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第177話 邂逅 ~ 『おい皆!もっと防御を固めるんだ』 『ハイ!ギルド長!』

こんにちは

本日は先週土曜日の代休でお休みになりましたし少し手首の痛みも緩和されたので早朝より執筆を致しました。

では第177話です。どうぞ






 「「精霊獣せいれいじゅう??」」

 「そうじゃ、ただの魔獣ではないぞアヤツは」




 大森林よりあふれ出てきたと思われる魔獣の異常行動を魔獣暴走(スタンピード)か否かを調査するために大森林の一角を訪れた知矢と従魔そしてニャアラス。



 途中から同行する事になった幻のSランク冒険者の老人、そしてその老人に付き従う大型魔獣ギガントポメラニオンの子供を伴い範囲を広げ調査を行っていた。


 情報収集の為知矢の従魔ピョンピョンの種族兄弟ゴールデン・デス・スパイダー達と交友、その結果日頃大森林で見かける事の無い魔獣の存在を知った一行であった。





 (聖獣・・・精霊獣、フェンリル・・・・・)

 知矢は獣の寝屋と思われる場所に現れた魔獣の正体を知らされた。だがその正体を聞いても自分の中では何か別の物を感じており違和感をぬぐえないでいた。



 その精霊獣フェンリルは遠目に見て大型の魔獣である事は間違いない。

 その姿はウルフ種よりがっしりした体格ながら引き締まった体躯と曲線美が駿足の情報を肯定こうていしている。


 毛並みは少し長毛であり銀色に美しく光り輝き、頬にあたる部にはエメラルドグリーンの様な僅かに発光する3本線が画かれたような毛並みを持ちその速さが強調されているように見える。


 昨夜ゴールデン・デス・スパイダー達から得られた情報によると魔力発光のように体を光らせて疾走する事があるというが今は地面の草の上へ上り寛いで休んでいるからかその体が光ってはいない。



 岩陰から密かに観察をしていた知矢達であるが周囲はすっかり暗闇に覆われて普通の者なら決してその魔獣を見る事は出来ないであっただろう。


 しかし知矢は創造魔法により作り出した新魔法”魔眼”を用いその暗視機能を発揮させ昼間と同様に観察することが出来た。


 フェンリルと呼ばれた精霊獣から知矢は目を離せなくなっていた。

 観察をしていると言うよりは必死にその姿を確認し自分の中の違和感の正体を掴もうとしている。



 「トーヤさっきからどうしたニャ」

 ニャアラスは黙ったまま精霊獣を凝視するように動かない知矢へ声をかけた。


 「・・・いや、すまない。実はあのフェンリルを観て、そのう・・・何か引っかかるんだ」


 「フェンリルを知ってるニャ?」


 「いやもちろん初めて見た。名前だけはどこかで聞いた事があるが全く知らない魔獣だ。そうじゃなく俺の記憶の中で何か霞がかったものが拭えないでいてな。

 すまないそれは気にしないでくれ。

 それより精霊獣、フェンリルとカーネタリア様も確認してくれた事だしこれが今回の騒ぎの発端、原因とみて良さそうだな」


 知矢は一度自身の違和感の正体を置き冒険者ギルドからの依頼である魔獣達の異常行動の原因が目の前でくつろぐように休む聖獣、精霊獣のフェンリルであろうと結論付けた。


 もっともそれだけが今回の魔獣、魔物たちの異常行動の原因かは情報を持ち帰り他の冒険者たちの情報とすり合わせた後にギルドが判断するであろう。

 そう考えながら知矢はこのまま様子を観察し明日帰還しようと考えていた。



 すると一緒に並んで岩場の穴から様子を観察していたニャアラスが声を上げた。

 「ニャア! あいつ何してるニャ!」


 その声に思考の海から戻った知矢も再びフェンリルの方へと視線を戻した。


 そこに見えたのは先ほど来変わらぬ様子で草の上へしゃがみ込み休んでいるように見えるフェンリルの姿であった。

 しかしその顔は何かを見つめている。


 裸眼ではニャアラス達高身体能力を誇る獣人族には叶わないので魔眼で視界を拡大してみる。


 「ピョンピョン! お前!」

 小声ではあったが自分の従魔がいつの間にかフェンリルへ接近し今はまさにその目と鼻の先にいる姿に驚愕の声を上げたのであった。







 『・・・・・(ねえ、君は誰?)』

 従魔は聖獣の気を引く様に前脚を振り上げながら話しかけた。



 その様子をじっと見つめていた聖獣が答えた。

 『・・・・・こんにちは、小さい方。私に何か用かしら』


 聖獣フェンリルは優しそうな声で目の前に突然現れた自分よりはるかに小さなものへ不快さなど微塵みじんも感じさせない様に声をかけた。

 その声は女性のような優しい声音こわねであったが体躯たいくが大きいのと比べると意外な感じを受ける。



 『・・・・・(私はご主人様とね森に異変が起こっていると言うので見に来たの。

 私の兄弟たちは貴方が森を走り回るから他の魔獣達が驚いて騒ぎになっていると言っていたわ。何で走り回っているの)』

 知矢の従魔は自分と比べるとはるかに大きな聖獣(精霊獣)を怖がりもせず問いただす。



 聖獣は静かにたたずんだままの姿勢で答えた。


 『そう、ご主人様がいるのね、羨ましいわ。

 私はねこの世界にいるはずの主様あるじさまの事をお探しているの。この世界にいることは間違いないらしいのですが・・・おかしいですね。直ぐに会えるという話でしたが。

 ですがその私の行動で森を騒がしてしまったようですね、ごめんなさい。』

 聖獣は静かに語りながら僅かの頭を下げ知矢の従魔へ詫びたようだ。



 『・・・・・(どこにいるのかわからないの?いつはぐれちゃったの)』

 従魔は遠慮無くどんどん聞いていく。



 『いつ・・・そうあの時、一瞬の出来事でしたね・・・』

 聖獣せいじゅうわずかに虚空こくうを仰ぎ見る様にしながらその時の事を思い出している様子だ。



 『私がもっとしっかりとしていれば主様を命の危険にさらす事は無かったのですが・・・』

 そう後悔する様に呟く。



 「オイオイトーヤ。ピョンピョンと精霊獣さまが語り始めたぞ。ピョンピョンの話は分んないけど」

 ニャアラスは知矢の方を振り返る。


 知矢は勝手な行動をした従魔に驚いたが話が通じそうな相手だとわかった事で安堵した。

 そして逆に聖獣の話を聞きだすという行動に感心してしまう。

 おそらく従魔は森の仲介者の一族としての自然な行動であったのかもしれない。そして主である知矢の手助けをする気でいたのかもしれない。



 「ああ、俺には両方の話が聞こえている。何か事情があっての事らしいが、何はともあれ気性がおだやかそうだし話が通じているなら少し様子を見よう」






 『・・・・・・・・・(危険?死んじゃったの?)』


 『・・・そう。お亡くなりになったと聞きました。しかしこの世界で元気にお過ごしと聞きお探ししているのです。小さき方、貴方は私の主様をご存じないかしら』


 『・・・(死んじゃった主を探しているの? あなた聖獣でしょう。聖獣の主って神様なのかしら)』



 『聖獣、ああそう言えばそんな事を言っていましたね()()()は。


 いえ、私の主様は人、人間です。しかしいくら走り回り人の影を探してもここはどこもかしこも森ばかり、主様どころか人の住む様子も見えません。

 私をこの世界へ行くように言った()()()はこう言ったんです。 



【着いた場所から見える森を抜けると大きな都市が見える、そこいらで待っていればお前の存在に気づきそして出会えよう】



 と言っていたのですが、いくら走っても森はどんどん深くなるばかり。

 それにただ必死に森中を走り主様を探しているだけの私に一方的な攻撃をしてくる獣に出くわすものですから邪魔だとつい蹴り飛ばしてしまいました。

 ()()()にも慣れないしついイライラと・・・悪い事をしましたね・・・』


 


 聖獣は従魔を相手にポツリポツリと断片的な話を語る。


 「サッパリ何を言っているのかわからニャイ。トーヤは分ったかニャ」

 ニャアラスに聞こえるのは聖獣の話だけである。

 主従ラインの繋がった知矢は思念で従魔の話も聞こえるのだがそれでも知矢もまだ理解はしていなかった。


 「いや、断片的な話で今一つ理解が付かない」

 そう困惑する様に話す知矢であったが先ほど来何か自身の中でもやがかかった様な思考の中に何かが見えてきている気がしていた。


 「ヒャッヒャッヒャ。あやつは怖いもの知らずじゃが流石は森の仲介者と一族と言う事かの。良い仕事をする。さてどうする。わしらも姿を見せて話を聞いてみるか。何か面白い話が聞けそうじゃが」

 老人は知矢達を即すように言う。


 「ニャア! でもでもカーネタリア様。聖獣様にむやみに近寄ってよいのかニャ。機嫌を損ねないかニャ」

 ニャアラスは自身の一族が敬愛し崇め奉る聖獣”白き猫の女王”を思い描きながらその事を危惧きぐする。



 「ヒャッヒャッヒャ。アヤツにしろお前たちのほうずるものにしろ精霊獣や聖獣と言うのは魔獣とは違い理性と高い知能と聡明さを持つものじゃ、問題なかろう。ましてやこいつの従魔が既にあの様子じゃし。

 それ以前にあの聖獣はわしらの存在などとっくに気が付いているであろう。それが聖獣というものじゃ」


 そういいながら老人はひょこひょこと岩陰から歩き出し聖獣と知矢の従魔が会話をするその場所へ脚を向けた。


 「トーヤ・・・」

 未だ心配そうな顔を知矢へ向けたニャアラスであったが

 「カーネタリア様がああ言うんだ。それにピョンピョンの様子からも問題ないだろう、俺達もそっと近づいて話が出来れば聞いてみよう」

 そう言うと知矢も岩陰から出て歩き出す。

 知矢の答えにニャアラスも恐るおそる知矢の後ろに隠れるように付いて行った。




 『・・・・・(あっご主人様たちが来たわ)』

 従魔は気が付くと振り返り知矢達に手を振った。


 『・・・・・』

 聖獣は黙って視線を送りじっと見つめていた。





 ゆっくり聖獣に接近した知矢達は少し間をおいて一度止まると様子を見る様に知矢が声をかけた。

 「こんにちは、我々は貴方に害を及ぼすつもりはありません。少し話を聞きたいのですが宜しいですか?」


 無言で知矢達を見つめる聖獣に丁寧に声をかけたが聖獣直ぐには答えずにいた。


 「ヒョッヒョッヒョ。聖獣フェンリルとみたがこの辺に姿を現すのは珍しいの。おぬしらは普段北の山岳を抱える大森林一帯で静かに暮らしておるとはずじゃが。何か問題でも起きたか」



 老人の問いにも答えずじっと知矢達を見つめる聖獣はゆっくりとその身を起こし立ち上がった。


 「ヒャッ!」起き上がった聖獣に驚いたニャアラスはその身を縮め知矢の背後へ隠れる。



 「大丈夫だニャアラス」そう小声で声を掛けながら


 「俺はトーヤ、こちらはカーネタリア様、そして俺の背後にいるのはニャラス。ともに冒険者だ。とは言っても冒険者が何か知らないか。ともかくさっき俺の従魔であるそこのゴールデン・デス・スパイダーから聞いたと思うが俺達は森の魔物や魔獣達が異常な行動を始めたと聞きその原因を探りにこの森へ来た。先ほどの会話を聞くにあなたが何かを、いや主を探し回って森中を疾走していたことでそれを恐れた魔物たちが逃げ出した為だと想像するが、それ以外に何か異変はみませんでしたか。

 例えば魔獣達が集団でパニックを起こす様に大移動している様子など」



 知矢は出来るだけ優しい声で目の前に立ち尽くす聖獣へコンタクトを試みてみた。


 するとじっと見つめていた聖獣はゆっくりと知矢達へ歩み寄り始めた。


 知矢は殺気や怒りの感情を感じなかった為じっと様子を見ていた。

 傍らの老人も飄々としていたため問題はないだろうとの判断だ。


 事実、聖獣のまなざしは恐れや怒りのそれでは無く優しく澄んだ青い瞳で優しいまなざしに見える。

 その目を見返す知矢は「えっ?」と心の中で思い起こさせることがあった。だがじっと聖獣の様子を窺がうのであった。



 知矢達の直ぐ傍まで接近した聖獣は少しの間じっと知矢だけを凝視していたがふとその鼻先を知矢へ近づけると何かを確認する様な仕草をすると急にガバッとこうべを垂れ前脚を折り知矢の前へとひざまつくのだった。



 一瞬驚いた知矢を他所よそに聖獣は



 『あぁあ! 主様!お探し申しておりました。あの時は私の不甲斐なさ故主様を危険な目に合わせ申し訳ございませんでした!』


 澄んだ優しい女性のような声音ですがり泣き崩れる様にその大きな体躯を縮こまらせ知矢の足元の地面へ擦りつけたのだった。



 突然の聖獣の行動に知矢を始め一同は硬直したように動くことが出来なくなったのであった。






 『・・・・(何々? その人は私のご主人様よ?)』

 そのかたわらでは知矢の従魔も何事が起きたのかと不思議そうにゆらゆらとしながら呟くのであった。





大体想像がついた方が殆どだとおもいます。(^_^;)


ではまた次話にて

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