第188話 くらえ聖光!!! ~『そんな攻撃魔法はありません』
祝 連載開始 1周年突破 !!! (^o^)丿
皆様のおかげをもちまして昨年7月1日に連載を開始いたしまして本日で第188話まで到達することがかないました。
ありがとうございます。m(__)m
今年に入り投稿が滞り申し訳ありませんでした。
予定ではとっくに200話を超えていたはずですがそれもならず。
ですがこれからも少しずつ自己満ではございますが連載を続けていきたいと思います。
お読みくださる皆さま今後とも私、【通りすがりの浪人者】そして
『老齢オヤジが死んだけど異世界でゆっくり老後をおくりたい~チートに大金ゆっくり老後、あれ俺若返ってるけど?』
をよろしくお願いいたします。
では第188話どうぞ
「おーい、きっ!来たぞ! 距離、約3000。
相変わらずのんびりだが確実にこっちに向かってる」
森の木々の間から走り出してきた冒険者が大声で周囲へ聞こえるように叫びながらそのまま構築物の隙間を抜けてさらにその先にある本部ともいえる巨大な天幕へと入っていった。
「さて、いよいよか」
「待ちくたびれたな」
「だが近いってことは」
「ああ、そろそろマスクしないと鼻が曲がるぜ」
周囲にいた冒険者たちはその言葉を聞くとめいめいに立ち上がったり武具や魔道具の確認を始めた。
大森林に現れたベヒモスゾンビ。
その腐敗した何かを周囲に垂れ流して森の木々や魔獣、すべての生き物さらには土、地面までをも腐らせるその恐ろしい魔獣が知矢たちが住まう中核商業都市ラグーン方面へ向けてじわじわと進行していた。
管理貴族や冒険者ギルドの協議の末、大森林から出てきた辺りでの防衛戦闘、せん滅を目指し大規模討伐隊を編成。
高位冒険者のありったけを招集しての大作戦であった。
先発した第一陣により斥候と対抗陣地の築造、そこに後発の本隊が合流。
大きな鳥が羽広げて向かう者を包み込むような形に設けられた急造の土堀と進行疎外の防柵による簡易防壁の完成を見た。
後はベヒモスがそのゆっくりとした歩みでいつこの陣地に到達するかを今か今かと剣を研いで待ちわびていたのであった。
「伝令、伝令! 距離、約3000、予定通りこっちへ向かってます」
天幕へ駆け込んだ伝令役の男は本部に参集して打ち合わせをしていた集団の輪へとそのまま駆け込み叫んだ。
「おう、ご苦労だ。いよいよ近づいてきたな。まあこっちは準備万端だいつでも構わん。
他に異常はないか」
今回全体の統制役を担う鬼神と呼ばれる老齢の冒険者が伝令役の若い冒険者を見ながら自信満々に答える。
「・・・それが異常というか」
若い男は言いよどみながら本部の天幕の中で左右に視線を巡らしながら何かを探している様子だ。
すると探し物が見つかったのか視線を固定しながらまだ言いよどんでいた。
「ウン? どうしたんじゃ。言う事があれば言うがよい」
「ああ、そのう・・・」視線の先になるものを気にするそぶりを見せる
「おあっ? トーヤがどうした」
男の視線を追うとそこには知矢が椅子に腰かけ話を聞いていた。
「えっ俺か。何か俺にありましたか」
思いもよらぬ顔で知矢は伝令の男へ尋ね返す。
「ああ、そのう、べ・・ベヒモスゾンビの通った後は周囲から土までことごとく腐り始めているのはみんな周知の事なんだが、そのう」
「なんじゃはっきり言わんか。何か重大なことだったら取り返しがつかんぞ」
なかなか語ろうとしない伝令役の冒険者の男に業を煮やしたモーリスが大声を上げた。
「ゴ、ゴールデン・デス・スパーダーが、ベヒモスの後方に。
ゴールデン・デス・スパーダーの大群が来ている。その数わからないくらい数千ではきかないかもしれん」
男は詰まっていた言葉を言い切ったかのようにその場の椅子へとへたり込んだ。
「なんじゃと! トーヤどういうことだ」
鬼神モーリスが驚いて椅子から立ち上がり知矢を見る。
その天幕にいる誰もが知矢へと視線を向けた。
その視線を受けて知矢は指でポリポリとこめかみをかくと、
「ピョンピョン、お前どういうことか解るか」
いつものように知矢の肩へのる従魔へと尋ねる。
『・・・・・(ワオッ! きっと兄弟たちが腐った森を浄化するために集まって来たんですよ)』
「そんなことができるのか」
『・・・・(ハイ!私たちの魔法属性は ”聖” ですから。清めたり浄化したり癒したりできる兄弟はいっぱいいます)』
「お前もできるのかピョンピョン」
『・・・・(ごめんなさい、まだできません)』
従魔は脚をすぼめて少ししょげるように答えた。
「そうかまあ気にするな。まだ小さいんだからそのうち覚えるだろう」
「トーヤ、何が分かった」
緊張感もなさげに獣魔と会話をする様子に少し苛立ちを感じたモーリスが問うた。
「ああ、問題ない。実は・・・」
知矢はたった今、従魔から聞いた話を語った。
「ゴールデン・デス・スパーダーが聖の魔法を使うっだって?」
「そんなの聞いたことないぜ」
「っか何であいつらがそんなことをしに来たんだ」
「まさか俺たちが集まってるんで食いに来たんじゃ」
その場にいる者たちが動揺し騒ぎ出した。
そんな中
「あんたたち何ビビってんだい!!」
天幕に新たな声が響き渡る。
「トーヤが従魔から聞いてそう言ってんだ。間違いがあるわけないだろう。
じゃ無けりゃとっくの昔にその可愛い従魔にあんたたちは食われてるさ」
椅子にふんぞり返ったまま不躾にテーブルの上で足を組みながら女は言い放った。
その言葉に騒いでいた者たちは一瞬静まった。
しかしその顔は不安げである。
『・・・・・(食べませんよ!)』
従魔は頬を膨らませているかのように憤慨した念を発するが知矢と他一部の者以外にその言葉は届くことは無い。
「まあカスティーヌの言う通りじゃがの」
モーリスが周囲を見まわし最後に知矢を見て言う。
「昔からいろいろ言い伝えられてきたことだ。すぐに信じろと言うのは難しいかもしれないがこれだけは言っておく。
ゴールデン・デス・スパーダーが人を食す、食料にすることは決してない。それは過去も今も未来もだ」
知矢はカスティーヌのとモーリスの言葉を受けてその場で立ち上がり周囲の皆へ視線を巡らせながら自信満々に訴えた。
「そうかもしんねえけど・・・・なあ」
一人の冒険者が自信なさげに不満を口にして脇の仲間へと話を振る。
「まあ俺も話だけで実際人が襲われたのを見たことは無い。だからと言ってお前の言葉だけをすぐに信じろと言われてもな。
確かにその従魔はお前の言うことを聞いている。それは俺たちもよく分かった。しかし森に住まう、今そこまで来ている連中が同じとは言い切れんだろう」
もう一人の冒険者がやはり懸念を口にする。
「それにだ、聖の魔法を使うってのがにわかに信じられん。それこそ聞いたこともなければ見たこともない」
やはり知矢の言葉だけでは不安はぬぐいされないようであった。
これが有名で武勇に優れた功績をいくつも上げている老練の強者であったなら話が早かったであろう。
確かに知矢も老練といえば老練の域に達し歳だけは重ねていたが如何せん最高神により転移後若返らせてもらったその姿を見ては説得力に欠けるとしか言いようがない。
知矢は心の中で
(うむむむむ、やはり説得力に欠けるかのう。モーリスの奴が言えばみな信じるだろうがこの見た目ではのう)
少し悔しい思いもあったがそれについては致し方がないと割り切り別の案を出した。
「よし、じゃあこうしよう」
知矢は周囲に宣言するように自信に満ちた声で話し出す。
「ピョンピョン、今から仲間のところへ行ってすまないが誰かひとり聖の魔法を使えるものを連れてきてはくれないか。皆が不安がるといけないからあまり大きな仲間ではなくお前程度の者がいいな」
知矢は皆に聞こえるように肩に乗るの従魔へと話を始めた。
『ハイ大丈夫です。すぐに兄弟を呼んできますね』
「頼むぞ。それとフェリシア」
今度は知矢の足元へ控える子犬の姿の従魔へ声をかける。
『ハイ主様』
子犬の姿で主を見上げるように尻尾を振り振りしながら応じる。
「お前はピョンピョンを乗せてゴールデン・デス・スパーダー達の元へ行ってくれるか。なるべく、早くしかしベヒモスを迂回してだ。出来るか」
『ハイ容易いことです主様。ピョンさん私の背にお乗りください。しっかりつかまっていてくださいね』
知矢の命に応じるとフェリシアは先輩従魔へ声をかけすぐに行動を開始した。
子犬の姿のまま背中にゴールデン・デス・スパーダーを乗せ天幕から脱兎の勢いで姿を消したのであった。
「すぐに別のG・D・Sを連れて帰るだろう。そうしたら鑑定でもすればすぐ聖属性の魔法を使えることは証明できる。の他何か能力を見せて貰うとすればいいだろう。
皆、それで良いな」
知矢は再び周囲を見回しながら念を押す。
「そこまでして証明してくれるなら問題なかろう。少なくとも聖の魔法を使える事と腐敗した森を浄化できる事は解るわけだ」
モーリスは賛意を示してくれたがやはり人を襲うという話を払拭は出来ないようだ。
天幕を飛ぶように発したフェリシアは冒険者たちが築造した防柵を超えると瞬時にその姿を聖獣フェンリルへと戻し子犬の姿ではいささか脚が短かった分を補うようにさらにその速度を上げ知矢に指示されたようにベヒモスを大きく迂回したにも拘らずあっという間にベヒモスの少し後方に広がる黒くうごめく集団へと接近していった。
『オーイ!! みんな!!』
フェリシアの背に乗った知矢の獣魔はピョンピョンは仲間に通じる念を発し呼びかけた。
すると数千にも及ぶ大小さまざまなG・D・Sたちが一斉に足を振り上げて応えたのだった。
フェリシアはその数にも一切、怯むそぶりも見せず大勢のG・D・S達の前へ走りこんだ。
すると獣魔はフェリシアの背からぴょーんと軽く飛ぶと仲間の元へ降り立った。
『よう!』
『兄弟元気か』
『よいものに乗せてもらってるね』
『人族との生活はどうなんだい』
『おいしいもの食べてる?』
『たまには帰ってきなよ』
大勢のG・D・Sの思念が交錯する。
『ちょっと待って兄弟達。今は急ぎなんだ』
従魔が声を発するとそれまで皆が勝手にしゃべっていたのが瞬時に静まった。
『あのねわたしのご主人様がね・・・』
従魔は一連の知矢たちの会話の内容を説明し
『それでね私とだれか一緒に来てほしいの。それで聖の魔法を使える事を証明してくれれば私たち一族の名が高まるし人族の勘違いも少し減ってくれる気がするんだけどどうかな』
知矢から頼まれたこともあるが従魔は自分なりに人族の中で暮らしていく中で
『どうすればわたしたちは嫌われなくなるのかな』
と疑問に思って考えてきたことを払拭できる好機であるとも考え仲間へと訴えるのだった。
『えーそういう事ならキング様が一番いいのかな。キング様にお願いすれば』
『キング様じゃだめだよ。大きすぎて人間たちが怖がるよ』
『そうなの?じゃあどうしよう』
G・D・S達は互いに意見を出し頼ってきた同族の願いに最善の対応をどうするべきか意見を交わしていた。
その中から
『僕が行こう』
大きさは従魔の倍くらいであったがそれほど人が恐怖を覚える大きさではないであろうと従魔は考えた。
『ワーイ。君、来てくれるの。ありがとう。じゃあこの聖獣さんの背中に乗せてもらってすぐに戻ろう。フェリシアさんお願い』
『了解した。乗るがよい』
フェリシアの言葉にそのG・D・Sは即シュタット地を蹴り静かに背へと降り立った。
『じゃあみんなちょっと行ってくる。浄化はどんどん続けてね』
そのG・D・Sは手を振って同族へ声をかけているとその直後フェリシアは再びその俊足であっという間にその場を後にした。
「うわああ魔獣だ」
冒険者たちが防柵の中へ飛び込んできたフェリシアを見るなり叫び声を上げた。
『アッ私としたことが』
すぐさまフェリシアはまばゆい発行の中へその姿を消し再び姿を見せた時にはまた子犬の可愛らしい姿へと戻っていた。
「なんだトーヤの従魔じゃねえか」
「聞いていてもやっぱり驚くよな」
「オイ、背中に乗ってたG・D・S・・・数が増えてなかったか?」
そんな冒険者たちの声を後ろに聞き流しながら子犬の姿のフェリシアはすぐに天幕の中へと入っていった。
『主様、お連れしました』
知矢の足元へ到着したフェリシアは地に伏せるように背中を知矢へと見せるような姿勢で報告した。
「おお、早かったなありがとう。 ええっとピョンピョンこの子が聖魔法を使える子かい」
知矢は足元に控えるフェリシアへ礼を言うと知矢の従魔ピョンピョンと共にぴょんと目の前のテーブルへ飛び移った従魔より少し大きなG・D・Sへ視線を移した。
「君もわざわざ来てもらってすまなかったね。浄化で忙しいところをありがとう。って言葉が通じないか」
知矢は従魔の横に並ぶように立つG・D・Sへ挨拶をしたが従魔ではないので主従ラインがつながっている訳ではないので言葉が通じないことを思い出した。
すると
『ご安心を僕は人族の言葉を発することが可能です。あなたが兄弟の主となられた方ですね。いつも兄弟がお世話になっております。
またこの度は森の騒ぎに人族も巻き込まれる形となりましたがちょうどよい機会です。互いに協力してこの森を、大地を守っていこうではないですか』
従魔が連れてきたG・D・Sが流暢な人族の言葉を発して演説のように語った。
G・D・Sが声を発して喋った事にすぐに理解がつかなかったその場にいた者たちは押し黙っていた。
その中で知矢だけは冷静に対応する。
「言葉が喋れるなら話が早い。 ご丁寧なあいさつ痛み入る。私が君の仲間を従魔としているトーヤというものです。従魔と言いましたがどちらかというと家族のように一緒にいて楽しいし癒しを与えてくれる存在で助かっています。
今回の騒動は大森林に住まうものにもこちら側にも重大な危機に面しています。
あなたの言う通りできる互いに限り死力を尽くして頑張りましょう」
そう挨拶を返した。続けて
「態々ここまで来ていただいた件はお聞きになっていると思いますが」
『はい、兄弟から聞いています。どのような形で我々の力を示せばよろしいでしょうか』
このG・D・Sは実に理知的で状況把握と対応力に長けていた。
「話が早くて確かります。少々お待ちください」
そう言うと知矢は後ろに控えて固まっている諸氏を振り返り
「さてモーリスさんそう言ったわけで態々ここまで足を運んでくれたG・D・Sの方にその聖の力をどういった形で示せば皆さんが納得してもらえますか」
知矢はモーリスへ問いかけた。
その声で我に返ったモーリスは
「あっああ、そうだな。手っ取り早いのは鑑定お魔法を使える者に鑑定させるのが早いだろう」
未だG・D・Sが人族の言葉をしゃべったことに動揺を隠せないモーリスであった。
「ええ私もそうは思います。ですがそれではその鑑定魔法使いのみしか確認できずここにいる皆が納得いく結果を提示できるか一抹の不安があります。そこで」
知矢は鑑定者のみの証明の言葉では心から納得できない者がいると考えた。
それならと一度言葉を切り、大きなG・D・Sへと向き直ると、
「君は聖の魔法、癒しを与える事が出来と聞いたんだがそれは怪我を治したりできるのと奴、ベヒモスゾンビがその臭気を垂れ流し腐敗した森の浄化が可能だとも」
『ハイ、もちろんです。聖の魔法は我々の一族の最も得意とするところです』
「「「「「おおー!!!」」」」」
周囲で話を聞いていた冒険者が驚きの声を上げた。
その様子を見た知矢は続けて
「ではその力の一端をここでご披露願いたいというわけです」
『ハイそう聞いております。そのために僕は一族を代表してここにいる訳ですから。ではどのように致しますか。何でも言ってください』
そのG・D・Sは何でもないことのように応える。
知矢はそう受けて今回の作戦の責任者、代表たる鬼神モーリスの方を振り返る。
「トーヤ、話は分かった。彼と意思の疎通ができることは幸いだ。その分皆も納得して受け入れやすい事だろう」
モーリスも一時の動揺から回復し老練な冒険者の顔へと戻っていた。
G・D・Sの君もよく我々のところまで来てくれた。感謝する。
我々と君たちの種族の間には不幸な認識の行き違いがある。しかし幸いなことにここにいるトーヤが君たちの同族と知己を得ることとなった。そこで今回の騒ぎだ。
我々に認識では君たちの種族が聖の魔法を行使するとは全く知らなかった。
そしてその力で奴のベヒモスによって腐ったこの森と大地を浄化するという話、すまないが我々にとっては信じがたいことだ。
しかしその聖なる魔法を、その一端を見せてもらえれば君たちと我々の関係は今後良い関係を作っていけるのではとも、まあこれはわしの個人的な見解だが」
周囲にいる冒険者たちに視線を送りながらモーリスはG・D・Sへと友好的に接しながらその力の一端に興味を示していた。
「という訳で実際に見せていただきたいのはやはり浄化の力でしょう。浄化は我々冒険者にはできない、そう人族でそれを行使できるのは長い間神へ使え修行を重ねた聖職者という俗に言う聖人と言われているものです」
そう話しながら知矢が合図を送ると使用人たちが顔にタオルや革を重ねて作った簡易的な防臭マスクを装備しながら大きな桶を運んできた。
それは先ほど知矢が使用人の冒険者たちに命じて回収させてあ既にゾンビにより侵された大地の一部、本来であれば芳醇な栄養を多く含んで森の力となるはずだった以前は土その物。今はすっかり腐敗集をまき散らす汚泥へと変貌していた。
「うっ!」
「臭っ」
解放された天幕の中と言え全てを腐らすベヒモスゾンビの置き土産だ。その腐敗は並ではない。
「皆、もう十分解っているだろうがこれがベヒモスのまき散らした腐敗物の結果だ。
とても浄化できる様なものではないとこの臭いだけで十分理解できるだろう」
そう言いながら冒険者の様子を見回すとほとんどの者たちが顔を背けまともに向かい合う様子を見せない。
その中にあって暴風のカスティーヌだけは先日の出来事を思い出したように柳眉を逆立ててこみ上げる怒りを抑えながらも鋭い視線を向けていた。
「知矢、もう良いだろう。皆も十分その脅威を理解できている」
鬼神モーリスも流石に厳しいのか皆の声を代弁するようにその原因臭を処置するように願った。
(ふふっさすがの老練の猛者もこういったものは戦いとは全く異なるものじゃからな)
「わかった、じゃあG・D・Sの君、これの浄化を頼めるかい」
「了解、では早速。よくご覧あれ」
そう軽く答えるとそのG・D・Sは大きな桶に向き合うと前脚を二本ウニョウニョと回す様にし口元は何か呪文を唱えているかのように音もなく動いていた。
その直後、強烈な異臭を放っている桶の周囲を包み込むように見えない何かが渦を巻くような感覚である。
風ではなく何か、おそらくは濃密な魔力が渦巻いているのであろう。
すると
【 kiiiiiiiiin!!!!! 】
甲高い音が一瞬したかと思うとすぐに静まった。
『ハイ終了です』
何でもなかった様にその桶に向き合っていたG・D・Sが振り向くとそう答えた。
「えっ?」
「もう?」
「何がおこったんじゃ」
「何かしたか」
冒険者の多くがその変化に気が付かないが
「ヒュー!ハッハー!! 最高じゃないか!
オイ君あたしのとこに来ないか。毎日うまいもん食べさせてやるぞ!!」
その桶に駆け寄り思い切り臭いを吸い込み振り返った女。
カスティーヌははしゃぐ様に両手でそのG・D・Sを抱き上げ掲げると浮かれたように回りだした。
「ちょちょ回さないでくださいよおおおお~」
高く掲げ上げながらカスティーヌは踊るようにG・D・Sと何度も何度もくるくる回りは破顔しながらいつまでも回っていた。
『・・・・・(ご主人様、あのお姉さん兄弟を従魔にしたいんでしょうか? そうなると私も楽しいですね)』
ぐるぐる振り回せられる同族を見ながら知矢の従魔も大喜びであった。
「ああそうなると良いな」
知矢も笑顔でその様子を見守るのであった。
周囲は今だ信じられないかのように唖然としたままであった。
『もーやめてー!!!!!』
G・D・Sの叫び声だけが響き渡るのだった。
昨夜は23時59分滑り込み投稿でした(;^_^A
一層の事、昨夜の分を1周年と銘打って投稿してしまおうかとも思いましたが踏みとどまりました。
本当は1周年記念特別閑話をと思いましたが思いのほか”大森林編”が長すぎるためなんとか先に進めねばと考えています。
もうしばらくこのシリーズは続きますが我慢して?お読みください。
ではまた次話にて




