第205話 気配 ~ 私が一刀のもとに!
2021年10月1日。
ご無沙汰いたしました、3週間ぶりの投稿です。
ではさっそく 第205話 どうぞ。
オーク。
それは豚や猪に似た2足歩行の魔獣。2足歩行である場合は人や地域で魔物(者)と称する事もあるが色々と紛らわしいのであえて魔獣と呼ぼう。
身体的にはイノシシの顔に大きな口と牙を有し体格はずんぐりしてはいるが2m程の巨体と太い腕に太い脚。その太い腕をいかんなく発揮して殴り掛かったり棒や剣、槍を振り回す攻撃が特徴だ。
そして集団生活を営む習性があり肉食で他の種族に対しては非常に凶暴である。自分たちより弱い種族に対して即集団で襲い掛かり獲物を糧とする。自然界には当然の事であるが。
そしてオークは集団の数が増えてくるとその中から進化をする個体が生まれる。先ずはオーク・リーダへ進化し、その後さらに個体数が増えるとオーク・リーダーの中からもう一段階進化する個体が生まれる。これがオーク・ジェネラルだ。
オーク・ジェネラルが数体出現するころにはオークの集団も数十体に増えているだろう。
その頃には指揮系統が生まれ数人のグループを複数形成しリーダーが統括。そのリーダーをジェネラルが指揮する。
そうなって来た時すでに魔獣といえども軍隊ともいえる巨大な戦闘集団に発展していた。
石器や木の棒等を加工して武器にしたり、ほかの魔獣の革や牙、鱗を用いた防具も出現し始める。
そしてオーク・ジェネラルの中からさらに能力の高い個体が現れ、そして進化を果たした時その個体はオークの集団を統べる王、オーク・キングとなるのであった。
オーク・キングが出現するとその集団は100をはるかに超える数を有する場合が多い。
そして一般的には森の中にその居を構えるオークは村を自然発生的に形成する。
村の様なものが出来ると平オークにもわずかな進化が見られるようになる。文化の創造だ。
ただし魔獣の生み出す文化は人族のそれとはかなり異なるが一般的な小集団のオークには見られない自身を誇ったり武具を自慢する、とってきた獲物の多寡を競うなどの事だ。
そう言った文化が芽生えたオークはさらに進化をする個体が出てくる。
創作、武具を生みだす者。住居を作りだす者。獲物を加工する者。そういった新たな文化が芽生えたオークの集団は数百以上にも増え戦いを好む個体の力も増強が見られる。
そこまで増えた集団は日頃の糧も大量になる為獲物を得ようと森中をオークが闊歩し狩を行う。
しかしやはり数百もの集団を維持するにはなまじの量の糧では賄うことができない。
よって一時は急激に増えた集団も飢えをしのぐために集団から離脱し各個に糧を得ようとする個体が現れたり集団に残ってはいるが狩や戦いが得意ではない個体は自然とその数を減らしていく。
よって一般的には精々200匹程度以上の集団は形成が難しいと考えられている。
これが森の中に住む一般的に知られたオークである。
しかし今回知矢達が偶然遭遇し追跡の結果見つけたオークの集落は洞窟に住んでいたと当初は思われた。
しかし再び訪れた洞窟の中を探索した知矢達は一般的なオークの住んでいるような環境が見られないことに困惑していた。
「だいたい変だと思ってたニャ。オークが洞窟で暮らすなんて聞いたことないニャ」
知矢たちは従魔たちが発見した隠し通路を進みながらさらに周囲を警戒しながら進む。
『・・・(私たちも森の中でしか見たことないです)』G・D・Sのピョンピョンもニャアラスの声に同調する。
もっとも念話でしか会話ができないピョンピョンの声は主である知矢と仲間の従魔フェリシアにしか伝わってはいない。
「・・・ニャっと。いよいよに追ってきたニャ。当たりかニャ」
ニャアラスは脚を止め臭いを確認するように鼻先を周囲へ向ける。
『私にも解ります。ひょっとするとこの臭いがオークのにおいでしょうか』
「俺にはまだ臭わないが二人とも流石だな。おいニャアラス。近いのか」
獣人族のニャアラス、そしてフェンリルの上位種の裑を得たフェリシアは一般の人族に比べると何倍もの嗅覚を持っているようである。
「ニャ、まだまだ先だニャ」そう言うとニャアラスは周囲を警戒しながら探索を再開した。
洞窟の隠されたわき道を歩くにつれそれまで狭かった道幅が段々広くなっていく。それに伴い天井もさらに高くなりこの様子だと再び高天井の大広間が目の前に現れる予感が知矢にはあった。
そしてものの数分も進むとやはり先ほど通った広場より広く周囲には多くの脇道へ続くとみられる穴が何本もみえる。
その中央、広間の最奥にはほかの脇道と比べると二回り以上大きな穴の入り口が見える。そしてその先にはぼんやりとした明かり迄確認できたのだ。
「この辺り迄来ると俺でもかなりきつい臭いを感じるな。そして本命はあの先の明かり辺りか。さてどうする」
知矢は広間へ出る前の岩陰に全員を集め額を寄せ合いながら小声で相談をする。
『周囲の穴をわずかに見ればやっと生活感が垣間見られます。やはりオークの住まう場所で間違いはないかと』
フェリシアは近くの脇道や洞窟を観察して報告する。
「この臭いはオーク独特のにおいだニャ。それに死臭も入り混じっているからたまらんニャ。その辺に獲物が放置されてる場所があるんだニャ」
「だがオークの存在は確認できないな。先日の時点で全てを狩り終えたとも考えられるがその先にいる奴はオークとは違うだろう」
知矢は洞窟内部へ侵入してから改めて周辺を感知レーダーで探っていた。
外部から感知する事はできなかったが中へ入るればレーダーは十分に周囲を感知できる。その上でオークの存在は検知しておらずレーダーに表示されているのはただ一つ。先に見える明かりがともる穴の中に1つだけだ。
『主様私が先陣を切り、討ちこみましょうか』フェリシアは腰の刀の柄を手刀でトントン叩きながら知矢へ確認する。
「いきなりは物騒だな。少なくとも相手を確認して敵意が有るや無しや。それを見極めてからにしよう。皆はどう思う」
知矢はフェリシアの好戦的なセリフに苦笑しつつ皆を見回しながら意見を問う。
「フェンリルの意見も捨てがたいニャ。けどやっぱり様子を覗いてからにするかニャ」
知矢に同意するニャアラスであるが本心では自分もいきなり突撃して槍を突きつけたそうではある。
「カーネタリア様はどう思いますか」
「わしはトーヤ、お前さんに従おう」
老人はその先にいると思われる者が自分の想像通りの者であると確信していた。ならばむやみにこちらから攻撃的に行くことの無い知矢の考えに同意した。
(この魔力の感じは間違いなかろう)
それは老人が洞窟の外で状況から推測した考えが想像通り魔族であると確信をもっていたからである。老人は相手の発する魔力を感じることでそれが如何なる者かを知る力を持っていた。それにはるか昔とは言え一時期住まい、そして後年も交流を絶やさなかった魔族と言う一族が纏う特有の魔力の波動をはっきりと覚えているからだ。
「カーネタリア様ありがとうございます。ピョンピョンもそれで良いか」
『・・・(了解です)』G・D・Sの従魔は元気よく前脚を振って答えそしてピョンと知矢の肩へ乗るのだった。
「よしじゃあ行こう。ゆっくりそして静かにな」そう言うと知矢は先頭で静かに歩き出した。
その歩みは武人独特の歩であった為足音はほとんど無いに等しかった。知矢以外の仲間も知矢同様足音をさせる事も無く静かに先に見える明かりを目指し進んでいった。
知矢の感知レーダーには相変わらず表示は一つだけ。こちらに気が付いて動き出すような動きは見られない。
大広間のような巨大な空間の先に見える目的の洞窟の入り口が数メートルに迫った時、知矢は一度立ち止まり無言のままニャアラスとフェリシアに合図を送り左右に分かれて入り口の両側から接近する事にした。
猫獣人族のニャアラスは全く足音もさせずに歩みを進める。そして今は人化の魔法で人の姿になっているフェリシアも同様だ。
さすがSランク冒険者。老人も独特の歩行があるのか音以上に気配もなく知矢の後方を付いてきている。
(さてどうしたものかのう)
知矢は目的の穴を前に中の様子を感じ取っていたが中にいるものが何者かは解らないがその身から漏れ出す強靭な力の片りん。強い魔力はひしひしと伝わってきている。
いきなりの遭遇戦になるのかそれとも互いに話ができる存在であるのか。それすら知矢にはわからないが他の者。特にSランクの老人が過剰に構える様子も無いことから推察するに大丈夫なのであろうと漠然と理解していた。
事実知矢も強い大きな魔力を感じてはいたが恐怖や不安を覚えることもなく冒険者と言う以前に転移前から培っていた物がそう感じさせているのだった。
(ちょっと待て)周囲にいる皆にそう手振りで合図を送ると知矢は一人そっともう一歩を踏み出し小さな洞窟の中を覗き見た。
その瞬間
強い殺気と共に何かが発せられた事を感じた知矢は瞬時に身を引き洞窟の岩壁にその身を隠した。
がつーん、キ-ンという岩に何かが当たった衝撃音と金属音が響く。
知矢をはじめ一行が一気に気を高め各自の得物を握る手に力を籠める。フェリシアは即魔力を込めいつでも発動できる体制だ。
「待て」知矢は声に出し中にいる何者かと自身の仲間へ同時に伝えた。
「何が待てだこのコソ泥が!串刺ししてやるから出てこいこの野郎」
聞こえてきたのは洞窟の中の者から発せられた怒気を込めたものだ。
その声は間違いなく人族の言葉であり若い元気な声だ。
「俺たちはコソ泥ではない。この洞窟の調査に冒険者ギルドから依頼されて来たただの冒険者だ」
知矢は未だ岩壁にその身を寄せながら中の者へどうにか攻撃の意思が無いことを解ってもらおうと試みる。
「冒険者?・・・それならギルド証を持ってるだろこっちへほうれ。余計な真似すんなよそん時は俺の槍が容赦しねえぞ」
周囲を見回し目で合図を送るとニャアラスやかの老人は黙って頷いた。そこで知矢は無限倉庫に収納してあった自身の冒険者ギルドカードを出すと
(ピョンピョン、拘束できるか)と無言で従魔へ念話を送る。
すると従魔は黙って片手をあげいつでも良いようだ。
「ああわかった。今からそっちへ俺のカードを投げるから受け取ってよく確認してくれ。でもなくしたり壊したりしないでくれよな」
そう言うと知矢は軽く手裏剣のようにカードをシュっと回転させながら洞窟の中の声のする方を狙って投げた。
「おわっつた。いきなり投げるなこの野郎」
中で慌ててカードを探しながら拾い上げる様な気配がした。
するとG・D・Sがシュッと知矢の肩から音もなく飛び立ち単身、洞窟の中へ突入していった。
「えっ? ワッ!G・D・S、この野郎どこにいやがった。うわーー!」
若い男の驚きと叫び声を聞いた知矢はつかさず手裏剣を数本手にし穴へと突入した。
刀を抜刀したフェリシアや短槍を持ったニャアラスもそれに続く。
「この野郎だましやがった、おいこの蜘蛛めやめろこら」
そこに見えた光景は既にG・D・Sの糸でがんじがらめにされた塊が必死に蠢く光景であった。
言い訳がましいですが仕事が詰まっておりなかなか執筆が進みませんでした。
今日は台風接近に伴い業務を大幅縮小と自宅待機とのことで会社のデスクには私一人w。
ゆっくりと執筆いたしておりました。
さてさて本日をもって何回目だかの緊急事態宣言が解除されました。まだまだ予断は許しません。
中国ウイルス終息に向けて皆様もご注意を。
とか言いながら明後日は WitheMe 主催のHIZASURI-CAMP へ再度参加。
いつものH2SXSE+ではなく今回はNinja650にて参戦します。
上手くできるかな~
ではまた次話にて。




