


「騎士様、夜分に大変申し訳ございません、私は商業ギルド会頭ボンザンスでございます。

こんな時刻とは存じますが緊急にご報告申し上げるべき事態が出来いたしましてまかり越しましてございます。

どうぞ副騎士団長のサーベランス様へお取次ぎを願います。ああ、もちろんもうご休息中とは存じておりますが都市のいえ帝国の危機につながる事態であると思われます。

どうかお願いいたします。イヒヒヒ」



闇夜の生える醜聞な笑み。

騎士の切先を向けられながらもその欲望には何も恐れる物が無いとでもいう顔は騎士でさえも夜に会いたくない奴だと言わしめたのは後日の事である。








先日バイクのオイル交換を終えたのですが今回は交換前後の差があまり感じられませんでしたね。

なぜだろう?

いつもなら交換後はもっと軽い吹け上りそしてアクセルも軽く感じるのですがね?

気のせいかな。

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