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第174話 襲い掛かる黒い波  ~ 「ニャア、俺の脚に任せとくニャ。すぐに探してくるニャ」

こんばんは。

5/16日、日曜日です。

未だ左手首の痛みが取れず執筆が進みません、そして相変わらず話も進みません。


では第174話 どうぞ







 事と言うものは得てして突然急に訪れるものである。

 往々にしてそう言った事態と言うものは良い事であったためしがない。

 ほとんどの場合は凶事であるがたまに吉事があるのも事実である。







 知矢とニャアラス、しして知矢の従魔は夕闇が遠くの頂きに消えていくまで周囲の観察を続けた。



 時折騒ぎの気配が僅かに感じられると知矢に声がかかり知矢は新魔法 ”魔眼”を発動させ仔細を探る行為を繰り返していた。


 残念なことに今のところ特に大騒ぎも確認できず、魔獣や魔物たちが狂乱の上、大移動をするような気配待微塵も感じられなかった。



 たまに騒ぎを感じるのは魔物同士の争い程度でありそんなものは自然の営みの一つに過ぎない。この地に生きる全ては弱肉強食であるのだから。





 すっかり夜のとばりがおりると周囲の観察を諦め後は知矢の感知レーダーでの警戒に任せると知矢もゆったりと椅子へ腰かけ夕食を食べたり紅茶を飲みながらニャアラスと今後について協議を重ねた。



 その場には同行する事になったカーネタリア老人ものんびりと知矢の用意した椅子へ深く腰掛け夕食時の時だけですよと釘を刺されながら渡されたワインをゆっくり飲みながら若い冒険者の話に加わることなく笑みを浮かべながら話を聞くにとどめている様子であった。



 そして少し離れた場所ではカーネタリア老人について来た騎乗従魔と言うべきか魔獣のギガントポメラニオンがまるで猫のようにじっと箱座りをしている。


 その巨体の顔の上では知矢の従魔が何故か鼻筋に居場所を定めお腹がいっぱいになったのか半睡の様子である。




 「なるほどな。じゃあニャアラスはその見えた巨大な獣道の荒れたところをトレースして魔獣達の動きを追おうと言うんだな」



 「ニャア、ここから騒ぎを探すのも良いけど大森林の大木で見えないところも多いニャ。なら獣道の荒れた痕跡を追う方が速いニャ」



 ニャアラスは知矢へ明日からの行動の提案をしているようだ。



 一日中小山から大森林の各方向へ視線を巡らしていた二人であったが騒ぎらしい騒ぎを確認する事も出来ずにいた。特にニャアラスはそう言った深謀強く堪えてじっと観察するこう言った行為に成れておらず、どちらかと言えばやはり産まれ持った勘と兼ね備えた俊敏な肉体を駆使して行動する方を好む性質のせいでもある。



 知矢はニャアラスの意見を間違いだとは思わなかったが果たしてそちらが今よりも有効で効率的であるとは思えなかった。


 広大な大森林に何千何万の魔獣や魔物が生息し毎日の生活を営んでいれば通る道は数えきれないであろう。

 その中から争いや異変の痕跡を見つけ出す事は不可能だと確信している。


 しかしそれをどうニャアラスへ説明したらと思案する。


 だが知矢もこのまま小山の上からただ観察しているだけでは無為に時を過ごすだけで成果が上がらないのでは、もっと何か良い方法はないかとも考えていた。



 そして考えを巡らせながら傍で1人知矢から提供されたワインを薄っすら笑顔を浮かべて飲んでいる老人が目に留まった。



 「カーネタリア様、貴方は大森林を熟知されているでしょう。我々が魔獣の異常行動を確認するのにもっと効率的な方法はご存知有りませんか」

 知矢は思い出した。



 この老人は長い時をこの大森林と言う人を寄せ付けない魔物たちの楽園で過ごしそしてさらに魔獣と友好を紡いでいた事を。



 そんな老人であればこの地における異界の者、新参者である知矢達とは比べ物にならない知識と経験を持っているはずだと。

 この急な事態で知恵を借りるにはうってつけの人物がこんなにも身近にいた事を思いもしなかったのであった。




 知矢に声を掛けられた老人は変わらぬ飄々とした笑みを浮かべながらじっと見つめ返していた。


 そのまなこは知矢の心の内を見ているのかそれとも何か思案しているのか暫し無言のまま微笑みながらも視線を向け続けていた。




 (鑑定阻害では無いのう。じゃがこのわしが全てを見透かせられんとはのう。この者いったい何者であろう・・・)






  塚田 知矢 (16)

 ・基礎身体 LV95 冒険者ランク A

 ・種族 人族(******を持つ者)(***)(*******者)

 ・知性 *級

 ・耐力 B級

 ・成長 B級

 ・武力 *級

 ・幸力 *級+(***の加護)

 ・筋力 B級

 ・速力 B級+(*****加護)

 ・魔力 **級

 ・特力 基礎生活魔法、空間魔法、風魔法、火魔法、光魔法、創造魔法

     土魔法、解析魔法、獣使い+(**の加護)

 ・行使力  建築LV10、鍛冶LV8、設計LV5、デザインLV15、料理LV5、弓術LV120、剣術LV110、体術LV45、経営LV165

 ・加護 ***の加護(小)、*の加護(小)、**の加護、****の加護(小)






 (ただの若い冒険者と思い鑑定までしていなかったがいやはやこれは異質じゃ。

 しかもその身に纏う魔力は・・・・我らの神聖魔法の使い手に酷似しておるが神聖魔法の特力は持ち合わせておらんし。空間魔法じゃと。

 古代魔法の一種でもはや使い手はそう多くは無い筈じゃが。しかも創造魔法とはなんぞや・・・)




 カーネタリア老人は知矢達若い親切な冒険者に思い付きと好奇心そして若い物が無闇にこの地で命を散らせるのは忍びないと思い軽い気持ちで同行をする事にしただけであった。


 それ故二人を鑑定する事もせずここまで来たが知矢に対し何か底の知れない感触を得て今になり先ほどから知矢とニャアラスを鑑定をしてみたのであった。



 一般的にはステータスを見せないようにする術は鑑定阻害の魔法、そして鑑定阻害の魔道具が一般的である。そして基本的には鑑定魔法を行使する術者のレベルより数段高い能力を持つ者に対しては鑑定結果がハッキリと見えない。


 この老人の場合能力は遥かに知矢をしのぐのは先日で会った際に知矢が老人に対して鑑定を行った際にはっきりしている。


 よって老人から知矢への鑑定はすべてをさらけ出す状態が当然であるのに見えない項目が多い事に老人は驚くと同時に訝しむのだった。



 そして実はその見えない項目は”最高神”や”神々”に関わる部分であったり転移者であったりする一般的でない項目である。

 魔力SS級の項は知矢の方が能力が高かったため表示されていないだけではあるのだが。




 「カーネタリア様、どうかしたかニャ」じっと黙って知矢を見つめていた老人をニャアラスが顔をのぞかせて心配そうに見ていた。



 「おっと、ヒャッヒャッヒャ。すまんすまん、どうしたものかと考えておったらいつの間にかぼーっとしとった。歳はとりたくないの」

 鑑定結果に思案を巡らせていた老人は誤魔化す様に知矢とニャアラスへ笑顔をみせた。



 「ニャんだ、どうかしちまったかって驚いたニャ」

 ニャアラスは純粋に様子を心配していたと軽く文句を口にしたがこの見た目は超高齢の老人。いくらSランクの冒険者だとは言ってもニャアラスはその体調を憂慮したのだ。



 「いやいやすまん。おおそうだ何か良い方法であったな。わしならこやつらや他の者へ話を聞くかの」

 と少し離れて箱座りで控える魔獣ギガントポメラニオンをチラリとみると魔獣は答える様にちいさく『Gyaaa』とだけ声を発した。



 「こやつは特に変わった事は無いと言っておる。じゃがの大森林中の魔獣を片っ端から捕まえて聞き込みをするわけにもいくまい。ここから異変を観察するのとそう大した差は無いかもしれんの。ヒャッヒャッヒャ」


 この老人は知矢の正体が知れぬとは思っていたが悪い者では無かろうという事だけは確信的に感じていた。

 それだけの経験を積んでいるのであるから。


 だからこの場でも何か若い冒険者へアドバイスをと思ったが画期的な処方は思いつかなかった。


 自分ならどうするか、そうも考え一つ思いついたがそれを実行すると大森林のどこかで起こっている異変や騒ぎを見つける代わりにその行為で起こりうる騒ぎの方を思いやるとその方法を提案できなかった。


 もっとも今はである。最後はその手を提案する事も考えていたが今はその時ではないと考え若い冒険者たちが如何知恵を絞るかを暫し観察する事にした。





 「・・・・・」知矢は老人の知恵も駄目となるとどうするべきか行き詰っていた。

 そんな知矢の様子を見ていた者が声をかけた。



 『(・・・・・・・)ご主人様、ご主人様』


 ギガントポメラニオンの顔先で戯れていた知矢の従魔がピョーンと跳んだと思うとシュタっと知矢の肩へ軽く降り立つと声をかけた。



 「おう、どうしたピョンピョン」

 指先で従魔の背中を撫ぜながら声をかけた。



 『(・・・・)兄弟に声を掛けましょうか。みんなきっと色々知っていると思いますよ』

 従魔は主に背中を撫ぜられて気持ちよさそうにしながらも自分の考えを伝えた。



 「ピョンピョンの兄弟。そうかゴールデン・デス・スパイダー達はこの大森林の周囲には大勢いるんだよな。それでどうやって聞くんだ、住処とかへ向かえばいいのか」



 『(・・・・・)いいえ大丈夫です。声を掛ければみんなすぐに来てくれますよ。良いですか』



 従魔は知矢の許可を得ると主の肩へ乗ったまま後脚で立ち上がると前脚を大きく空へ広げる様に伸ばしながら




 『(・・・・・・・・・)オーイ!!みんな!私に力を貸して!』




 声は出していないが知矢には思念で伝わる。力強い思いが小山の上から広大な大森林へと広がってゆくのを。



 「なんニャ? トーヤどうしたニャ」

 ニャアラスは知矢と従魔の会話の半分しか耳に届かないが何か従魔が知矢の肩で行動を始めたのを見て訪ねてきた。



 「ああ、今こいつが仲間に声をかけているところだ。近くにいるゴールデン・デス・スパイダーを呼び集めて大森林の異変に関する情報を聞こうとしている。何匹来てくれるかな10匹以上集まれば広い範囲の情報が効けるかもしれない」



 「ひぇっアワワワッ。ト、トーヤま、またあのキング様が来るのか・・・・」

 ニャアラスは以前龍水湖の湖畔での出来事。古龍とキングゴールデン・デス・スパイダーとの対決を思い出して尻尾を丸め震え出した。



 『(・・・・・)今回は守護者様への救援お願いはしてませんからキング様は来ませんよ。大丈夫ですよ。それにキング様だって恐ろしい方では無いですよ』



 知矢から従魔の言葉を聞いたニャアラスは幾分安堵した様子ではあったがそれでも未だ尻尾は力を失い地面へと力なく垂れたままである。






 ものの数分が経過したであろうか。知矢の感知レーダーに青い点の表示が広範囲に表示され始めた。


 「おっ来た様だぞ。レーダーに反応がある・・・だが」

 知矢は己の視界のみに表示される感知レーダーの表示に訝しさを感じた。



 「どうしたニャトーヤ。別の魔物でも近づいて来たのかニャ」


 「いや、・・・コナビ。接近中のゴールデン・デス・スパイダーの数は分るか」

 知矢は即座にサポートナビゲータのコナビへと確認する。



 『ピーン、現在接近中のゴールデンデススパイダー。その数およそ150、なおも増大中。200を越えました。なおも接近中』



 「ニャニー!!!」



 知矢の傍らで共にコナビの報告へ耳を貸していたニャアラスは素っ頓狂な大声を出して目を見開いた。


 「・・・・おいおいピョンピョン、来るのが多すぎないかお前の仲間達は」

 そう肩へ乗る従魔へ半ば呆れながら声をかける知矢だったがその間もレーダーへ表示される青い点は後続が続きその表示はもはや点では無く表示画面を真っ青に染めているのだった。



 『(・・・・・・・)ワーイ、皆ありがとう』知矢のあきれ顔とニャアラスの驚愕をよそに従魔は肩の上でぴょんぴょん跳ね嬉しい声を上げていた。



 「ヒョッヒョッヒョ」傍らで静かに様子を見ていた老人は自らの感知能力で知っているのか面白そうに声を上げるだけであった。



 その後方に座り込んでいるギガントポメラニオンは何かを感じているのか顔だけふと持ち上げると僅かに周囲を窺がうしぐさを見せるも危険はないと理解したのか再び静かに箱座りに戻るのだった。




 少しあきれ顔から焦りの表情を見せながら画面の表示を見ていた知矢に次報が入る。



 『ピーン、ゴールデン・デス・スパイダーその数700を越えました。 なおも接近中、最接近距離およそ100m』


 コナビのアナウンスが聞こえた時、小山の頂の視界が開けた周囲から大小様々な大きさの黒い影が一斉に知矢達が陣取る場所へと黒い波となり押し寄せているのが目視で確認できた。



 「ニャーーーーーーー!!!!」

 叫び声を上げ飛び上がりながらニャアラスは知矢の頭部へ縋りつきブルブル震え出す。



 そのニャアラスを頭の上へ置いたままの知矢は

 (オイオイ、これはいくら何でも・・・)と困惑するしかなかった。



 その間も



 『(・・・・・・・)ワーイ、ワーイ!』と従魔は喜びそして



 『接近中のゴールデン・デス・スパイダー、1000を越えました』



 と無機質な報告だけが聞こえてくるのであった。






中国ウイルスの猛威が一向に収まらず緊急事態宣言が拡大しております。

皆様の無事と速い殲滅を祈るばかりです。


ではまた次話にて。



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