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第161話 日常の魔道具商店  ~「緊急招集よ!!」

またまた数日空いてしまいました。

申し訳ありません。

では急いで

第162話ですどうぞ。


話数を間違えました訂正いたします

第161話でした。





 コンコンコン「ワイズマンです。」

 知矢の執務室兼私室のドアがノックされた。



 「オウ、入ってくれ」知矢の返事にワイズマンが失礼しますと入室して一礼する。



 「アンコール伯爵様よりのお返事を家令殿よりお預かりいたしました」

 ワイズマンは知矢へと分厚い封書を差しだした。



 知矢はありがとうと封書を受け取り蝋印を確認すると

 「何か言っていたかな」とワイズマンへ家令から口頭で伝言でも頼まれたかを確認する。



 「ハイ、『明日お待ちいたします。時間はご随意にて結構です』 と丁寧にご返答頂きました。詳細は返書をご確認ください」



 「了解した。ワイズマン忙しいところを済まないな。そう言えば玄関先での応対だったのか」



 「いえ、それが私なんかが屋敷の豪華な部屋へ通されお茶まで出されてしまいまして、正直居心地は・・・」

 ワイズマンは慣れない貴族の屋敷でしかも応接室へ通された事に生きたこごちがしなかったと感想を述べる。



 「そりゃあ尚更済まない事をしたな。だがこれからも度々訪れる事になるかもしれないから慣れて欲しいな。 ともかくありがとう、下がって良いですよ」


 ワイズマンは慣れると良いのですがと言い残し部屋を去っていった。



 すると部屋に控えていたリラレットが

 「ワイズマンには気の毒なお使いでは。 マイ達の方がそう言った場は慣れていると思われますが」


 リラレットは同じ屋敷で一緒にメイドをしていた ”マイ” ”マク” ”ミミ” 達の方が貴族の屋敷への使いなら適切ではないかと進言する。



 まだ若い三人であったが最近は年上だが新たに雇い入れた使用人たちへの指導もこなしながら彼女たちも随分としっかりした対応、行動が見て取れる。

 知矢の目から見ても頼もしいものだった。



 「ああそうだな。そうは思ったがやはり貴族家とのやり取りを見て何か企む奴にちょっかいでも出されると心配だからな。そう言った意味でワイズマンの逃げ足と耐力それに胆力は中々のものだ。最近はギムの手ほどきを受けているそうじゃないか。なら街中で何かあっても彼なら無事対応できると思ってな」


 未だ知矢の周囲には何かしら思惑のある者がいるのではないかとの警戒感がそうさせていた。


 知矢の魔法 ”レーダー”で全てを見通せれば問題ないのだがそうもいかない。


 先日思い立ち知矢のオリジナル魔法 ”貼りつけ” でレーダーの魔法を使用人へ行使させてみたが使う事は出来なかった。

 どうやら脳内にイメージを呼び起こす事やレーダーの知識を理解できないと行使できない等制約がある様だったのだ。



 「そうでしたか。そうとは知らず余計な事を申しました」とリラレットは頭を下げるのだった。



 「いや俺はそう言った事も含めてこの都市や貴族の事は特に何も知らない事ばかりだ。小さい事でも良いからどんどん指摘してほしい」

 それとと話を続け


 「ワイズマンには追々家令とは言わないがリラレットの下で店長をやらせてみようとも考えていてな。

 お前も屋敷が稼働し始めると両方に目を配るのも大変だし、以前話したがサーヤには対外的な対応より中で実務を任せた方が適任だとお前も言っていたろう。

 ワイズマンなら任せられると思ってな。ただそれ相応の勉強は必要だが」



 そういいながらさて、と話を返書へ戻す知矢

 蝋印をそのままに手裏剣で封を開いた知矢は中身を取り出し一通り目を通した。



 「貴族の流儀かなんかなのか3枚の返書の内1枚以上が何かの定形文なのがなかなか慣れないな。短い挨拶だけで本文を書いて欲しい物だが」と言いながらリラレットへ手紙を渡した。



 「・・・・何事にも簡潔で即応を求める知矢様には無駄だと思われる事でしょう。ですがこれからはそう言った文のやり取りも増えますので慣れて頂くしか・・・」


 「言いたいことは分るが、まあその辺りは追々な。とにかく明日は朝から伯爵の所へ行き色々未解決や保留になっている話を詰めてくる。それに併せこちらが要望した伯爵家オリジナルソースのレシピを要求したが明確な回答は分らない。それもシェフの秘伝ってやつで門外不出なのかどうか、まあそれは明日だ」




********************




 知矢は昨日ボンタの案内で訪れた料理屋、居酒屋と言った方が適切か。店を訪れ一押しの ”炒めうどん” を食した。



 その味は日本にいた頃食べていた焼きそばの塩焼きそばに非常に似通ったそして美味しいその”炒めうどん”を食べ 『この麺があればラーメンも可能では!』 とボンタを仲介に新たな”味” ソース焼きそばの可能性を提案したのだった。



 その提案を受けてソース焼きそばの味を気に入ってくれたなら代わりにこのうどん麺の作り方を伝授してほしいと持ち掛けた。


 ボンタの仲介により料理を作っていた店の店主。マルゲリッタの母親は 「こんな物の作り方を教えるのに対価なんていらないよ」と言ってくれたが知矢は


 「こちらのオリジナルで店の評判メニューなのですからレシピを大事にしてほしい」と話をし後日ソースを持ってくるからそれで炒めうどんを作ってほしいと話をしてきた。



 娘のマルゲリッタなどは

 「美味しくて味のバリエーションが増えるなら良いじゃない。楽しみに期待して待ってるわよ兄貴さん」と乗り気であった。


 そしてその傍らに立つボンタも何か誇らしげであった。






 そんな出来事があり帰宅後サーヤと話したところ

 「ソース焼きそば!」

 そう呟くと口元をニマニマさせ期待のまなざしを知矢へと向けた。


 「そうだよな。お前もやはり好きだったか。まああの香りはたまらんよな。それにソースの件が上手く行けばラーメンに使えそうな麺の作成方法も入手できるだろう。先ずは醤油ラーメンを作ることを目標にして、ああそうだ。味噌ラーメンの方が簡単だな。ともかくあの麺が無ければ話にならん。さっそくソースを作る為レシピを持っているであろうアンコール家の料理長へ協力を依頼する手紙を書く。先ずそこから始めよう」


 知矢とサーヤは話しながら既に頭の中はラーメンの事で一杯であった。

 ジュルリとよだれでもたらしそうな顔で二人が顔を突き合わせて相談している光景を他の使用人が目撃したらさぞ笑う事であろう。





********************



 「では本日、知矢さまのご予定は如何なりますでしょうか」


 「ああそうだな。取りあえず冒険者ギルドへ行ってくる。夕方から例の騎士伯配下の2人へ剣の指導をする日だ。時間がまだ早いが俺も訓練場でたまに自己鍛錬もしないといざという時体がなまって動けなくても困るからな」



 「了解いたしました。ボンタさんへは先ほど声をかけておきましたので階下で待ってると思いますのでお連れ下さいますよう」

 リラレットは大通りを歩き冒険者ギルドへ向かうだけの知矢へも警護を付けるつもりの様だ。


 知矢も断る理由もないし皆に心配をかけるつもりも無いので黙って首肯した。




 「兄貴、今日もお供しやすぜ」


 裏玄関の前室で茶を飲んでいた様子のボンタは知矢が準備を整え降りてくると即座に傍らに置いておいた剣とナイフを腰や背に装備し行く気満々であった。



 「ああ頼む。だが残念ながら今日は 北門(ノースゲート) の店には行かないけどな」

 知矢はボンタが好意を寄せているであろう娘がいる居酒屋の事を話題に出す。


 「いやだな兄貴、そうしょっちゅう行ってやせんですよ」

 少し照れながら知矢の先に裏玄関を出て木戸へ向かうボンタ。


 知矢は(こいつも生活が安定してきているからその気に成れば結婚とかできるだろう。様子を見て背中を押してやるか)

 などと昨日見たマルゲリッタと言う女性と笑顔で話していたボンタを思い出すのだった。



 「「「「「いってらっしゃいませご主人様」」」」」


 いつもの様に大勢の使用人に見送られ店の裏木戸から出かける知矢だった。


 


 「そういやボンタ。今裏木戸の使用人達の中にマリーがいたが最近の様子はお前から見てどうだ。」


 並んで歩くボンタへ使用人の1人、マリーの様子を聞いてみた。リラレットなどから特に問題は無く勤めていると聞いているが他の使用人達と異なる立場のボンタに目にはどう映るのかが気になったのだった。



 「そういやいましたね。最初はお嬢に何が出来るのかと思いやしたが最近はアンドウ君たちと仲良いし積極的に動く様になったって評判っすよ。まあ最初が酷かったって事もありますけど」



 知っての通りマリーはアンコール伯爵家の最愛の娘であった。

 しかし大事に育て過ぎたのかそれとも強い正義感がどこかで暴走してしまったせいなのか騎士団に籍を置いていたが知矢とのトラブルの後騎士団や貴族籍にも置いておくことが難しいと判断した伯爵家当主自らの決断により賠償と責任を果たす意味合いから知矢へと娘を奴隷として下げ渡す話が出来上がった。


 しかし知矢の好意だったのかそれとも更生への道筋を残す考えからか奴隷では無く知矢の使用人として一から働きで直す事となり既に数週間。

 落ち着いていると聞き知矢も安堵していたのだった。



 「仕事は覚えてしっかりやってますけどまだ剣が忘れられないのかそれとも体を動かしたいのか、早朝皆がまだ寝ている時間に起き出して裏庭で棒っきれを振り回しているっすね。

 それが結構ハードな運動で寒い時期でも体から湯気が立つほどの鍛錬をしている見たいっす」



 マリーは騎士であった事、剣に生きていた事を捨てた。捨てざる得なかったがどこか心の中に未だ剣への未練があるのか。実は本人にもわからなかった。

 しかし体を激しく動かす事でそのあやふやな思いが霧散するような気がして棒を振り回す事を続けていた。

 しかしそれも最近は剣や正義への情熱と言うよりは単なる習慣となりつつあるのをまだ本人も自覚してはいなかった。



 「そうか。だが店や客などともトラブルは最近めっきりなくなり落ち着いた様子も見えるらしいからな。気晴らしの運動と思い様子を見るか」


 「わかりやした。あっしも隠れて様子を見るっす。

 しかしマリーさんも最初はあっしに 『剣を取れ! 私とどちらが上かはっきりさせてやろう!』 なんて凄まれたときは思わずミレさんの後ろへ隠れやしたからね。参りましたよあの時は」

 ボンタは薄ら笑いを浮かべ自嘲する様に語ったのだが。




 店の警護を担当する元冒険者組の面々は剣の専門職と言う訳でもないがそれぞれ己の身体能力を勘案し魔獣や魔物と対峙した時に ”生き残る術”を身に着けている。


 それが剣であったり槍であったり大ハンマーや魔法、弓にナイフなど様々だ。



 しかしそれ以上に彼ら冒険者が騎士や兵士と大きく異なるのが ”気概”と言うのであろうか。

 「生きて帰る」 「負けない」 「未知の冒険を達成する」 など冒険者独特の矜持で生きている彼らが持つ気配は独特である。



 その様子に触れたマリーは本能的に敵対を避け 『勝てない』 と瞬時に悟ることが出来たのは以前には有り得なかった事であったがそれもこれも知矢と言う未知の力の前にどうする事も出来ない敗北感を何度も味合わされた結果会得した能力だったのかもしれない。



 しかしその中でボンタと出会った時は既に使用人の立場に身を置いていたにも拘らず思わず口走り勝負を挑んだのであった。その心の中は『こいつなら!』と。



 だが即座にその身を警護班のミレの後ろへと隠したボンタであった。しかしマリーの方も即座にミレによるお仕置きを受けてしんなりしょげていてボンタとしては危機から逃れられたと後に知矢へ語っていた。


 その身を即座に強き者の庇護下へ隠れ逃げるその動きと瞬時の判断力はある意味大したものだと他の使用人たちがボンタを評する際に語っていた。


 知矢は他の使用人にそう言った低い評価を受けていたボンタを見知っていたがそれほど彼の能力を低く評価していなかった。


 確かにボンタには特殊な行使力があったのもあるが基本的な身体能力はDランクのそれであったが都市で一緒に活動するには十分な行動力と戦闘能力は備えていると安心もしている。


 事実先日一人夜の街へ屋台を担いで商いをさせた折、ナイフを持った強盗に出くわしたが相手が感知する間もなく己の小剣を抜き去り相手のナイフを切り落とし捕縛までする腕を持っている事は知矢に同行してかげから見守っていたミミの口から他の使用人へと伝わり評価を一気に上げたこともあった。


 知矢はそれ以前からボンタの能力は把握していたのでマリーが挑んだと言っても気にしていなかった。


 逆にボンタが逃げ出したと聞いたときには(相手に気を使ったか)と思うのだった。



 「お前がその場でマリーをたたきのめしても面白かったかもしれないな」


 「よして下さいよ兄貴。貴族に殺されちまいますよ」

 慌てて目の前で手を振るボンタは自分でも負けるとは思っていなかったのだと知矢は理解し安心した。


 自分の力も知らない者など長生きできない一番の要因なのだから。





 「こんちわ~」冒険者ギルドのドアをくぐり元気よく中へ入るボンタ。そして後ろから続く知矢。


 既に昼をまわり冒険者も各々仕事へ向かいギルドは閑散としているはずの時間であったのだが・・・。



 「なんすかこれ。何の騒ぎっすかね」

 ギルドの中は大勢の冒険者で溢れ熱気に包まれていたのだった。



 たがいに興奮気味に話す者やギルド職員へ詰め寄り何かを聞き出そうとする者。

 剣や弓、防具を確認して何かに備える者。

 皆が皆興奮し尋常な様子では無かったのだ。



 「いったい何があったんすかね。まるでドラゴンでも襲来するみたいな」

 ボンタはその熱気と興奮に包まれたギルドの様子を呆然と見ながら呟くしかできなかった。


 「とにかく確認しよう」

 知矢はそう言うとニーナの席の方へと人ごみをかき分け進んでいった。





 「ニーナさん!」やっと人をかき分け進んだ先にこれまた冒険者たちに囲まれているニーナを見つけた。


 「皆さん兎に角落ち着いてください。 情報を整理したらギルド長から発表があります。それまでは落ち着いて待っていてください!」


 いつも落ち着いているニーナであったがこの日ばかりは席から立ち上がり両手を振り上げ周囲の冒険者へ強い口調で声をかけていた。


 「あっトーヤさん。丁度良かったわ先ほど使いの者を走らせたのよ。行き違いだったみたいね」

 知矢の顔を見たニーナは高揚した顔を少しだけ綻ばせ安堵の表情を浮かべた。



 「トーヤ! あのAランク冒険者のトーヤさんか!」

 「良かった! 街にいたんだ」

 「これでAランクパーティーが3組、Aランク冒険者も合計8人。何とかなるんじゃねえか!」

 「つか若くねえか、大丈夫かよ」

 「バカ言えお前あの人怒らせんなよ。肩を見ろ ゴールデン・デス・スパイダーを従魔にしてる冒険者だぞ」

 「そうだ、それに噂だと東の大森林で巨大な魔獣を叩きのめして相手が逃走したって話だ」

 「この間はグレートボアを何匹も引きずって森から出て来たって噂を聞いた」

 「騎士団も恐ろしさのあまりトーヤさんに道を譲るらしいぞ」



 (何なんだその噂は)

 知矢は眉間に皺をよせ噂を口々に語り出す冒険者へ睨みを入れた。


 「「「「ヒィッ!」」」」


 口を閉ざした連中をしり目にやっとニーナのもとへとたどり着いた知矢。



 「いったいこの騒ぎは何ですか。俺を呼んでいたって」


 「まだ正式発表前なの。今上に他のチームやAランクの方々が集合しているわ。トーヤ君も急いでそちらへ行ってくれる」

 知矢の顔を見てホッとしたのもつかの間ニーナはいつになく真剣な様子で知矢をギルド長のもとへ行くよう願った。


 「そうですか、分りました。とにかく言ってみますね」

 そう告げて奥へ向かう知矢は遅れて人をかき分けニーナのもとへやっとたどり着いたボンタへ

 「お前はここでニーナさんのそばで待っていてくれ。俺はギルド長の所へ行ってくる」

 そう告げると早足で奥の階段へと踵を返すのであった。



 「兄貴了解しやした!」

 とボンタの返事を背に受けながら。




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