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第178話 新たな生  ~ 『最高神様!生きておられますか!!』

何か月ぶりかの2日間連続投稿!(*´▽`*)

今朝は早朝から執筆を行い5時間で書き上げました。

朝は静かで集中できます。


 では第178話 どうぞ。



 時は少しさかのぼり、ここは知矢が転移前に住んでいた自宅である。


 ひとり静かにベットで寝る初老の女性


 「・・・むにゃむにゃ・・・・神様、知しゃんへバイクを届けてあげてください・・・むにゃむにゃ・・・」

 現世へ残された知矢の妻の寝言の様だ。


 誰もいない部屋で寝言を言ったとしても誰が聞いているものか。

 しかし遠い別次元ではその寝言を聞いていた者がいた。 




 「さてさてどうしたものか」

 虚空こくうに浮かぶ映像をみながら困った様子の老人がいた。


 その傍らには中年の男が控えている。

 

 「最高神様。一々最高神様が個別案件へ心をくだかれる必要は無いものと思いますが」

 中年の男は老人の様子を心配そうにうかがいながら進言する。


 「うーん、其方そなたの言う事はもっともなのじゃが、しかし神界しんかいの者があの男を死なせてしまい残された家族が望むささやかな願いじゃて。聞き届けられる物なら何とかしてやりたいと思うてな」


 「ですが言葉通りですといささか問題が大きいかと」


 「まあそうじゃな。うむ、少し様子を見てくるとしよう。少し留守にするぞ」

 老人はそう言うとすぐにその身が薄れぼやけると姿を消した。






 再び場所は変わり、ここは日本の関東地方のさる田舎街。知矢の生前、転移前に住んでいた自宅がある街である。



 知矢の自宅裏にある自作ガレージ。 通称”秘密基地”

 ここには知矢の思い出が壁面へ飾られ中には整備工具や日曜大工工具が棚に並べられていた。


 工作用テーブルと椅子が置かれ本棚には小説や漫画、バイク雑誌、ツーリングマップが並んでいる。


 壁面のコルクボードには多くの写真が画鋲でとめられており知矢の幼い頃からの歴史が順番によくわかる。

 主催する弓術会の様子や面々そしてバイクの写真も多くある。

 知矢自身の写真で言うと、大学を過ぎたあたりから友人との写真よりも恋人や家族との写真が増え、子供、そして大きくなった子どもさらにその嫁や遂には孫の写真へと続いていた。



 そんな今は誰一人いる事が殆ど無くなった秘密基地の中央にはひっそりと壊れたバイクが置かれていた。

 僅かに埃が被り各所が破損したままのバイク。

 知矢が大事にしていた ”KawasakiH2SXSE+” である。


 あの日九州ツーリングの最中に事故で破損したバイク。

 知矢自体は最高神により異世界へと転移を果たしたが残されたバイクは九州より移送され知矢の家族によって秘密基地に収められた。

 乗り手のいなくなったバイクは修理される事も無く知矢の思い出としてここに置かれ今しばらくはこのままであろう。



 そんな誰もいない秘密基地にぼんやりとした光が突然現れ次第に大きくなったと思うとひとの姿へと変わっていった。



 「さてこれがあやつのバイクと言うやつか」

 知矢を異世界へ転移させた最高神が現れた。


 「うむー。このまま送ったとしてもエネルギーは無いしのう、技術文化も異なるのじゃしなおす事も出来ん。ましてやこんな機械をあちらへ送るなど混乱のもとじゃ。さてさて・・・」


 最高神は知矢の妻が夢で訴えた願いに耳を傾けて見たものの、いくら神とはいえ異世界に別世界の物を送り込むのは無理であると思い何か良い案が無いかと思案していた。

 その時である。




 「ムムッ、この機械・・・」

 最高神が怪訝な顔をしながら片手をバイクへ翳し何かを探る様に念じると、




 「いやはや、時にわしらでも予想だにしない事は起こるものじゃ。まあ全く過去に例が無かった訳ではないしのう。 やってみるとするか」


 そう1人呟くと翳していた手に何やら念を込めるのだった。




 「ほーれ、わしの声が聞こえるであろう。外殻は失われたかもしれぬが魂は残っておる。目を覚ますのじゃ!」


 何の反応も無かった知矢の壊れたバイク。それがまるで最高神の呼びかけに起こされたかのように反応を表しバイク全体がうすぼんやりと緑色に発光を始めた。



 すると発光は次第に強くなりしかしその大きさ、光量に反比例しまるで何かエネルギーが凝縮される様に強い意志を感じさせる様な小さい光の玉へと変化した。


 その光は最高神の呼びかけに答えるかのごとく今はもう動き出す事の無いバイクより抜け出す様に虚空へと浮かび上がった。


 最高神の目線程の高さまで浮かんだ強い光はそこで動きを止めたが強い薄緑色の光はさらに強さを増すし周囲を照らす。



 「うむ。上手くいった様じゃな。ほれもうわしの声がハッキリと聞こえるであろう、どうじゃ」


 最高神は眩しく光る球体状のものへと話しかける。




 『・・・・・・・・・・・・・』


 『・・・・・・・・・・・どうなっているのでしょう

  ・・・・・何がいったい』



 その強い光を放つ物体から澄んだ優しげな女性の声が聞こえてきた。しかしその声を発した光は置かれた状況に戸惑う様にゆらゆらと震えているように見える。




 「おお、人格をきちんと所持しておるようだ、良かったわい」



 『・・・あなたは・・・

    ここは・・・あるじの部屋・・・

                   主様は・・・

  ハッ! 主様は知矢様はどちらに! そうあの時私が ※ KTRCの制御を失敗し!!

  主様はどこです、ご無事なのですか!こうしてはいられませんお迎えに参上しなくては!』



 強い光は慌てふためいた様に虚空を右往左往し始めた。



 「まてまて、落ち着くのじゃ! お前の主は元気にしとるから」




 


 最高神により少し落ち着きを取り戻したのかその強い光球は動きを止めた。


 『主様はどちらに、貴方はご存じなのでしょう』

 心配のあまりにかその光球の姿で最高神へと詰め寄るバイクの魂。


 そう、この光は知矢のバイク ”KawasakiH2SXSE+” その中に秘めていた魂であった。


 工業製品であるバイクに何故魂が。そう思わなくもないが最高神も驚いたが思い起こせば神の見てきた歴史の中に同様の現象が無かった訳では無い事から最高神も即、その機械の中から魂と言えるエネルギー塊を分離し現現げんげんさせたのだった。


 元々魂を作り出すのは神のみ技としてもそう気軽に生み出すものでは無かった。

 しかしすでにある魂へ手を差し伸べ行く先へ導くのはこれまた神の仕事の一つでもある。


 「さてどこから話すかのう」最高神はバイクから呼び起こした魂を前に順序立てて話を始めた。




 事故の状況、知矢が神である自分の力で別の世界へ行きそこで元気に暮らしている事。

 老齢であった知矢が長生きできるように若返っいること。

 残された家族の願いを聞きバイクを知矢の元へ送る方法を思案していると機械の中にたましいと呼べるべきエネルギーこんを僅かに有する事を発見し機械から分離をして今に至る。


 そう言った事を事細かく目の前に浮遊するたましいへと説明した。


 最高神によって好事はそう言った緒事情を説明する内容をそのバイクの魂は余すことなく理解できる知識と能力を有していた事である。




 「さてそこでじゃ。あやつの家族の希望はあるがお前の希望はどうだ。機械としてのバイクは破損し今は言わば半ば死んだも同然じゃ。まあ知矢の家族が将来直して動く様にするかもしれんが、それまでお前はここで静かに眠る事も出来る。それとも・・・」



 『今までの話を聞くと主は貴方によって別の世界に送られているとの事。さすれば私も同様に主様の下へ送る事が可能なのでは』

 そのたましいの光球は最高神へと訴えた。


 「やはりそう望むか。もちろん可能じゃ。機械の状態では転移させると諸々マズイ事があるが生物としてであれば方法はある。じゃが・・・」



 『主様の下へ再び参ることが出来るのであれば、お役に立つことが出来るのであれば何でも結構です、いえ何でもと言う訳にはいきませんね。今までの様に主様をお乗せしお役に立つのでなければいけません。そして再び主様を危険にさらさぬ様にする力、能力を持ちたい!』

 バイクの魂は最高神へと切実に訴える。


 「ふむ、役に立ちたいと申すがあやつを乗せたいとな。

 かの世界では乗り物と言えば生き物に限定される。今までのような機械は存在せん。ましてや機械のエネルギー源となる化石燃料はまだまだ粗悪なものが存在するのみじゃ。

 だとすると新たなむくろを与えればよい事であるが。

 あやつと同族の人間ではどうじゃ。それならば傍にいる事も出来よう」


 『それは一つの理想です。ですが主様をお乗せするにはいささか不適切ですね』


 「ならこの世界で言う馬の様な生き物ではどうか。かの世界では魔馬と呼ばれるおとなしいが人を乗せて走る事の出来る魔力と言うこの世界にない力を持つ動物の一種じゃ」


 『馬は存じております。しかしかの生き物はそれなりに走る事は出来ても私ほどではありませんし主様をお守りする力に欠けるのでは』


 「スピードとパワー、守れる力を望むか。いやはやお前はいきなりこの状況に出くわしたというのに冷静に分析をして己の最適解さいてきかいを導き出そうとする。

 この機械であったお前は元々そんな高い能力を有していたのかそれとも何か特別なのか。

 神であるわしも困惑こんわくさせられるのう」


 バイクの魂による訴えと望みを聞いていた最高神は少し困った様に聞き取った条件をもとに適する生物を導き出そうとしていた。



 『私がどういった存在なのかは自身ではわかりません。しかし主様と出会い過ごした時は貴重で幸福な最高のものでした。それが再び適うのであれば主様にとって私が有用な存在でなければなりません。それを望めば貴方は叶えられる力があるとお見受けします。

 でしたらその力で最高の物を頂きたく』



 バイクの魂はなおも必死に最高神へと思いを訴える。



 「わかったわかった、そう興奮するでない」

 バイクの魂が眼前で強い光を放ち訴える様に根負けしそうであった。



 「お前の希望を全て勘案かんあんすると・・・ただの魔物や魔獣と言う訳にもいかんな。

 一般的なそれらの者達はお前の望むスピードもパワーも持たぬ。ならばこの際じゃ一般的でないものにするか」


 そう呟くとその”でない者”の内どれにするかを思案し始めた。




 その後しばらく最高神より提示された”出ない者”の能力や姿、容姿を聞いたバイクの魂は

 『それでは速度が遅すぎます』 『もっとパワーを』 『そんな姿で主様のお傍には適しません』

 『その魔力と言うエネルギーはどう使うのでしょう』 『周囲から羨望される者で無ければ主様のお傍にいる価値はございません』・・・



 あらゆること細かい条件で最高神の示したあらたなむくろを排除していった事で大分時間を要したが何とか条件を満たす存在を得ることが出来たようだ。




 「はぁ、お前さん、神を疲れさせるとは大したものだわい」

 知矢の秘密基地に置いてあった椅子へ腰を下ろし脱力しながら深くため息をつく最高神。

 本来、神と言うのは疲れや病とは無縁のはずであったがバイクの魂によって疲弊させられたことに半ば呆れながらもその執着心に脱帽の様であった。



 『当然の事です。主様に再びまみえこの身の全てをかけお役に立たねばならないのですからそれに必要なスペックを有さねばならない事は当然です』


 そう最高神へ言い放つのはやっとの事で希望の躯を得ることが出来たバイクの魂である。


 もう既に緑色に輝く球体であった魂では無く新たなむくろみごろを得、顔を自身の新たな体中を見回しながら確認に忙しい様子のバイクの魂であった。



 『この体には”スーパーチャージャー”は内蔵されてはいないのですか』

 体の機能を確認する様に軽く体を動かしながら最高神へふと機能の確認をする。



 「なんじゃそれは。少し待つが良い」そう言うと最高神は新たな知識を探すために目を閉じた。





 「お前さん、その”スーパーチャージャー”と言うのは機械的な補助動力じゃ。生物にはそんな器官は存在せんぞ」

 少し呆れながら最高神は説明する。


 『それは困ります。私の能力における最高の点の一つが過給機スーパーチャージャーです。これが無ければ主様にまみえた時に失望されかねません』



 最高神はその言葉を聞くと疲れがさらに湧き出た様な渋い顔とともに椅子から滑り崩れそうになった。


 「そろそろ妥協せんか」

 自分が言い出しやり始めた事であったが最高神は少し後悔を始めていた。

 しかし神としてその様な途中で投げ出す事も出来ず、”仕方がないのう”と再び希望にかなう能力の調整を思案するのであった。





 「これでどうじゃ。十分にお前の希望を内包ないほうさせたであろう。確認してみるが良い」

 疲れ果てた最高神はニヤリとその顔を自信気に見せ逆にやりきった感である。


 『確認とはどうすれば』


 「おお、では ”ステータスオープン”と気と体内の魔力を意識しながら唱えてみよ」



 『気を込める・・・ ”ステータスオープン” 』

 新たな躯受けたをバイクの魂は初めて使う魔法と言うものに戸惑いながら行使した。




 ・個別呼称未設定 (3)(KawasakiH2SXSE+の魂)

 ・基礎身体 LV1500

 ・種族 聖獣 フェンリル種(特殊個体)(転移者)(蘇り返りし者)

 ・知性 A級

 ・耐力 S級

 ・成長 D級

 ・武力 S級

 ・幸力 A級

 ・筋力 S級

 ・速力 S級

 ・魔力 S級

 ・特力 風魔法、火魔法、光魔法、水魔法、聖魔法、解析魔法

 ・行使力  増幅LV80、人化LV40

 


 バイクの魂から新たな躯、聖獣フェンリルへとなった知矢のバイクは目の前へ映し出された新たな自らの能力へじっと見入りその能力をじっくりと満足そうに確認するのであった。



 その傍ではやりきり、達成感を得た最高神が知矢の椅子へ寝そべる様に半ば力ら尽きている様子が見受けられた。









 ※ KTRC:カワサキ・トラクション・コントロール・システム の事。

   川崎重工業が独自に開発したシステムでありセンサーによって前後ホイールやエンジン回転数、スロットル開度、バイクの傾きや路面のμなどを検出し、点火時期や吸気量、燃料の噴出量などを調整してタイヤのスリップを制御するシステム。

   ドイツのボッシュ社製6軸センサーの情報も併せバイクの動きを常に把握して制御することが出来る。

 雨の中の走行でバンクさせても転倒しない最強制御システムであった。

 いやそこまでは無理か。

 わしの左手首、降雨時のサーキットでバンク中に前輪が滑った事で痛めたしな。前輪の制御までは加味されていない様でした。

 まあそれでも凄い技術です。 安心感もかなり違います。




 因みに川崎重工のバイクブランド NINJAシリーズの中で、H2と呼称するラインナップの中で


 公道最速のバイクが         【 H2 】

 サーキットなどの公道外最速が     【 H2R 】

 そして街乗りやツーリングに使いやすいよう調整、ポジションなどを変えたものが

                      【H2-SX】

 そのH2SXに追加装備を付加させたのが  【H2SX-SE】(スペシャルエディションの略)

 さらにそのSEに高位装備を追加させたのが【H2SX-SE +】(プラス)

 になります。


 がバイクに興味のない方には一切無駄な説明でした。






投稿完了後 2分で再編(◎_◎;)


後書きを書き損ねました、失礼しました。


最近確認不足でしたが累計アクセスが 64万アクセスを超えておりました。

皆様ありがとうございます。


連載開始から11カ月あまり。

1周年で200話はほぼ無理であると思いますがなるべく頑張って書きたいと思います。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。



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