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第137話 帰還、しかし  ~「なんかさあたしの頭の中にあった霧が晴れた様な?」

年始始まってすぐに投稿が遅れまして申し訳ありません。

何とか朝から1話書くことが出来ましたのでどうぞお読みください。


では第137話どうぞ



「兄貴 !! 」

森の中から姿を見せた知矢を見つけたボンタは何かハイテンションで知矢へと駆け寄ってきた。


しかし知矢へと辿り着く前に知矢の従魔ビョンピョンがボンタの背後から飛び出しボンタの頭を踏み台にして跳躍、知矢の肩へと降り立った。



「フゴッ、ビョンさん酷いやあっしを踏み台にするなんざ」

苦笑いを浮かべ知矢の前へ辿り着いたボンタは肩へ乗る従魔へ冗談めかしに苦情を言う。



「ハッハッハ、丁度良い高さだったのだろう。なあビョンピョン、留守をありがとう。問題は…無さそうだな。」


知矢は従魔の様子と元気に駆け寄って来たボンタを見て確認した。



「何も問題無かったっすよ。あっしも、ほれこの通りご心配を掛けましたがもう大丈夫っす。冒険者ボンタ様復活っす!」


ボンタは嬉しそうに知矢の前で軽くジャンプを見せたり両腕の力こぶを強調して全快をアピールした。


「・・・・・・・・『私がしっかり見てました!』」従魔も片手を挙げ留守を守っていたと誇らしげだ


「そうかありがとうな」知矢は従魔を指先で優しく撫ぜるとくすぐったそうに動きながらも喜んでいる従魔であった。



そこへ少し離れて付いてきたルドマリッド人民共和国の潜入工作員であったミサエラとコルサミルが追い付いてきた。


「キャンプって聞いてたけど、ほんとのキャンプね」コルサミルはテントや露避けのシートが木々の間に張られている様子を見てポツリと述べたがその視線を知矢へ向けた途端


「ぎゃゃゃゃー!!!ご・ごっ!  ゴールデン・デス・スパイダー!!! 」

コルサミルは従魔の姿を確認すると言葉に詰まり身を引きながらも即座に腰の剣へ手を伸ばし抜刀した。


「キャーッ!!」片やミサエラはその行動は早かったがコルサミルの背後へ逃げ隠れるのみである。



「待った! こいつは俺の従魔だ、危険はない!

 ほれピョンピョン挨拶してみろ(このくだり何度目だ)」


「・・・・・・・『こんにちは!』」従魔は知矢の声に応じて素直に手を(前脚)ビュンビュン振るのだった。



「ゴールデン・デス・スパイダーを従魔だって! そんなのありかよ。一匹で街が全滅するって話だろ、以前そいつが何匹も現れた街が全員避難を余儀なくされたって・・・」

コルサミルは一応剣を引いたものの顔面蒼白で知矢の言葉におののいていた。



「蜘蛛・・・クモ・・・・・・」ミサエラは未だコルサミルの後ろに隠れ彼女の腰を掴みしゃがみ込んだままだ。



(まあ女性だとやはりクモは苦手なのかな。ニーナさんは平気だったんだがな・・・)



知矢の従魔との挨拶を終えた二人であったがミサエラはやはり従魔へと近づかぬよう一定の距離を置いている。





「ニャア、準備も出来たしラグーンへ帰るニャ」

荷物をまとめた一行はミサエラとコルサミルを加え帰路へ着く。


ラグーンへ向かう街道を歩きながら少し森の方を振り返ったボンタが呟く。


「いやああっしは今回役に立たなかったっすね。面目ないっす。」



「まっ仕方がない。今度から毒消し薬は必需品だ。勉強になったが命がけだったな。」

毒に侵され制止をさまよったボンタは司祭のおかげで一命をとりとめた。しかし知矢の配下として足を引っ張る結果に落ち込んでいる。


「だがお前の記憶のおかげで洞窟も発見できたし全く役に立たなかったわけじゃない。そうだろニャアラス」


「ミャアそうだニャ。しかしこいつはもっと冒険者として勉強した方が良いニャ! おいボンタ暫く俺と仲間と一緒に活動するニャ! 鍛え直してやるニャア!」


「はあ、ありがとうです。・・・お手柔らかに・・・ははっ・・・」


そんな会話を交わしながら一行はラグーンへと続く街道を急ぎ足で進んでいた。




「お前らはこのペースで大丈夫か。無理なら少し速度を落とすが。」

知矢はミサエラ達の様子を確認しながら声をかける。


知矢としては出来る事なら今日中にラグーンへと入りこの二人を騎士団へ渡し事情聴取と精霊を開放する術を聞き出したいのだった。


ただ焦って何か間違いを起こすのも嫌だったため周囲と友の2人へも気を配る知矢だった。


「あたしは大丈夫だよ」とコルサミルは何でもないと返す。


「あたしもなんとか付いて行けるけど・・・」


「けど?歯切れが悪いな。どこか調子が悪いなら言ってくれ」


「調子は悪くはないのだけれど・・・さっき食べ過ぎてお腹が苦しいだけ・・・歩けるわ」


「あんたあのパンケーキってやつ気に入っておかわりしてたもんね。まあ気持ちはわかるけど」

コルサミルは揶揄う様に言いながらも自身もさっき味わった至高の甘味を思い出す様にうっとりとした顔をしている。


「そいうことか、なら大丈夫だな。運動すればやがて腹も空く。落ち着いたらまた食べさせてやるからもうひと歩きがんばれよ」


「ほんとね!約束よ。またあれをお腹いっぱい・・・・・」ミサエラはそう言うと虚空を見上げパンケーキの味を頭の中で反芻するのだった。





一行は特に障害も無く街道を進みやがてその先にはラグーンが見えてきた。


「見えて来たな。あれが俺たちの住む都市、商業中核都市のラグーンだ」

街道の先には高い城壁に囲まれた都市が見える。



「えっ都市なのあれ」


「城塞都市じゃなくて」

初めて観るラグーンに驚くミサエラ達であった。



「ニャ?お前たちはあの森に来るまでいくつも都市や衛星都市を通ったんじゃニャいか。他の都市も城壁に囲まれてるニャ」

ニャアラスは当然の様に言うのだが。



「あたしたちは主に夜陰に紛れて移動するのが殆どで都市や村にはなるべく近づかなかったからね。他のメンバーは交代で都市へ潜入したりしてたけどあたしたちは荷物持ちと留守番みたいなもんだよ」

コルサミルは自分たちの置かれた立場待遇に不満だったと述べるのだった。



実際この二人は実戦経験が少なく今回同行してきたのは人数合わせ、つまり本当に荷物持ちと雑用係の様なものだった。

そのおかげで潜入破壊工作に加わらなかった事で亡命への光明が見えるのだから結果として良かったのだと思っていた。



「成るほどな。じゃあまあ後日になると思うが事情聴取が終わればじっくり都市を見物できる。それを楽しみにするんだな。」


「ねえ本当にあたしたち大丈夫よね。都市へ入るどころかいきなり捕縛されて死刑なんて事に」


「そんなの有り得ニャイニャ。南の国じゃあるまいし」


「そうっすよ。実際あっしも兄貴に敵対した奴らと行動を共にしてやしたけど騎士団の聴取を受けて実際に兄貴へ剣を向けたりしていないのを兄貴が証言してくれてすぐ解放されたっス。兄貴のおかげっスよ!」

ボンタも思い出す様に自分が知矢と敵対し罪を犯して捕まった者の仲間であったことを告白するのだった。



「えっあんた敵対した相手の仲間を手下に使ってるの。何それお人好し過ぎるだろ」コルサミルは知矢とボンタとの関係が以外過ぎる事に驚いた。


彼女から見た知矢とボンタの関係は兄貴と弟分で、特にボンタの行動は絶対的な忠誠を感じていたのでまさか敵対視命を狙ったグループ側の者だったと聞いて知矢は何を考えているんだと驚く。



しかし逆を言えば前例を示してくれたことでこの男の言う事なら大丈夫なのだろうと少し安心するのだった。


そんな話をしながらも一行はどんどんラグーンへと近づいて既に都市の入り口、ゲートが見えてきた。

その時知矢の頭にあったのはこの南の大国の工作員であった二人の行く末だ。

本人たちは冒険者になりたいと言っていたが直ぐに放り出すと慣れない国で挫折したり悪い奴らに引き込まれるなどし結局他の南の国から来た先住者のように裏町で陰の生活を余儀なくされるのではないかと心配している。


それに今のところ獣人族のニャアラスにあからさまな拒否感を見せてはいないが初めて顔を合わせた時には

「(おいどうするんだ。獣の作った物など食べられるわけないだろう)」

などとコソコソ話していたのを聞きとがめていた。


その時は知矢の芝居で「Bランク冒険者のニャアラス殿にも失礼であろう!」とはったりをかませたことが功を奏してその後はニャアラスへあからさまな態度を見せてはいなかったのだが。


帝国国内人口比で約30%程が何かしらの獣人族である。獣人族の他にも魚人族やその他も数%、少数ではあるが人族以外の種族が大勢住まうのが帝国である。


知矢が聴いた南の大国の住人は捕虜や亡命者もどんなに教育をしても意識や思想を変える事無く帝国に対する偏見や獣人族を貶めるような態度を変えないと。


その事が一抹の不安であった。


だが知矢はまだ知らない。

ミサエラとコルサミルに長年擦りこまれる様にかけられていた意識、思想を操作する魔法が存在ししかもそれが知矢達が食べさせた美味しい食事により、特に最後に食べた魅惑のパンケーキによってその魔法の障壁は感情の爆発なのか余りのおいしさに脳が衝撃を受けすぎたせいなのか全ての楔から解き放つほどの力を持っていた事に。


結果、今この二人は南の大国、”ルドマリッド人民共和国 ”と言う奴隷の鎖から解放され身も心も自由に解き放たれていたのだった。


よって既に帝国に対する偏見や獣人に対する嫌悪感は一切なく普通の人としてそこにいた。


この事を知矢が知るのはもう少し後であったが国民全員を魔法で洗脳していた事実を確認した帝国が今後の戦略に大きなエポックであったのは多大な功績と成るのだった。





「誰だ、今この都市は緊急厳戒態勢をとっている。1人づつ身分証を示せそして持ち物や衣服、全てを確認するから来い」


ラグーンの門を守る兵士たちが夕刻迫るなか接近してきた知矢達を見とがめ声をかける。



「お役目ご苦労様です。Aランク冒険者のトーヤ、こちらはBランクのニャアラス殿とDランクのボンタです」と身分証、冒険者ギルド発行の冒険者証を提示しながら声をかけた。



「おお、貴方がトーヤ様ですか、ご身分確認いたしました。管理貴族より触れが廻っておりますあなた方は即お通しする様にと。」

どうぞどうぞと兵士たちが封鎖していたバリケードを開き知矢達を門の中へと誘う。



(ちょっとちょっとあいつ本当に待遇違うじゃないの、兵士が姿勢を正して礼をとってるわよ。Aランク冒険者って凄いのね)

コルサミル達は知矢と兵士の会話を後方から観察し驚嘆した。



念の為補足すると知矢を除く他のAランク冒険者にはここまでの態度を示す事は無い。

確かにAランク冒険者ともなれば尊敬や畏怖の対象でもあり騎士や兵士も扱いが丁寧になる。

しかし知矢は別格だ。

自分たちの雇い主であり忠誠の対象である伯爵が礼をとる程の人物だ。さらに優遇するよう通達や先触れが出る等Aランク以上の扱いを促されているのだから。



そんな様子を見た南の大国の工作員であった2人は

「「Aランク冒険者って凄いんだ」」

と少し勘違いをするのも仕方が無い事である。



「ありがとうございます。ですが入るにあたり至急のお願いがあります。騎士団の責任者、出来れば第1騎士団長のモンドールさんをお呼び頂きたいのですが」

と知矢達の背後に控えるミサエラ達に視線を向けながら門を守る兵士へ告げた。


「・・・了解いたしました。直ぐに手配いたします、少々時間がかかりますのであちらでお待ちください」応対をしていた兵士が知矢の視線の先にいる二人へちらりと視線を向けると何か感じたのか直ぐに騎士団長を呼んでくれると答えてくれた。



知矢達一行は兵士に案内され門を一歩入った脇にある詰め所へと導かれ暫しそこで待機となった。



その中でボンタは知矢の命を受け帰還の連絡に店へと走り状況に応じてはこの二人を泊め置く必要から場所を用意しておいてほしいと伝言を託した。


1人都市をかけるボンタを見送り残された4人は兵士詰所の談話室の様な部屋へ通され暫し時を待つのだった。




(さてここまでは来た、が・・・)

知矢は精霊魂石の扱いや精霊開放の術をミサエラから引き出せるのか。素直に従ってくれるのかなど次のステップへ進む方策を思案するのだった。





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[一言] 思想を操作する魔法! やはり人民共和国、滅ぼすしかないようだな!! 思想操作ダメ絶対!
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