第210話 第2回新春特番 ~ 「閑話だニャ」
新年初更新です。
取り急ぎ
では第210話どうぞ
知矢が生まれ故郷の日本でバイク事故により亡くなってからはや2年が過ぎ、最高神の力によってここ異世界へ転移してから2度目の正月を迎えた。
正月とは称したがここ異世界の暦に正月などは無いことは当然である。
しかしここ【ギルバルト帝国】では新年と言う概念は存在し年をまたぐ、年越しと新年を祝うための祭り【新年おお市】が帝国中の都市や村々で華やかに開催されていた事の詳細は昨年の【新年おお市】の様子をお読みいただきたいが知矢が居を定めているここ中核商業都市ラグーンの大広場でも大勢の市民をはじめ貴族やその家族、日頃は難しい顔をしている屈強な兵士たちも期待に胸を膨らませ周囲と一丸となり声を張り合えながら漆黒の大空へと腕をもいいっぱい伸ばしその手の平を突き上げてカウントダウンを大声で唱和している。
「「「「「3・2・1!!!!ZERO!!!!!」」」」」
『ズバーーーーーッン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
『シュシュシュシューーー ドドーン!』
『パーン!!!!!』
「うわー!!」
年越しのメインイベントと言って良いかもしれない【マジック・ファイヤー】。
漆黒の闇が覆いつくす空へ放たれた数千人もの魔法使い達が一斉に放った魔力の光は一瞬新たな年の陽がもう昇って来たのではないかと錯覚させるほどの光で大空を埋め尽くした。
金色に輝くサンダー
太陽を顕現させたような赤白い熱を帯びたファイヤー
中には器用にも氷を発現するアイスの魔法で空にキラキラ輝くスターダストのような幻想を生み出すような魔法迄現れ一時人々は冬の寒さを忘れるようにその各々の輝きに目を奪われながら歓喜の声を上げその興奮は熱気を生み出していった。
「「「「「Alles Gute zum neuen Jahr !」」」」」」
「新年おめでとう!」
「今年もよろしく!」
「新たなる年よ!カンパーイ!」
「Prosit Neujahr」
自分の周囲にいるのが見知った者かなどとは一切構わず互いに新年を祝う言葉をかけあい持っている杯やジョッキ、ゴブレットを打ち鳴らすもの。歓喜に溢れ抱き合うものなど大広場は大盛り上がりである。
大空の熱気や輝きが瞬く間に消え失せ再び漆黒の大空を取り戻しても市民の熱気は鎮まる気配はない。そうこれからが【新年おお市】の始まりなのだから。
「さあ!市へ繰り出そうぜ!!もう腹が減ったぜ」
「それよりも掘り出し物がなくなる前に買い物だ買い物!」
「パパ!早く早く」 「こらこらそんなに慌てなくても大丈夫。夜はまだ始まったばかりだよ」
年に一度この夜しか許されない幼い子供たちの夜更かし。そんな待ちに待ったこの時に居ても立っても居られないのは当然の事だろう。
大空の漆黒が蘇ると上空にその視線を吸いつけられるようにその広場に固定されていた人々は一斉に拘束を解かれたように蠢きだした。
「ハイハイこの列は”うどん”の列ですよ。お好み焼きは隣、焼きうどんと焼きそばはその向こうの列に並んでね。もう一つの”そば”は反対側の列ですからお間違いなく」
呼び込みと列整理の男女が木板のプラカードを掲げながら大声で人々を捌いていく。
もちろん知矢の店”魔道具商店”の面々であった。
知矢の使用人たちは今年も【新年おお市】へ屋台を出し総出で料理をしながら客をさばいていた。
もっともほとんどの料理は事前に大量に作り上げマジック・バックへ収納してあるから客が押し寄せてもそれほど待つことなく目指す料理を買うことが出来る。
しかしそれでも屋台ではさらに追加の料理をどんどん作り上げているため周囲の熱気と共にかぐわしく香ばしい何とも言えない香りが周囲へと広がっていく。
「おいおいなんかすげえ良い匂いしないか」
「香辛料が効いててそれに何とも言えない甘酸っぱい香りもするな」
「よお兄ちゃん、その炒めてる紐みたいなのなんだ。【や・き・そ・ば】とか書いてあっけどよ」
香しい匂いにつられて衆目を集めたのは魔道具商店の皆々が出している屋台であった。
そこには普段見かけないような大きな鉄の板が置かれ下からの炎で鉄板に置かれた食材が熱い湯気を生み出している。
その鉄板の上で調理されているのは野菜や肉を細切りにした物と何やらひも状の物が合わせからめるように大きな鉄板の上を右に左に上下にとかき回されるたびに湯気と香りをさらに舞い上げている。
その野菜や何かを軽快に混ぜ合わせる女性は知矢の使用人ではない。知矢の配下に収まっている冒険者ボンタのひいきにしている北門にある酒場兼料理屋の主とその娘マルゲリッタである。
そうこれは、先日アンコール伯爵の厨房主、ゴロイデン氏秘伝のソースとそのレシピを入手することが出来た知矢は使用人たちの研究と試行錯誤を成果で遂に日本で使っていた【中濃ソース】の完成を見た成果の披露でもあった。
「うん・・・これ。問題ない」
試食専門の使用人?でもある元貴族でもあり日本人からの転生者サーヤがその味にお墨付きを与えた。
そのソースを持って知矢たちが再訪したのはボンタに連れられて行った食堂で食べた”炒めたうどん”。知矢やサーヤが知る日本で言うところの【塩焼きそば】を出すあの店、そう知矢を兄貴と慕う冒険者のボンタが通う北門にある食堂兼居酒屋である。
店の看板娘、マルゲリッタの母親が店で出していた【塩焼きそば】その麺は知矢のうどんとは異なりひじょうにラーメンや焼きそばの麺に類似していたことに歓喜した知矢はその麺のレシピを教えてもらう事の交換条件に店の看板メニュー炒めうどんに新たな味、ソース味を提供すると約していた。
マルゲリッタの母は知矢からの申し出に困惑し「こんなうどんのつくり方ぐらいいくらでも教える」と無償での提供を口にしてくれたが知矢に言わせると「店の看板商品の決めてでもある麺の製法を無償では忍びない」
と今回新たにソースと使用人の調理担当を伴い店を訪れたのであった。
店の調理場を借り知矢の使用人がソース焼きそばを作り出すと厨房や店内には日頃嗅いだ事もないような強烈なにおいが充満しマルゲリッタや母の鼻を刺激する。
「うわー何このにおい!たまんなーい!」
「本当にこりゃあ食欲をそそる香りだね。わくわくするよあたしゃあ」
親子は調理する光景を目の前によだれをこぼさんばかりの食いつきでその手元を食い入るように見つめていた。
「こちらで如何でしょうか」
知矢の使用人は練習をしてきたソース焼きそばを始めて身内以外の物へ提供するのに少し緊張していたようだ。
「ああ艶も良いし何よりこの香り。美味そうじゃないか」
知矢はそう言いながら受け取った平皿に山と盛られたソース焼きそばを店主親子の前へ差し出した。
「どうぞ味見をしてみてください」
そう知矢に声をかけられるとハッと正気に返ったように即フォークを慌てるようにつかんだ娘、そして一歩遅れて覚醒したのか娘に負けじとフォークを手にした母も大皿から小皿に焼きそばを取り分けると一瞬無言でソース焼きそばを見つめていた二人は覚悟を決めたように一気に焼きそばを口にしてモグモグしていった。
「「!!!」」
焼きそばを口にしながら声にならない声を出す親子は目を何倍にも見開く様に驚愕しているのは十分に見て取れる、しかもそんな様子でも皿を話すことなく大皿から次々お代わりをすると親子はあっという間に山盛りのソース焼きそばを完食してしまった。
「ぷはーっナニコレめちゃくちゃ美味しいじゃないのよ」
「・・・これを食べた後だとうちの店の炒めうどんが霞むわ」
「どうやらお気に召したようですね。どうですか麺のレシピの交換条件に足りたと思うのですが」
ソース焼きそばを完食した親子を見ながら満足げな知矢とどこかほっとした調理を担当した使用人の女性であった。
「あなたこれは足りるどころではないわ。こっちからお金を払いますからソースを売ってください、お願いします」
「そうよ母さん、こんな美味しいんだし大人気メニューになるわ。ボンタ、あんたからも兄貴さんにお願いしてよ」
興奮気味の母は知矢へと迫り娘は交際相手のボンタへと迫る。
「ちょっとちょっとそんなに興奮しなくても大丈夫ですよ。ソースはこの甕の分は無償でお譲りしますから」
知矢に迫りくる親子を押しとどめ知矢は無限倉庫から大きな素焼きの甕を取り出すと調理台の上へと置いた。
「わっ、こっ、こんなに一杯!これだけあれば来年まで使えそうね。いいのかしらこんなにたくさん」
およそ4斗樽程度(約70リットル)はあろう大きな甕であった。それを目の前にして母は嬉しい悲鳴を上げながらも困惑気味だ。
「いえいえどうぞお使いください。それに私も欲しかった麺の製法をご教授いただければ万々歳です」
そんな試食会を経てその店では”炒めうどん”を知矢の助言で名称を改め
【塩焼きそば】【ソース焼きそば】と名を定め改めてメニューへと加える事になった。
母娘の想像通りソース焼きそばは大反響の人気メニューとなりしかも知矢から具材や味のアドバイスを受けリニューアルした塩焼きそばも好評を得ていた。
今年の年越しおお市では焼きそばの屋台を出店するという話をボンタから聞いた母娘は張り切って手伝いへと名乗りを上げ知矢の使用人たちと共に屋台で腕を振るうのであった。
「あんたドンドン皿に盛って。ああっ、ほらもっと美味しそうに盛ってよ。ふっくらとね」
「解ってるっすよ、大丈夫。あっしに任せときな」
ボンタもニコニコ顔で娘たちを手伝っている。
そんな様子を少し離れた影から見ていた知矢は
(冒険者の道以外も案外あるんじゃないかあいつなら)とかふと思いながら屋台の裏の通路へ姿を消しほ次の場所を見に行った。
「はいお待ち!どんぶりが熱々だから気をつけて。好みでこのスパイスを少し振っても美味しいですよ」
こちらの屋台でもノブユキ達日本からの転生者の子孫でもある使用人たちが腕を振るっている。
「オイにーちゃんこのうどん何だか細くねえか、それにスープも随分いつもより色が薄いしよ。薄い肉も旨いが俺、かき揚げってトッピングが好きなんだがな」
ノブユキに差し出された器を受け取った中年の男はどうやらうどんの屋台の常連の様子だ。
「お客さん、うどんの屋台はあっちですよ。同じ店ですけどこの屋台は”そば”専門なんですよ。うどんも旨いですけど試しに食べてみてください。この【そば】もいけますよ!」
今日何度目の会話なのか同じ説明を繰り返して客に話すノブユキ達であった。
【そば】知矢はうどんも好きだが日本そばも好きである。ざるそばは特に好きであった。しかしこの異世界において今のところソバの実の様な植物は確認できずにいた。いつかどこかで見つかることを願っているのが現状であった。
「そば?なんじゃそれ。まあ良いかじゃあ初物ってことで頂こう」
怪訝な顔の男は訝しみながらうどんが上手いのならこれもいけるだろうと早速器を口に寄せ、余程うどんの屋台の常連と見えて器用に箸を使いスープと共に”ソバ”の麺を啜りこんでいった。
「うがっ!」麺を口にしながら少しうなり声をあげた男はそのまま次々と麺とスープを啜り書き込んでいった。
「ぷはーっ、うどんとは全く違うがこれやあ旨いな。色味は薄いがしっかりとした味とこりゃあ出汁を奢ったな。臭みもなくすっきりとしているがスープの中に旨味がたっぷりだ。それにこのそばってやつ。うどんに比べ細いがそっかりとした腰があって満足だぜ。しかも茹でた菜と薄い肉、これはボア系だな。これも薄いのにしっかりとした味がしみ込んで旨いじゃないか」
スープ迄すっかり飲み干し空になった器を返しながら男は興奮気味に捲し立てるように語るのであった。
「ありがとうございます。うどんと併せてそばも屋台を出す予定ですので御贔屓に」
オウ、と声を発して手を振りながら男は満足げに夜の都市へと機嫌よく去っていった。
「【そば】も好評なようだな」
知矢はこちらでも屋台の陰からそっと様子を見て安堵しながらその場を後にした。
「知矢さんなぜそば?ラーメンで良いのでは」
すると同じく屋台の陰からほかの使用人のバックアップをしていたサーヤが知矢と二人だけの時を見計らい声をかけた。
うん?とサーヤの方へ顔を向けた知矢は
「いや特に深い意味はないぜ。ただラーメンと言う単語が何かこの異世界に馴染まないかなと単にそんな思い付きだ。それにせっかくのこの年越しイベント、年越しと言えば”そば”だろう。ソバの実は未だ発見できないから代わりにラーメンで【年越しそば】と洒落込んだつもりなんだがな」
じゃあ他を見てくると言葉を残し知矢も暗闇に消えていった。
「・・・・・洒落?」腑に落ちない顔のままサーヤは知矢を見送るのであった。
この異世界において日本に住んでいたころの知識と記憶を唯一共有できる存在であり魔道具商店のオーナでサーヤたち使用人の主である知矢であるがサーヤは知矢と時折懐かしい地球、日本での記憶を共有し話題にするが。
「・・・・歳の差・・・・」
どうやら知矢との歳の差が感覚の違いであると納得させたようであった。
「トーヤ殿!」
通りに出ている出店の商品をちらりちらりと覗きながら歩く知矢に声がかかった。
「トーヤ殿、新たな年もどうぞ良しなにご指導のほどを願います」
知矢の目の前へ進み出た男は騎士団の軽鎧とマントに身を包み腰には剣を下げた屈強な男と同じく女が揃って軽く頭を下げながら挨拶を口にした。
「マジェンソンにジェシカじゃないか。そうか市中警備の最中だったな」
辺境伯麾下ではなく騎士伯麾下の騎士団に所属する二人は騎士団員であると同時に今は知矢を剣の師と仰ぎ指導を受けていた。
「新たな都市は昨年より穏やかに過ごしたいものだな」昨年起きた数々の出来事や事件を思い浮かべながらしみじみと知矢は口にしながら新年のあいさつを交わすのであった。
通りの人の空いた場所で挨拶ついでに会話を交わす三人であったが少し遠慮気味にもじもじとしていたジェシカが思い切る様に声を出した。
「トーヤ様、あのう・・・お嬢様・・・マリー様はお元気にしておりますでしょうか」
その言葉に知矢はじっと黙ってジェシカへ視線を向けていたがふと笑顔をみせ
「ああ頑張っているぞ。おおそうだな今日はあいつも屋台で仕事をしているぞ。その先に行った場所に出ている屋台の中で仕事をしている。顔を出しがてら食べて行ってくれ。声をかければあいつも喜び励みにもなるだろう」
知矢の言葉にジェシカは一瞬逡巡した様子を見せたが直ぐにがばっと腰を折り頭を下げると振り返って速足で知矢の指示した屋台のある方角へと突き進んでいった。
「オイ!ジェッシー待てよ。ではこれにて失礼いたします」
マジェンソンはその様子に慌てて知矢へ挨拶をすると小走りにジェシカを追いかけるのであった。
その様子を見送った知矢は再び通りの店を流し見ながら歩いて行った。
「ニーナさん」
運営本部のテントに並びラグーン冒険者ギルドの臨時本部のテントが軒を連ねて立っていた。
「あらトーヤ君。新たな年を如何お迎えですか。おめでとうございます」
テントの中で無聊を感じつつも仕事に精励し背筋をキリリと伸ばしながら椅子へ腰かけ周囲の様子を見守っていたニーナは知矢に声をかけられると笑みを称えながら椅子から立ち上がり新年の言葉を口にする。
「おめでとうございます。新年もどうぞよろしくお願いいたします。しかし今年も当番ですか、毎年大変ですね」
「ええですがこればかりは致し方ありませんね。年越しおお市は家族がある方を優先してお休みを設定していますから。おかげでこの周りにはさみしい独身者ばかりで」そう言いながら周囲を見回して苦笑いを浮かべる。
「あら主任。それはさみしい私たちへの同情ですね。良いですね主任はお相手がいらっしゃるし」
「そうそう」
周囲の同僚や部下からからかわれるニーナは「何を言っているの貴方達は。オホン、私は少し周囲を巡視してきますからここをお願いね」
慌てる様子でそう部下に命じると知矢の袖を引きながらテントを後にした。
テントからは微かな笑い声とヒューヒューと歓声が聞こえてきたがそんなことはお構いなしにニーナは知矢の手を引いて本部前から離れて行った
「ごめんなさいねトーヤ君」
しばらく小走りに歩きてから落ち着いたと見え歩を緩め知矢の隣を歩くニーナ。いまだその手は知矢の上着の袖をしっかり握ったままであった。
「いえ気にしてませんよ。それより忙しい中を声をかけて申し訳なかったみたいですね」
「ううんそんなことないわ」
二人はいつのまにか城壁へとたどり着き、互いに何も言わぬまま階段を昇り物見通路へと昇ってきた。
そこから見える景色は遠くに浮かぶ月明り頼りの光景。周囲には人の気配は疎らにしか感じ取れないが夜景スポットと言う光景ではないがそのわずかな月明りから映し出される暗闇はともすると恐ろしさを感じるはずだが祭りの賑わいと安全な都市の城壁だとそんな不安も感じない。
「また新たな年が始まりましたね」
「ええ、でもトーヤ君は去年が忙しすぎたから今年は静かな年になると良いですね」
「本当に、心からそう思いますよ」
「ふふっ、そうですね。私も母神デミレサス様へ心からそう願っておきます」
そういうとニーナは遠く暗闇の中にくっきりと浮かぶ月へ顔を向けると両手を握り目の前にかざしながら無言で祈りをささげる
。
しばしの静寂の中祈りをささげた後二人は付かず離れずという微妙な距離の中でたわいもない話を続けるていた二人であったが
「空気がひんやりしていますが澄んだ気持ちの良い夜ですね。でも冷えすぎるといけませんからそろそろ戻りましょう」
知矢はニーナを横目に見ながら素直にそう思った。
「ええでも寒さより爽快さを感じますがやはり冷えるのは良くありませんね戻りますか。
でも今夜は月が綺麗ですね ※」
「ぇつ!・・・・」
何気ないニーナの言葉に思わず息をのんだ知矢であった。
「??」知矢の少し驚くような態度を訝しみながらもトーヤに即され城壁を後にする二人。
「足元が暗いから気を付けてください」
知矢はそう言うとさっとニーナの手を軽く握り誘導する。
「っ、あっありがとうございます」微かに上ずるニーナの声しかしその手はしっかりと知矢の手を握り返している。
そしてその手を握ったまま知矢はニーナを冒険者ギルド臨時本部付近まで送って行きそこで分かれたのであった。
本部に戻ったニーナは何かからかうようなセリフを吐く部下たちの言葉など耳にも入らぬ様子で先ほどまでのぬくもりを思い出し手を慈しむように胸に抱きしめているのであった。
その頬は寒さのせいなのかほんのりと朱に染まっていたのを気が付いたものはいない。
(あぶねー。いやまさかだよな。ここは日本じゃないんだ、大丈夫大丈夫)
ニーナと別れた知矢は一人になり先ほどのニーナのセリフを思い出しながら心を落ち着かせようとしていたのであった。
※古い小説家 夏目漱石が学生に英語を教授していた時の逸話。
『I LOVE YOU の訳は 今宵は月が綺麗ですね と訳すと日本人らしいではないか』 と言ったとか言わないとかそんな話です。
話題が古くてごめんよ
改めまして
新年あけましておめでとうございます。
本年も 【老齢オヤジが死んだけど異世界でゆっくり老後をおくりたい~チートに大金ゆっくり老後、あれ俺若返ってるけど?】
をどうぞよろしくお願いいたします。m(__)m
すっかり最近は投稿期間が開いてしまい申し訳ございません。
こんな通りすがりの浪人者を支えてくださる読者の皆様。
皆様にとって今年がさらなる良い年、ご活躍のできる良い一年になりますことをお祈り申し上げます。
2022年1月 通りすがりの浪人者
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以前はあまり気にしていませんでしたが最近評価の数字や星が増える喜びを熱く感じる次第です。
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