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第204話 探索・探検・発見 ~ 「(-_-;)あああ何と答えれば良いのじゃああ」

こんにちは。今日は2021年9月12日、日曜日です。

午前中外出しておりましたが帰宅後に書き上げました。

では第204話 どうぞ。





中核商業都市ラグーンでは今、この都市周辺を帝国皇帝より委任され治めている管理貴族アンコール伯爵が緊張の面持ちで上司である辺境伯との対面中だ。



 「伯爵よ、頭を上げ席に着くが良いだろう。話はそれからだ」

 バスラム辺境伯は歳に似合わぬ鋭い視線をアンコールへ向けるが、その口元はにやりと口角をあげつつアンコールを睥睨していた。



 バスラムの言葉に一瞬事態がつかめなかったアンコールであったがそこは長く貴族の世界で高位貴族と呼ばれてきたわけではない。

まさか 「へ?」 などと間抜けな声を上げる事無く、真意は解らなかったが上司である辺境伯の言葉に(だく)と従いゆっくり立ち上がると応接の間に鎮座(ちんざ)する下座のソファーへ腰を下ろしわずかに頭を垂らしながら上目使いに黙ってバスラムを見つめながら言葉を待つ。



 「そう固くなることは無い、安心めされよ。


 皇帝陛下は伯爵がこの地域を治める手腕を高く評価されている。先日もわしを呼んでいたく感心していた。

 ここしばらく伯爵にとっては苦難の出来事が続いていたかもしれん、がそれをも見事な手腕で乗り切っているではないか。


 特に最近はこの都市で若い冒険者、何と言ったか。そうそうトモヤ・ツカダと言ったな、かのAランク冒険者が伯爵の下で次々に挙げた功績を陛下は大いに称賛(しょうさん)しておいでだ」


 そう捲し立てるように語るバスラム言葉に違和感を覚えたアンコールは

 (そうかトーヤ殿の件であったか。トーヤ殿の事が伝わり辺境伯が欲したか。しかしそうは行かんぞ)

 それに気が付いても黙って上司の言葉を聞いているアンコールであった。



 「しかし、伯爵よ」

 しばらく知矢の功績を称えるようなセリフが続いていたがふと言葉を切る。


 「ははっ、何でございましょう」


 「そのツカダと名乗る冒険者は何者である。先だっての皇帝陛下からの褒章を授与する前に貴公から届いた報告では 『人物に問題、瑕疵なし』とあった。それに家名を持っているようだがこの”ツカダ”という家はどの地方、どこの国の家名であるのかそちは解っておるのか。


 まさか敵国の貴族という事はあるまいな。まあ貴族であったとしてこの帝国で冒険者をしさらには商売も成しているのであれば祖国は捨てていると見るべきか。その辺を踏まえ伯爵が知りえる事を教えてほしい。

 ああこれはわしの考えではないぞ。

 恐れ多くも皇帝陛下からのご下命だ。そこをはき違えんようにな。

 で、どうなのだ」



 バスラム辺境伯は皇帝の意を受けた話だと念を押しアンコールへ知矢の情報を開示するように迫る。



 確かに帝国皇帝に命じられたバスラムであったが個人的にも先だって実の息子でもあるラグーン冒険者ギルド長のガインの願いもあり不良準男爵を始末するのに手を貸した際、知矢と顔を合わせていた。


 その際、バスラムと知矢の間に目には見えず、他者には察せられない殺気の応酬があったが知矢はそれを真っ向から受けることなくさらりと躱していた。

 それだけでは大した興味を覚えなかったバスラムであったがその後の活躍を知り初めて出会った時の事を思い出したのであった。


 (ただの冒険者では無いとは思ったが異質さが際立っておる。悪しき者とは思わぬが・・・)


 皇帝の勅命を受けラグーンへ赴きながら配下の者へ情報の入手を指示したが得られた情報は今まで聞き及んでいたこととそう変わりは無かった。

 変わりはなかったがどう考えても一介の若い冒険者の行動とはあまりにもかけ放れており、しかも若さゆえの強欲と言うのも感じられない。

 どちらかと言うと、長き人生を歩んできた者がたどり着く達観した物の見方と他者への気遣いをもうかがわせる。


 かと言って落ち着いた老練な行動と言うより若い者独特の短慮や突拍子もない行動も垣間見、それでもその結果は他者の追従を許さない今までに無い新たなものを生み出す等ちぐはぐさも感じる。


 (ひょっとして、かの若い冒険者を隠れ蓑にし実のところ裏で操る者がいるのではないか。アンコール、いやあやつはそう言った新たな物の考えができる者ではない。良い意味でよくいる歴史ある貴族だ。だとすると・・・)


 バスラム辺境伯が数日魔馬車で揺られながら多くの可能性を考えそして破棄していった。結局のところ彼の思考条件に合う答えは見出す事が出来ないままラグーンへと到着したのであった。





 (さてトーヤ殿。ワシは目の前のお方にどう返答するのがトーヤ殿にとって最良なのであろうか)

 アンコールは必死に最良の答えを導き出さねばと思考すのだった。




             (作者も必死に思案中である・・・)






 ********************************




 ところ変わって、ラグーン郊外の洞窟の中。



 知矢を先頭に一行は魔道具の明かりで照らされた洞窟内をゆっくりと進んでいた。

 今のところほとんど脇道や枝道も見受けられず、トラップや襲撃者と遭遇することもなく進んでいた。

 今は入り口から500m程入ったあたりだ。

 洞窟の中はごつごつとした岩の壁と比較的歩きやすい石の床でできていた。天井は高いところでは5m程であるが時折2m前後の窮屈な場所もあるが移動には差支えは無い。

 通路はゆっくりと下っていた。


 「今のところ何も感じないし、静かなものだが」

 知矢が小声で話す。

 

 「匂いも思ったほどひどく無いニャ」


 たまに通路が大きく広がり部屋のような窪みも見かけるがオークたちが生活していた様子が見受けられるが不思議と耐えられないほどの異臭を放つ場は見られなかった。



 「トーヤ、ニャンか変な洞窟ニャ。魔物たち住んでいたにしては綺麗すぎるニャ。オークがあれだけの数いたんだから普通もっとひどい匂いもするし獲物の残骸やなんや有るはずニャ」


 「風の流れが良いからじゃないのか」


 「ウンニャ、あいつらの染みついた臭いは空気の流れでこんなに綺麗にはならないニャ」


 知矢とニャアラスは意見を交わしながら周囲を観察するが何も発見できないことから答えを導き出せずにいる。


 さらに進むと大きな広場に出た。天井も高く周囲には多くの窪みがありその先に何本かの通路も確認できた。

 その高い天井の一部はさらに上方へと伸び恐らくそれが通気口であると思われる。

 通路はまだ奥に続いていた。



 「周囲に気配も何もなしか・・・」

 知矢は感知レーダーで探るも何も発見できない。


 『主様、しばしこちらでお待ちください。ピョンさんと脇の通路を探ってまいります』

 そうフェリシアが進言する。そのフェリシアの肩にはすでにG・(ゴールデン)D・(デス)S(スパイダー)の従魔が乗り片手を振っていた。


 「そうだな、じゃあ二人に頼もう。危険はなさそうだが注意してくれ。あと奥が深いようなら一度戻って相談しよう」


 知矢の言葉にうなずいたフェリシアと手を振るピョンピョンは仲良く窪み奥に進む通路の探索に出た。

 その2人を見送った知矢は

 「カーネタリア様、どう思われますか。ニャアラスの言う通りやはり異質な洞窟なのでしょうか」


 「うむー。確かにのう。こやつの言う通りオークが住んでいたにしては綺麗すぎるわい。それに100を超えるオークやオーク・キング迄おったというのに生活感がなさすぎじゃ。まるで別の洞窟へ来たような印象だわいヒョッヒョッヒョ」



 「別の洞窟・・・・」知矢はその言葉に思案する。


 「ニャア、カーネタリア様。俺たちは間違って別のところを探索しているって言うのかニャ。それはニャイニャイ」


 「ヒョッヒョッヒョ、わかっておる。確かに入り口の表にはオークとの戦いの痕跡もあったしのう。しかしそれにしても異質じゃて」

 Sランク冒険者として長く多様な経験をしてきたはずの老人でもこの状況を異質と言い何か得体のしれない感覚を持ったようではあるがそれが何かをすぐに説明できなかった。


 二人の従魔が脇の通路を探っている間知矢たちは今いる広い空間に何か変わった様子はないかを手分けしながら見て回る。


 「本当に何もないニャ」


 「ああ、とってきた獲物の残りや持ち出していない武具の残りでもありそうなものだがな」


 「隠し通路でもあるかニャ。ニャアあいつらそこ迄賢くないからそれはニャイな」


 そう話しながらニャアラスはごつごつとした岩の壁を手槍の底で突いてみたり知矢は無限倉庫から取り出したハンマーで叩いてみたが特に収穫は無い。


 知矢たちと少し離れた場所で同じように周囲を観察していた老人は二人とは異なり手にぼんやりとした光を纏い何かしらの魔力を込めて探っているようだ。

 (ここはちょっとすると・・・)


 何かを思いついた様子の老人は知矢たちを振り返り声をかけようとした。


 そこに

 『主様』

 肩にG・(ゴールデン)D・(デス)S(スパイダー)の従魔を乗せたフェリシアが脇の通路から戻ってきたところだ。


 「おお、早かったな。何か見つかったか」


 『・・・(行き止まりですけど先に道があります)』


 『隠し通路と言ったところでしょうか。念のため手を付けておりませんが大岩の向こう側に行けそうな、岩をずった形跡があります』


 二人の従魔が報告する。


 その報告を聞き三人は従魔に従い脇の通路へ進んでみた。


 通路は幅は3mも無いが天井までの高さは数メートルある縦長の通路だ。

 わずかに湾曲する通路を50mも進むと行き止まりの岩壁が見て取れる。


 『・・・(この大岩の下が何度もこすった跡があります)』

 ピョンピョンはフェリシアの肩からぴょんと音もなく飛び降りるとその岩肌の床を指し示す。


 「確かにそう見えるな。引けば開くのか」

 知矢は光の魔道具で床や岩壁の周囲を照らしながらスイッチでも無いのかと探してみる。


 「手前に引くにも手が欠けられないニャ」ニャアラスも岩を手探りで確認しているが取っ手になりそうな場所は見受けられない。


 「だが確かにドアを引くような跡が床についているんだから」

 知矢は今度は無限倉庫から苦無の様な厚手の刃物を取り出し岩の隙間に差し込みながらてこの原理で開かないか試しだす。しかし苦無の刃先が痛むだけで開く気配も見えない。


 「ニャア、トーヤ土魔法を最近練習してたニャ。土魔法で岩壁を崩せないかニャ」


 「土魔魔法か、まあ最近練習してて土壁は作れるようになったが、岩壁を崩すのか。やってみるか」

 知矢はニャアラスの思い付きを実行してみる。


 皆を後背へ避難させると知矢は岩壁に手の平をあてがい魔力を練った。手の平から徐々に魔力光が岩壁の周囲へ拡散するように染み込む様子を見た知矢は 『解体(ブレイク)』と魔法を行使した。


 一瞬知矢の手に帯びていた魔法の光が強く輝くとすぐに光が収まる。


 「ニャンも変わらないニャ」

 ニャアラスは知矢が魔力を行使したあたりをコンコン(こぶし)で叩いてみたが変化は見受けられなかった。


 「すまん。俺はまだまだ未熟なようだ。カーネタリア様どう思われますか。カーネタリア様は土魔法も習得されていましたよね」

 自分の魔法では困難だと確認した知矢はSランク冒険者でもあり多くの魔法を習得している老人へ尋ねた。

 

 「ヒョッヒョッヒョ。トーヤよこれはワシの土魔法でもびくともせんじゃろ。じゃがこれならどうかの」

 老人はそう言うと知矢と場所を代わり別の手を試すようだ。


 『開錠(アン・ロック)


 老人が魔法を唱えるとそれまでびくともしなかった岩壁はその周囲をわずかに広く発光させるとゴゴゴゴゴ、と岩をこする音と共にて前へとゆっくり開くのだった。


 「ニャア!開いたニャ!」


 「開錠、扉の鍵を魔法で開けるっていう事か。さすがカーネタリア様、よくわかりましたね。でもどうして」


 驚く様子の知矢とニャアラスは老人へ目を向ける。


 「ヒャッヒャッヒャ。先ほどの広間で岩壁を探っておってな。ひょっとするとここは自然の洞窟では無いのではと思ったのじゃ」


 「「自然にできた洞窟じゃない?(ニャイ?)」」


 「さよう。これは人工の洞窟じゃな。ダンジョンとも異なり人が魔力で作り御出した洞窟という事じゃ。じゃから岩壁などもわずかに魔力を帯びておる。これは 洞窟を補強する【強化】の魔法がかけられておるからじゃろ」


 「ではピョンピョンが作った防壁を壊したものがこの洞窟を作り出し、その者がこの先にいると言う事でしょうか」


 「そう考える。さらに言えばその者がオーク達を統制し言わば兵士として使っていたのかもしれないのう」


 老人は知矢たちが想像もしなかった事に考えを進めていた。


 『ではその者が先のオークやオーク・キングを生み出したとお考えでしょうかご老人』

 フェリシアも話に加わる。


 「ヒョッヒョッヒョ。そこまでは解らん。しかしそれは無かろう。森でオークを見つけそうさのう、力か魔法かその両方かをもって従わせていたと考えるほうが現実的かのう」


 老人はそう答えた。


 老人の言う魔法で従わせる、もしくは力と両方。その意味はこの先にいるであろう者は【従魔契約魔法】もしくは魔獣と戦い、力を示したうえで強制的に従わせる魔法【従属(テイム)】を用いたのではないかと推測を披露した。



 【従魔契約魔法】【従属(テイム)】この二つは一見同じように見受けられるが魔獣側の受け取り方では全く異なる。


 【従魔契約魔法】は獣使いの特力(スキル)を持つものと魔獣の間に自動的に行使される魔法だ。

 魔獣がその相手を主となる者が従う者にとってどれだけ魅力的か、従うだけの価値があるか、従いたくなるか。そういった気持ちを強く持たせることが出来るかが(キー)となり発動するものだ。


 【従属(テイム)】は逆に魔獣の意思を力でねじ伏せ強制的に従わせる魔法と言った方がいいだろう。

 相対した魔獣と獣使い。戦いの末魔獣側が 『このものには勝てぬ』と戦意を失った後に従属させる魔法、【従属(テイム)】を行使することで従わせるものだ。


 両方の違いは自ら望むか強制されるかであり魔獣側の気持ちとしては全く違うものだった。


 知矢の従魔は勿論前者の【従魔契約魔法】でありG・(ゴールデン)D・(デス)S(スパイダー)のピョンピョンは自ら仲間になりたくて従った。

 フェンリルの特殊個体であるフェリシアは自ら望み最高神へ熱望し知矢の元へはせ参じたのであるから当然のことである。



 「じゃあそいつはオークをテイムして何をしてたんだニャ?」


 「さてのう、ヒョッヒョッヒョ」

 日頃あまり言葉数が多くないこの老人は一通りの考えを話すと再びいつものとぼけた要すと口調へ戻っていた。


 「よし、ともかくそれも含めてその相手を見つけて訊ねれば解ることだ。探索を進めよう」



 ただの洞窟ではない事だけは解ったが未だ何も結論を導き出すことはできていない。

 知矢は皆に声をかけ再び探索を進めるべく岩壁が開いた先への進行を口にしたのであった。



 

 今朝は6時過ぎに起床しあいにくの曇り空ではありましたが久しぶりに降雨ではないので思い切ってバイクで出かけてまいりました。

 緊急事態宣言下ですので店に等はよらず道の駅で自販機のコーヒーを飲みながら煙草を吸うだけ。

 ですが久しぶりに峠を駆けると気分が良いですね。

 昨日迄の仕事でだいぶストレスが溜まってましたが気分一新出来ました。


 皆さんも自粛自粛で気鬱にならないようご注意ください。


 では次話にて。




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