第200話 死闘 ~ ついに開催!
やっと200話までたどり着きました(^o^)丿
ではさっそく 第200話どうぞ。
「メガ・サンダー!!」
『ギガ・サンダー!!』
二人の呪文が響き渡る。
知矢は威力は異なるが同種の魔法を従魔のフェリシアと同時に放った。
併せてギガ・サンダー単独の1.5倍以上の攻撃力で放たれた巨大魔法がオーク・キングの頭より降り注いだのである。
ズガガガガーンと響き渡る衝撃と激しい光りに岩陰のニャーラスは「ニャーーーーーーーーーー!」
と叫びながら必死に地面へ這いつくばるように身を隠し耐えていた。
パラパラパラ・・・・・
飛び散った土砂が周囲へ落ちてくる。
光は収まり視界がやっと周囲を把握できるほど回復してきた。
しかし一帯はダブル・サンダーで発生した水蒸気と煙で未だ完全には見通せない。魔法を行使した知矢とフェリシアは各々標的であるオーク・キングへ手を差し出し魔法を放った残身のまま気配をうかがうように先を凝視していた。
『・・・Buhyuhyu・・・・』
オーク・キングの断末魔のような弱々しい声が白い煙の中からかすかに聞こえた。すると知矢とフェリシアは再び腰に納刀してあった日本刀の束に手をかける。
「ここは俺がやろう」
そう知矢が呟くとフェンリルの上位種の従魔であるフェリシアは刀から手をそっと離し静かに頭を下げながらその身を後方へと下がらせた。
”シャキーン”と音でもするかのように知矢は鯉口を切った刀を一気に抜き去った知矢はその切っ先を未だ煙る視界の先にいるオーク・キングへ差し向けこう言った。
「オーク・キングよ。やはりその魔法耐性は本物の様だ。こちらにとっては残念な話だがいつまでもそんな視界の陰に隠れていては【キング】の名が廃るぞ。
そろそろお終いにしよう。これからは魔法なしで1対1と行こうか」
知矢はオークに対し言葉が通じるとも思っていなかったが煙の先で怒り狂いながら様子をうかがう相手に対しなんとなく語り掛けただけである。
『BYGYUUUUU!!!!!!!』
そんな知矢の言葉が理解できたのかは不明だがその白い空気を切り裂くような雄たけびが響き渡ったと思うとオーク・キングは白煙の中から知矢に向かい再び大剣を大上段に構えて突進してきた。
両手で刀を斜に構えた知矢へキングは今度は先ほどのように力任せに大剣を振り下ろすのではなく袈裟懸けに斬ってきた。
知矢は相手の大剣に併せるように刀を添わせ力を削ぎ大剣を流したがキングはつかさずその振り勢を利用し再び大剣を回転させながら大上段へ、そして逆袈裟懸けに振り下ろす。
袈裟懸け、逆袈裟懸けと見事な剣さばきで大剣を左右から知矢へと振り下ろすキング。
知矢はその度毎に刀の平地で大剣をさばいていく。
一向に相手を切り裂けない事に苛立ったオーク・キングはその巨体では考えられぬ身軽さを見せ一度後方へと距離をとり息を継いだ。
しかし知矢はそれを逃さずオークの引きに併せて俊敏に踏み込むと今度は知矢からオークへ刀を振るう。
知矢の背の何倍も大きなオーク・キングに対して踏み込みながら地擦りから一閃、返す刀でまた一閃。知矢はオーク・キングの足から腰を左右斜めに切り裂く。
数度の攻撃ののち再び上段からオークの大剣がまるでまとわりつく獣でも払うように振り下ろされると知矢は右前方へと回転しながら避けその際に脇腹へも一閃して後方へ距離をとった。
『BUHIBUHIBUHIIII!!!!!!』
オーク・キングは痛みによる苦痛の声なのか怒りを相手へとぶちまける叫びなのか解らないような声を上げながら知矢へと振り返ろうとした。が、物理耐性の高いその外殻とあっても知矢の最高神から与えられた日本刀(業物 小)から度重なって受けた刀傷が自身の想像以上に深い傷を負わしていることに気が付いていないのか怒りに任せ振り返った瞬間下半身をもつれさせながらドッカーンと地を鳴らしながら倒れこんでしまった。
「やったかニャ!」
岩場の陰から様子をうかがっていたニャアラスの歓喜の声が崖に響く。
(ニャアラス先生、それを日本の若者は『フラグ』って言うのだぞ)そんな事をうっすらと頭の中で思い浮かべた知矢。
その手に握る刀は未だ微動だとせずその切っ先をオーク・キングへと向けたままだ。
(手ごたえは十分あった、だが・・・)
横たわるオーク・キング。倒れこんだ地面へどす黒い血だまりが急激にその範囲を広げる。
しかしその手には未だ大剣が強く握られていた。
『Buhyuhyu・・・』口腔で何か呟くような声を出しながらオーク・キングはその大剣を杖にしながらズズズズっと体を引きずるようにやっと立ち上がり再び知矢へ相対した。
しかしその体は血がしたたり落ち恐らくは血脈と腱が切り裂かれ肩で息をするように苦しさをにじませていた。しかし知矢は見た。その目は未だ怒りに満ち決して降参などをするような者の目ではないことを。
二百近い一族を率いその頂点に君臨していた魔者の王は伊達ではなかった。
生まれたときはただのオークであっただろう。
しかし己の肉体だけを頼りに進化を繰り返しオーク・リーダーからオーク・ジェネラルへと達する事すら容易な事ではない。
それをはるかに超えた進化の先にたどり着いたその身と宿す魂は
『人間なんぞに理解ができるか』
とでも言っているようにも見える。
少しだけ息が整ったのかオーク・キングは苦しみに刃向かうように胸を起こし正対する。そしてその手に杖の様に握られていた大剣を両手で逆手に握りしめたまま一度大上段へとゆっくり振り上げる。
(まさか切腹・・・いやそれは無かろう)
目の前のオーク・キングの動作を一瞬自死でもするのかと驚いたがそうではなかった。
オーク・キングは両手を頭上に大剣を構えたままゴーっと音を立てて大きく息を吸い込むとその肉体はもう一つ大きくなったかに錯覚するほど気が練られているようだ。
今度はそれをすべて吐き出す様に
『Buuuuuuuuuuu!!!!!!!!!!!!』と今までで一番大きな咆哮を上げた。すると同時に大剣が真っ赤な光を放って輝きだした。
「まさか、チィ! 土壁」知矢は瞬時に思考を巡らせると刀を片手に握ったまま地面へ両手を付き最近練習をしていた土魔法を行使、土中から土岩で形成された壁を生み出した。
知矢が土を盛り上げ土壁を高さ3m横幅3m厚さは1m程を緊急形成したところに対しオーク・キングの咆哮が再度響き渡った。
『Buhoooooo!!!!!!!!!!!!』
咆哮と共に大上段へと掲げていた真っ赤に炎と熱を発する大剣を両手で渾身の力を込め知矢へと投げつけた。
魔力をそしてその生命力か何かを最大限に込めた大剣はオーク・キングの腕力を超えて真っ赤な光の速さで知矢へと迫る。
ズガーガガガーン!!光速の赤い灼熱を帯びた大剣が知矢が造り出した土壁へ突き刺さるりその壁を弾け飛ばしながら焼き溶かす様にグイグイ侵入してその切っ先が知矢の眼前へと迫った。
「トーヤー!!!!」ニャアラスの叫び声が響く
「はぁぁっ!!」知矢は細く長い息を吐く。※
”キイイイイーン!!!”
高い金属音。そして土壁に突き刺さった真っ赤な大剣。
そして静寂が訪れた。
ズズズ・・・・ドーーーーン!!!
その身の内包する全てを使い果たしたのかオーク・キングは自身の最後の攻撃の結果を見ることなく倒れ伏し、そして二度と動くことは無かった。
「トーヤー!!」ニャアラスが岩陰から飛び出し走り寄る。
『主様はご無事でございます』涼しげな声が静寂の場に静かに響く。
『・・・(ご主人様スゴーイ!)』
ニャアラスは知矢の従魔の言葉を受けてもそのまま知矢へと走り寄り未だ大剣からの灼熱を受け同様に真っ赤に溶けながらも形を保っていた土壁を避けて回り込む。
「トーヤ!!」
土壁の裏側でニャアラスが見たもの。
それは未だ高温を発し真っ赤に光る大剣の切っ先を自身の日本刀の切っ先で受け止めたままの状態の知矢だった。
両足を前後に低く開き右肩の肩口で刀を両手で保持したまま鋭い視線を大剣の切っ先に向けていた知矢はニャアラスの声で
「フッ」と息を吐くと刀とその身を引いた。
「大丈夫かニャ!」と知矢に近づこうとしたニャアラスは「あちっちっち!!」未だ真っ赤に光を帯びたままの大剣から発する異常な熱に思わず飛び下がった。
「おい大丈夫か、気をつけろ。この魔力がすべて込められた熱量は相当なものだぞ」
周囲へ注意を即しながら知矢は少し自身も下がりながら日本刀の刀身や切っ先を確かめるように見る。
(この日本刀は業物(小)とあったがただの刀ではないのだろうか)
全く熱も帯びず変形や欠ける様子もない刀を見た知矢は最高神が与えたこの日本刀に感謝しつつ静かに納刀した。
ガラガラガラと音を立てて土壁がオーク・キングの真っ赤な大剣と共に崩れ去った。
その崩れた先に見えるのは倒れ伏して動かないオーク・キングの巨体。
知矢は黙って近づくと静かに合掌した。
そして振り返ると
「いやあ危なかったな。オークが魔法剣か何だかわからないが全ての力を最後の攻撃に込めるってそんなことあるのか」
静まり返った空気を打ち破る様に陽気な大声で興奮気味に話す知矢だった。
「ニャア!! そんなの聞いたこともニャイ。こいつただのオーク・キングじゃニャイのか?」
ニャアラスも知矢の声に興奮気味に話しだす。
オーク種は魔法を使うことは無く精々棒や槍、剣を持ち力のみで戦う肉体派の種族として知られている。
ニャアラスの知識でも剣にすべての魔力を込めた必殺の攻撃など全く無かった。
それも自身の生の全てを込める決死の攻撃を魔物が敢行するなど思いもよらない事だった。
知矢もまともに正面からその剣を受けていたらどうなっていただろうか。硬く魔法で形成した土壁を易々と突き抜けた大剣を何とか刀で受けきったがまさに一瞬何かが遅れていたらその灼熱に燃やされ大剣にその身を割かれていたことは間違いなかった。
しかし少し離れて知矢を見守っていた従魔フェリシアはそのオーク・キングの必殺の攻撃が向けられた際も特に驚くどころか微動だにせず主を見守っていた。
決して動くこともできなかった、訳ではない。 動く必要、主がその攻撃に敗れることなど終ぞ思ってもいなかった。
『主様、オークの肉は美味しいとお聞きし、さらには先ほどのちらのご友人がオーク・リーダーなる物の方が美味だと申しておりました。それよりも更に強者であったこの【キング】とやらは猶更美味しい事でしょうな』
と全く先ほどのオーク・キングがその命の全てを懸けた最後の攻撃など歯牙にもかけていない様子で涼しげに話すのだった。
その後、知矢たち一行は直ぐにラグーンへと帰還することにした。
もちろん大量のオーク肉を早く販売して都市の市民の流通に乗せてあげたいという思いもあったがやはり先ほどの従魔の言葉通りオーク・キングはどれだけ美味いのかとニャアラスが知矢へ
「早く帰って食べるニャ!」
と迫った事もあったが実際知矢も食べ比べてみたいとは思った。だがどうしてもほかのオークを狩った時と異なりオーク・キングと正面から戦いやっと勝を得たあの場面を思い起こすとニャアラスの言葉に共感して勇んで食べる気にはなれなかった。
だがしかし
「うわっなんだこの肉は。上品で癖のない脂身、そして柔らかいながらも旨味あふれるしっかりとした肉質。(A5ランクの和牛なんかよりぜんぜん旨いぞこれは)」
と屋敷に戻り急遽友人知人を招集して始めた焼き肉大会でしっかりと口にした【オーク・キング】の肉は生涯忘れられないほどの美味しさであったと後年語ったそうだ。
『・・・(成程!とても美味しいですね)』
『確かにおいしゅうございます。ですが何故又しても私のお皿は犬用なのでございましょうか』
「トーヤ! またオーク・キング狩に行こう!! うまいニャうまいニャ!!」
「お前な昼間あの戦い見たばかりだろう・・・・」
「トーヤ君でも本当においしいですね」
「おいトーヤ。今度俺たちのチームと一緒に狩に行こうぜ。ムシャムシャ」
「トーヤ様私もご相伴にあずかり感激いたしております。ウウウウウッ・・・」
「・・・おいしい(叙々◎より美味しい)」
「もうあたし帝国には絶対帰らない・・・」
「当たり前なこと言わないでよコルサミル。それにしても美味しい美味しい」
「「「「「ご主人様!美味しくいただいております!!」」」」」
「クウーーーッ! 兄貴!絶対あっしは一生ついて行きやすぜ!!」
今夜も知矢の屋敷には楽しく食べて楽しく飲む声がいつまでも聞こえていたのでした。
※
以前にも書き記しましたが剣術家や居合を嗜む者は刀を振る時は基本声を出しません。
わずかに口腔から白糸を吐くほどの細さで息を吐く程度です。精々出しても「ハッ」とか「ヤッ」と息を瞬間的に出す際にわずかに出る(出てしまう)程度です。
「おらあああ!!!」とか「とりゃあ!!!!!」とか 「メーーーーーン!!!!!!」
など大声を上げるのは近代のスポーツの場だけです。
大声を出す=息が抜ける=気が抜ける=力を失う
そう覚えてください。
強者どうしの相対した場はシーンと静まり返った空間になります。
空気が緊張と気に支配されその場にいるだけで慣れていないとチビリます。(私はちびったことはありません。念のため)
おかげさまを持ちまして2020年7月1日から連載をはじめ本日2021年8月18日の更新を持ちまして200話を達成いたしました。
いつもお読みいただいている皆さん、誠にありがとうございます。
皆さんが読んで下っていると思えばこそここまで来ることができました。
確かに話は拙く進む具合もゆっくりでストーリーもそれほど盛り上がる様な内容ではありません。
でも毎日、毎回更新をするたびにアクセスが増える喜びは何物にも勝ります。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
たくさんの誤字報告や感想の投稿もありがとうございます。
誤字は本当に多いので申し訳ございません。
少しずつ訂正を致します。
ではまた次話にて




