第203話 魔王襲来? ~『・・・(怒!!)』
こんばんは
第203話を投稿いたします。どうぞお読みください。
昨日知矢たちが偶然遭遇したオーク。
そのオークたちを秘かに追跡し住処を特定し群れが巨大になり使途人へ被害が及ぶ前にとせん滅を決めた。
しかしオーク・リーダーやオーク・ジェネラルなど進化したオークを狩った後、突如最後に現れたのがまさかのオーク・キングであった。
オーク・キングを辛くも討伐し都市へ帰還した一行であったが夜に開催したオーク討伐を祝う宴へ突如姿を現したラグーン冒険者ギルド長のガインの命で残った素材をギルドへ供出することとなった。
翌日ギルドにてオーク・キングの素材を目にした専門職員からまだオークが住居にしていた洞窟に何か残っているのではとの指摘で急遽ガインからの指名依頼を受けた一行が先日の戦いの場でもあった洞窟へと再度訪れた。
そこには容易に人などが入り込まないよう、もしくは中に何かが残っていて逃げ出さないようにと知矢の従魔G・D・Sのピョンピョンによって展開された蜘蛛の防壁が見るも無残に破壊されていた跡が発見されたのだった。
(聖魔法をこれほど粉々にする・・・まさかのう。いやそれが妥当か。じゃが・・・・)
カーネタリア老人はG・D・Sの聖魔法蜘蛛の防壁の残滓を手に取りながら思考する。
「カーネタリア様。何か解ったかニャ?」
ニャアラスが背後から声をかけるが老人は思考に没頭しているのか地面に膝をついたまま黙ってその残滓を手に見つめ未だ考えているのか応えない。
『主様』その様子を知矢と並び黙って見守っていたもう一人の従魔フェリシアがそっと知矢へ声をかける。
「うん?どうしたフェリシア」
『実は、思い浮かんだ事がございます。ですが私の知識はかの老人から得られたもので自身の記憶と異なるのですが』
フェリシアはそう前置きをし最高神に新たな裑を与えられたと同時に魔法に関する知識も得ていた事を話し出した。
「つまりこのピョンピョンの作り出した蜘蛛の防壁をここまで無残にも破壊できるのは」
『はい、私に与えられた知識では聖魔法に真っ向から対抗できる魔法を持つ種族。魔族の行使する魔法に依るものだとなっております』
魔族(魔人とも呼ばれる)。それは知矢たちの住む帝国領から大森林を超えた遥か先の山々が連なる先にある最高神を崇める一神教を国教とし国家元首も【神聖教】の教皇が務める宗教国家からさらに北へ広がる大森林を超えた先にある種族たちの総称である。
帝国上層部や高位貴族、大商会等であればその存在を知っているものも多いが一般市民にはほとんど知られることの無い国家である。
これは基本的には距離的な問題で歴史上も殆ど交流の無いのが主な原因でもあったが帝国やその他の小国家がそれについてあえて触れようとしない事情もあった。
その魔族、魔人を束ね国家を代表するのが ”魔王”と呼ばれる国家元首である。その国の名を”魔王国”と言う。
魔王は血でなるものではない。全国民の中で一番強い物が選ばれるそれが ”魔王”であった。
魔王を頂点とした魔族の国に住む者の多くが知矢達の感覚で言う異形な外見でその多くは魔族の象徴として何かしらの”角”を頭部に持つのが最大の特徴だ。
角の本数や形状はそれぞれ異なるが角を持つ者に押しなべて言えることは ”膨大な魔力”そして ”強靭な肉体”を兼ね備えていることだ。
魔族の住む地域は広大である。
しかしその都市や街の間には大森林の領域が広がり当然のことだがその森には巨大な魔物や魔獣が当然のごとく住んでいる。
しかしそれらの魔獣を当然のように狩り捕食、時には従える力と能力を備えているのも魔族の力であった。
そんな彼らの行使する魔法はさらに独特の魔法であり、国教である”魔神教”の魔神に与えられたとされる魔神魔法ともいわれる。
詳細は割愛するがこの魔人魔法も知矢たち人族が使用する魔法、そしてカーネタリア老人の住んでいた神聖教国の魔法も体系的には同じようなものであった。
癒しを与える魔法、攻撃をする魔法、守りを施す魔法、身近な生活に寄与する魔法。それらの魔法は国家体系が異なり遠い種族であっても似たようなものである。
しかしその魔法の成り立ちや拠り所が異なる為、性質も必然的に異なる。
神聖教国の魔法は崇める最高神の加護によりもたらせられる神聖魔法と呼ばれている。
魔王国では崇める神は”魔神”でありやはりその魔法も魔神の加護によりもたらされる力だと言われていた。
帝国やその他の国々に広く広がる魔法の体系はまた別であり各国、各地方、その他多くの根源魔法が長い歴史の中で融和と離別、改良と発案により編み出された魔法が多い為、特定の神により与えられた力とはされていない。
しかし多くの者は ”大地母神デミレサス”よりの加護から得られている魔力であると認識していた。
そう言った魔法体形の中で奇妙なパワーバランスが生まれたのは神の世界における何かなのであろうか。
大地母神の魔法は最高神の魔法と相性が悪く、最高神の魔法は魔人の魔法と相性が悪い。そして魔人の魔法は大地母神の魔法を苦手とする。
言い換えるならば三すくみの相関関係が形成されていた。
そして知矢の従魔であるG・D・Sのピョンピョンの一族は最高神の加護から得られる神聖魔法を主体とした魔法であった。これはカーネタリア老人の魔法と根源は同一であるが種族的な関係なのかそれとも発達の歴史の違いであるのか細かい体形は異なる。
しかし相性は魔人の加護を得ている魔法に対して悪いのは共通の事であった。
しかし、魔法の相性の良し悪しで国家間の交流が無かったわけではない。
基本的に魔族、魔人と呼ばれる魔王国の者は国外に出る事が少ない。これは単に出る必要が無いというのがもっともな理由である。
強靭な肉体と膨大な魔力を有しながら彼らは実に友好的であり他民族他国に対して好戦的な風潮を持たない。 長く自分たちの一族が住み、支配してきた範囲を拡大させようとか隣国を支配下に置こうなど考えることは無かった。 それが民族性なのか強者たる余裕なのかは不明だがともかく長い歴史の中で他領域への侵略は一度としてない。
物質的には周囲を大森林に囲まれ豊富な食料と一年を通して温暖な気候。大きな山々と広い平地を兼ね備え大河や多くの河川も有する地形には作物を安定的に生産できる十分な条件も整っている。
しかも連なる山々には鉱物資源も多くさらには国中に何か所もあるダンジョンから得られる数々の物資や希少な資源や魔結晶などを採取できるとなればやはり遠くの国へ態々行く必要もないのであった。
国家間の頻繁な交流は大森林に阻まれほとんど行われていないが希少な物を商取引にて流通させ莫大な富を強く願う商人などは定期的に行き来していた。
その中で魔王国に居を構えたり店を持った人族なども多くいるので民間レベルでの交流は想像以上に活発であるのだった。
そう言った事から特に帝国以南では一般国民のほとんどにはその存在を知られていない。
勿論、冒険者ギルドや商業ギルドなどの職員は情報として知っている。商業ギルドは商人を通じての物資と情報の恩恵僅かながら受けているので当然である。
そして冒険者ギルドは魔王国にも支部が存在する為その存在は知っているもののこの数十年はほとんど直接の交流はない。唯一神聖教国を経て情報が漏れ伝わる程度だがそれすらも神聖教国自体が遠くさらに情報の伝達や交流が少ない理由になっていた。
「するとフェリシアが言う通りだとするとこのピョンピョンの防壁を破ったのは”魔神魔法”の使い手だと言うのか」
『私の知りうる知識の上ではその可能性が高いと考えます』
フェリシアはそう知矢へと答えるが最高神に与えられた知識上の事であり自ら得た事柄ではないため些か歯切れが悪い。
「ニャア魔人魔法や魔人の国なんておとぎ話だニャ。魔神なんて神様聞いたこともないニャ」
ニャアラスはあきれるように子供の物語だと断言する。
「そうなのかニャアラス。俺はこの国やほかの国の事に疎いからな」
『かの老人からの情報では遥か北の山々の先にある神聖教国よりさらに森を超えた先にある魔法大国であると』 フェリシアは再び最高神から与えられた知識をもとにその国の存在を具体的に示した。
「ニャアそうなのか? カーネタリア様は知っているかニャ」
「・・・ああ知っているとも。遠い昔には暫く魔族の国、魔王国に住んでいたこともある」
老人は答えたがその様子はいつものシワクチャ顔で笑みを浮かべた物ではない。真剣な顔にも見える。
「ニャア!物語の話じゃないのかニャ!」
「ではカーネタリア様。先ほどフェリシアが言っていたこのピョンピョンが作り出した防壁を破壊したのが魔族の者もしくは魔神魔法であるとの推測はどう思われますか」
「・・・・・そうさのう・・・・状況的に正鵠を射ておる。
魔族が現れ、神聖魔法を解除、いやこの場合は破壊と言った方が適切かのう。それはともかく魔神魔法でなされた行為である事は確かじゃろ」
いつもの笑みをたたえた軽口が消え真剣な目つきで知矢を見る老人。 知矢は初めて見た老人の真剣なまなざしに
(どちらかと言うとこっちが素なのかもしれんな) と感じた。
「カーネタリア様。という事はG・D・Sの聖なる魔法防壁を壊した奴はどこかニャ。この洞窟の中ニャ?」
『・・・(私の蜘蛛の防壁を壊した奴がいるのね!ご主人様早く捕まえて文句を言いましょう)』
ピョンピョンは怒りの念を発して両手を盛んに振り知矢へアピールする。
「まあまてピョンピョン。カーネタリア様はどう思いますか。相手の事を何一つわからない状態で洞窟を探索するのは危険でしょう」
「・・・うむー、そうさのう。未知の相手を未踏の洞窟内で探す、もし戦いになると危険は伴うが」
歯切れの悪そうな老人であった。
「ニャア、このメンツなら何が来ようが大丈夫ニャ」
そう言いながらニャアラスは背負っていた槍を手にするとビュンビュンと頭上で振り回し準備運動を始めた。
『主様ご友人の申す通りご懸念は無いと思われます。主様はもとより、我ら従魔もそれなりの戦力と考えて差し支えないかと。そしてご友人の腕も確か。更には今回こちらのご老体が同行されております故、戦力に不足することは無いと思われます』
知矢の従魔フェリシアもやる気満々で手にしていた弓を背に戻し腰の刀の束を拳でコンコンと鳴らし如何にも戦いに飢えた剣士の様である。
知矢はニャアラスはともかくとして、二人の従魔がやる気に満ちしかも血気盛んな様子を見て (おいおいいつからお前たちはそんな好戦的になったんだ)
と今にも洞窟へ駆け入りそうな二人を宥める。
「カーネタリア様。皆はこう言っていますがどう思いますか。私はこのまま放置するのは論外とは思いますがいきなり突入するより一度冒険者ギルドへ連絡して体制を整えるのも手だと思いますが」
「ニャアトーヤは慎重だニャ。問題ないニャ」
「そうさのう。確かにこのメンバーでなら何に出くわそうが問題は無いであろう。
冒険者ギルドへ通報し騒動が大きくなる前に何者が防壁を墓石洞窟へ侵入したかを確認すると言うのも一つの方針じゃな」
(もし本当に魔族の者が迷い、この地迄来たというなら・・・保護が必要かのう。騒ぎが大きくなり前に)
老人は魔族、魔王国の者がなぜこのような場所にと思いながら日頃、帝国周辺に現れることの無い者が騒ぎや争いに巻き込まれることを心配していた。
この周辺に住まうものに比べ遥かに大きい力を持ち膨大な魔力を有するものが迷い込み争いにでもなれば普通の人族など赤子の手をひねるよりも簡単にのされてしまうであろうことは老人の想像の前である。
「解りました。カーネタリア様を始め、皆がそう言うなら当初の予定通り洞窟の探索と併せて防壁を壊した者の確認をしよう」
知矢はそう決断すると「ピョンピョン。間違って誰かが侵入しないよう念のため全員が入ったらスパイダーネットを張っておいてくれ」
「ニャア?防壁じゃないニャ?」
「聖なる防壁を張ってもしも急ぎ誰かが出たいとなった場合俺やお前では防壁をやすやすとは破壊できないだろう。まあもしもの用心だ。ピョンピョン頼む」
『・・・(了解しました)』元気に手を振る従魔は一行が全員洞窟の入り口から中へ入るのを確認すると即座に入り口を通常のクモの糸で封鎖した。
「じゃあ行きましょうか。先頭は俺が進もう。ニャアラスは少し間をおいて次を頼む。カーネタリア様はその次を。フェリシアは殿を頼む」
全員の了解を受け方にピョンピョンを乗せた知矢は生活魔法の”ライト”を付与した光の魔道具を無限倉庫から次々に取り出すと全員へ渡した。
「ひゃあ、これは便利だニャ」革ひもで頭部へ固定した魔道具を周囲に向けてニャアラスは喜んでいた。
すると
『Guruguruguru』獣の声がする。
「いかん忘れておったわい。済まんがお前さんはそこで待って居ってくれ。やはりその大きさでは入り口が狭すぎるからのう」
老人は騎獣として同行させてきたギガント・ポメラニオンが洞窟の外で甘えるようなうなり声をあげたのを聞きつけ入口へ取って返して命じた。
『Gyugyaaa・・・・』残念そうに俯いた騎獣は諦めたように洞窟の入り口へ背を向け香箱すわりを始めた。
「あいつがいれば入り口をふさがなくても良かったニャ」
「ああ確かにそうだった」
ギガント・ポメラニオンを宥めつつ一行は知矢を先頭に未知の洞窟へと侵入を開始した。
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「これはこれは閣下、ようお越しくださりました。歓迎いたしますぞ」
ところ変わって中核商業都市ラグーンや周辺域の行政・刑事を担うアンコール伯爵の住まうラグーン城。
今日はアンコール伯爵の上司が先ぶれは有ったものの事前の予定もない訪問に何事かと心中動揺を隠しきれないアンコール伯爵が玄関前でモンドールを初めとする配下の騎士団と多くの使用人たちがが居並びその上司の到着を歓迎した。
華美な装飾は無いがしっかりとした造りの4頭たての魔馬車から降り立ったのは
【 帝国北部方面辺境伯 】のバムラス辺境伯であった。
「出迎えご苦労伯爵。急な訪問になりすまなかった」鋭い目つきで睥睨しながらアンコールへ挨拶を返すバスラム。
アンコールの心中は穏やかではなかった。
先日来続く配下の騎士団の不始末。管理下にある都市内にある商業ギルドの犯罪の発覚。そして南の工作員の潜入と破壊活動やその後発覚した何年も前から市民に紛れて住み着いていた南の工作員や諜報員の存在。
もろもろの事柄がこの一年の間に頻発した事実をアンコールはひとつ残らず報告として上司の辺境伯及び帝国政府機関へ送っていた。
その上で今回、その上司であるバスラム辺境伯が予定なく急遽自分を訪問した事は決して慶事伝達等ではないと解っていた。
もしかすると叱責などではすまず伯爵位をはく奪かまたは最悪の場合貴族位を取り上げられるのではないか。そんな真っ暗な未来しか想像できなかった。
バスラム辺境伯を玄関先から最上級の応接室の上座へ案内するとアンコールは下座へ腰を下ろさずその脇で片膝をつき頭を垂れ
「この度の数々の不始末や事件に関しましては帝国皇帝陛下の臣下と致しまして誠に遺憾ながら己の未熟さを痛感いたしお詫びの言葉もございません。
皇帝陛下に置かれまし・・・」
「待たれよアンコール伯爵」
詫びの言葉を口にするアンコ-ルの言葉をバスラムが遮った。
「先ずは頭を上げ席に着くが良いだろう。話はそれからだ」
鋭い視線ながらその口元はにやりと口角をあげつつもアンコールを睥睨していた。
先日私のつたない小説へのPV数が 100万人 を突破いたしました(^O^)/
お読みくださっている皆さん、ありがとございます。
のんびり不定期更新になっておりますがこれからも頑張りますのでよろしくお願いしますね!
そしていつも誤字報告をしてくださる方々も感謝いたしております。
よく読み返すとまだまだ変な箇所が多いのですが中々修正ができないのが現状で皆様頼りになっております。申し訳ない(´;ω;`)ウゥゥ
これからも見捨てないでね!
ではまた次話にて。




