第212話 苦慮する大人たち ~「で俺を待っているのは誰なんだ」「・・・・」
第212話を投稿いたします。
間が開いた上に短いですが・・・・ごめんなさい(-_-;)
――――時は少しさかのぼり、中核商業都市ラグーンへと戻る。
「辺境伯閣下。帝都の皇帝陛下よりの至急電です」
そう言うとアンコールは自分に充てて帝都から送られた皇帝直々の魔電を恭しく両手で捧げるようにバスラムへと差し出した。
眉間にわずかなしわを寄せ何ごとが起きたのかと訝しみながらも皇帝陛下直々の至急電と聞きバスラムも姿勢を正してアンコールからその魔電を受け取る。
「・・・・・・・・」
すぐにその内容を一言一句見落とさぬようにと言う様に真剣な目で文字を負うバスラム。
先ほどまでアンコールとの間にあった緊張感とはまた違う空気が部屋を支配する。
しかしその空気を忌むかのようにアンコールは半ば縋り付くような面持ちで皇帝の直電を手に緊張しながら読み返すバスラムへ声を投げかけた。
「辺境伯閣下、皇帝陛下の御意では御座いますが些か私如きではあまりに恐れ多き事であり・・・正直対応・理解に苦しむ話であると鑑み恐れながら辺境伯閣下にあられますれば皇帝陛下の御心の内はどのようにもご推察御出来になると・・・。
平素から陛下のお傍で接しておられます閣下にご判断をぜひとも仰ぎたく」
アンコールは何を言っているのだろうか。噛み砕いてみると・・・
『いやこんな経験した事も無い事態は俺には無理っすよ。あんた皇帝の懐刀っしょ!じゃあどうすりゃいいか解るっすよね、という訳で後は頼むわ』
そんな気持ちが込められていた。
その心の声を十二分に感じ取ったバスラムではあったが、当然従来であれば皇帝陛下からの至急魔電と言えば最優先の最重要命令を指すものだ。その命をうけた高位貴族である伯爵本人が
『自分には無理っす。ちょうど目の前に上司がいるっすから丸投げで』
とばかりの物言いに激怒する場面ではあったが事が事だけにバスラムもそう簡単に突き返すこともできずに再びその魔電へと目を落とし思案するのであった。
【 下記の至急電が魔神王国 国王より直々に送られてきた。それを追うようにかの国の高位官僚より事態の詳細も送られてきた事から内容の信ぴょう性は高く早急に事態の対応を要すると思われる。卿の支配地域が事態の最も可能性を秘めた場所であることは言うまでもない。国境方面を探索すると同時に周辺支配地域の都市や街、村々などにも手配を巡らせ対応をすべし。
必要とあらば各地の冒険者ギルドへの緊急依頼も許可する。しかし飽くまでも無事にその身柄を確保することを最重要とし行動することを肝に銘じるよう。
――『 わしの孫であるジーオが家出をし、おそらくは貴国へと足を踏み入れていると考える。
何を仕出かすかわからない故、見つけ次第完全拘束の上、魔力封印も施し即時連絡を乞う。
国境まで運んでいただければ礼として万金の財と引き換える所存。
迷惑をかけてすまなく思うが何卒協力を願う
魔神王国 国王 ミハエル・コーデリアス・アスタリスク』――】
「そもそもこの”ジーオ”と名乗る者が本当に魔神の孫だとすると魔電の内容に些か厄介な点があるのう」
繰り返し電文を読んでいたバスラムはやっと顔を上げアンコールへ目を向けるとそう呟いた。
「厄介でございますか」
アンコール伯爵は(そもそもすべてが厄介なのでは)と思いをしたが勿論声に出すことは無い。
しかしバスラム辺境伯はこの凡庸な部下ではその反応も仕方が無かろうと思いながら話を続ける。
「ああ実に厄介だ。
その文章のままだが 『見つけ次第完全拘束の上、魔力封印も施し即時連絡を乞う。』
どう読んでもただの幼い孫がただ単に行方不明や家出をしたのとはわけが違う。
おそらくは我々のはるか上を行く魔力を有し当然のだがその魔力を力にとてつもない戦闘力を有していると考えるのが妥当であろう。
そもそもが魔神王国の一般の民ですらも我々帝国人など遥かに凌駕する魔力を内包し様々な魔法に長けているのは知っての通りだ。 それが魔王の孫、それだけでただ幼い子供を見つけて保護する等と言う話ではないと解ろう。
下手に抵抗された場合その手を差し出したこちらが火傷を負うやもしれん、いや下手をすると命の危険は十分に考慮すべきだ。
またその者が、または同行していた者がその攻撃に反応し逆激に回るとどうだ。 こちらだけではない相手に怪我を負わす、もしくは命を奪う事にもなりかねん。 そうなると互いに引けない事態を招き国家間の争い。・・・・戦争になるやもしれんという事だ」
バスラムは最悪の事態を想定してアンコールでも解るように話をした。
帝国の中核商業都市やその周辺の町や村々、衛星都市群を統括する伯爵は凡庸と称したが実際その様な評価を受けるに値しない。
それは管理貴族として数々の諸問題を適切に処理し多くの配下にいる貴族たちや騎士団、官僚を差配、各種ギルドとの協力で経済、政治の諸問題から市民生活の安定・安寧、刑事警察機構の運営等多岐にわたる事柄を長年差配してきた実績はとても凡庸な者にできる事ではない。
ただしそれはそう言った国内問題であればの話だ。
今回のような国家間の非常に稀有で慎重な対応と柔軟な思考を要する案件は内務に長けているとはいえ一介の伯爵の手におえるものではないという事である。
そう言った意味では辺境伯として常に国境を接する国々とのあらゆる事柄を処理してきたこの老人がこの場にいたと言う意味合いは実のところアンコール伯爵にとっては最上級な好機であったと言える。
「成程、確かの閣下のおっしゃるとおりでありますな」
解っているのか一抹の不安を感じながらもバスラムは目の前の部下へ話を続ける。
「それにだ、態々 【完全拘束の上、魔力封印】 じゃぞ。単なる孫の保護を依頼する内容とはとても思えん。それだけに先方がはっきりと明記してきたほどじゃて・・・・さてさて誰に命じるべきかここは相当腰を据えて試案のしどころじゃぞ、アンコールよ」
バスラムは飽くまでも『皇帝陛下より直々に命を受けたのは卿であるぞ』と言わんばかりの鋭いまなざしをアンコール伯爵へと向けた。
それを受けアンコールは【丸投げ】は無理であったかと内心ガックリとしたもののそれを表情や態度に出すほど凡庸な貴族ではない。
「ハッ、これより騎士団の各団長級と冒険者ギルド長を招集し速やかなる手配りを行いたく」
そう言うとアンコール伯爵はバスラム辺境伯へ頭を下げると素早く何かから逃れるかのように部屋を出て行った。
勿論、皇帝陛下の命を実行する為であるのであって決してその場から逃げる口実ではないのであるが。
「フッ」
部屋を出て行ったアンコールの見えない背後へ一息漏らした後バスラム自身は再度皇帝からの魔電を見直しながらアンコールにだけ任せておくわけにもいかぬと思案を巡らせるのであった。
本日2022年1月22日 土曜日
中国ウイルスの感染拡大が猛烈に広がり東京都内は13000人を超えてしまいました。
この分では明日、来週には2万人の声を聴く騒ぎになるやもしれません。
皆さまご自愛、自粛をなさってくださいね。
ニュースでは慶応大学の若者が数百人規模で感染が拡大し大学が感染人数を把握できないとコメントしている騒ぎ。
新年あけてから慶応やその他の学生がどうやらクラブを貸し切りパーティーを行っていたとか。
頭良いくせにバカばかりでげんなりする。




