表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/257

第37話 本日開店 ~トーヤ!V69の話を聞かせてやろう!

数日更新が空きまして申し訳ございません。


予定より1日早く本日より執筆を再開いたしますのでよろしくお願いいたします。




「本日開店!

  こちらは魔道具屋商店です


お家で便利な魔道具を格安で販売しております。

どうぞ皆さんご覧になって下さい!」




知矢が旧商家を購入し居を定めてから一月、


いよいよ知矢が定着の魔法を編み出し使用人達に作らせた魔道具を売る店、魔道具屋商店をオープンさせた。



特に広告を出したり、噂を広げるなどしない方針の為、店を開けて店先にデモンストレーションの品を置いただけの静かな開店であった。



しかし元商家の奉公人であったアンドウ、ゼンゾウ、シンゾウ、ガンゾウ達が通る街の人々へ大声を上げ呼び込みを始める。



すると1人また1人と何の店だ?とからかい半分、通りすがりの者達が興味を示している。



店先にはデモンストレーションの品を説明担当でこれも元商家の奉公人であったワオン、ティレット、モネ、イーシャ、マレル達が丁寧に一品一品機能を説明し実際に動作を披露するのであった。



すると


「そんな馬鹿な!何かの細工だろう」



「魔道具がこんな手軽に買えるわけがない」



「おお!ワシが炎を出す事が出来る日がくるとは!」



目の前で自分が実際に道具を使用しても中々信じる事が出来ない者が続出し疑う者ばかりであった。



それもそのはず、長い魔法研究の成果やその特性は広く人々へ常識として浸透しており、

各自に備わる魔法特性のみが使える魔法として認知されているからだ。



人により魔法のLVや魔力量が異なるので使える魔法はそれぞれ異なるが自らの持つ魔法特性が異なる魔法は一生使えないのである。



しかし目の前に置いてある”魔道具”はそんな個人の特性や魔力量を一切無視し僅かにでも魔法を発動さえ出来れば良いのであるのだから信じられないのも当然だ。





今回店に出した魔道具は



・光の魔道具   天井や壁に取り付けたり、その場に置いておいても良いが魔道具から伸びた魔物の皮をよって作られた紐の先にある印の付いた板の中心に魔力を流すと光を放ち周囲を照らす。




・水の魔道具   石板でできており、壁に取り付けたりぶら下げて使用。水の出口を下に向けその上にある印に魔力を流すと水が出る。出る量は一定で酒樽一杯分を満たすのに数分の感覚。



・風の魔道具   長方形の縦型でただの木箱に見える。これも上部のしるしに魔力を流すと正面から風が出る。風の量は木の葉を前に置くと3mほど吹き飛ぶ量。



・火の魔道具   平らな石板に五徳状のでっぱりが付き鍋などを置ける。 石板にある印に魔力を流すと五徳状の中央から火が出る。火の強さを調整出来る高価な物と出来ない安めの物が有る。

冒険者用に木製の筒状で着火機能のみの物もある。




今回は以上4種類であるが機能やデザインで値段の幅を設けているのも特徴だ。



・光の魔道具  天井からシャンデリアの様に煌々と照らせる高級品   大金貨5枚

     

        棒状で先から光を放ち50m程先まで照らせる

        ライト(中)の魔法同等の光            中金貨1枚


        ライトの魔法程度の光               大銀貨5枚



・水の魔道具  風呂桶に水を数分で溜められる大口径の口を持つ物  中金貨1枚


        家庭や料理屋で流しで洗い物が出来る程度の細口   大銀貨5枚




・風の魔道具  首を左右に振る機能付き、風量調整付        中金貨2枚


        風が一定量一方向にでるのみ            小金貨1枚




・火の魔道具  五徳状の火口が2か所ついており火力調節も可能   大金貨2枚


        五徳は1か所、火力は一定             小金貨2枚


        携帯用の着火機                  大銀貨5枚





現在販売を開始したものは上記の種類のみである。



今後要望や需要により増やすかは様子を見てと知矢は考えているが水や火の魔道具は普及を考え庶民でもなんとか購入できるように値段を設定してあるがこの値段でもそうそう購入出来はしないかなとも思ってはいたがこれ以上の安売りは逆に必要以上の混乱の原因になると思い設定した。



そして知矢の最大の懸念はこれらの魔道具を人々の生活向上では無く争い、戦争の道具に応用されることである。



もっとも知矢の定着魔法が無ければ何もできないしこの魔法を解析し応用、利用する事はおそらく困難であろう。



しかし念のため炎を出す魔道具にはわざと石板を使用し壊れやすくしていた。


もちろん普通に使用して壊れた場合は破損品を持って来ればその場で交換する。



あくまで知矢が求め目指しているのは生活環境改善であるのだから火力を火炎放射器の様にすることなど知矢にとっては簡単ではあるがあくまでも料理につかえる程度の火力しか出せませんよ。として販売する。





デモンストレーションのおかげか興味を示す人の群れがどんどん増えて行った。


店先で説明する使用人も大わらわであるが今のところ混乱はない。



元冒険者組の警備員が目を光らせ人の整理を行い殺到し押し合う状況を作らせないようにしているためだがまだ開店直後、この後人から人へ口伝で噂が広がればどうなるか。



知矢は2階の部屋から窓板を細く開け眼下を見下ろし様子を見ていた。



もともと知矢に対する都市の人々の関心をそらす目的で開店させたのだから人々の注目を浴びるのは大歓迎だがそれによって新たなトラブルになるのは困る。



ただ、人々が群れて騒ぎになる事より別のトラブルを警戒し念のためいくつか手を打っては有る、その一つが冒険者ギルドの主任ニーナに依頼した件であるがそれが効力を発する事態はまだ先であろう。



そんな事を考えながら店先の様子を窺っていると



「ご主人様、冷却用の魔道具は何故売らないのですか?」

と背後に控えていた元貴族令嬢で転生者のサーヤが問うてくる。



サーヤは積極的に店先には出さず裏方に控え様子を注視したり使用人たちへアドバイスをしたり知矢がいるときは伝令や秘書的な立場で控えるようになった。



先の事件における人々の感情もあり当分は積極的に表に出さない様に総支配人のリラレットと話し合い決めたのだった。


冷却用の魔道具と風の魔道具を組み合わせて知矢の部屋には簡易エアコンとして魔道具が置かれている。


それ単体でも素晴らしい道具だが機能を合わせる事により実現したのだが販売は当面保留である。



「いやあ、実はいま都市に出回っている冷却の魔道具何だがな、あれを作成しているのは一人のさる魔導士とその家族らしいんだけどそれを専業で生活しているらしいから俺のを販売始めるとたぶん全く売れなくなって生活に困ると思ってね、少し様子見する事にしたんだ。」



既存の大商会などが相手なら知矢も気兼ねすることなく販売に踏み切ったが相手が個人のささやかな商売であるならそれをつぶすような真似はしたくない。そう考えた。



「あとサーヤ、二人だけの時はもっとざっくばらんでも構わんぞ、同じ郷土の者同士なんだし。」


とサーヤへ振り返り優しく話しかける知矢。サーヤは黙って知矢を見つめている。





先日の知矢の任務達成お祝いと使用人との初懇親会を兼ねた食事会で知矢はサーヤと皆の耳の届かないところで少し日本の話をした。


知矢が事故で亡くなった年とサーヤ前世である真木野 桃香が事故死した年は数年サーヤの方が早かったので実年齢差でいうと30歳離れており親子程差が有ったが懐かしい日本の話題で盛り上がった。


テレビ・芸人の話題は知矢自体がテレビを見る習慣が無かったので盛り上がらなかったがサーヤ、真木野桃香は密かにファンであったV69とか言う芸人のその後を気にしていたが残念なことに詳しく話せなかった。


唯一聞きかじっていた程度の話では彼女の満足は得られなかったようだ。


研究者として忙しかった合間を縫ってその芸人グループの全国ドームコンサートツアーにまで通っていたと聞いたときは少し引いた知矢であった。




そんな話はさておき


「トーヤさんと二人の時は呼ばせてもらう、あとは皆の前ではご主人様と呼ぶ。これはケジメ....でもたまに昔話、日本の話をしたくなったら声をかける。後は皆と同じに扱って欲しい。」


まじめな顔でそう述べるサーヤに知矢は同意したまに酒でも飲んで昔話に付き合えとだけ伝えた。



そんな話をしている間に店の前には人だかりがどんどん膨れ上がっていた。



最初は通りを歩く者が興味半分からかい半分で店の商品を覗いたがそれが尋常な商品でないと気が付いた者、商家の奉公人と思しき者、貴族の使いか家令の様な者は急ぎその場から散る様に離れていった。


おそらく主に情報を伝えたり金をとりに戻ったりと思われる。



上々上々と思った知矢がサーヤを伴い階下の奥向きへ降りて行ったとき既に裏玄関で騒ぎが起こっていた。



30前後のなりをした冒険者風の男が警備のミレに後ろ手に拘束されていた。


「お前な、壁を乗り越えて昼間っから侵入するとは大胆な奴だニャア、こそ泥か、誰かに頼まれたかにゃ?」



紐でぐるぐる巻きにしながら侵入者へ尋問するが何も答えない。



すると知矢は姿をみせずに陰から様子を窺っていたがサーヤの耳元で何かつぶやくとがサーヤが男に近づきじーっと男を見つめる。



「こいつは第2商業ギルドの雇われと顔に書いてある。冒険者ギルド証ははく奪された元冒険者、すぐに騎士団へ引き渡すべき」


と言うと驚愕した顔の男は


「お、お、俺は単に間違って迷い込んだだけだ、空き家のはずだろここは...」


と変な言い訳をするが既に知矢の鑑定でその身は知られているのだから無意味だった。


「おれが騎士団呼んでくらあ!」

と元荷運び人夫で俊足の使用人ワイズマンが裏木戸から颯爽とかけて行った。



庭先の木に縛り付けられさる轡をされた侵入者は何かもがいていたが警備の獣人ミレに小突かれ大人しくなった。




「トーヤ様」

部屋の陰で様子を窺っていた知矢へ総支配人のリラレットが小声で声をかけた。


「思ったより早いですね、第2商業ギルドです。


まあ警備は万全ですからそちらは心配ありませんが繰り返されると夜の事もありますし警備の方たちに負担がかかりそうですね。


一応あと一人は押さえてありますがもう何人かいっそうの事あと5名程奴隷の冒険者を買ってきますからそれまでこの人数で頑張ってください。」



とリラレットとサーヤに伝え後は任せたと裏木戸から周囲を確認して出て行った。




「総支配人、第2商業ギルドって?」

サーヤが尋ねる。


「私も詳しくは存じませんがトーヤ様が冒険者ギルドのスコワールド様よりお伺いしたところ新たな商売を始めた者や大商いの者への嫌がらせや妨害をしているといううわさが絶えない者どもとの事です。


特に嫌がらせを行った後、商業ギルドの幹部が店を訪れギルド加盟を強く促すそうです、そうすればギルドが店を守るので商売がしやすくなりますよ、と言いながらだそうです。

本当にいやらしい奴らですね」

と憤慨するリラレット。



「そんな奴らに私たちの家族を邪魔させない!」

静かに怒りを見せるサーヤ。



「ええ、そうですわ。その内表からも何かアクションが有る事でしょう、気を抜けませんね」

リラレットが表を見てますから奥向きはお願いしますとサーヤに言い店へと戻った。



残されたサーヤは捕らえられた男を見つめながらキッと口元に力を込め「そうここは私たちの家!」と誓いを新たにしたのだった。








この数日は伊勢神宮へ行ってまいりました。

崇敬会の運営するホテルに宿泊しましたが料理がとても素晴らしかったのと無料で早朝の神宮さまを案内付きで参詣出来るのが特典でした。


これで12000円は安い!


夕食には伊勢エビをはじめとする地の新鮮な刺身や地の豚肉の陶板焼きその他すべて含めて11種もの料理が並んだのは圧巻でした。


伊勢を訪れるならお勧めです。


あと、大浴場で湯船に少し高い場所から新湯が流れ出ているのですがその口がどう見ても

”ザク”の目と口にしか見えませんでした。W

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ