第156話 たまには屋台で一杯 ~ 「絶対許さんぞ!!!」
こんばんは
ハイ!今日もなんとかかんとか投稿いたします。
どうぞよろしく
では第156話どうぞ。
「ツルツルツル ミョグミョグ フファーッ いやあ兄貴、最近夜も少しづつっすけど暖かくなって来やしたね」
ボンタは屋台のうどんをすすり食べながら夜空に目をやり春間近を少し感じさせるようになった事を何か嬉しそうに口にする。
「ズッズズズルズルズル、モグモグモグ はーっ美味い。 そうだな、少しづつではあるが一歩一歩って感じではあるが間違いなく春はそこまで来てる。待ち遠しいよ。」
一緒にうどんを食しながら知矢も気候の変化を感じ取る様に夜空を見上げる。
「・・・・・(おかわりください)」
知矢達の傍らで同じくうどんを食べる知矢の従魔がおかわりを要求している。
「はいこれ位かな」
知矢のどんぶりから従魔の皿へうどんを移し替えると従魔は喜んで器用にうどんを食べ始める。
「兄貴、寒い時期のうどんは最高ですが春先はともかく夏はどうするんすか。夏の屋台は次の冬までお休みっすかね。あっワイズマンさん、あっしはうどんはもう充分っすけどこっちをおかわり欲しいっス」
うどんを食し終えたボンタが今夜、屋台を指揮する知矢の使用人、ワイズマンへ金属のジョッキを掲げ酒のおかわりを要求した。
「はいよ、オイ ボンタさんへお湯割りおかわりだ」
もう一人の使用人へ指示する。
「はい、どうぞボンタさん。少し熱いかもしれませんからお気を付けください」
20代後半程のその使用人はこぼさない様にそっとボンタの前へジョッキを置くと微かに湯気が立ち上る。
「おおイクちゃんありがとうよ。どうだい最近少しは慣れて来たかい」
ジョッキを受け取り嬉しそうに口を付けるボンタは新入りの使用人へ声をかける。
「ハイ、でもまだまだ何も出来ませんから毎日勉強です。でもこちらで雇っていただいてからは毎日が・・・何と言うか刺激的で楽しいし時に驚くこともありますけど、あっでもご飯は最高ですしお風呂も使わせて頂けるなんて贅沢を味合わさせてもらえるんですから最高すぎますね」
白い歯を見せにっこりと笑顔でこたえるその様子は心底喜んでいるように見える。
「そりゃあ良かった。でも無理せずがんばるっすよ。このおっちゃんも怖い顔してっすけど根は良い奴っすから安心するっス。ねえワイズマンさん」
「俺のどこが怖いのかは理解できないが、優しくまじめな紳士である事だけは言っておこう。
ところでご主人様。先ほどボンタさんが言ってました夏場の屋台の件はもうお考えはお決まりでしょうか」
ボンタの軽口をさらりと受け流したワイズマンはうどんのトッピング、角うさぎの天ぷらを数枚知矢の従魔の皿へのせながら知矢へ聞いてみた。
「・・・・・(ワーイありがとう)」うれしい波動をもらしながら従魔は早速天ぷらへ手(脚?)をのばした。
「そうだな。この国ではどうなんだ。熱い季節に熱い物を食すと言うのは。
俺の生まれた国では夏の暑い盛りによけい熱い物を食し汗をいっぱいかきながら食べるとそれはそれですっきりするという意見もあったが」
知矢はそうでもないが暑い日に熱い物を食べるとエアコンなどで冷え切った体や胃腸が温まり活発になり食欲を失いがちな夏場にはたまに良いとも聞いていた。
ただこの世界にエアコンは無いので冷房病になる事は無いのであるが。
しかし知矢はエアコンの様な魔道具を既に開発済であり店の中だけで運用をしているのだが未だそれを外部へ出す予定は無かった。
「この辺りではそもそも温かい物と言うのはスープぐらいですから食事の内容がそもそも年中変わりませんので。そう言った意味でもこのうどんは皆に受け入れられたのでしょう」
「そうだな。しかし夏場か、無い事は無いのだが・・・」
「あっ、て事は暑い夏でも美味い物があるんですね兄貴! 」
ボンタは知矢の呟きに即座に反応した。
「いやそれ程期待する様な凄い物でもないんだ。 冷やしうどんってのもアリだって言うだけで、まあ俺は冷やし狸うどんが好きなんだがな。狐も捨てがたい」
「ご主人様。タヌキとキツネって事はコレですよね」
ワイズマンはうどんのトッピング棚にある天かすと油揚げを指して聞いてくる。
因みに具材、トッピング等は全てマジックバック同様の時間停止機能搭載型の棚へ収納してあるのでいつでも出来立てフレッシュである。
「ああそうだ。俺の生まれ故郷では何故か天かすと油揚げを狸とキツネという獣の名前で呼ぶんだ。いわれはよく知らないがな。
ともかくそれらは冷たいく〆たうどんと同じく冷やした汁で食べると俺は好きだな。まあ気候がもっと変わってから試作して試して決めよう」
皆でそんな話をしていると
「あっトーヤさんだ」
「あらホント」
薄暗い通りの先から現れた二人の女性。ミサエラとコルサミルが現れた。
「おう買い物帰りか二人とも」
「ええ、しばらく御厄介になるので着替えやらなにやら少し必要な物を買ってきたの」
コルサミルは布バックを持ち上げながら説明する。
「でも資金を融通してもらえて助かったわ。共和国から持ってきてた手持ちでは直ぐに路頭に迷いそうだったし」
ミサエラは苦笑いをしながら両手を顔の両側でお手上げと言う風に言いたげだ。
この二人は元々ルドマリッド人民共和国の破壊工作員の仲間であったが知矢とニャアラスに寄り懐柔され帝国への亡命の為ラグーンへ滞在している。
「いやそのぐらいは当然だ。 なにせ予想以上に亡命の話が進まないからな。連れてきた以上責任を持たないと。だから気にせずもうしばらく時間をつぶしていてくれ」
当初知矢はアンコール伯爵へ話を通せば問題なく亡命が許可されミサエラの能力で精霊魂石へ封じられた精霊を無事解放できると踏んでいた。
しかし思いのほか帝国内での精霊魔法に対する忌避感、と言うより皇帝が過去に禁じた精霊魔法の使用制限の触れがネックになり伯爵と言えどもそう簡単に精霊魔法の使い手を帝国に招き入れその技を行使させる許可を得るのに時間を擁していた。
さらに先日の知矢への襲撃殺人未遂事件もあり今帝国中が騒ぎとなっている。
それらが落ち着くまでしばらくこの二人は知矢預かりとなっていた。
「でもさ何でわざわざ屋台で飲んでいるの? 自分のお店、自宅で飲んでも同じじゃない」
コルサミルは自宅でもある魔道具商店を離れ自分が経営し使用人へ運用させている屋台で飲食をする光景を不思議に感じたのだった。
「まあそう言えばそうなんだが。しかしたまに場所を変えるのもおつな物だぞ。お前たちも食べていくか」
「いいえ、私たちは暖かい食堂でゆっくりいただくわ。出かける時にリラレットさんにもご飯までには戻りますって言ってあるし。第一うどんも美味しいけどトーヤさんのお店で出す料理の方があたしたちは良いもの。 じゃあ先に帰っているわね」
そう言いながら二人は薄暗くなり始めた通りを魔道具商店の方へと歩き出すのだった。
「そうかわかった。俺達はもうしばらくここで飲み食いしているから夕食は不要だと伝えてくれ」
「了解! 」
背を向けたままコルサミルは手を振りながらミサエラと楽しそうに去っていった。
「あの二人すっかりなじんでますね兄貴」
ジョッキの酒をあおりながらボンタは馴染み過ぎだろうと訴えた。
「まあそう言うな。さっきも言ったが連れてきた責任もある。第一精霊を開放するのに手を貸してもらわないとな。
ワイズマン済まないが天ぷらを3種ほどくれ。それとビールもおかわりが欲しい」
「ハイ少々お待ちを」ワイズマンの指示で女が天ぷらを用意し始めた。
まだまだ夜はこれから。
光の魔道具が煌々と輝く屋台の脇にテーブルと椅子を配しゆっくりと天ぷらを摘みに酒を飲む知矢とボンタであった。
同じ頃、商業中核都市ラグーンの中枢。アンコール伯爵居城では周辺に在する配下の貴族を集めた会議が行われていた。
「でありますので現在今日までの集計は以上の通りです」
先の破壊工作員潜入襲撃事件以降都市や周辺の街や村、そして衛星都市群それに魔鉱石採掘現場では厳格な出入りする者への確認を行いルドマリッドの潜入者などを一掃してきた。
その数は40名以上に上ったが取りあえずはこれで落ち着くだろうと思った矢先の知矢への襲撃殺人未遂事件である。
長く信頼していた配下の者が実は潜入者若しくは手先となっていた事への衝撃と配下への疑心案義から貴族たちの間にも衝撃が走った。
一般庶民にはその事実を公表していないので都市の人々へ不安が広がりましないがもし情報が漏れたならば市民通しの心も大きく揺れ騒ぎになるのは必至であった。
暫定的な手法ではあるが知矢より提供された簡易鑑定の魔道具に寄りルドマリッドの関係者と思しき者の洗い出しが目下進行中である。
当初数の少なかった魔道具であったが知矢から相当数の提供を受け各都市や村などでも運用が始まり最近では各役所や公的な場所への設置が進んでいるところであった。
それにより新たに判明した”協力者”等の捕縛が進みそれらの情報を含め管理貴族配下の全貴族を集めた情報共有がなされていた。
「今報告に有った通り思いもよらぬ潜入者は30名を超えた。以前捕縛してある破壊工作員や以前から潜入し捕縛された者を併せると100名以上に達する。
しかも今回の調査では我々の周囲に潜んでいた者だけでも残念ながら20名以上だ」
官僚からの報告を受け配下の貴族たちへ話すアンコールの口は重い。
知矢の魔道具を活用し判明したルドマリッドの潜入者、協力者が思いのほか身近にいたことが判明した為である。
出入りの商店の者や業者などならまだしも使用人だけでなく騎士にもその存在が確認された事は皆の知ることになったが当初貴族たちは信じられない思いだった。
『その魔道具は信用できるのか』
『だいたい冒険者が作ったと言うではにかそいつ自体も信用ならないのではないか』
等との意見も多く出された。
だが結局のところ簡易判定で露見した者を複数の鑑定魔法の使い手で確認したところ全てが全て同じ結果になった事でその事実を受け入れるしかなかった。
「以前からも言ってある通り全ての潜入者を暴き出さなければ我々も含め帝国中の皆が安心して暮らす事は出来ない。
繰り返すが先ずは身近な者を全て確認しろ。嫌ではあろうがそれこそ家族や兄弟も含めてだ。わしは既に妻や子を含め全ての者を確認した。
幸い1人とていなかったのがせめてもの救いだがしかし昔から懇意にしていた出入りの商人からも潜入者が発見された事実は変えられん。
皆も誰一人漏れの無いよう繰り返し確認を行うのだ。分ったな! 」
「「「「「承知いたしました! 」」」」」」
強い決意の言葉を配下の貴族たちへ向けたアンコールの言葉に全員がハッキリと賛意を示しその場は解散となった。
「ふーっ・・・・・」
執務室へ戻ったアンコールはデスクの椅子へドスンと腰かけると深いため息をついた。
「ご主人様。お疲れさまでございます」
家令が主の疲れた様子を見ながらワインを準備してくれた。
それを一口で飲み干した主の様子を見た家令は驚きながらもさらにグラスへとワインを注いだ。
「ご主人様。昨日に続きまして再び私を含め全使用人への確認作業を終えてございます。モーンドール様からも報告がまいると思いますが全員問題なく」
家令はこの館にいる者は全て安心だと主へ伝え少しでも心の重みを取り去ろうとしたのだった。
「・・・ああ済まんな。こんな事はしたくはないが、しかしこれで何の憂いも無くこの館の者を信じられる・・・・」
(ルドマリッドめ!! 私の配下の者にまでこの様な苦痛を与えおって。決して許さん、最後の1人まで暴き出してやる! )
アンコールは帝国国民の心まで執拗に騒がせる侵略者の事を呪いそして強い意志を持って対抗する心を新たにするのであった。
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(^◇^)
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