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老齢オヤジが死んだけど異世界でゆっくり老後をおくりたい~チートに大金ゆっくり老後、あれ俺若返ってるけど?  作者: 通りすがりの浪人者


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213/257

第213話 人が存在する理由 ~「にゃんか摘みも欲しいニャ」

唐突に書き上げました。

では早速

第213話どうぞ




 


 「ちょっと待てよ!!何でこうなるんだ!!!出せー!!!話が違うじゃねえか!!!!騙しやがったな!!!!!!」



 魔人の少年ジーオ・コーデリアス・アスタリスク。

 魔神王国現国王の孫である彼は自らの能力と才覚をもって己の王国を作り出そうとした迄は良かったが浅慮な行動は結局思う通りにもならず、その上彼の能力である従属魔法(テイム)により従えていた数百にも及ぶ魔物、オークたちを知矢達によりあっという間に殲滅され美味なる焼肉パーティーの材料となってしまった。


 その後、洞窟を調査に訪れた知矢達により発見されたジーオは王国の崩壊に対し一矢報いるかの如くその強靭な身体能力をいかんなく発揮し攻勢に転じようとしたが知矢の従魔ピョンピョンによって一矢も報いることもできず拘束される憂き目となった。

当初拘束されてもなお攻撃的な態度と言動を見せたジーオであったが知矢を始めSランク冒険者でもあるカーネタリアに諭されるようにしてやっと鉾を収めた。そしてそれは粗末な食事で腹も減り心も荒んでいたかのようで知矢に提供された料理を口にするとやっと心の氷を溶かしたかのように激しい反抗の態度を和らげ素直にラグーンへ同行する事に従ったのであった。


 そして事情を聴きつつ中核商業都市ラグーンの大門ゲートへとたどり着いた一行であったが知矢はジーオの処遇を冒険者ギルド長のガインへ委ねる為に門を守る騎士たちへ相談を持ち掛けた。


 「お疲れ様です。Aランク冒険者のトーヤとその仲間、無事帰還しました」


 先日の【南の大国】による潜入破壊工作及び身分を詐称してスパイが入り込んでいた事件以降大きく開かれていた門の出入りを狭め強固にし侵入者対策を厳格にしているその一帯は都市騎士団の多くの兵士が門の前後に配され物々しい警戒を敷いている。


 「これはトーヤ殿。お役目ご苦労に存じます・・・・・」

 知矢達を見知った騎士の一人が笑顔で知矢へと声をかけたがその視線を後方の集団へ向けた時異形の者を見つけた様に顔をこわばらせて言葉を詰まらせた。


 すぐにそれを察した知矢が説明をする。

 「実は冒険者ギルドからの指名依頼で向かった先その原因を発見しまして、同行を求めた次第です。

 見ての通り【魔人】の少年です。その件について冒険者ギルド長のガイン殿を至急ここに呼んで欲しいのですが、若しくはこのままギルド迄連れていくことが可能ならそうしたいと思いますがどうでしょう」


 知矢が説明をしている最中他の騎士や兵士も魔人の少年ジーオの存在に気づき周囲は騒めき出した。即数人の兵士が都市の中へと走り去るのを横目で確認した騎士は知矢へ顔を向けるのであった。


 「実は既にアンコール伯爵様より急の指示が出ておりまして既に騎士団の捜索部隊が編成されこれから国境周辺へと出発する運びになっておりました」

 そこまで話すと騎士は知矢の耳元へ顔を近づけそっと囁く様に話しだした。


 「知矢殿、実は帝国皇帝陛下より直々の魔電によりアンコール伯爵様へ指示が出ております」

 と魔神王国より少年の捕獲要請が来ている旨を端的に説明した。


 「という事は彼は、ジーオは騎士団により身柄を拘束されるという訳ですか」

 瞬時にその内容を理解した知矢は念のため重ねて確認をするが騎士の返事は変わらなかった。


 「その上身柄の確保には魔力封印による拘束をと特に指示が出ております」

 そう言う騎士の話を聞いているさなかにも何らかの魔道具、おそらくは話に有った魔力を封じるための拘束用魔道具であろう物を携えた兵士が戻って来てそれに呼応した兵士たちが即座にジーオの周囲へ展開した。


 「なんだニャ?」

 「主様!」

 即座に反応したフェリシアは腰の刀へと手を伸ばすが


 「フェリシア、待て。皆も動じるな」

 知矢の声が飛ぶ。


 「おいおいなんだヨこいつら。お前らこの国の住人のはずだろ。なんか悪さして手配を受けてんのか」

 何故か当のジーオはその騎士団や兵士たちが取り囲む様子を余裕をもって見回しながら他人事の様子であった。

 しかし 「すまないが魔神王国の少年よ君だけ我々に従ってもらおう。抵抗をしなければ悪いようにはしない」

 そう騎士の一人が言うとフェリシアやニャアラス、カーネタリアを遠慮気味に遠ざけるそぶりを見せながらあっという間にジーオだけを囲んでいた。


 「オイ!なんで俺だけ。俺がなにした」

 ジーオはそう激昂すると尽かさず身体強化魔法をその身に纏いその場からの脱出を試みた。しかし、


 「えっなんで体が・・・うわっまたこれかよ、クッソーそうはいくか」ジーオは魔力を行使することが出来ないと判断すると尽かさず腰の剣へと手を伸ばす・・・・が。


 「えっ無い、俺の剣が無いあっ槍もだ!」


 「お前、ここに来る前に剣も槍も取り上げたじゃないか。その代わりって美味いご馳走をたらふく食わせたんだろ。忘れたかニャ」


 「アッ!しまっただましやがったなこのジジイ!」


 そんなことを悔しそうに叫ぶジーオであったが魔法も使えず武器も持たないただの魔人の少年はいくら基礎能力が高い魔人とは言ってもまだ少年。屈強な兵士に取り囲まれては抵抗するすべはなかった。


 あっという間にその身を確保されたジーオはわめき暴れながらも兵士によってゲートの中へと連れていかれるのであった。



 その後を渋い顔をしながらついて行く知矢と「うんやっぱりこうなるニャ」と何故か楽し気なニャアラス。

 「ヒョッヒョッヒョ」しわくちゃの笑顔でいつも通りのカーネタリア。


 『最初からこうして連れてくるべきでした』と平然とした顔のフェリシア。


 『・・・・(悪い子はお仕置きが必要ですね)』と冷静な意見を口にする知矢の肩に乗るピョンピョン。


 そんな一行であった。


 知矢だけは渋い顔で (皇帝からの命迄出るほどの話になっているとは。さてさてこの後の始末はどうなるのかのう)と思いを巡らせるのであった。





 ――ガチャーン!


 重い金属の扉が閉められる音が周囲の岩壁(がんぺき)にこだました。


 「お前はしばらくここに入っているように。良いな、騒ぐんじゃないぞ。後で夕食を持ってくるからな。あっそうそうこの牢獄は特別製だから抜け出す事は叶わぬから大人しくしていてくれよ」

 兵を連れた騎士はそれ程威圧的ではない物言いであったが厳格な規則にのっとり牢屋のカギを(ほどこ)し牢番の兵士たちを残して去っていった。


 「ちょっと待てよ!!何でこうなるんだ!!!出せー!!!話が違うじゃねえか!!!!」

 ラグーン騎士団が管理する牢屋へ一人放り込まれたジーオであった。




 その様子を離れた通路の先からうかがっている集団。

 「まあ、自分の国の牢屋の続きだニャ。今度は少し反省するまで入れとくニャ」

 「いやあ、しかし何だか俺がだまして連れてきたみたいになっているのがな・・・」

 『主様(あるじさま)瑕疵(かし)はございません。当然の待遇かと存じます』

 『・・・・(そうそうご主人様は悪くないわ、悪いのはあの子です)』

 「ヒョッヒョッヒョ」

 後味の悪い顔をしている知矢と異なり他の者たちはジーオの処遇に対し実に気楽に意見を述べている。




 「トーヤ様。主、アンコール伯爵様が館にてお待ちです。どうかご同行くださいます様」

 知矢達一行の後背には背筋をきりりと伸ばし緊張のせいなのか何か(いささ)か顔色の悪い面持(おもも)ちで控えていたラグーン第1騎士団長のモンドールがいた。 


 「ああ、そうだな。俺からも色々話をして情報を交わしあいつの処遇を相談しないとな」

 知矢はふうと息を吐き肩を些か落としながらこの後の事を思案気にモンドールを振り返って答えた。


 「その件でございますが些か厄介なお方もお待ちでして・・・・・」


 「厄介?」

 そうモンドールに聞き返した知矢であったが当モンドールは顔色悪い様子のまま口を閉ざし知矢をいざなうように右手を指し示しながら腰を折り頭を下げるのであった。


 「何だか知らないがまあ仕方がない。良かろう案内を頼む」とつぶやくと知矢は皆を連れてモンドールの指し示す先、騎士団駐屯所の外に待っている大きな魔馬車の方へ足取りも重く進んでいくのだった。




**********************



 コンコン

 厚い一枚板と思われる重厚で大きな扉がノックされる。


 「入れ」

 即座に部屋の中から命が返る。


 ギーと音も鳴らさず大扉が即座に開かれ

 「閣下、第1騎士団長モンドールでございます。先ほどご命令のあった魔神王国の少年を確保、一時騎士団の牢へと収監いたしました。その上で魔人の少年を同道なされました知矢殿とそのご一行様をお連れ致しました」


 「話は聞いている。知矢殿をこちらへお通ししろ」

 館の主、アンコール伯爵がいつもの調子とかなり異なり厳格な口調でモンドールへと指示を出す。



 ハッ、とモンドールが応え一度部屋の外へ姿を消すとこちらへどうぞと廊下にいた一行を部屋へと促す。


 知矢達は促されるまま部屋へ一歩入ると館の主の姿を認めた。


 「これはアンコール伯爵様。Aランク冒険者のトーヤ、お召しにより参上仕さんじょうつかまつりました」

 知矢はへの中の空気を察知すると共に先ほどモンドールから聞かされていた『厄介な人物』の存在を考慮しいつもの口調を改めたのである。


 「ウム、トーヤ殿。態々(わざわざ)済まない。まあこちらへ入ってくれ」

 アンコールから帰ってくる様子もいつもの知矢へ対する(へりくだ)った物言いではなくごく普通のものである。

 しかしそうは言っても歳も若く一介の冒険者へ対する高位貴族である伯爵の物言いとしては一般的に見るとかなり気を使った言い方ではあるのだがそこはアンコールもすでに知矢に対する絶大なる信頼や敬意そして出会ってから今までの度重なる出来事ですっかり頭の上がらなくなっていたのであるから仕方がなかった。


 知矢とアンコール、互いに何かぎこちない様子での顔合わせ。

 アンコールは知矢以外の者を部屋の脇に設けてあるソファーの方へと誘導させ知矢へは自身の脇にあるソファーをついいつもの調子で慇懃(いんぎん)に勧めた。


 知矢は軽く頭を下げると示されたソファーへと足を進めたがすぐにアンコールの対面に座る人物に気が付くと驚いた様子を見せ再び姿勢を正しながら

 「これはこれは、辺境伯閣下。いつぞやはお手間を取らせまして申し訳ございませんでした。おかげさまを持ちまして私への疑義も消え逆に帝国皇帝陛下よりの褒章を授かるなど身に余る処遇を受けましたこと感謝に堪えません」

 と相手に腰を折り深く頭を下げたのであった。


 そう、そこにいたのは帝国における公爵に並ぶ地位と広域な支配地域そして多くの貴族やその騎士、兵士たちを統括する権を有する【リードリヒト・ベルサシス・バムラス辺境伯】その人であった。


 知矢の言いなれない挨拶に対し「フッ」と鼻白んだ様子のバスラム辺境伯は尽かさず

 「いつかの冒険者の小僧がまさかこれほど立て続けに帝国へ対し多大なる貢献をすることになるとはの、わしもあの時は想像だにせんかったわ」


 バスラムはそう言いながら知矢へ席に着くように促すと

 「ああそれとこの場ではそう無理をせんでもいいぞ若いの。アンコールといつも話している口調で構わん。そんな言い慣れん話し方では肝心の中身が伴わんだろう」

 降格を上げにやりとした顔で知矢を睥睨するバスラムであった。


 そのバスラムの言葉に(このジジイが)と表情に出さずに知矢は悪態をついていた。


 実のところ知矢はモンドール騎士団長に連れられてアンコール伯爵の館を訪れた時、既にこの場にいるバスラムの存在をレーダーにて認知済みであった。


 知矢は以前冒険者ギルド長のガインにより不良男爵訴追のお芝居に無理やり立ち会わされた時に出会ったこの男、バスラム辺境伯。

 実のところギルド長の実の父親だという落ちが付いた話であったがその際に知矢とバスラムの間には余人に感じえない【殺気】の応酬があった。


 とは言ってもバスラムが一方的に知矢へと殺気を放ったのであったがそれを知矢は素知らぬ顔で受け流し殺気を霧散されていた。


 当時知矢は紅茶を口にしながらなにも動じることなく殺気を受け流していたが

 (うわ~この爺さんバケモンだな俺とそんな歳変わんねえくせにえげつない殺気放ちやがって)

 そういった感想をもっていた。


 だからと言って昔から権力者に対してその時も、そして今も特段(へりくだ)る気もない知矢であったがこの場はアンコールの上司たる立場の者に対しアンコールの顔をつぶすのは忍びないと敢えて辞を低くする姿勢を見せたのであった。


 「ああそうかい。じゃあ折角の辺境伯様のお言葉だ遠慮なく話させてもらうとするか」

 知矢もわずかに広角を上げにやりとした笑みを見せると勧められた席へどしりと腰を下ろした。


 「あわわわわ・・・・」と微かに声を上げるアンコールをよそにどこ吹く風の知矢はいつもの調子に戻り部屋の隅にひっそりと控えていた見知った顔であるアンコールの老執事へ声をかけ

 「すまない、俺には紅茶を頼む。えっと皆は何が良い」と同行してきたニャアラスたちへと声をかけた。


 「ニャア、俺は酒だな。カーネタリア様もそれで良いかニャ」

 ああ結構としわくちゃの笑みを浮かべる老人とニャアラスへはワインが供される。

 フェリシアは『主様と同じものを』と同じ従魔と意見を交わし端的に述べた。

 元神聖教国の教皇であったカーネタリア・イラ・カリット・ドゥ・16世はいざ知らずニャアラスも辺境伯を前にしてもいつもと変わらぬ様子であるのだがそう言った意味でニャアラスもかなりの大物と言えよう。



 一頻りのどを潤す様子を黙って観察していたバスラムが突如口を開く。


 「おぬしはいったい何者だ。ただの冒険者の若造等と言い逃れをするなよ。これまでの功績、多くの魔道具の考案、そして冒険者としてだけではない何か長きにわたる経験を積み上げ多くの修羅場を成しえた者が纏う物は一朝一夕に得られるものではなかろう。

 単なる田舎から出てきた世間知らずの知恵者。そんな簡単な話ではあるまい。

 おぬしは何のために帝国に参ったのだ。その目的は」

 バスラムは魔神王国から来た若者の事などまるで関係ないとばかりに知矢の出自と正体、ここにいる理由を端的に問うてきた。


 それはまるで何かを知ってその確証を得たいがためのセリフに聞こえなくもなかった。しかし事実この若者の事をバスラムは何も知らない。


 皇帝の命を受けラグーンへ赴く途で配下の者に情報を集めさせたがほとんど全く何もわからなかったというのが現実だ。

 通信設備やインターネットなどもないこの異世界に於いてもある程度人と言うのはその存在においては必ずと言って痕跡が残るものだ。

 ましてやこれ程の功績を上げ者が今まで何も痕跡を示さずにいきなり都市へ出現するなど考えられない。


 ある程度の戸籍に相当する書付類が整っている帝国でさらに国境や都市を移動するにも身分を示すものが最低限不可欠となる仕組みも存在する。

 たとえ遠い山奥の集落から出てきた者でも街道の要所を通過する際に必ずそこで新たな身分を示す何かを手にする。

 その一つが例えば冒険者登録を行ったり商業や工業、職人または森林や運送、船運などその他のギルドへ所属すると得ることのできる身分証である。


 そう言った事から当然のごとくバスラムは知矢の痕跡をたどらせてみたものの全くとそれが得られなかったのである。

 そうまるで突如ある日、中核商業都市にこつ然と姿を現したとでも言うかの如くにであった。


 実際その通り知矢は最高神の力によりある日突然この異世界へと転移させてもらい初めて訪れたのがこの”ラグーン”であるのだから当然の結果だ。

 バスラムに命じられた配下の情報収集能力に間違いはないと言ったところである。


 しかし前提条件が【最高神の力】に依るものであるのだから人智を超えたその所業にこの世界の常識では計り知れない。


 バスラムも勿論最高神のかかわるようなことだなどと露にも思いはしなかった。しかし何も得られない情報こそが()()()()と思わせるのが皇帝陛下の信厚き為政者であると同時に数々の経験から感じ取る能力こそ辺境伯として長年の実績を積み上げていった老人の超能力とでも言うべき感性であった。


 一見心胆寒からしめる様なバスラムの問いにも知矢は何も動じることなく静かに紅茶を口にしていた。


 そして静かに茶器をテーブルへ戻すとそっと顔をバスラムへ向けると”ニヤリ”と微かな表情をみせ


 「俺がこの都市へいる理由か。そんなのは1つしかない」



 バスラムと知矢の空気に呑まれているアンコールは何も口をはさむこともできずしかしその場を立ち去るわけにもいかずただ無言でおろおろと二人の様子をうかがう事しかできないのであった。







 「ヒョッヒョッヒョ。流石なかなかのワインじゃな」


 「ニャア美味いニャ。カーネタリア様、もっとぐいぐい飲むニャ」


 『まあまあの紅茶ですわね』


 『・・・(この菓子も美味しいですよ)』



 緊迫した様相を前にここにも大物たちが存在していたのであった。



 

 最近寒い日が続いておりますし中国ウイルスの猛威は相変わらず。

 どこに出かけられる訳もなく(-_-;)さびしい限りですね。

 でも仕事は相変わらず忙しいのが不思議です。

 経済活動と対中国ウイルスの鬩ぎ合い、何とか勝を続けたいものです。


 ではまた、次話にて。



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