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老齢オヤジが死んだけど異世界でゆっくり老後をおくりたい~チートに大金ゆっくり老後、あれ俺若返ってるけど?  作者: 通りすがりの浪人者


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第211話 帰還 ~「だましやがって!!!!」

本年2投稿目!

第211話 どうぞ






  「この!馬鹿者が!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



  「ひょっ!!うんがーーーー!!」


 天をも打ち抜く勢いとも、古龍の咆哮とも思える衝撃が王宮謁見の間大ホールへと響き渡りその余波は宮殿はおろか魔神王国王城の高い城壁を超えて広がり周辺に広がる貴族街や市民街迄達した。

 それをまともに身に受けたジーオはあまりの衝撃で後方へゴロゴロ転がるように吹き飛ばされた後、身動きもせず気を失った様子だ。




 王城周囲に居を構えるとある貴族は魔王城から漏れ出した気配を感じ取り眉を顰めた。

 「この波動は魔王、国王様か・・・。 

 おい今日の登城は見送る。ワシは一日自室で仕事をするからな。(いか)れる龍の魂が静まるのを待つとするか」

 主の言葉に黙って頭を下げる配下は主のつぶやきを耳にするも無言でその場を辞し、即手配りへと動いた。




 城下の市民達

 

 「キャーッ」


 「ウォッと」


 「なっ何事だ・・・っておいおいこれ魔王様の魔力じゃねえか」


 「ひょーっびっくりした。久しぶりに王様がお怒りだぜ」


 「おう、俺なんか驚いてマスタング・カリブーの角折っちまったよ。トホホホ・・・・」


 店先の土間で魔物の解体を行っていた者は驚き勢い余って折ってしまった巨大な鹿の様な魔物の角を両手に持って意気消沈である。その体躯に似つかわしいく大雄々しいく幾重にも枝分かれした角は美術品としての価値もあり好事家に好まれる商品として比較的大きな価値を持っていた。だがその者が手にしているのはどうにも中途半端な位置で無残にもへし折れた角が両手に掲げられもう美術的な価値を見出すことが出来ないのは一目瞭然であった。



 「こんな怒りを天まで響かせる魔王様、いつ以来だ」


 「魔物の聖域を犯した馬鹿貴族とその息子の時以来だから50年ぐらい前だな」


 「そうそう、そんなことがあったな」

 隣の店の男が呟く


 「今回は誰だ。また馬鹿な貴族が何かやらかしたか」

 仕入れの最中かそれとも配達に行くのか背負い籠に山程の野菜などを背負った商人がそう推測する。


 「いやそうではなかろう」

 店の前に椅子を置き通りを眺めていた隠居と思しき古老が王城へと視線を上げながらぼつりと否定した。


 「じいさんなんだ、何か解るのか」

 通りを歩いていて王の怒りに立ち止まっていた市民が商店の住人たちの会話を耳にして話に加わった。


 「・・・魔神様が悲しい涙を流しておる様だわい・・・・・」


 その老人の一言で周囲にいた者たちは何かを察したのか皆が黙って王城の、おそらく王宮があるであろう方角へと自然と視線を向けたまま押し黙ったのであった。





 ひと時の動揺から瞬時に立ち直った騎士や従僕(バトラー)たちとは対照的に真っ向から魔神王国最強たる王、魔王の罵声を浴びたジーオはその言葉だけで玉座の前から数メートル後方へと飛ばされた挙句意識を失っていた。そしてその下腹部付近の床は黒い水染みがジワリと周囲へ広がり始めている。


 さすが魔神の孫であったのか僅かな時で微かに意識を取り戻したジーオであったが「あわわわあわああ・・・・・・」恐怖からかそれとも王にとっては僅かではあるが魔力を込められた罵声に当てられたかジーオはまともな言葉も出ずただ震える体から伝わったような音を口にするばかりでその目は驚愕と恐怖そして理解のできない物に出くわした様に視線は虚空をさ迷っていた。



 王の玉座後方に控えていた従僕が静かに王の前へ進み出ると腰を折り頭を下げた。


 すると王は「うむ」と短く発し従僕の行動を肯定する。


 老齢の従僕は王の許しを受けると速やかに高所から音もなく壇を降りると恐怖で硬直しパニックに陥っているジーオへと近づいた。


 そして即座に何らかの魔法を無詠唱で複数行使しジーオの下半身の流れ出ているものを服ごと清め、乾かし、そしてさらにジーオの肩を優しく抱き起しながら再び魔法を行使しおそらくは精神の安定を即す魔法であろう。驚愕の引き攣った顔のジーオにわずかながら癒しを与えた様子だ。



 「あわわわわ・・・・」わずかに衝撃から魔法の力で回復したとはいえジーオが産まれてからこれまで受けた事も無いような衝撃から即座に立ち直れはしなかった。


 「ジーオ様、お気を確かに」

 老齢の従僕は耳元で優しくささやくようにしながら背に回した手でポンポンと軽く刺激を与えジーオの心が静まるのを即した。


 それが功を奏したのか微かに意識を平時へと戻りかけたように見えるジーオであったがその目はまだ何か信じられない者への恐怖と困惑に彩られたままである。




 「そ奴の魔力を封じ手鎖をして牢へ放り込んでおけ。己の行いと未熟な考えをしっかりと反省するまで出す事は叶わぬ」

 高所よりジーオを見下げながら魔神国王でもある祖父は配下の者へ鋭く冷酷な口調で端的に指示を出す。それは周囲にいた者のほとんどが且つて見た事も無いほど恐ろしい形相と相まって配下の者たちは飛ぶようにその命を実行に移した。

 未だ王に受けた波動により思考の定まらないジーオは半ば夢遊病者のごとくふらふらとした足取りと定まらぬ眼差しのまま両脇を騎士に支えられる形で謁見の間を後にした。


 「・・・・・」その様子を黙って見送っていた年老いた従僕(バトラー)のみが気が付いた。

 怒りに震え鬼の形相であった王、その目が微かに潤んでいたことに。









 **********************


 「で、俺はそのまま牢へ放り込まれたらしいんだけど暫く気を失ってたし何だか解らないうちに魔力も封じられててさ。暫くは全くどうにも何もできなくなってたって訳なんだ」


 ジーオは魔人王国を出奔、いや家出をしてきた経緯を自身の視点と感情で知矢たちへと熱弁を振るい捲し立てるように語った。

 ラグーンへの帰路についた一行。知矢をはじめニャーラスやカーネタリア老人は呆れた表情で黙って話を聞いていた。

 フェリシアは無表情で特に何の感情も興味もなさそうに周囲への警戒に重きを置いているようだ。

 ピョンピョンはこちらもジーオの話に興味がないのか知矢の肩に乗りながら半睡の様であった。



 「それでそう、何日も何日も石牢に転がされたままでろくな食い物も貰えなくってさ、怒りまくって叫んでもたまに見に来る牢番も話を聞きもしないし誰も助けにどころか親や兄弟も面会さえ来やしないんだ、ひどい話だろ。でもよ俺も黙って寝転がされてたわけじゃないんだぜ」

 牢屋での反省の日々を語る様子もなく何か自慢げな顔で話を続けるジーオ。



 ラグーンへの帰路、知矢とカーネタリア老人は黙って話を聞いているがニャーラスは時折呟くように「こいつ馬鹿ニャ」とか「何も考えてないニャ」などあきれ顔で言葉を口にするが当のジーオは自分の話に夢中なのかニャアラスの言葉を気にもせず話を続ける。




 魔王城の片隅に設けられた牢域。冷たい石畳と煉瓦の壁に囲まれた暗い暗いシーンと静まり返ったその場所に聞こえるのはジーオの声だけ。


 「ったく何なんだよいったい。じっちゃんまで話もろくに聞かずに俺をこんな目に合わせるなんて。しっしっし、でもさすがのじっちゃんもこんな物で俺の魔力を封じたら大人しくしていると思ってんのかな。俺は伊達にあちこちうろうろして遊んでいたわけじゃないんだぜ」


 ジーオはぶつぶつと誰が傍にいる訳でもないが散々文句を口にしながら戒められた両手を頭の後ろに回して何かを探り出し手荷物とごそごそと戒めをいじり始めた。すると両手と両足を戒めていた金属の錠が微かにかちゃりと音を発するとするりと腕、足首から抜け落ち硬い石の床へごとりと音を立てて落ちていった。


 「へっへーんどんなもんだい!。俺様が魔力だけだと思うなよ。こんな鍵くらいお手のもんさ。しっかしまさか町の鍛冶工房で遊んでた事が今になって役に立つと思わなかったけどな。さてこっちはもっと簡単だな」

 そうひとり呟くと今度は牢に掛かっている鍵穴をいじり始めるがこちらは手足の戒めよりももっと簡単に開けることが出来た。

 鍵を開け終わり持っていた金属の細い棒を出した髪と角の間へ再び差し込み直すとジーオはそっと音も出さずに暗い石畳の通路へと姿を没していった。




 「ってな感じで牢屋を抜け出した俺は城の倉庫からいろいろ武具や道具や金目の物、そして宝物庫からは魔法の袋もついでに頂いて、そうそう食料も調理場からしっけいしてさ闇に紛れて城を脱失して来たってわけさ。どうだい俺スゲーだろ」


 夢中で自身の行動のすべてを語っていたジーオはどう俺様すごくない?と顔に書いてあるかの表情で振り返り知矢たちを見回した。


 「・・・・・・」言葉なく苦笑いを浮かべる知矢。


 「ひょっひょっひょ」と笑みを浮かべるカーネタリア。


 「お前やっぱり馬鹿だニャ」あきれ顔で一言呟くニャアラス。


 『・・・・(この子は悪いことをしましたからお仕置きが必要ですね)』と知矢の肩に乗り冷静な意見を述べるピョンピョン。


 『・・・・・・』ジーオの話に興味を示さないフェリシアは未だ無言で周囲の警戒を怠らない。




 「なんだヨ!警備の厳重な城から自力で脱出して森へ入った俺は遥か隣国の国境も難なく越えて大森林を抜けて来たんだぜ。そしてコツコツと魔力で洞窟を成形しながら森で魔物たちを使役して一大国家を作り上げた俺の手腕、・・・まあもう無いけどよ。でも凄くないか俺って!こんな力を示したんだからそれを知ったじっちゃんもきっと認めてくれるよな。そうだろおっちゃんもそう思うだろう」

自分の英雄語りでもした気になっていたジーオは周囲の反応を確かめるように見まわすもその鈍い反応とあきれたような声に反意を示し説得するようなまなざしで同意を強く求めるのであった。



 そんなジーオを連れた知矢たちは夕刻には中核商業都市ラグーンへと到着。


 「なあニャアラス。この子は他国の者だろ。やはり不法入国者ってことで拘束されるんだろうか」

 連れてきたものの処遇や今後の事をどうしたらいい物かと考えた知矢だった。しかし今回の依頼は冒険者ギルドからの正式な調査依頼でもある事なので 「ああギルド長に投げてしまえば何とかするだろう」 そう思いつつ先日来出入り観察がひじょうに厳格となった(ゲート)を守護する兵士たちの元へ近づき訳を話すのだった。



 ガチャーン!

 重い金属の扉が閉められる音が周囲の岩壁にこだました。


 「お前はしばらくここに入っているように。良いな、騒ぐんじゃないぞ。後で夕食を持ってくるからな。あっそうそうこの牢獄は特別製だから抜け出す事は叶わぬから大人しくしていてくれよ」

 兵を連れた騎士はそれ程威圧的ではない物言いであったが厳格な規則にのっとり牢屋のカギを施して牢番を残して去っていった。



 「ちょっと待てよ!!何でこうなるんだ!!!出せー!!!話が違うじゃねえか!!!!」


 ラグーン騎士団が管理する牢屋へ一人放り込まれたジーオであった。


 岩肌の強固な壁、太い金属で作られた柵、両手両足には魔力を封印する手錠、牢屋のカギは大きな錠前に加え魔力封印の魔道具により保護。

 どんな力持ちでも、どんな魔法使いでも、どんな器用な鍵開けの技士でも決して開けられない牢屋。そして極めつけは柵の外でしっかりと見張りをする兵士が2人。


 これではよほど特殊な能力者であってもそう易々と脱獄することはできないであろう。

 そんな特別待遇の別荘(牢獄)へジーオはラグーン到着後あっと言う間に収監されたのであった。




 その様子を離れた通路の先からうかがっている集団。


 「まあ、自分の国の牢屋の続きだニャ。今度は少し反省するまで入れとくニャ」


 「いやあ、しかし何だか俺がだまして連れてきたみたいになっているのがな・・・」


 『主様に瑕疵はございません。当然の待遇かと存じます』


 『・・・・(そうそうご主人様は悪くないわ、悪いのはあの子です)』


 「ヒョッヒョッヒョ」


 後味の悪い顔をしている知矢と異なり他の者たちはじーをの処遇に対し実に気楽に述べている。




 「トーヤ様。主、アンコール伯爵が館にてお待ちです。どうかご同行くださいますよう」

 知矢達一行の後背には背筋をきりりと伸ばし緊張のせいか些か顔色の悪い面持ちで控えていたラグーン第1騎士団長のモンドールがいた。 


 「ああ、そうだな。俺からも色々話をしてあいつの処遇を掛合わないとな」

 知矢はふうと息を吐き肩を些か落としながらこの後の事を思案気にモンドールを振り返って答えた。


 「その件でございますが些か厄介なお方もお待ちでして・・・・・」


 「厄介?」


 そうモンドールに聞き返した知矢であったが当モンドールは些か顔色悪い様子のまま口を閉ざし知矢をいざなうように右手を指し示しながら腰を折り頭を下げるのであった。


 「何だか知らないがまあ仕方がないか」とつぶやくと知矢は皆を連れてモンドールの指し示す先、騎士団駐屯所の外に待っている大きな魔馬車の方へ足取りも重く進んでいくのだった。







 新年初投稿の閑話はいかがであったでしょうか。正月休みのだらけた中で酒が抜けぬ頭で執筆していた物ですからいつも通り中身は薄いかと(-_-;)まあこれが浪人者クオリティーとご理解ください。


 しかし、それにしても本日2022年1月13日。今日発表の中国ウイルス新規感染者は東京都内で3000人を突破し全国でも13000人を超える事態になりました。

 2週間前にはかなり感染が抑えられていたかに思えましたがやはり年末年始の影響でしょうね。あっという間に感染場k発第6波でしょうか。異常な事態になっております。


 くれぐれも皆様お気を付けて生き抜きましょう!!



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