第169話 青年とはいったい
久しぶりと2日連続投稿です。
しかも多分訳が分からない流れだと思います。
では第169話 どうぞ
青年が再び意識を取り戻したのは見かけない部屋の中であった。
ベットの様な寝具に寝かせられていた青年が意識を取り戻し記憶を呼び起こそうとしながら体を起こす。
何か恐ろしい目に遭っていた気がしたが記憶が判然としない青年は周囲を見回しやはり見た事の無い部屋である事だけは理解できた。
ベットの近くにあるテーブルには青年の持ち物一切が置かれたい件も鞘に入り立てかけてある。
ベットから体を抜け出し床へ脚を下ろし立てることを確認した青年は自分が如何していたのかをゆっくり思い出していた。
そう既に死を目前にしたあの魔獣の存在。そして魔獣の買い主なのか後から現れた少年の事。
夢か幻か勘違いか、青年の思考は未だ混乱していた。
そんな時青年が寝ていた部屋へ勢いよく扉を開けて入ってきた者がいた。
『よう兄ちゃん目が覚めたな。ったくあんなところで行き倒れるなよ驚いたぜ。腹が減ってるんだろかーさんがこれ食えってさ』
青年が呆然と少年を見つめている感に一方的に言う事を言い食事の乗ったトレーを差し出すと去っていった少年。
青年はお礼を言うのも忘れて去っていった扉を見つめながら暫し呆然としていた。
青年は受け取ったトレーの食事をありがたく食べた。
見た事の無い食材の料理であったがシチューの様な暖かい物と肉や野菜を煮た物そしてパンの様なふっくらした物、そして何かどろどろしたコップに入った飲み物。
青年は良い香りに誘われ腹の音にも背中を押され食事へ手を付けた。
味は素直においしいと思えた。食材はよく解らなかったが青年が今まで食べてきた物とそう大きく異なってはいない。
少し苦みと強い香りが独特ではあったが純粋に美味いと一心不乱に食べてしまった。
その後青年は少年やその親と顔を合せ助けて貰った礼をし持っていた僅かな金目の物を差し出したが一笑に付され受け取ろうとしなかった。
逆にしばらくゆっくり滞在する様に諭され青年はありがたく受けたのだった。
少年やその両親、そして家を一歩出て街の様子を見ても皆少年と同様に額やその付近に似た様な突起、角を持っている者ばかりが住んでいた。
少年とその両親から聞いたにこの都市は 魔王様が支配する国の都市のひとつである事。魔王とは魔法に優れた強大な力を持った者が選ばれ国を担っている事。
自分たちは魔族と称する一族で総じて魔法能力が高い国民が多いが剣や槍などの武器をも普通に使う事。
青年が出くわした生き物は少年の家で飼っているペットのミケと呼ばれる魔獣でよく言う事を聞き可愛いと自慢された事。
この魔族の地にも他の人族や獣人族などもごく少数住んでいる事。
遠く離れた土地に他の国や種族が住んでいる事は知られているが交流があるのはごく一部の国家でそれも国のトップ同士が僅かに交流する程度で市民間の交流は物理的な距離や政治的な配慮で行われず一部の交易商人のみが行き交う程度である事。
等を教えてもらった。
青年はそんなこの国の話を聞きながら周囲にいる者や青年を助けてくれた少年を観察していたがどうみても自分の方が体格や筋力的に劣るとは思えなかった。
だが都市の外郭外側に広がる森にいる魔獣を狩ったりしている様子を見せてもらいその魔力や魔法、行使力や見知らぬ技のどれをとっても青年が敵わぬ事実を目の当たりにしたとき直ぐに心を決めた。
少年の両親へ相談ししばらくどこかで働きながら冒険者としてでは無く一人の者としてこの地で修行をしたい事。
出来るなら誰か教えを請える者を紹介してほしい、そして仕事も何か斡旋してほしいと切に願った。
仕事の方はあっけなく見つけてくれた。
青年が癒しの魔法を使えるとわかると魔族の神を称える魔神の教会に併設される病院での治療を手伝うように勧められた。
そして魔神教の抱える騎士団の練兵場への出入りが許され一緒に訓練を受ける事が出来た。
主に今まで見たことも無い魔力の練り方から始まり聞いた事も無い魔法を学び時に剣技や魔力を剣技に生かす修練などを研鑽する事が出きたのだった。
青年は毎日教会へ通い真摯に仕事をこなしその後夢中で騎士や兵士に混ざり剣技や魔術その他得られる物は何でもどん欲に学んだ。
青年にとって毎日がとても充実していた。大森林をさまよっていた頃よりさらに得難い体験をしているととにかく毎日が楽しくて仕方が無かった。もうこのままこの国の住人になってしまおうかと思う位、いや半ばそれもあると密かに考えていた。
青年はこの国における入国手続きを正式にはしていない。本人はした覚えも無かったがそれを助けてくれた少年の父親へ訊ねてみたが 『大丈夫だ、一応届けは出してあるがそれほど気にする話じゃあない』 と笑顔でこたえた。
確かに考えてみればこの国を侵略などしようと思っても周囲には青年の居た国の軍隊など赤子の手をひねるほどの事も無く一掃される戦力、魔獣がいくらでも存在している。
それにこの魔王国の人間たちもその身体能力や攻撃力、防御力そして魔力のどれをとっても青年の居た国の軍隊どころか冒険者たちの誰もが敵うものでもない事実を十二分に青年は知っている。
ペットの ”ミケ” にさえ一生勝つことは無理ではと最近痛感しているのだから。
そんな青年の魔王国での生活は既に1月以上を経過していたがある日いつもの様に与えられた仕事をすべく魔神の教会へ出勤した青年は教会の助祭に呼び止められた。
『司祭様がお呼びです』と。
その助祭に連れられ司祭の部屋を訪れるとにこやかに迎えられた青年であったが話を聞くと少しだけ困った顔をしていた。
司祭の話はこうだ
『いつも献身的に治療をしてる姿を見ている。素晴らしい癒しの魔法だ』
『しかし少し魔法の行使の様子を見ていると何か違和感を禁じえない』
『ひょっとしたら呪われてはいないか』
『君さえ良ければ鑑定士がいるから調べさせてはどうか』
そう司祭に言われた青年は困惑と共に鑑定されることを躊躇していた。
先ず呪いの件だが青年は聖の魔法を主に行使できるいわば神聖魔法の使い手である。その神聖魔法を行使する者が呪われているという事は青年の知識の中で考えられない事だった。逆に青年の聖の魔法はそういった呪いなども消し去る為の物だからだ。
そしてもう一点。実はこちらが問題であった。
青年はもう何年も前に実家を飛び出し、まあ家出であるがそのまま他国へ渡り冒険者となった。その時より一度も実家はおろか生まれた国へも帰った事も入国した事も無い。
青年が恐れているのは鑑定によって自出が知れる事であった。
青年が躊躇していることを感じ取った司祭は
『安心しなさい。君が何者であるかもう知っています』
青年はその言葉に衝撃を受けた。
何の躊躇も無く調査も尋問も無く受け入れたと思っていたこの国だったが実際は簡易的な鑑定は既に行われていたのだった。
勿論名前や所属、そして殺人や窃盗の過去程度の物であったが。考えてみると至極当然の行為であると青年は一瞬の驚きはあったが自分が冒険者として所属していたギルドでも犯罪歴などの鑑定だけは当然行われていたのだから。
一種の不法入国者でもある青年を何の躊躇も無く受け入れている国家があったとしたらその方が不用心で国家として失格なのだろうと。
青年はその言葉を聞き今度は素直に全ての鑑定をして確認するよう願った。
もし呪われているとしたら生命の危機でもあるし自らの聖の魔法で消し去れないレベルの呪いだとしたら相当高位の呪いでもある。それこの目の前の司祭やそれ以上高位の術者に大金を払って 解解 をしてもらわないとならないのかもしれないのだから。
既に準備が出来ていたのであろう。青年が鑑定を了承するとすぐに鑑定魔法の使い手が呼ばれ司祭や助祭の見守る中その場で鑑定が行われた。
『・・・・・・・・・・・・』
鑑定魔法の使い手は鑑定魔法を行使したままじっと青年を見つめ口を開かない。
暫し静寂の時が流れた後鑑定士が大きく息を吐くと司祭へ向き直り結果を語り出した。
『この者は呪われているのではありません。これは呪いに似ていますが違いました』
鑑定士はどう説明しようか苦慮をしている様子を見せながら話し出した。
『恐らくですが』と前置きをし語り出した事に依ると
・鑑定疎外の術式により何かが隠されている。
・隠されているのは主に魔法に関する能力と身体レベルを制限する様な術式。
・生まれた直後からその魔法をかけられている。
・その制限や隠している者を解除する事は可能だがそれによる弊害が想像できない。
・どんな理由があっての事かも解らない
と言う事であった。
青年は生まれた時から何かを隠され力も制限されていた事実を知り何となくではあったが理解してしまった。
青年は司祭へ自分の実家と国における置かれた立場を語った。
その長い話を黙って聞いていた司祭は青年の話を聞き終えると
『それはきっと親御さんが君を君の行く末や命の危険から守るために行使した行為ではないでしょか』
と言い出した。
青年もその通りであると理解していた。未だ隠されている物をその国で知られる事に依って青年の立場は大きく変わるいやひょっとすると国の態勢も変わるのではないかと思う程青年の祖国での立ち位置へ影響を及ぼすと推測された。
だからそれを憂いた両親が愛する子を守るためにその術を行使したのだと。
『どうするかね。このまま封じておけば君は今まで通りですよ。その封印とも呼べるものを消し去るとどうなるか。この国にいるのであれば政治的な問題は恐らく気にする事は無いでしょう。ですが身体的な問題は別です。
今まで隠され、押さえつけられてきた何かが解放されたとき肉体や精神への負担は想像できません。耐えきれる部類の物かそれとも身心の破滅か・・・』
司祭は優しく諭すように青年へ語り、しばらく考えてみなさいと青年へ伝えその話は持ち越しになった。
青年はいつもの様に与えられたけがや病気の者へ癒しを与える仕事をこなしていたが頭の中は先ほどの話ばかりが占めていた。
午後にいつも参加する訓練は休みを伝え間借りしている少年の両親の家へ戻ると借りている部屋へ閉じこもった。
『おい、なんだよずーっと閉じこもってやがって。ミケの散歩に行くぞついて来いよ』
夕方になったのか少年が青年に声をかけ部屋から連れ出した。
あれだけ死の恐怖を与えられた魔獣。少年のペットのミケ。勿論今でも戦うなどは思いもよらない程力削差は歴然であったがミケの方が買い主に言い含められているのか青年へ殺気を向ける事はもうない。
だがだからと言ってそのペットを撫ぜたりはとても出来ない青年であった。
こうして少年と共に散歩をしているだけでも青年にしたら奇跡的な話だ。
しばらく何もたわいのない話をしながら少年とミケと共に都市の郊外を散歩していた青年はペットである魔獣の事を観察しながら心を決めたのだった。
翌日青年は昨日とは打って変わり晴ればれとした顔をして教会へ向かった
教会へ着いた青年はいつもの礼拝堂の脇に設けられている病院へ一度向かいいつもの様に治療と癒しの行為を黙々と行っていた。
その後いつもは向かう訓練場所へは向かわず朝から申し込んでいた司祭への面会をするべく部屋へ案内に従い向かった。
司祭は昨日と同様ニコニコと温和な表情で青年を迎えてくれた。
青年が頭を下げ自身の中で隠している術式の解除を願った。
『良い顔をしていますね。わかりました』そう告げると青年をそくして伴い教会の聖堂へ案内した。
そこには先に来てい待たされていたのであろう者が2人いた。
司祭に紹介されたその2人は魔導士と魔聖士と紹介された。司祭は既に青年が疎外と制限の魔法の解除を望むであろうとわかっていたようだ。
魔導士は周囲に結界を張り何か不測の事態の備えると聞かされた。
確かに抑圧された、長い年月抑え込められた魔力が暴走する事も考えられる。それに対する備えであると。
魔法の解除を行うのは魔聖士と紹介された。
青年には聞いた事の無いその呼び名だったが話を聞くと魔法賢者と同様の位置付けであると理解した。
青年は司祭の配慮に感謝をしたが懸念が別の所にあった。それを司祭へ伝えると 『礼金など考えなくて結構』 笑みを浮かべながら口にする。
しかしと青年がそれではと躊躇すると 『もしかするとあなたの母国に行ってもらう事になるかもしれません。その依頼料とお思い下さい』
青年に理解の着かない事を言ってきたが青年もこの事を終えたら一度祖国へ、家族のもとへ変える必要を感じていた為、感謝と共に了承した。
『#$%‘@$・・・・・・・』結界張られた中央に立った青年へ魔聖士がゆっくりと何を言っているかわからない言葉で術を行使し始めた。
青年は段々頭の中が何か熱さを感じたり急に寒気を感じるなど意識も混乱する状態に陥った。
だが長く鍛え上げた肉体と多くの経験体験によって強靱と化した心に気を込める事に依り何とか意識を保ち続けていた。
だが白い景色に包まれるといつの間にか意識を手放していた・・・・・
青年は夢を見ていた。
何か暖かく居心地の良い物に包まれ”幸せ”そう幸せを一身に受けているそんな表現が一番適切であろうとしか思えないそんな場所だった。
強く淡い光を浴び暖かい幸せに包まれ青年はこのままずーっとこの場にいたい、そう思うような場所であった。
暖かく幸せが満ち溢れるそんな・・・・・
場所・・・・
以前来たことがある様な懐かしいそんな場所そして光景
・・・・・・・・・・・・
『ねえトーヤ君、この青年ってトーヤ君の事?』
『えっ違いますよニーナさん』
『だって神聖魔法が使えるって』
『いやいや俺使えませんけど』
『以前神聖教国の出身疑惑が・・・』
『違いますって!』




