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第184話 歴史上の戦い ~「兄貴!あっしにも武勇を!!」

こんばんは

昨日の活動報告において

『PCが壊れて執筆が止まります』

と予告いたしました。

確かに私のPCはもう使い物にならない状態です。

ですがしまい込んであったノートPCの存在を思い出したおかげで今夜は何とか1話更新が叶います。

 新型PCはBTOで制作依頼をかけ只今納入待ちの状態です。

何とか書きにくいのですが古いノート君でしばらく書いていきたいと思います。


では第184話 どうぞ。




 外は昨夜から小雨が降り続き陽が明けても空はどんよりとした雲が立ち込めていた。


 ここ帝国にも知矢の生国である異世界、日本と同様に梅雨と言うべき季節があった。

 もっとも観測衛星が有るわけでもないので気象観測などは論外であるため気圧配置などの言葉も無い。


 頼りになるのは経験則から来る人の目や肌そして匂いなどを敏感に感じ取り空を眺めながら「もぐりんが巣穴を閉じているから明日も雨ね」、「いやあの山の峰を飛龍が越えて行ったから晴れだ」などと人々が言い合い予想をするのが一般的な話だ。


 知矢は確かに気象観測の発達した世界からきており日本にいる時はスマホで気圧配置を見たり、予想天気図などで天候の移り変わりを判断していた。

 しかし知矢がまだ子供の頃はそれほど気象予報が発達していなかった。その為子供ながらに親や周りの大人から 「むむっ雨の匂いがする。今夜は降るぞ」 とか「夕焼けが綺麗ね、明日も晴れるわ」など地方独特の感性による地方天気予言者の話は数多く耳にしていた。


 しかしこの異世界でのそう言った天気予報に関わる情報をあまり知り得ていない知矢は一番に信じている気象予言士の言葉を信じていた。


 「ニャア、今日は毛が逆立つニャ。明日は晴れるニャ」

 「雨の匂いもするし毛が重いニャ。明日は雨ニャ」

 などニャアラス先生の気象予言に耳を貸す知矢であった。





 「じゃあ明日からはしばらく晴れそうなんだな」


 「ニャア、快晴ニャ。毛がフワフワ喜んでるニャ間違いニャイ」


 「そうかじゃあ予定通り出発する事になるな」


 「今度の相手は雨の時には遭遇したくニャイな」


 そう二人は話しながら二人は武具の準備や知矢は無限倉庫の中にある荷物をソートしたり検索し不足な物が無いかの準備に余念がない。

 明日から二人は再び大森林へ向かう事になっていたのた。






 一昨日ラグーンへ帰還したAランク冒険者グループ ”暴風のカスティーヌ”を筆頭とするメンバー。

 疲れ果て憔悴しきっていたものの全員が何とか無事に戻って来た。


 勿論大小の怪我はいくつも負っていたが大森林の袂とは言え命が無事であったのは僥倖であると言わざる得ない、


 ましてやそのメンバーから口々に気化された化け物と言うべき魔物とも魔獣とも言われる存在の話を聞いた者は生きて帰った事に驚くのであった。






 暴風のカスティーヌの帰還より少し早くラグーンへ帰還した”鬼神モーリス”の一行は残念、いや幸運なことにスタンピードの兆候は見られなかったと報告をしていた。



 その報告と先に帰還していた知矢からの報告を受け冒険者ギルド長のガインは「どうやらそう大事の話になりそうにないな」と受け取り途中経過と言う前提で管理貴族アンコール伯爵へ報告していた。



 「うむ。その情報であればスタンピードを警戒する必要もかなり減るな。今夜から少し警戒レベルを下げて皆を休ませるとしようか」


 アンコールはここしばらく交代で厳戒態勢を敷いていた騎士団と兵士、そして冒険者にも疲れが見えてきたことを鑑み今すぐ何か事が起こる事も無いであろうと判断。

 警戒要員の縮小を決め通知した。


 それによって街中、市民に発していた警戒強力も緩和され明日からは普段通りの生活が戻ると人々は安堵していたのであった。

 しかし念のため最後の冒険者からの報告が来るまでは最低限の警戒を怠らぬ様にとも指示が出ていたのだが。




 

 事が一変したのは”暴風のカスティーヌ”の一団がボロボロの状態で必死に都市へと帰還を果たした事から始まった。

 ゲートをくぐる一団を受け入れた騎士団や兵士だけでは無くその様子を目撃した多くの一般市民にも動揺が走った。




 すぐにギルド長のガインの下へ案内されたカスティーヌは汗と泥にまみれ、悔しさに唇を歯がみしながら事の次第の概略を伝えた。


 その話を聞いたガインは急遽冒険者ギルドへ関係者を招集。

 その場にはカスティーヌの帰還を知らされた知矢とモーリスそれに他のAランク冒険者も呼ばれさらには第1騎士団長も急遽冒険者ギルドへと呼ばれたのであった。





 「よし揃ったな。では報告を頼む」

 いつになくまじめな口調でガインはカスティーヌへと話を即した。




 「ああ、あたし達は他の2人が西と東から回り込むので予定通り中央から大森林の袂を進みながら深淵を探索していたんだ」


 カスティーヌの表情は酷く険しいがその話振りは事実を正確に皆へ伝えるためにか淡々としながらも落ち着いた様子だった。




 「最初は様子見を兼ねて大森林の袂を西に東に進んでいったんだが聞いていた様な魔物の慌てふためいて集団で逃げ惑う様な様子など全く見受けられなかった。


 状況が一変したのは3日目。大森林の深淵方向に向けて1日程進んだころからだ。

 魔獣や魔物鳥などが一斉に逃げ惑うような様子はなかったが逆にそれまで幾度も遭遇していた大森林独特の魔獣達の気配が一切感じられない事に気が付いた。

 進め度進め度魔獣どころか生き物の気配が、音が、鳴き声が無い。シーンと静まり返った森って言うのはあんなに薄ら怖いんだと初めて思ったね」



 ここでカスティーヌは一度言葉を切り用意してあった金属のコップに水が入った樽から水を注ぎ入れ煽る様にして飲み干した。


 知矢はその手は微かに震えているように見える。


 そしてその様子を見ていた彼女をよく知る同業の冒険者達は (あの暴風がここまで動揺するとはいったい何が) と、この後話される事柄に対し既に危機感を覚えた。




 「一言で言うと森の奥は腐ってやがった」


 「腐っていただと」

 同じく大森林の周辺や深淵を探索していた鬼神モーリスが思いもよらない言葉に思わず口を開いた。



 「ああ、腐っていたのさ。森が、木々が草や地面まで。それだけじゃない。腐った魔獣や鳥そこに居た、有った全てが腐っていたんだ。」

 そうその時の様子を思い出しながら語る彼女はその柳眉を逆立ててこみ上げる怒りを表していた。




 「あたし達は勿論そんな状態になった原因を探るべく周囲を探索したのさ。そうするとその全てが腐ったって言うのはある一定の場所、そう道の様に一定の場所が延々と腐っている事が解った。

 これを辿(たど)っていけば原因を掴める、当然そう思いその跡をたどり周辺を警戒しながら進んだんだ。

 そう、早朝から突き進んで4時間も森の中を行った先。今まで森に漂っていた腐った匂い。おぞましい臭気がより濃くなった先にアイツが見えたんだ」


 周囲は誰一人口を差し挟むはおろか無駄な身動きもせずにじっと話に聞き入っていた。




 「・・・ベヒモスだ。・・・しかもゾンビ化したベヒモスがいやがった!」

 その名をカスティーヌが口にした途端部屋中に衝撃が走った。




 「ベヒモスだと」


 「しかもベヒモスゾンビだって!」


 「バカな!!」




 動揺が広がる様に今まで黙って静かに話に聞き入っていた皆が一斉に騒ぎ出す。


 「静まれ!!」ガインの一喝が部屋へ響き渡る。


 「・・・・」



 「間違い・・・無さそうだな」

 ガインがカスティーヌへ念を押す様に見ながら視線を向けると彼女は歯を食いしばる様にしながら深く頷く。



 「ああ、間違いなんかあるものか。しかも奴は腐っていやがるくせに何かしらの意思がある。その証拠にあたしたちが周囲を遠目に囲みながら様子を窺がっているとはっきりとこっちを認識して方向を変えやがってそっからは恥ずかしながら逃げの一手さ。

 この暴風のカスティーヌ姐さんが尻尾を丸めて逃げを打ったんだ。情けないさね」



 「話は分かった。ご苦労だったな。しかしよく無事に情報を持ち帰った。元々依頼は調査だ。十分に役目を果たしたんだお前が腐る必要はない」


 ガインは慰める様に役目を果たした事をはっきり評価した。



 その上で全員を見渡し

 「ベヒモスゾンビか。過去にベヒモス戦は何度かあったがこの中で実際相対したものはいるか」



 ガインの言葉にほとんどが首を横に振る。その中で一人のマントを纏い長剣を股の間に立てて腕を組みながら顎を柄に乗せていた中年の男が声を発した。

 「若い頃だ。おりゃあまだ下っ端でサポート要員みたいな頃だが戦った事がある」



 「サジカルスキー。どう戦ったんだ。戦力は」

 ガインはその男をサジカルスキーと呼び情報を話す様に促す。



 「今言った通りもう20年前の話だ。

 あの時は大森林から迷い出て来たベヒモスが都市に接近するっていうんで近隣にいた冒険者は皆招集された。だが俺なんか結局剣を打ち込むどころかその恐ろしさでまともに近づく事さえ躊躇したもんだ。


 周囲から魔法を撃ちこんでも中々致命傷に成んねえし矢は効かねえ。剣や槍を持った接近戦しか傷を負わせることが出来なかった。


 とにかくひでえ戦いだった。


 総勢60人はいたんだ。土魔法で穴にはめて雷撃や炎をぶち込んで怯んだ空きに剣や槍で襲い掛かる。その繰り返しだった。


 もう全員が死力も魔力も尽き果てさせて怪我人や動けなる者が続出してもう何もかも捨てて逃げ出そうって俺達が考えた時何十回と繰り返して槍や剣を打ち込んでいた箇所が少しずつ傷を広げて大きく動きが鈍った所をある一人の剣士が決死の思いで奴のメンタマに己の剣を深々と差し入れることに成功した。


 それで僅かに残った魔力魔導士たちが惜しみなく使いサンダーやテラサンダーの魔法をその剣めがけて放った。


 それが最後の一撃となってやっと奴の息の根を止めることが出来たんだ。



 そのあと俺たち、その戦いに参加したもの誰一人として勝利の雄たけびどころか立っている事も出来ずに何刻もその場で倒れ伏していたって始末だ。


 あん時はもうあんな戦いはご免だって思ったね。だが・・・今ならもうちっとマシな戦いが出来ると思うぜ」


 若かりしき頃の悲惨な体験を語ったサジカルスキーは嫌そうな顔でその過去の出来事を語ったが最後には顔を上げガインへニヤリとした自信ある笑みを見せた。



 その表情と聞いた話にその場にいた者達は「いけるんじゃないか」「当時の戦力と比べると今の方が何倍も良さそうだ」

 などと口々に自信を見せた。



 「ちょっと待ってくれ」

 その時、今まで話を黙って聞いていた第1騎士団長のモンドールが声を発した。


 「冒険者の諸君が勇んで魔獣、今回は厄災獣と呼ぶべきかそのベヒモスゾンビだが、すっかり討伐をする気に成っているようだがどうなのであろう。


 聞けばその場所は馬魔をとばして3日以上先、そこから遥か深淵の大森林と言う事だ。なにも討伐をわざわざ危険を冒して行う事は無いのではないか。

 ましてや都市からの距離と大森林と言う場所を考えれば我々のテリトリーに入る以前に大森林を根城にしている凶悪な魔物や魔獣がそのテリトリーを侵されて黙っているとは思えない。ならば我々はこちら側へ接近する事の無いよう監視や警戒のみを行うだけで済むのではないだろうか」



 モンドールは幼少の頃から親の職業、騎士を目指して精進し生活を送ってきた。騎士と言うのは基本的に対人戦を目的に日頃から訓練を積んでいる。

 勿論こういった生活圏内に日常的に魔獣が闊歩する世界だ、対魔獣の経験は少なからずあった。しかし本格的に強大な力を待つ厄災をもたらすような魔獣との経験はない。

 そこが冒険者と騎士の大きな違いでもある。



 「騎士団長のご意見ももっともであると思う。確かにベヒモス、しかもゾンビ化しているとなるとそう易々と対峙できるか不安もある」

 モンドールの意見を聞き冒険者ギルド長のガインも慎重な考えを持った。

 しかしそこに新たな意見が出る。



 「騎士団長サマ、それにギルド長。残念なお知らせだ」

 自身の報告の後、黙って話を聞いていたカスティーヌが声を上げた。


 「残念だと。どういうことだ」ガインが怪訝な顔をして先を即す。


 「あたしは奴の動きを把握するために逃がしやしない(Bポイント)を打ち込んである。だが逆にそのお陰で嫌な情報があたしの目には見えてるよ」そう言って周囲を一瞥し


 「あいつの脚は鈍い。半ば腐った様な体だ、その動きは鈍重で速度はあたしたちが歩っている様なもんだ。しかしその方角はきっちりしてやがる。

こっちだよ。あいつはこの都市、ラグーンへ向けて進んでいやがる」

 カスティーヌはお手上げだと言わんばかりに両手を力なくあげながら語った。



 「何だと! だがそうなってくると先ほどの冒険者の話が生きて来るな」

 騎士団長のモンドールが一瞬驚きの声を上げたが先日度反意を示したサジカルスキーの話への賛意を示したようだ。



 「そうじゃな。今、このラグーン周辺には幸の事に空前の大好景気で商売も活発。だがその分冒険者もこれまでに無いほど集まっている。この力を束ねれば奴を討伐する事も十分可能であろう」

 それまで黙って聞いていたコンス爺と呼ばれていた歳の頃もう60代へ足を踏み込んでいそうな老齢の冒険者が呟く様にしかし低いその声は部屋へ響き渡る様にその場にいる者の耳へ届いた。



 老練の冒険者の言葉は如何に同じAランクの冒険者だったとしても安心できる心地よく聞こえる。


 そんな安堵と自信に満ちた気配がその場へ広がった時新たな声が上がった。



 「ちょっと待ってくれ」知矢である。



 知矢はじっと今まで黙って話を聞いていたが流れが一度滞ったのち再び討伐の機運が一気に高まったのを感じながらあえてその流れに反する様に声を上げた。



 「どうした若いの」サジカルスキーと呼ばれた先ほど以前ベヒモスとの戦いの様子を語った冒険者が自信に満ちた顔つきで見た目だけは未だ若輩者としか観られるしかない知矢へと向けられた。



 「先ほどあんたが披露した以前の戦い。今回もそれと同様のいやそれ以上の戦力を結集すれば勝利も可能だと言ってたみたいだが」



 「ああ、そう言ったつもりだ。これは実際奴を真直で見て戦った者でなければ理解出来んかもしれんがな」そう薄笑いを浮かべ知矢へ言外に(若造に解るか)と言わんばかりの顔つきだ。



 「俺はそうは思わない。逆にゾンビ化した魔獣が通常個体のそれと同様だと考え立ち向かう事は危険だと思う。 今回相対して肌で感じた者としての意見はどうなんだ。さっきは戦いに関する部分は語られていない。あんたほどの冒険者がただその存在を目撃しただけで帰還したとは思えない。一戦なりとも交えたんじゃないか。その辺りを聞きたいんだが」


 知矢はサジカルスキーから視線を替え実際にベヒモスゾンビを目撃したカスティーヌへ顔を向けた。



 「ふふふっ。やっぱりあたしの目に狂いはないね坊や」カスティーヌは自嘲気味に潜み笑いをしながら上目遣いに知矢へと視線を交えた。


 「おいカスティーヌ。どういう事だ」サジカルスキーが知矢をひと睨みした後カスティーヌに食って掛る様に問うた。



 「その坊やが考えている通りさ。

 率直に言ってあたしの最大魔法。”暴風よ荒れ狂え(タイフーン)”は全く効かない。

 大いなる雷撃(テラサンダー)程ではないにしろサンダーやサンダーアロー等もほとんど効いている様子も無かった。


 あいつは以前の生態である強靱な外皮は腐っているように見えその実、表面は腐ってその下にまだ強靱な外皮が存在している。

 つまりもっと、いやかなり防御力が上がっていると考えるべきだろう。


 唯一風の乱刃(ウインドウカッター)が僅かに傷をつけた程度だったがそれもホンの僅かなかすり傷程度さ。

 まあ逃げ戻る前にヤケクソで使った爆炎の魔道具でやっと少し遅い歩みを一時止めた程度だったかな」



 カスティーヌから聞かされた事実を受け止めたサジカルスキーは先ほどの勢いを潜め険しい顔つきのまま黙り込んだ。

 やはり彼も一級品の冒険者である。カスティーヌの話を聞いただけで以前の個体との違い、自身が画いていた戦いの構図が一気に瓦解した事を瞬時に受け入れた。





 大勢の者が集まっていた室内はシーンと静まり返ってしまった。






 ベヒモスゾンビが都市周辺に到達するまで残す処およそ・・・・・8日 である。





 中国ウイルスのワクチン接種の為に地元の役所が大規模接種会場で使用できる予約券の申し込みをネットでしてました。

 一応申し込んでみましたが副作用、副反応を少し警戒していて今の所摂取するか悩み中です。

 予約申し込み県が郵送されるまでに決めたいと思います。

 法人単位での集団接種を行う計画もありましたが地元の保健所などとの調整が困難らしくそちらは見送りになりました。


 皆さんはどうお考えでしょう。

 ともかく中国ウイルスの脅威に打ち勝って生き抜いて欲しいと切望いたします。


ではまた次話にて


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