第219話 冷たく硬いベット ~ ふかふかで温かいベット
調子に乗って書いていたら原稿用紙20枚を超えてしまったので分けます。
では第219話 どうぞ
そこには一人の女の横たわる姿が見えたる。
「・・・・・・・・ここは?・・・・・」
薄ら目を開けた女は何かの匂いや大きな音に刺激されて覚醒、目を覚ました様だ。 しかし周囲は暗くそして床や壁は硬い何かで作られているまるで平らな岩場の様な・・・そんなところに横たわっていた自身の状態を未だ思考は定まらない為か理解ができない様子だ。
「私は・・・何をして・・・」
自問するが頭に霞が掛かっているかの様に何か強い力によって思考が明瞭にならない。
「寒い・・・・」
女は同時に強い寒さを感じたがそれは場所のせいなのかそれとも何か得体のしれない物の発す・・・・・・
「・・・ううっ、頭が・・・」
女は状況を掴めぬまま重く痛む頭を微かに持ち上げながら自身の置かれた状況を必死につかもうと周囲を見回す。
「わーっはっはっは!!!もっと飲め飲め飲むニャ!!」
「おう言われなくっても飲むわ! わっはっはっは!!!」
獣人の男は陽気にジョッキを掲げて男に酒を勧めるが男は言われるまでも無くいや止められても飲むことをやめる事は無いであろう。
「エヘヘヘヘ、モスリー姉様、そんなバルコニーなんかで寝てると風邪ひくよ、ヒック!」
少女の様に見える女がその小柄な体躯に似つかわしくなく自身の顔より巨大な骨付き肉を軽々と片手で持ち頬張りながら女に声をかける。その少女のような女は頬を赤らめもう片方の手に持つ巨大なジョッキを見れば中身は知れるというものだ。
女はその光景を目にしても今一つ状況がつかめない。
何故彼らはそんなに陽気に騒いでいるのか。
何故私はこんな冷たい石の上、しかもまだ春には少し遠い寒空の中で寝ていたのか。
自身が冒険者でなかったらとっくに風邪をひいて熱でも出して苦しんでいたかもしれないわね。などと自嘲しながら何故か重く痛む頭を必死に持ち上げながらよろよろと立ち上がるのであった。
「よお!大丈夫かよ。お前案外酒が弱いんだな。良かったらこれを飲め」
女がやっとの思いで立ち上がると声をかけてきた者が。
その声をする方へ視線を送るとどこかで見たことのある男が素焼きのコップを目の前へ差し出し女へ飲むように即した。
(白湯・・・)微かに湯気が立ち上るコップを無言で受け取った女は口に流し込む前に鼻先と視線でそれが何であるのかを確認する。
この行為はこの世界では誰もが当たり前に行う当然の行為であった。
白湯であることに安堵した女は黙ったままその素焼きのコップをゆっくり口にし口腔を湿らす様に含むとゆっくりと嚥下する。すると冷えた体に僅かではあるが熱が戻って来た事を感じる。
「・・・・ありがとう・・・・貴方は・・・・・っ!!!」
白湯のおかげなのか時間経過のおかげか、女はやっと自身の置かれた状況を理解できたようにはっとした表情を男に向けた。
「トモヤ・ツカダ・・・様・・・・・あっ!」
女はその目の前の男の名を思い出したように口にした瞬間、今度は激しい後悔と自責の念にとらわれ痛く重い頭を抱えてしゃがみ込んでしまった。
「おい!大丈夫か――」
遠くにそんな声が聞こえた気がしたが女は顔を真っ赤にし両手で顔と頭を包み込むようにしゃがみ込んでいるのであった。
――昨夜の出来事。
『何処へ行く。この屋敷と主様へ用があったのではないのか』
目の前へ現れた女は三人を見つめるすらりとした体躯のから考えられぬ殺気を放ちながら差し向ける刀のに纏う緑色に輝く怪しいとともに鋭い視線を投げかけた。
「逃がさぬ様囲め!しかし迂闊に近づくな! 包囲したまま警戒しろ」
さらには敷地の周囲から門外へ飛び出してきた者たちへ向けて警備担当責任者のサンドスが他の警備担当者を指揮し水をも漏らさぬ気概で周囲を囲む。
最後に決定的であったのは
『・・・(今回のは特別製ですよ!)』
光の中の男の肩から飛び出したG・D・Sは空中で口腔から何重もの光る糸を吐き出すと一瞬で三人をぐるんぐるんに絡めとった。
「さてご近所迷惑にならない様に撤収するか」
知矢の命で光の魔道具の明かりも消され静かに持ち場へ帰る使用人たち。
そして屈強な警備担当に担がれるようにして運ばれるゲストの三人。
「ご主人様、こいつらを騎士団へ突き出しますか」
元冒険者であったで今は知矢の店や屋敷の警備担当責任者であるサンドスが屋敷へ運ばれていく三人を見送りながら主へこの後の処置を問う。
「いや、とりあえず事情を聴いてみてから考えよう。しかし・・・もうこんな時間だあ。すまないがあのまま何処かの部屋へそっと放り込んで何人かを見張りに立ててくれ。 事情を聴くのは明日にしよう。どうせピョンピョンの糸からは逃げられんだろうしな」
知矢は肩に乗る従魔を指で撫ぜながらそう指示を出すと皆へ休むように声をかけて屋敷へと戻っていった。
「ヒョッヒョッヒョ。戦いにはならなかった様じゃのう」
リビングのソファーでくつろぎながら外の様子を窺っていた老人、カーネタリアはいつものしわくちゃの顔で微笑みながら知矢達を迎えた。
「ニャア、あいつら大したことないニャ。フェンリルの殺気を受けただけで身動き一つとれず最後はG・D・Sの糸でがんじがらめだニャ」
「そうかそうかヒョッヒョッヒョ。しかしあやつらは魔力も大したものをもっておったはずじゃが」
「ええ、ですから今回ピョンピョンは以前洞窟の入り口を封じた【蜘蛛の防壁】が破られた経験からかなりの聖なる魔力を込めた【鉄壁防壁】と言う特別な糸で魔力毎封じたそうです。なあピョンピョン」
『・・・・(完璧です!)』
従魔は知矢の肩の上でさも自信満々に前足を振るのであった。
「ヒョッヒョッヒョ、そいつは二人とも頼もしいわい。じゃが・・・」
老人は知矢の従魔たちを評したあと少し声のトーンを変えて続ける。
「あやつらの正体は解ったかのう」
カーネタリア老人は当然であるが知矢もすでに三人の鑑定を済ませているであろうと解っていたが今後の処置も含め訊ねるのであった。
知矢は老人の言葉にフーッと肩をすくめながら息をはき出しめんどくさそうな表情で左の眉を上げながら
「ええ、解りました。ですが・・・全くあいつら次から次へと――」
知矢はカーネタリア老人とニャアラス達へ三人の正体を告げ
「三人は恐らくは偶々(たまたま)この都市を訪れただけだと思います。 しかしそこで偶然冒険者ギルドで俺たちの話を耳にして慌てふためき探りを入れるためにこの屋敷へ接近を試みたってところでしょう。 騒ぎになったのはまあ偶発的なというところでしょうがどのみち我々も彼らへ接触しようと待ち構えてたのですからどのみち騒ぎになるのは必然でしたが」
「ニャア!あいつらがかニャ。でもよあいつらの・・・」
「そうっすよねニャアラスの旦那。兄貴あれはどういう事っすかね」
「凡そ推測は付いている。まあそれも含めてもう遅い、今夜は休んで明日にしよう。カーネタリア様も宜しいですか」
「ヒョッヒョッヒョ。構うまい構うまい、こちらはそう急ぐ状況で無いしのう」
そう、最後を老人が〆ると4人は夜も更けた事だと言い合いあくびをしながらそれぞれの部屋へと姿を消していくのであった。
そして部屋の入り口で気配を消して控えていたフェリシア(子犬バージョン)もそっと短い脚で懸命に駆けながら知矢の後に続いた。
知矢の屋敷の一室では
「くっそーなんだよこの糸は全然切れねえぞ」
「うーっ!兄様私の身体強化魔法が発動しないよ!どうなっているの」
「・・・ハーっ・・・私の魔法も発現しないみたいね。ごめんなさい、私が判断を誤ったわ・・・」
G・D・Sの糸に拘束されたままの三人はわずかに身をよじらせながら叶わぬ脱出を試みる者、魔力がうまく練れず困惑の声を上げる者、短慮の行動に後悔の言葉を口にする者、三者ようようであった。 しかし知矢の従魔ピョンピョンが自信をもって作り出した”特別製の糸”は緩みもしなければ切れる事も無くしかも魔力さえも上手く制御する事も叶わぬ。
彼らはそのまま知矢の好意で部屋に敷かれたマットの上で一夜を明かさざる得ないのであった。
片や騎士団の詰め所では
「・・・出してくれ・・・・・・・むにゃむにゃ・・・・」
特に頑丈に作られた鉄の格子に囲まれ耐魔力性能に優れた牢獄の中ではその場に似つかわしくない気持ちよさそうなベットが置かれふかふかの毛布にくるまれた中から寝言が微かに聞こえていた。
えーっと
分けた分は続きを書き足してなるべく早々に投稿いたします。
最近実装された≪良いね≫がすごい勢いで増えていたので驚いています。
ありがとうございます。
できます事なら ★★★★★も押していただけると幸いです。m(__)m
ではまた次話にて




