表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
老齢オヤジが死んだけど異世界でゆっくり老後をおくりたい~チートに大金ゆっくり老後、あれ俺若返ってるけど?  作者: 通りすがりの浪人者


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

164/257

第163話 夜間強行!  ~「・・・(ゴブリン不味い)」

またまた数日振りの投稿です。

では第163話どうぞ






 知矢はニャアラスと共に魔馬車を駆り急ぎ東の大森林のたもとに広がる大きな湖を目指した。


 「ニャア、トーヤ。荷台なんていらないから魔馬だけ2頭借りればその分速くないかニャ?」

 ニャアラスは荷台に敷いた毛布へ横たわり肘で頭を支えのんびりしながら御者台の知矢へ声をかける。



 「まあその方が速いかもしれないが結局は魔馬を休めたり途中で寝る事を考えるとな。荷台では少し寝にくいかもしれないがこのまま夜を徹して進むつもりなんだ。悪いがゆっくりお休みとはいかないぜ。

 何せ事態がひっ迫しているんだ、時間が惜しい。」

 御者台から半分振り返る様にニャアラスを見る知矢。その顔は真剣であったがどこか友人と二人での強行路に楽しさも垣間見える。



 だが知矢はニャアラスと交代で寝ずの進行を考えていた。

 ともかく時間が惜しいとの考えで魔馬を休める事もせず途中の宿場や街で変え魔馬をしながら進む予定だった。



 「ニャア、まあ光の魔道具を荷台に括り付けてたからそんなこったろうと思ったニャ。俺は夜目も効くし1晩寝なくても問題ない。飯は持ってきてるんだろう」


 ニャアラスは食事さえ食べられば徹夜など何でもないと言い放つ。



 「ああ安心してくれ。豪華なディナーとはいかないが暖かい出来立てを収納してきたそっちは期待していてくれ。」


 知矢は時間停止機能搭載のマジックバックへ料理を山ほど入れてあるから大丈夫だと説明したが実は知矢の持つのは一見ただの革製リュックである。


 これにマジックバックの機能を付加させた訳では無く最高神から与えらた空間魔法で得られた機能。無限倉庫の出入り口をリュックに偽装していた。



 確かに知矢のマジックバックを作る能力であれば十分便利で容量も無限のさらに時間停止機能も備えたマジックバックを作る事など簡単であった。



 しかし最高神から与えられた空間魔法で作られた無限倉庫は自由にパーテーションを作成しつまり無限倉庫内に個室を自在に区切るゾーニング機能や中身を自動整理したりソート機能もあるためやはり便利さではマジックバックは叶うものでは無かった。



 「ニャア、トーヤの使用人が作った暖かい料理、最高すぎるニャ。このままどこかに旅に出ても十分生きていけるニャ」


 食事の問題が無いとわかったニャアラスはすっかり安心し夜に備え荷台で今度はごろりと体を横たえのんびりと過ごすのであった。

 知矢の従魔ピョンピョンは助手台に座る知矢の膝の上で大人しく周囲の風景でも見ているのか左右へ時折体を移動させていた。




 途中、替え魔馬をしながら宿場などで情報収集を兼ねて休憩する。

 流石に2刻以上を連続で走らせると耐久力が馬の倍とはいえ魔馬も長い休憩を必要とするが魔馬の休憩時間を削減するため帝国政府専用公用無料、または民間有料の替え魔馬を行い出発する。


 ただ人も常速以上で揺られてばかりでは体も持たないし4半刻程の休憩は取るようにした。

 その間にトイレを済ませたり騎士や兵士から何か異常はないかなど情報も集めるのであった。



 「確かにここ数日妙に小型の魔物などが逃げる様に走り去る光景などは見られたと聞くがそれ程騒ぎになるレベルでは無いな。もっともここいらは冒険者より森林ギルドの関係者。主に木こりなどばかりだから森の奥底まで分け入っての話じゃあないがな。

 何か異変でもあるのか」


 門番の兵士へ聞いては見た者の今のところ大きな騒ぎは発生していない様子であった。


 「いや何か確信がある話じゃないですよ。 その森林ギルドからの情報で冒険者ギルドから森の様子を調査する依頼が出ていてそれで来たんです」



 知矢は今のところ何も核心が無い状態で”スタンピート”の可能性まで言及できなかった。根拠も無く騒がせる訳にもいかず、それに兵士の方は管理貴族や騎士団本部から必要に応じて指令が届くであろうと考えたからだ。


 「まあとにかく気を付けてな」


 「ハイ、じゃあ先を急ぎますので」


 特に情報も得られなかったが魔馬も交換し改めて脇間道を疾走する二人であった。



 商業中核都市ラグーンを発って数刻。既に森の高い木々に阻まれ太陽の光が寂しくなってきた。


 知矢は安全の為早めに光の魔道具を煌々と照らしながら先へ進んでいる。


 途中何度か一突きウサギやクレイボアと遭遇したが単体や小数団だったため敢えて剣を交えず見逃して先へ急いだ。



 しかし一度ゴブリンの集団に出くわした時は知矢の感知レーダーで事前に察知していた事もあり先回りしながらニャアラスと左右から強襲。



 先手は知矢のサンダーを範囲を少し絞りながら放ち半数以上を即死させその後槍を振り上げながらニャアラスが突っ込み群れの中央で槍を大回転させるたびに一匹又一匹と打ち取っていった。



 知矢はその様子を集団の外から見守り時に逃げ出そうとした個体を打ち取る等をしていたが唯一存在していた高位変異種のホボゴブリンと思しき大柄のゴブリンが魔法を放つ素振りを見せたため知矢は刀に添えてある手裏剣を抜き放ちその目をつぶし、痛みに苦しむホボゴブリンへ接敵して両断した。



 リーダー を失ったゴブリンは数も減らしていた事もあり右往左往と恐慌に陥っていたがニャアラスは落ち着いてその槍を純然に振るい一匹残らず葬り去った。



 「はいお疲れ!」

 「ニャア!」

 知矢とニャアラスはハイタッチをしながら互いの無事を確認し周囲の状況を見まわすのだった。



 「50匹位かニャ」

 ニャアラスはおおよその検討をつけた。


 「ああそんなもんだろう。

 ニャアラスゴブリンの集団とはいえこの数は少ないのか。一応リーダーがいたみたいだから群れとしての集団だろうが」

 知矢は未だこの世界の魔物や魔獣の事は勉強中であったので素直に聞いてみた。



 「ニャア、多分分隊クラスだニャ。ひょっとすると近くにゴブリンの小集落が出来ているかもしれないニャ」



 異世界物の定番である最弱の魔物”ゴブリン”


 しかし個体としてのゴブリンであればFランク、駆け出しの冒険者でもなんとか倒す事は可能だ。

 しかし相手も弱肉強食の世界で生きる術を自然と身に着けておりほとんどの場合単独で森をさまよう事は無い。



 仲間をおとりにして他の個体が後ろから人間や他の魔物が目の前のおとりに注視しているうちに襲い掛かる等は当たり前な光景であった。



 よってFランクの新人冒険者は指導者から何十回と 『ゴブリンを侮るな』 と教育されるのだった。


 だが年に何人かはやはりゴブリンをなめてかかり痛い目を見るだけで済めば幸い。時には亡くなる者も珍しくなかった。



 だがそんなゴブリンであるが社会生活を営む習性があり数十から時に数百の集団を形成しコロニー、村を形成する事も多く確認されている。



その中で強者のゴブリンが集団の中で進化し”ホボゴブリン”や弓を使う”アチャーゴブリン”最前線で剣を振るう”ゴブリンナイト”などが生まれだすとそのコロニーはより巨大で強力な集団となる。


 そうなると時間の問題であり、より強力に群れを統括する ”ゴブリンキング” に進化する個体が現れると人族にとっては大事件であった。



 ゴブリンキングに統率されたゴブリンの群れは集団で計画的に村を襲い食料や道具、武器なども手に入れようとする。


 武器を手に入れると次は体を守り防具を欲する事を覚えさらに広範囲の村や宿場を襲う事もあった。


 人族も勿論最大限の反撃を試みるがその巨大な群れまで進化したゴブリンが相手では門番の兵士程度では命からがら侵入を防ぐのが限界であった。


 そんな時は即騎士団への救援依頼を出し村や宿場の安全を確保する。 その上で冒険者ギルドに大規模討伐の依頼を出すのであった。




 「奴らの武器はこん棒と木の枝とか投石ばかりだったニャ。まだ村を襲ってないニャ。今日は見逃して先を急ぐニャ」


 知矢達が出会った集団の人数と構成から考えたニャアラスは未だそれ程大規模な集団では無くここ1年から2年後には大きく育つ可能性が有ると考えて今はやむなく放置をし先を急ぐこととした。


 知矢は従魔に 「おいピョンピョン、ゴブリンの肉を少し持って行こうか」と尋ねた。

 知矢も無限倉庫には他に幾らでも従魔が好みそうな魔獣の肉は入っていたが目の前で仕留めたばかりの獲物を欲しがるのではと声をかけた。



 「・・・・・・・・・(ゴブリンは好きじゃないです)」と一言だけ不満げな感情が返ってきたのでそのまま報告部位も置き去りにする事にした。



 

 さらに進むと辺りはすっかりと闇に覆われていた。


 しかし知矢達の乗る魔馬車には光の魔道具から周囲へ向け真っ暗闇の森には異常とも思える光がはなたれておりどの方向を見ても昼間と同様に森の中を進むことが出来た。



 すっかり日が暮れたところで森の中に広がる空き地を見つけた一行は夕食休憩をとる事にした。



 魔馬はいちど荷台から解き放ち休憩させる。


 ニャアラスが知矢から受け取った無限倉庫から出した水がいっぱいに入った桶を魔馬の前へ置くと夢中で飲み始めるのだった。

 そしてその脇に魔馬の食料である草や野菜がいっぱい入った桶を置くと魔馬の夕食の準備は終了だ。

 夕食を食べる魔馬の体をニャアラスが布でこすり汗をぬぐってやっている。



 その間に知矢は自分たちの夕食の準備だ。



 同じく無限倉庫から椅子やテーブルを出しその上へ熱々のシチューが入った鍋や焼き立てのパン。皿に盛ってあるスパゲッティーからフレッシュなサラダや果物などを並べると早速食事だ。


 「まあ今日は酒はお預けだな」

 知矢はシチューを皿へよそりながらニャアラスへと伝えた。


 「ニャア、その分戻ったら宴会だニャ。それまでたっぷりとっておくニャ」

 そう言いながらニャアラスは早速シチューをスプーンで味わう様に食べ始めた。

 「うーんやっぱりトーヤの所の飯は美味いニャ」



 その脇では知矢の従魔が無限倉庫から出してもらったクレイボアの切り身を皿へのせ器用に前脚と口で引きちぎりながら食べていた。


 (最近大食いをしてないがどんなタイミングで進化、成長するのだろう)

 と以前突如大食いを始めたと思うと次の日の朝にはレベルアップをしていた従魔が最近その様子が無い事を訝しみながら知矢もパンをちぎりながらシチューへ付けて食べるのだった。




 夕食を食べながら魔馬と人の休憩で1刻程その場で休んだ二人はこれから夜を徹して目的地の湖へと向かう予定だ。


 光の魔道具で照らしているとはいえやはり昼間と異なり何かあるかもしれないし魔馬の疲労も考慮しゆっくりと進むことにした。



 ここまで御者を勤めた知矢は夜目の効くニャアラスと交代ししばらく荷台で休息、仮眠をとる事になる。


 もちろんその間も知矢の感知レーダーは周囲を検索し続けるので森の間道に穴でも開いていなければゆっくりとくつろぎながら無事進む事であろう。

 従魔も知矢の傍らで脚を縮めてすやすやと寝始めていた。




 ポクポク、ギシギシ、ポクポク、ギシギシ


 真っ暗な森の中に煌々と光るその魔馬車。

 静まり返った森に響くのは魔馬の足音と荷台のきしむ音。時に聞こえる鳥や獣のなどの鳴き声だけである。



 ニャアラスは注意深く周囲に気を配りながらもゆったりとした魔馬の進みを心地よく感じながら手綱を握っていた。


 ニャアラスは知矢のように感知魔法などは使えないが持って生まれた獣人族特有の感覚は危険の接近などはいち早く感知することが出来るので半睡でも問題ないのであった。





 そして森の間道を進む事2刻ほど経過した真夜中の事であった。



 がばっと毛布にくるまれ仮眠をしていた知矢が起き出すとニャアラスも覚醒し


 「どうしたニャ」

 ゆっくりと魔馬車を停止させ御者台から振り返った。



 「・・・この先に誰かいる」

 知矢は暗闇を照らす魔道具の明かりの先を見つめながら呟く。



 「木こりのキャンプニャ」



 「・・・いや多分・・・一人だ。木こりだったら最低でも10人はいるだろう。気配は1人、しかも静かな気配だ。強者特有の何かも感じない」



 「迷子かニャ。こんな森に強者じゃない人間がいたら朝は迎えられないニャ。どうする、声をかけて助けるかニャ?」



 「・・・」知矢は考えるがどう考えてもニャアラスの言う通りだった。

 どんなに森に慣れた者でも知矢のように気配感知が使えたりニャアラスのように獣人特有の感覚が無ければ寝ているうちに魔獣に襲われれば一巻の終わりだ。



 勿論森に慣れ腕にも覚えがありしかも気配に敏感なものなのかもしれないが知矢のレーダーに出た反応はレベルなどの詳細は表示されないのでやはり接近して様子を見るしかなかった。




 「よしこのままの速度でゆっくり近づいて様子を窺がおう。こちらが煌々と明かりをつけていれば魔物と間違われて攻撃されることも無いだろう。」


 よし、とニャアラスは手綱を振るい魔馬車を進ませるのだった。



 二人は数百メートルほどまで近づいた辺りから普通の声で何気ない会話を交わし相手にわざとその存在を示していた。


 レーダーには動き出す様子も無く300m程先に停止したままである。


 そのままの速度を維持しながら知矢達を乗せた魔馬車はその存在を視認した。



 段々姿が見えてきたその者は旅の冒険者と思しき姿であった。


 大きな木の幹を背にしゆったり座りながら明るく照らすその魔馬車が接近するのを顔を少し上げたまま微動だにせず見ていた。



 灰色の革製のフード付きローブを纏うその姿は旅慣れた冒険者のそれであるように見える。

 目の前には小さな火が起こされまだ冷える森の空気を少し温めて夜を過ごしていた様子だが横になり寝ていたわけでは無さそうであった。



 その冒険者と思しき人物の30m程前で魔馬車を停止させた二人は御者上から

 「こんばんは、こんな時間に騒がせて申し訳ありません。冒険者のトーヤとニャアラスです。こんな森にお1人の様ですが大丈夫ですか。何か困った事でもありましたか」


 知矢はなるべく友好的な口調で声をかけた。



 剣呑な殺気等も感じず、強者の気配もしないその冒険者と思しき人物。

 知矢とニャアラスはそこそこ腕に覚えもある為特に警戒もしていなかった。



 それに知矢の感知レーダーには周囲に人の気配は一切ない。

 魔道具を使いその気配を隠しているならともかくこんな森の中で1人その魔道具から逃れて気配を露わにする理由も思いつかない事からやはり一人なのであろうと思った。



 「なんじゃあその明るい光は! 何かの魔道具か」

 男は驚いたような声を上げたので知矢は正面を照らす魔道具の光を抑え気味にして相手が不快にならない程度の光量とした。



 「ごめんなさい。眩しすぎましたね。いやあ森の暗闇が恐ろしいので目一杯明るくしながら来てしまいました。まさかこんな森の奥で人とこんな時間に出会うなんて思いもよらなかったもので」


 知矢とニャアラスは御者台から飛び降りると声を掛けながらその者へゆっくり近づいて間をあけて立ち止まった。



 「まだ若いのう、お前たちは冒険者か。こんな真夜中に明かりを照らして強行路とは何事があった」



 声から察するにかなりの老人ではないかと察せられた。

 男はそう言いながらゆっくりと立ち上がり被っていたフードを後ろへと脱ぎ放ち顔を見せた。



 「トーヤとニャアラスと言ったな。 わしはこんな格好ならもうわかると思うが若い頃は冒険者を名のったがの、今はただの酔いどれ爺じゃ。まあジジイと呼んでくれて構わんわい。ヒョッヒョッヒョ」


 ジジイと呼ぶように言ったその老人は皺が深く刻まれた顔をもつ昔は歴戦の者であったのか今は酒臭い息をする老体のようにしか見えなかった


 「おじいさん、本当にこんな夜更けに騒がせて申し訳ありません。

 俺達は冒険者ギルドからの依頼でやってきました。まあこの奥の森一帯の状況調査と言う所です。おじいさんに問題が無ければこのまま進みますが大丈夫ですか、そのう、お1人でこんな森の奥で。俺達も依頼があるので送って行く事は出来ませんが何か食料や薬品など不足している物があれば少しで良ければお分けしますが」


 知矢はその老人が困った様子も無くしかしこのまま素通りするのも気が引けて聞いてみた。



 「じいさんこんなところで寝てたらすぐに魔物の餌になっちまうぞ。酒なんか呑んでるんる場合かニャ」

 ニャアラスも口は悪いが心配の様だ。



 「ヒャッヒャッヒャ。こんなジジイを食べる魔物なんぞいやせんから大丈夫じゃ。じゃが夜を徹して森の奥へか、何ぞあったか。酒の肴に聞かせてもらおうかいの。あっそうじゃそろそろ手持ちの酒が切れそうじゃわい。もし酒を持っていたら分けてくれると嬉しいが・・・ええと何か酒代になる物はあったかのう」


 酒を分けて欲しいと言うその老人は脇へ置いておいた年季の入った皮袋をガサガサとあさると何かを見つけたようだ。


 「おおこれがあったか。若いのトーヤと言ったなこれをやろう。何かの折に役に立つかもしれんから持っておくと良いひゃっひゃっひゃ」


 トーヤの目の前に差しだした手のひらに載っているのは淡い炎の様な紋様の入った透明な朱の石の様であった。


 「これは何ですか」と知矢が聞いた瞬間、シュタっと知矢の肩へ従魔が魔馬車から飛んで降り立った。


 「・・・・・・(ご主人様これドラゴンの涙ですよ)」従魔は知矢へ驚くように訴えた。


 「ドラゴンの涙? 何だそれは」知矢は肩の従魔へ説明を求めた。



 「うおっ、そいつはゴールデン・デス・スパイダーじゃないか。お前さんは獣使いだったか、それにしてもゴールデン・デス・スパイダーを使役するとはまた酔狂な奴もいた者だ、わっはっは。それに主従ラインもしっかりと繋がっている様じゃな。

 そうじゃそれは巷ではドラゴンの涙と言われとるものじゃ」



 老人は従魔の登場に一瞬驚いた様子を見せたが直ぐに知矢との主従ラインが繋がっていることを理解していた。



 「ドラゴンの涙だってニャ!!!そんなのこんな酔いどれ爺が持ってるわけないニャ。きっと蜜蝋の化石かなんかだニャ」

 ニャアラスはその存在を知っているようだ。


 「ニャアラスドラゴンの涙って、そのドラゴンが流した涙が固まった物なのか」


 「ニャア、そう言われてるだけニャ。本当にドラゴンが涙を流して固まったなんて話は聞いた事ないニャ。これが本物なら 青金貨2枚、2億イエンはする貴重品だなニャ。だから偽物ニャ」


 ニャアラスは老人に訴える。


 「そいつはまあわしにはどうでも良いが本物のドラゴンの涙じゃ。もっともわしも何十年も前に貰ってしまいこんで使う機会も無かったがの。もし酒を持っていたらそいつと交換しようじゃないか」


 あくまでも老人は酒をご所望の様だった。


 知矢はその龍の涙をそっと老人へ返すと

 「どんな効果があるか知りませんがそんな高価な物は貰えませんよ。でも良かったらこれでも飲んでください」


 知矢は無限倉庫からワインのボトルを数本出すと老人の目の前へ並べた。


 「ナント、お前さんはただで酒を分けてくれるというのか。ヒャヒャッヒャ、奇特な若者がいたもんだ。じゃが有りがたく頂戴しよう」

 そう言うと老人は早速栓を抜きボトルを咥えてゴクゴクと飲み始めた。


 数口喉へ流し落とすと

 「プハーっ、中々美味いワインだ。こりゃあ益々ただで貰うのも気が引けるの。そうじゃ、金は無いし代わりに労働で返すとするか。若いのわしもお前たちの魔馬車で同行しようかの」


そう言いだした老人は残ったワインのボトルを先ほどの皮の袋へ仕舞うと立ち上がり知矢達の返事も待たずに魔馬車の荷台へと乗り込んでしまった。


 「ニャア、じいさん俺達はこれから危険な大森林の袂まで行くニャ。爺さんの働き場所は無いニャ」

 ニャアラスは老人へ訴えるがそれを意にも返さず敷いててあった毛布を纏うと再びワインのボトルを口にしてから


 「ほれ強行軍なのじゃろ、さっさと出発せねば朝が来てしまうぞ」

 もうすっかり同行する気満々の様であった。



 知矢は未だニャアラスが老人へ文句を言うのを聞き流しながら先ほどワインを仕舞った皮袋はマジックバックなのではないかと感じて(何者だ?)と急に訝しみ始めた。



 知矢の魔法により最近流通を始めたマジックバックと異なり以前からあった物はそのほとんどが古い遺跡から発見された貴重なもので時にダンジョンの宝箱やダンジョンマスターと呼ばれる階層主を倒すと極々まれにドロップ品として手に入れられる程度の貴重品であった。


 よってその価値はそれこそ白金貨前後はするものが殆どでありしかもその所有者は貴族か大富豪、大商会そして高位の冒険者などであった。




 知矢は密かに(鑑定!)を行使した。



********************



 ke#&@\|;e. (116)

 ・基礎身体 LV***

 ・種族 人族 (+;;lemaks=#)

 ・知性 @級

 ・耐力 @級

 ・成長 @級

 ・武力 @級

 ・幸力 #級

 ・筋力 @級

 ・速力 @級

 ・魔力 @@級

 ・特力 基礎生活魔法、空間魔法、水魔法、風魔法、火魔法、聖魔法、光魔法、土魔法、解析魔法、

 ・行使力  剣術LV***、弓術LV***、大剣術LV***、体術LV***、短剣術LV***、槍術LV***





 ( 何者だ!)知矢は鑑定結果から何もわからないこの老人をどう扱って良いのか戸惑った


 (悪人では無さそうだが、しかし・・・。しかも116歳って・・・人族では無いのか)


 無言のまま困惑する知矢をニャアラスとわあわあ言い合いしているその老人が微かに口元へ笑みを浮かべ知矢の様子を一瞬見ていた事に誰も気が付いてはいなかった。





3月に入りましたね。

明後日はひな祭り。

今年も長命寺の桜餅を買に行く予定ですが残念ながら週末になりそうです。


毎年自宅分と妻の実家分や妹夫婦×2家族分など大量買いです。

朝一番にバイクを飛ばして買いに行こう!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ