第147話 真実は1つ 真実は衝撃 ~ 『良いですか。知矢さまがいつ御戻りになられても良いように!』『『『ハイ』』』!!』
こんにちは
今回は初めて予約投稿を試してみます。
明日無事に投稿されていることを願います。
では第147話どうぞお読みください。
知矢はお節介だが思いやりのある男、子爵家の子弟であるにもかかわらず家を飛び出し冒険者として活動しているガンツと偶然知り合い、そのパーティーの仲間とともに彼が受けた依頼”キリングパンサー狩り”に同行する事になった。
目的の森へ侵入した一行はすぐに魔獣の気配を感知したがそれはクレイボアと言う突進攻撃が主体の魔獣であった。
知矢の機転でからくも窮地を逃れた一行はさらに森の奥へとキリングパンサーを目指し進んでいった。
「何か反応はないのか」
ガンツは周囲を警戒しながらそばにいるマリノスへと問う。
「残念ながら。小物の反応だけは多くありますが」
マリノスは気配感知の魔法を行使しながらも目当ての反応が無い事を告げる。
「もったり山の稜線の影は過ぎたからそろそろのはずだが」
ガンツは冒険者ギルドで依頼を受けた時に確認した生息域の情報を思い出しながら周囲を見て位置関係を確認する。
その時知矢はどうしようか心の中でモジモジとしていた。
なぜなら知矢の気配感知にもレーダーにも既にキリングパンサーの気配と位置をとらえてから暫くが経過していた。
(あっあそこに何か見えるぞ! とかが良いかな。それともあっちに何かいる気がする俺の感がそう言っているぞ。の方が良いか・・・)
知矢は先ほどから能力に差がある事でそしてAランク冒険者の身分を隠している事で迂闊な事が言えずどう自然に伝えればいいか悩んでいた。
しかもキリングパンサーは番なのか兄弟なのか2匹確認している。それだけではなく向かう方向も若干違っている為このまま進めば目標物から遠ざかりかねない。
だがマリノスの気配感知やマジコの周囲警戒のどちらかに何か反応が出れば問題ないのだが以前二人は何も感じていないようだった。
知矢はモヤモヤ、イライラしながらも平静を装いながら周囲に別の気配が無いかを注意しながらガンツの後方から同行していた。
それと同時に知矢は彼らの行動に少しだけ焦燥感に駆られていた。
何故なら彼らはEランクであり知矢と比べて多くの冒険、依頼をこなしてきたはずだ。知矢が経験してこなかったFランクからコツコツと依頼達成をこなして積み上げてきた経験は伊達では無いと思っていた。
しかし数刻同行して感じたのはやはり子爵の子弟であるガンツを主とした行動原理に縛られ自由で柔軟な行動や発想、そして思い切った活動が出来ていないと感じている。
その証拠にマジコは周囲警戒の中心ポイントをガンツにに定めそのお陰でより狭い範囲、ガンツに危険が及ばぬ様に警戒できる範囲しか感知できていない。
マジコがその警戒中心位置を遥か前方もしくは周辺へ拡大や移動をしていればとっくにキリングパンサーの気配を掴んだであろう。
そしてマリノスだが彼は魔力はマジコ程高くない。
それなのに常時気配感知を展開するためそして魔力を温存するため範囲を絞らざる得なかった。
知矢がこのパーティーの行動を考えると第一にガンツの守りを考えることが前提ならば、
① マリノスがいざという時反応できる最小限でガンツの周囲に気配感知を魔力を抑えて展開。
② マジコが比較的余裕のある魔力を使い周辺警戒の魔法のエリアを自由に動かして離れた前方や左右の状況を感知
その方がより効率的、柔軟な探索が出来危険に対する備えそして魔力の温存。さらには依頼目標達成へより近づくのだ。
しかし彼らは魔法の使い方、その特性と使用方法に制約を自ら設けてしまい効率的な運用が出来ていないのだった。
そう言った状況と併せ先ほどから知矢だけがキリングパンサーの位置を掴んでいる事のモヤモヤ感とで我慢が出来なくなってきた。
キリングパンサーとの距離は既に離れ始めている。後はどんどん遠ざかるだけだ。
知矢はもう我慢が出来なかった。
「ダーッ!!ハイもう止め。全員止まってくれ!」
突如声を上げた知矢へ腰を少しかがめながらゆっくり進んでいた三人が驚き背筋を伸ばし周囲をきょろきょろ見回しながら知矢へと接近した。
「オイお前何大声上げてんだ。近くにキリングパンサーがいたらどうする、それだけじゃねえ他の魔獣だってそうだ!」ガンツは知矢へ迫りなるべく声を絞りながら抗議の声を上げた。
「キリングパンサーはもうとっくに通り過ぎた。それに今この周囲500m以内には大型魔獣や危険な獣もいない。いるのは小動物か突撃うさぎ位だ」
普通の声音で問題ないと話し出した知矢へ今度はマリノスが抗議する。
「君は何を言っているんだ。500m以内にいないなんて何故わかる。それに君は経験の浅い初心者だろう我々の邪魔をするなら付いてこないでくれ。ガンツが親切で声をかけたと言うのにとんだ奴だ!」
「・・・・・」マジコは特に言葉を発しなかったが文句があるのは明らかな顔をしていた。
「済まないがもう我慢が出来ない。一切だますつもりはなかったが俺はこう言う者だ」
知矢はもう仕方がないと割り切り無限倉庫へ仕舞っておいた知矢の冒険者ギルド証を三人に向け提示した。
「君、こんな所でギルド証を出して何の意味が・・・・・!!!」
「おいトーヤ突然どうした。何やってんだよ俺がせっかく・・・・・!!!」
「・・・・・!!!」
不満を口にしながら知矢の提示した冒険者ギルド証へ視線を向けると三人はいっきにぎょとっとした顔でギルド証に視線が釘つけになった。
「ハーッア? 何言ってんだトーヤ。エッ? エエッ! Aランク証だとお!!!」
ガンツはいち早く停止していた思考が復活したのか素っ頓狂な声を上げた。
「きっ君がAランク冒険者・・・偽物では・・・」
じっと知矢のギルド証から視線を離せないでいるマリノスもやっと言葉を発した。
「・・・・やはり何か変だと思いました。 ですがまさかAランクの冒険者だとまでは想像は及びませんでしたね。」
マジコは案外冷静に感じていた違和感の正体に理由が付いたのか受け止めた様であった。
「まあここまで俺はAランク冒険者だとは伝えていなかったが、ガンツ、俺はFランクとも名乗っていないからな。その点はお前が勘違いをしたんだそこだけは言っておく。
だがここまで明かさなかったのは悪かった」
知矢は冒険者ギルドでの出会いの発端から終始一方的にガンツの勘違いから始まったと詳細をマリノス達へ説明した。
「しかし君は私たちへの挨拶の時に言っていたではないですか 『半年ほど前に冒険者になった者です』 と」
マリノスは出会いの経緯は理解し確かにAともFとも表明していなくガンツの勘違いから始まった事は認めたが知矢の自己紹介の件を指摘しやはり嘘があったと少し非難げだ。
「ああそこか。俺が冒険者登録をするためにこの都市ラグーンへ来たのもそして始めて冒険者登録をしたのも半年ほど前だ。これに嘘はない。なんなら後で一緒にギルドで確認してもらっても良い」
「バカ言え!初心者が登録して半年でAランクなんて有り得ねえだろ。それこそ嘘っぱちだ。」
ガンツは半ば怒りながら抗議の声を上げた。
「そうですよ。ギルドのランクシステムは実績を積み上げ実力を伴いしかもギルド長を始め幹部たちを納得させるだけの功績が認められて初めてランクアップするのです。初心者が半年後にAランクに成れるほど甘い世界ではありません」
ガンツと共に怒りながら冒険者ギルドのシステムを開設するマリノスであった。
確かにそのランクアップシステムの件は知矢もAランクに上げると宣言されたときに冒険者ギルド長のガインから詳細に聞いた。
*******************************
『 お前が特別ってわけじゃないぞ。普通にポイント加算、貢献度算定をしていくと当然そうなる。それ程この魔鉱石発見の功績は偉業だって事だ 』
*******************************
「お前!あの魔鉱石発見で帝国皇帝表彰を受けた冒険者って! お前の事だったのか・・・いや貴方様の事でったのでしたか」
ガンツは帝国皇帝の名を自ら口にした事でその名誉ある表彰を受けた知矢への言葉使いが一瞬にして変わったが余りに突然の事で口調がおかしくなっていた。
いやひょっとすると冒険者としてわざと乱暴な口調を発する様になり長く教育を受けていた子爵家時代の礼儀等もを忘れ始めたのかもしれない。
驚き変な言葉を口走ったガンツの隣で唖然としていたマリノスとマジコは突然体を引き片膝を付け頭を下げた。
「恐れ多くも皇帝陛下より表章を授かりしかも永年居住権を授かる貴族相当の権利を有する方とは存じ上げずご無礼致しました」
「エッ?」マリノスの言葉に今度は知矢が思わず変な声を上げてしまった。
知矢の目の前で頭を下げ礼を取る二人、その言葉を聞いたガンツも
「これは大変失礼いたしました」と同様に地面へと膝を付き頭を下げてしまった。
これに驚いたのは知矢であった。
Aランク冒険者として驚かれたり敬われたりもするんだろうなと少し嫌だなとは考えていたがまさか膝を付き礼を取られるなど思いもよらなかった。
しかも子爵の息子であるガンツまでもが同様に礼を取ったのだ。
彼ら以上に知矢が混乱してしまった。
「ちょっと待ってくださいよ。Aランク冒険者だからと言ってそんな礼はいりませんよ。立ってください!!」
知矢は慌ててガンツの腕を取りマリノスとマジコを促して立ち上がらせるのだった。
「何言ってんだ、じゃなく・・ええと何をおっしゃりますか。帝国皇帝報奨を受け永年居住権を賜りしかも屋敷を下賜されたと言う事は一代貴族相当家を認められたと言う事でございます。ならば我々が礼を持って対応するのも至極当然のことと存じます」
知矢の問に何とか礼節を持って答えたガンツは理由を説明した。
・・・・・知矢にとって寝耳に水、青天の霹靂、藪から棒、襖から槍・・・事実だとしたらとんでもない事であった。
「それ本当なのか!俺はそんな待遇は聞いてないぜ」
知矢はまさか正体を現したことから話が全く違う展開になった事に驚きを禁じ得ないどころかそんな馬鹿なと信じられないでいた。
「それこそそんな筈はございません」
「いやガンツその言葉止めよう。今まで通り普通にしてくれ普通に。俺が困る。頼むから戻してくれ!」
知矢は慌てた様子でガンツやマリノス、マジコへ今まで通りに接するよう懇願した。
少し話を戻そう。
*******************************
知矢はアンコール伯爵の管理するラグーン城にて報奨を授与されその折に屋敷を下賜する旨の目録を受け取っていた。
そこには種々の項目が記載され報奨金の詳細や屋敷の事なども書かれていたがその項の中に
『なお与えられた屋敷は子々孫々永住を認めるものであるが爵位に関しては当代に限る1代貴族相当権を叙するものなり。』
そう書かれていた。
勿論栄誉を称えると盛大な表彰式を執り行った折にアンコール伯爵の口から公表されたのは以下の通りである。
『目録
・魔鉱石発見の功績により 青金貨3枚を贈るものとする
・魔鉱石鉱脈の埋蔵量算定に結果に対する報奨として 白金貨3枚を贈るものとする
・副賞として商業中核都市ラグーンに土地と屋敷を与えるものとする。
なおこの所有権は後世子々孫々永久とする。
以上である。
謹んで皇帝陛下のお心を受けられよ』
確かにアンコール伯爵はそう大勢の招待客の前で宣言していた。
つまりアンコール伯爵が言い忘れていたのであった。
勿論受け取った目録には詳細が記載されていたが知矢は当然そんなものに目を通してはいなかった。
しかししっかり目を通し確認をしている者はいた。
知矢の使用人筆頭の総支配人リラレット、そしてサーヤの二人である。
この事でこの二人の知矢への対応がさらに加速され配下の使用人たちの教育が貴族が的な内容へとどんどんエスカレートしていった原因でもあった。
*******************************
「・・・・・・・・・・・・・・・知らなかった・・・・・・・・・」
今度は詳細に話を聞いた知矢が愕然として地面に両膝を付き愕然としてしまったのであった。
その周囲でおろおろし始めるガンツとマリノスであったがマジコは何故か泰然とし何も言葉を発することなく見守るのであった。




