第30話 街道騎士団・冒険者、迫りくる危機 ~「お前に一度だけチャンスをやろう」みてろトーヤめww
何とか今夜も投稿できそうです。
ですが相変わらず話が進みません。
他の作者の方の様に簡潔に話をすすめるすべを持たないのでご勘弁を。
では第30話よろしくお願いいたします。
晴天に恵まれたその日、風は細やかながら吹き帆を押して船の航行を助けていた。
その船は全長15m程、幅は広いところで2m程の木造船で後部には櫓が有るが今は船上に上げられ中央後部に立つ褐色の獣の皮で作られた帆に風を受けてゆっくり遡上している。
その帆柱の先端には真っ赤に染め上げられた布が一枚はためきその船が急務を受けていることを示していた。
帆柱の本には男が一人丁度良いと柱に背を預け体を休めている様子だ。
船尾には櫓の代わりに舵を握る男、獣人がおり気怠そうに時たま舵を修正しながら船首の先を見つめていた。
船上にはもう一人いた。
その者も男であるが、船先に陣取り先ほどから船の行く先や周囲を落ち着きなく見回している。
「あ、兄貴、何にもいやせんね」
「........」
帆柱を背にする男は何も答えない
「兄貴...ここいらなんですかね」
「........」
「...兄貴...」
「........」
「あに」
「おみゃあさっきから何回も何回も同にゃじ事ばかりうるさいにゃあ!」
「ニャアラスの旦那...だってあんまり静かすぎて静かすぎて....俺...」
たまり兼ねた船主の獣人が船首の男に文句を言い出す。
「だからあれ程いっただにゃろう、おみゃあ何か連れてきても役には立たにゃあって、あれだけ反対したにゃあに泣きついて連れてってーって騒ぐもんだからニーニャさんもトーヤも仕方にゃく許したにゃに役に立ちたいんなら黙って回り見てろにゃあ!!」
ニャアラスの剣幕に黙っって男は再び不安そうに周囲を見回す行為を再開した。
早朝の船着き場からはや四日、知矢たちは遡上を続け時折街道の騎士駐屯所を訪れたり、宿場の騎士から情報を得更に遡上、昨日泊まった船着き場にある騎士駐屯場で得た情報をまとめ今いる地方に当たりを付けていたのであった。
出発から三日でさらに被害は重なり既に25件にも及ぶ襲撃事件が起こっていた。
勿論、街道騎士団も帝都より増援を得て犯人を追跡していたが今のところその影すら見えない。
現在では各都市や街の冒険者ギルドにも広く情報が開示され緊急依頼が掲示され多くの冒険者も犯人の捜索に当たっていた。
知矢たちは集めた情報をニーナに貰った地図に詳細を書き込み時間経過と出現襲撃場所の関係から犯人の行動予測を立てていたのだった。
ただそれも決定的なピンポイントで予測するにはまだまだ情報が不足しておりいくつかの候補を絞り船を進ませていたのであった。
その船上でのんびり昼寝をする様子の知矢、実は目をつぶりながらも知矢の眼前には探知魔法のモニターが映し出されており常時周囲の様子を感知していた。
この頃には探知魔法のLVは20を超えていたおかげでより細かで精度の高い探知や便利な機能が実装されるようになっていた。
その一つが目をつぶっていてもレーダ画面を認識できることや、勿論探知範囲も半径2Km位まで自由に拡大縮小も可能だ。
そして気になった箇所を切り出しマーキングし逆にそのマークを追尾感知も出来るのである凄いのは別モニターが立ち上がり追尾感知中の様子のみを個別表示するなど機能満載であった。
それもこれもこの数日の間都市で人の目を気にしながらの隠遁生活中そして街を行くときにも常時探知魔法を使用していたおかげ?で急激にLVアップが図れたのである。
そんな訳で知矢は寝ながらにして常に周囲の状況を感じ、観る事が出来るのであったがそんな事とは全く知らない船首の男は不安げに寝てばかりの知矢の様子を見ては声をかけるのであった。
船首の男......。
場所と時間は知矢とニーナ、そして船主のニャアラスが顔を会せたところまでさかのぼる。
「ニャアラスさん先日は失礼しました。」
と知矢は怒らせてしまったニャアラスの事を思い出し重ねて詫びを口にした。
「いいにゃいいにゃあ、俺も勘違いで怒って悪かったにゃあ、ニーニャさんから今度の緊急指名依頼でおみゃあが俺の船に乗るって聞いて事情も聴いたから張り切って待っていたにゃあ!」
とさっぱりとした性格なのかニーナの説得説明が良かったのか操舵術LVも高く船上槍術の達人でもあるニャアラスが船頭であった事に知矢は安心して任せられそうだと安堵していた。
「にゃああ俺の船を見てくれ」
と上機嫌で知矢とニーナに船を紹介するニャアラスであったが知矢が先日見かけた船より一回り大きく帆を備えており櫓と舵、それに非常時には櫂も使えると言われこの世界で初めての川船だが頼もしく思っていた。
その後再び門番詰め所に戻り三人で顔を会せ目的の確認と情報収集できそうな寄り道する都市や街、港を確認していたがその時である。
門の方で門番たちが大声をあげ何やらもめごとの様子だった。
船の運航が数日前より禁止されているのは市民にも旅人にも周知されているはずなので人気のなかった東門で何が起きたのかと知矢たち3人も気になり詰め所を出て様子を窺った。
そこには3人の門番に囲まれ短槍を突きつけられた冒険者風で坊主頭の男が大声を出していた。
「だから俺は兄貴の役に立つ為許可を貰って来たって言ってんだろう、早くしないと兄貴の船が出ていっちまうよ!」
「いい加減な事を言うな! 許可証も持たないやつをここを通すわけにはいかん、帰れ!帰らないなら牢へ放り込むぞ!」
更に槍を突きつけ男を追い払おうとする門番たちに必死の嘆願をする男だったが詰所から様子を見る為に出てきた知矢を見つけた男は
「あっ!!兄貴!!おいらですよ!兄貴の役に立ちたくってギルド長に頼んで来たんすよ!
おいらも兄貴の依頼に連れって行って下さい!!!!」
知矢を発見した男は戸惑う門番の槍を押しのけ知矢達のもとに駆け寄ったのであった。
「??誰だお前??」
兄貴と呼ばれる覚えのない知矢ははてなマークで一杯である。
「あら、あなたE級冒険者だったボンタさんじゃないですか」
とニーナは気が付いたようだ。
「はい、ニーナ主任様、先日は大変ご迷惑をおかけいたしやした」
と坊主頭を下げニーナに挨拶をする。
「トーヤさん、覚えていらっしゃらいませんか?」
「?えっ俺、いや私が知っている人ですか?さあ、記憶にありませんが?」
「兄貴~!そりゃあないですよ、兄貴の依頼された任務についていこうってこうしてやってきたんですから」
あくまで知矢を兄貴呼ばわりする男に困惑する知矢に
「トーヤさん、先日の襲撃事件での大捕物で拘束に手を貸した冒険者を覚えてませんか?」
「あっ」
と思いだいた知矢がいた、だがあの時の男はだらしなく伸びた長髪に薄汚い冒険服で汚いコートをまとっていたのを思い出したが今、目前の男は頭を坊主に丸めてさっぱりとし格好も以前よりはましな程度の服装で顔は腐ったまなざしから幾分希望に満ちた子供の様な目をしていたのだから解るはずもない。
「ああ、あの時の監視役をしていた冒険者か、何でここに?」
知矢の疑問ももっともである。
この男E級冒険者であったボンタと言い、先日の知矢襲撃殺害未遂事件で騎士隊により一時拘束された物の過去の犯歴も無く主犯だったギャボーズやソメッソと異なり神妙な態度で取り調べを受け他の者の捜査に情報を提供したことから罪を免れ放免されていたのであった。
しかし、冒険者ギルドでは事重く受け止めギルド員資格はく奪の裁定を出していたのであった。
ボンタと言う男、歳はまだ18歳で本来なら若き冒険者として依頼を受けまくってLVアップを夢見て活動する新人冒険者から抜け出した位の者であったがかろうじて採取や輸送依頼(お届け物)程度しかこなさずE級に上がったばかりで討伐依頼等を受ける前にギャボーズ達と知り合い無理やり仲間に入らされそれこそ小間使いの様なことばかりさせられていたのであった。
心の中ではそんな生活から抜け出していつか俺も冒険者として魔物を討伐したりと夢は描いていたのであった。
そんな時に起こった知矢襲撃によって悪い仲間から解放されたのは良かったが肝心の冒険者資格まで取り上げられ行き場を失っていたのであった。
仕事と資格を失い夢も破れた男は失意の中何とか頼み込んで冒険者ギルドの職員の下働きの更に見習いの職を臨時雇いで得ていた。
実はこの処置はギルド資格をはく奪された物の中で将来の更生の機会を与え安易に犯罪に走らせない為と生活の様子を監視観察するための温情でもあった。
勿論本人にその趣旨は伝えていないがギルドとしても放り出して路頭に迷った元冒険者が犯罪を犯しましたでは若い物の育成と生活基盤の確立をモットーとする趣旨に反する為この処置であった。
そうした下働きを始めたばかりのボンタはギルドの職員のうわさを耳にしあの時の冒険者が緊急指名依頼へ出発すると聞いて居ても立っても居られなくなりギルド長がたまたま通りかかった時目の前に飛び出し涙ながらに土下座を繰り返し反省の弁を述べなんとかその知矢の荷物持ちでも盾役でも必死にしますので同行させてくださいと迫ったのであった。
当初にべもなく袖にしたガインであったがふと知矢の生意気な顔を思い出し、いたずら心を芽生えさせ
「そうまで言うなら一度だけチャンスをやろう、自分で出立するトーヤの許可を得たならば同行を許す、そして無事任務を達成した暁には貴様の冒険者資格はく奪処分を取り消してやってもいい」
とのたまったのである。
とんだ迷惑をこうむった知矢は「あのやろう!」とせせら笑うギルド長の顔を思い浮かべながら歯ぎしりをするのであった。
ニーナはニーナで目の前で土下座をし涙を流しながら訴えるボンタの姿と知矢の顔を交互に見ながら何も口を挟めずにいたが、ニーナもギルドの職員であるので救済の処置も承知しておりどちらの味方をすればいいのか公私のはざまで固まるしかなかった。
ニャアラスは「こんな奴つれてっても邪魔なだけだにゃあ、俺の船に乗せたくにゃあ」三人を置いて船に行ってしまった。
その様子をどうした物かと所在無しに見守る門番の三人。
東の門を通りかかった市民がいたら「何やってんだ?」と野次馬根性を発揮して人の輪が出来そうであるが船便停止と早朝であることが幸いしこれ以上知矢のうわさが広がる事にはならなかったのがせめてもの事だった。
明日は仕事次第で投稿できるか微妙ですが前向きに頑張ります。
どうやら梅雨も明けたようですので皆様待ちに待った夏到来ですね!!
中国ウイルスさえなけりゃなあ・・・・・・・・・・・
中国のバカ野郎!!!!!!!!!!!!!!!!!!




