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第166話 喰らえ ! 必殺の!!  ~ 『・・・(聖なる防壁!!)』

連続投稿3日目!

最近は投降が滞りがちで申し訳ありません。

なるべく頑張りますが無理な日も多々ございますのでお許しを。

では第166話をどうぞ。






 朝靄が未だ広がる巨大な湖のほとり。

 知矢は周囲を警戒しながらももやで朝日を浴びて霞む湖面の光景に心地よい空気とともに感動を覚えていた。



   「世界は変わっても素晴らしい景色は同じく心に響くものだな」



 日本にいた頃、ツーリングでもそう言った光景を追い求め北に南にへと走り回ったものだった。

 しかし知矢の中では満たされていないものが実の所多くあった。




 『北海道へ行ってみたかったな』

 『海外ツーリングも予定していたのだがな』

 『四国の沈下橋、全制覇もしていないな』

 『和歌山の熊野古道も途中までだったな』

 『まだまだ走り足りなかった・・・』




 と言う風に望郷への思いは心の中に隠されていたもののこればかりはもう二度と叶えられない望みであったので勿論口にした事は無い。



 更にこうして異世界でも素晴らしい光景に出会うと思い出すのが

 「あーっこんな所をバイクで走りたかった。 H2SXSEとはもう二度と会えないな・・・」

 少し寂しさがこみ上げる知矢であった。




 (おっと!)

 そんな事を考えながら疾走していた知矢の気配感知レーダーに動きが見え瞬時に岩場の物陰へと音も無く身を寄せた。



 じっと物陰から視線を送ると林の木々から魔獣の集団が現れた。

 (あれは・・・)



 林の奥から姿を見せたのは以前ニャアラスに誘われ討伐依頼を受けた事のある魔獣 ”六角獣” の集団だった。



 一番大きい体躯の個体が先頭で姿を現し一歩先へ進むながら周囲の状況を警戒している風であった。

 その後安全を確認したのか 『kuuu』 と人鳴きすると次いで小さな個体や中くらいの個体がぞろぞろと湖畔へ歩み寄り皆が湖面へ口を寄せ水を飲んでいるようだ。



 (水を飲みに来ただけの様だな。興奮する様子もないし、傷や怪我を負った個体もいないみたいだ)


 知矢はその様子から問題は無いと判断し気配遮断の魔法を唱えるとなるべくそっとその場を離れ先を急いだ。




 『kuuugugugu』 知矢は気配を消したつもりであったがその集団を率いていると思われる一番巨体を誇る個体は知矢が気配を消して密かに疾走した方を見やっていたが危険はないと判断したのか見るだけに止めた様子だった。




 (危ない危ない。やはり自然の驚異に身を置き生きている者達は気配に敏感だ。魔法を過信せぬようにせねばいかんな)


 知矢は微かに気配の変わった六角獣から逃れる様に走って行った。







 「なんニャこの跡は!」

 こちらは知矢と別方向へ探査をしているニャアラス。

 彼は湖のほとりから林の方へ逸れる獣道を探っていた。


 そんな中獣道の奥で大木が大きく左右へへし折られるように倒れている箇所を見つけた。


 「巨体が通過したというか、暴れたかニャ?」

 その痕跡をつぶさに観察し匂いなども確認しながら何者の行為なのかを調べていた。


 「固いが比較的柔らかい鱗と剛毛の毛ニャ」


 ニャアラスは見つけた痕跡を手に取り繁々と観察する。


 「鱗はアリガッターヤかニャ・・・毛は、クンクン・・・ブラッティービーストだニャ。でアリガッターヤが湖へ逃げたかニャ」


 ニャアラスは争った跡を確認しながら湖の方角と林の奥へそれぞれ引いた様子を確信したまたま出会った個体同士の争い程度だと考え先を急いだ。







 『・・・・・(でねご主人様がぴゅーっとその巨体の下を駆け抜けて背後に廻りながら持っていた武器で攻撃したんだよ)』



 「ほーっ六角獣の足元を抜けながら攻撃とは中々やるわいなヒッヒッヒー」


 『・・・・・「でももう一人の獣人さんも凄いんだよ。別の魔獣との戦いでご主人様の攻撃に併せて魔獣の上から一気に相手を大きな剣でやっつけたんだから』



 「さすが獣人の身体能力と言う所じゃな。なるほどなるほど、二人とも楽しみな若者じゃてヒョッヒョッヒョー」


 その老人は主従ラインもつながっているわけでもないのに知矢の従魔と何の支障も無く会話を続けていた。


 傍から見たらボケた老人の独り言に聞こえなくも無いが事実会話は成り立ち意思疎通を行っているのだから不思議な光景である。



 知矢とニャアラスが周囲の探索へ出た後、残された老人と知矢の従魔はのんびりとした時間を過ごしていた。



 老人は一瞬昨夜知矢に貰ったワインへ手が伸びそうになったが

 「いかんいかん彼の者に言われておったわい。今夜の楽しみにしとくとするか」

 と酒を飲むのを諦め知矢が置いて言った野菜ジュースともミックスジュースともいえる飲み物をちびちびと飲みながら椅子へ腰かけ傍らで周囲を警戒するような素振りのゴールデン・デス・スパイダーの話を聞いていた。




 『・・・・「何か来る!!」』

 従魔が敏感に何かの気配を感じ取った。



 「・・・・」だが老人は何も感じなかったように椅子にのんびり腰かけたままだ。


 従魔はシュタっとひと跳ねし知矢が設置した防柵の丸太の上へと飛び乗り辺りを見回した。




 すると静かな湖面にブクブクと泡が湧き上がった瞬間湖畔から数十メートルほど離れた湖の水面がザバーッと吹き上がったと思うとそこに龍が姿を見せた。


 その龍は5m程の若い龍と思われ以前知矢たちがこの湖で出会った子供の龍よりははるかに大きいが古龍に比べると可愛い大きさだ。


 しかし知矢の従魔と比べるととてつもなく巨体である。


 「gryugryuruuuu (なんだこれ。昨日までこんなの無かったぞ)」

 その龍はザブザブと水をかき分け湖畔へと上陸し知矢達が設営した防柵やキャンプ道具などを訝しみながら近づいて行く。



 『・・・・・(ストーップ! ここから先はダメよ。これは私たちの物だから壊さないでよね)』


 防柵の丸太の上でぴょんぴょん跳ねながら従魔は現れたその水龍へ警告を発した。



 「gyyraguguij(何だちび助、お前かこんなものを置いたのは。ここいらは俺達水龍族の縄張りだぞ。勝手にこんなものを置きやがってぶっ壊してやる)」



 『・・・・・・・・・(何が縄張りよ、勝手に決めないでよね。私の一族もみんなこの辺りにも住んでいるわ。だいたい水龍なら水龍らしく水の中にいなさいよ)』



 「gyurararagyuugyugyuyu(うるさいちび助のくせに。この湖や森一帯は昔から俺達のものだ。さっさと行かないと踏みつぶすぞ!)」


 若水龍は咆哮を上げ従魔を威嚇する。


 『・・・・・・・・・(そんなこと言っていいの。古龍のおじさんに言っちゃうわよ)』

 従魔も一切引くことも無く逆に古龍の名を出して牽制する。


 「gunununu,gyagyuugygyiig(っ、お前汚いぞ。龍王様は関係ないだろ。俺がダメって言ってんだ! こいつこれでもくらえ!)」


若い龍はその巨体を回転させると己の長く太い尾を振り廻し防柵ごと従魔をなぎ倒そうとする。


 『・・・・・(このー!)』

 従魔も今にも飛び掛かろうと多脚に力を込める。がしかし



 「これこれそう喧嘩腰にならんと。若い物は血の気が多くて困るのう」

 いつの間にかに接近していたのか従魔も若い龍にも気が付くことなく老人が姿を見せ大きく振り回したその龍の尾をその身の脇に掴み防柵へ届く前に抑え込んだ。



 「(gyugyuugugguji)何だこの人族。っくっ、離しやがれ。何だこの力っここいつ!」


 『・・・・・・・・・・(わーいおじいさん凄い凄い!)』



 身動きの取れなくなった若い龍が必死にその身の尾を振り回そうとするがその老人はびくともせず涼しい顔で立っている。


 その動きを見た従魔は嬉しそうに破壊されずに済んだ防柵の丸太の上で跳ねまわり喜びを露わにしていた。



 「gyuuguguguuu(離せって言ってんだろ! こいつ、これでも喰らいやがれ!!)」

 若い水龍は振り向く姿勢のまま老人に向かい大きく口を開け息を吸い込んだ。



 『・・・・・・(おじいさん!危ない!!)』


 従魔が叫ぶと同時にその若い水龍の口腔より一気に放たれたのは水龍族の必殺技。何物も阻むことのできないと言われる超超圧縮水流を打ち出す ”水のブレス” であった。




 「ヒャッヒャッヒャ」老人はニコニコとその深いしわが彫り込まれた顔に満面の笑みを浮かべながら若い龍の尾を抑えていた右手では無く空いていた左の手のひらをブレスへと向け真っ向から超超水撃を受けてしまった。



 「・・・・・・(おじいさん!!!!)」

 従魔の声も虚しくまともに水撃を受けた老人はその身を砕かれはるか後方へと飛散しながら吹き飛ばされ・・・




 無かった。




 「ホレ返すぞ」水撃音の合間から微かに聞こえた老人の声。その瞬間ズバババババーっと老人に向けられていたはずの水撃が放ったはずの若い水龍へと打ち返されてた。




 「gyugagagagagaga(いてててててーて!!!)」

 自ら放った水のブレスの勢いをそのまま返された若い水龍は痛みに叫び声を上げた。



 



 大きな湖の畔は静まり返っていた。

 聞こえてくるのは遠くに聞こえる微かな鳥の鳴き声と地にうずくまりながら粗い呼吸音をだす若い水龍だけであった。




 『・・・・・・・(わーいおじいさんやったー)』

 大喜びの従魔はその苦しむ若い水龍の頭の上へ移動して再びぴょんぴょんと跳ねまわるのであった。



 「これこれ上に乗って暴れてやるものでは無いぞ。ヒャッヒャッヒャ。


 これ若きブルードラゴンよ。己のブレスの痛みはどうじゃ。痛いであろう。

 その様な恐ろしい攻撃をむやみにするものでは無い。

 だいたいお前たちの一族は


 『ブレスは禁忌だ。おいそれと使う事はならない』 


 とされておるじゃろ。その禁を破ったのじゃ、その痛みはその罰と思うが良いヒャッヒャッヒャ」



 痛みを堪えながら僅かに伏した地面より顔を老人へ向けた若い水龍は

 「gyuuuugygyyuo(なんで一族の掟を人間が・・・)」

 未だ痛みが残るのか苦悶の表情の中、声を振り絞る様に老人へ問うた。



 「ヒャッヒャッヒャ。昔お前の王、古龍と会うたことがあっての。その際に聞いたのじゃ」



 「gyuuguguguugunn(龍王様の知り合いかよクッソ。先に言えよ。イタタタ)」

 少し痛みが引いて来たのかだがまだ苦悶の表情のまま必死にこらえながら体勢を起こす若い水龍。



 「ばかもん、その短気で粗暴な所はアヤツの若い頃の様じゃの。痛みが引けば大した怪我もしとらんじゃろ。今後はいきなり相手を攻撃などせずによく考えるのじゃな」


 「・・・・・・・・・・・gyyygyg(・・・・・・・・・チェ、わかったよ)」


 渋々とした様子で痛みを堪える様に地面に足を引きずりながら湖へ帰ろうとする若い古龍。

 すると


 「おうそうじゃ。おぬし帰るのは良いが1つだけ話を聞かせてほしい」

 老人は若い水龍の背へ声をかけた。



 「gygya? (なんだ?)」






 大きな湖と周囲に広がっていた朝もやもすっかり晴れ渡り青い空が大きく広がる良い早春の大森林を遠くに臨むその場所は空気も穏やかに静かな時が戻ったのだった。






昨日から今日の昼過ぎまで春の強風でしたね。

昨日の雨のおかげで畑の埃が舞わなかったのは幸いでしたが思わずトトロのセリフを思い出すほどの風でした。

皆さんはいかがでしたか。

今週末にかけても天候が不安定ですのでお体も含めお気を付けください。


 緊急事態宣言の2週間延長も決まった様ですのでご自宅でゆっくりとお過ごしください。

(俺は仕事で外回りだけどな(-_-;))




 『おとうさん、おうちこわれない?』



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