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第131話 臨時開店 地下食堂  ~「トーヤ君、私の出番は・・・」

今日は何とか一本仕上げました。

ハイハイ、話は進んでませんけど(^_^;)

でもどうぞお読む下さい。

では第131話どうぞ



「そうニャ!! 良い考えがあるニャ!! 」


知矢が考え込む脇で唐突にニャアラスが声を上げた。


「何だその良い考えってのは」


「トーヤはマジックバックにあれ持ってきてるニャ?」


「あれ?」




+++++++++++++++




「あ~あ、こんなとこにただいるだけってのも辛いね。いっその事敵でも来てくれりゃ暇もつぶせるのにな」

コルサミルはただじっと待っているだけのこの時間に我慢が限界の様であった。



「物騒なこと言わないでよ。じゃなくても結界が無くなって不安なのに」

ミサエラは相変わらずかまどに薪をくめながら枝で灰に何かを描くようにしょんぼりと話すがその内は彼女もイライラとした物が溜まってきている様である。




その時だった。



「?・・・何だいこの臭いは」

コルサミルは不意に鼻についた匂いの元を求め周囲にその鼻筋が通る顔を向ける。



「何か・・・そう美味しそうな匂いよね。誰か近くで料理を作ってるのかしら」

ミサエラも周囲を見回しながらその目は何かを求めて光り輝いていた。



「近くで料理ってな、有り得ねえだろ。

このベースキャンプの周りの森は罠だらけ、その森の外は街道まではるか先。こんな所で飯を作るやつがいるもんか」

そう言いながらもコルサミルも漂ってくる香りにウットリ目を閉じ口からは今にもよだれが垂れそうである。



我慢しきれなくなった二人はその匂い、美味しい香りの源を探し鼻をフル活用しながら周囲200m程のキャンプ地の中を右に左に周囲をぐるぐる巡りながら探し始めた。



「おいミサエラ」

コルサミルは有る方向に気付いた。



「ええ、でもまさか」

ミサエラもコルサミルが合図する様に顎を振る方向を注視しながら同意したがその方向は。



「「 地下洞窟! 」」



2人は同時に呟くのだが確かに洞窟への穴がそこに大きく開いており緩やかにドラフト(風の動き)感じる。


そのドラフトに乗る様においしそうな香りは確実に穴から地上へと登ってきているのだ。



「洞窟に住む人が食事を始めた様ね」ミサエラは喉をごくりと鳴らしながら呟く。



「洞窟の住人って・・・誰か住んでたのか、いやならあいつらが洞窟の中にもわなを仕掛けたって言ってたから有り得ねえだろう」と言いながらコルサミルも口の端から何か光る物を垂らし始めた。





+++++++++++++++



「おいニャアラス。あまり沸騰させるな出汁の香りが飛んで味が落ちる」

知矢は網の上で味噌を塗ったおにぎりを遠火で焦がさぬようしかし美味しい香りが飛ぶように炙っていた。



「ニャア、この香りが溜まらニャイ。食っちまうか」火のかけた鍋の中から漂う出汁と汁の香りに思わずニャアラスが吸い込まれそうだ。



「お前が言い出した事だろ。我慢して煮詰まらない様に火加減見ろ。それとそっちの鍋が吹きこぼれないようにな」


そうニャアラスに注意しながら知矢も焼きおにぎりの隣の鉄板で焼いている串肉の焼き加減を見ながら裏返す。





+++++++++++++++



「そうニャ!! 良い考えがあるニャ!! 」


「どんなだいったい」


「トーヤのマジックバックに中に美味しい物や料理道具があるニャ」


「まあ色々あるが」


ニャアラスの問に知矢は何を持ってきたかなと無限倉庫の中を検索する。



・鉄板焼きセット

・お好み焼きセット

・うどんセット

・鍋セット

・焼肉セット

・串焼きセット

・串揚げセット

・それらに使用する食材各種(大量)

・水(樽×100本)

・風呂セット

・火の魔道具(調理用)20台

・風の魔道具(調理換気用)

・椅子、テーブル各種

・テント(簡易)

・テント(重設)

・寝具類(簡易)

・寝具類(重設)



とにかく何でも入っていた。

これだけ用意周到な準備をしていて何故毒消し薬などを持ってきていなかったのか。

その辺りが未だ日本にいた頃のままなのだろう。



知矢は家族で旅行する際も自分一人ツーリングへ行く際もいつも

「何故そんなに大荷物になるのかしら」と妻や子に呆れられるほど用意周到に準備をし携行していった。


もちろん軽い怪我や病の対策で救急キットも常備していたが流石に日本で毒消し薬を常備する習慣も無く未だ意識や生活習慣を異世界に馴染ませたとは言えない。今回露呈した大きなミスであった。




「でどうするんだ。腹が減ったのか」

知矢は無限倉庫の中身をざっと説明しながらニャアラスの考えを問う。



「違うニャ、あいつらニャ」



ニャアラスは南の工作員と思しき剣士と精霊使いの2人の女性が”堅パンと草スープ”と言っていた事に

「女の子がそんな者しか食べてないなんてかわいそうニャ。美味しい物をたらふく食べれば話を聞いてくれるニャ」


と言い出したのだった。


知矢も少しは賛同する部分もあったが果たして獣人のニャアラスを見てどう反応するか。

一方的に忌避意識を露わにし拒否するか最悪攻勢に転じて来るのではと心配している。


心配なのは相手の攻撃では無くニャアラスがショックを受けたりしないかだった。


鋭いやりさばきとたぐいまれな身体能力から繰り出される攻撃力と俊敏さをもつニャアラスは一方で他人を思いやる優しさを兼ね備えた素晴らしい獣人である。


そんな優しい心で彼女たちの境遇を垣間見たニャアラスへ拒否を示したらどう思うのだろうか。

哀しい思いをするのではないだろうか。そう考えると知矢は積極的になれなかった。



だが当の本人は

「でもニャ南の奴らは俺達獣人を毛嫌いしてるからニャ。『お前の作った物など食えるか!』ニャんて言われるかもしれないニャ。その時はもったいないから俺たちが後で思いっきり食うニャ」



知矢の考えは杞憂、いや今まで散々嫌な目に遭ってきたのだろうと改めて思いなおした。

そんな目に遭おうと未だ優しさから手を差し伸べられることが出来る人間性に知矢は感動さえ覚えた。




知矢は日本にいた頃、確かに困った者がいれば話を聞いたり手を差し伸べる事はあった。そして知矢の道場に行き場を失った若者を住まわせ就業の機会を与えたり武道で弱い心に活を入れたり時に増長が過ぎる者を打ちのめしてから手を差し伸べたこともあった。


だが知矢は心の奥から拒否する者に積極的な手は差し伸べなかった。

言葉では拒否しながらもその目の奥で助けを求める影が見える者ならいくらでも手を貸す。


しかし一方的に拒否する者は特に何もせず己や仲間に牙を向けるならば徹底的に打ちのめし放り出すだけであった。


一見優しさも見せる知矢であったがその根はニャアラス程寛容と慈愛を持ち合わせてはいないのだ。


知矢の心も経済もそして時間も無限ではないのだからと割り切る時もある。


しかしニャアラスはそれさえも、己の事よりも目の前でひもじくする二人の事を知り自分の事よりまず美味しい物をいっぱいてべさせる事を優先したのだ。




「よし美味しい匂いをたっぷり振りまいて誘い出してみるか!」


ニャアラスの気持ちを受け知矢達は早速準備に取り掛かるのだった。




知矢は無限倉庫から椅子、テーブルを出しニャアラスがセッティングを始めると次に調理用陽の魔道具を並べ鍋や焼き物台を準備する。


ニャアラスが鍋の支度を始めると食料をテーブルに色々並べ何を用意するか相談だ。



「串焼きだニャ!あの匂いはたまらないニャ」


「寒いから暖かい具だくさんのクリームシチューもいいな」


「にゃらうどんニャ。うどんの出汁の香りもたまらないニャ」


「よしもう色々どんどん美味しそうな匂いを振りまいてやれ」


「おお!そうニャ!」



2人は手分けして食材を準備し煮たり炒めたり焼いたりと良い匂いをどんどん生み出していく。


そして洞窟内に美味しい匂いが充満し僅かな風で流れているところへ知矢が風の魔道具を作動させ美味しい香りは一気に洞窟を換気ダクトの様にドラフトを呼び起こし匂いを連れて出口へと運んで行った。





+++++++++++++++





「ちょっと、美味しい匂いがどんどん強くなるよ。うわー何この香り!」


「こっこれは、だいぶ前に食べた干していない生肉の焼ける匂いだ!」


「それだけじゃないよ甘そうな匂いも交じってるまるで1級市民たち専用のレストランの裏から出て来る匂いみたい」


「いやそんな匂いどころじゃないぞ。これは・・・いったいなんだ!誰がこんなおいしい匂いを!」




「・・・行ってみる?」


「だがしかし・・・敵の罠ではないか。誘い出したところを上から毒槍が落ちて来るとか、落とし穴があって落ちると毒の沼に沈められるとか」



コルサミルの思考は南の工作員のすべである。彼の国は罠には必ず毒を用意し微かな怪我でも致命傷を負わせる為、毒は必需品であった。




「でもさ・・・そうそう、偵察しないと。もし敵ならあたしの精霊術でドカンと一発」そう言いながらミサエラは腰の革ケースを軽くポンと叩くのだった。



「お前の精霊操作は当てになんないからな」


「ぐぬぬぬぬ・・・今度は大丈夫よ・・・・きっと・・・多分」


「まあいいあたしの剣が全てを打ち払う。それだけだ」


「なによあんたの剣技だってへなちょこでこないだだって角うさぎの角を受けそこなって危うく死ぬところだったじゃない」


「クッ・・・・・あれは足場が悪かっただけだ。ここなら・・・・」



どっちもどっちの2人であった。



この南の工作員である2人が何故この場に残されていたのかよくご理解いただけたであろう。


不十分の戦力ではあったものの人数をそろえる関係や哨戒の人員確保のために連れてこられたようなものだった。


しかしいざ都市へ潜入し破壊工作の段になると流石に工作員を率いていた者も自分たちの足を引っ張られその為に作戦が失敗に終わったり他の者が危機に瀕する事を警戒しこの場に残したのだった。



2人はそっと洞窟の入り口から中の様子を窺がい取りあえずの安全を確認した。



「良いか」

「良いわ」


「行くぞ」

「行くわ」



恐るおそる一歩を踏み出し暗闇の奥を窺がいながら前後にくっつきながら進む二人。


「おいあまりくっ付くな歩きにくい」


「だけど暗いし怖いし、あんたがどっかいかないか心配だし」


「行きようがないだろうったく。おい先を見ろ! 」


「・・灯り? 光ってるけど、明るすぎない?」




2人は耳と鼻に神経を集中しながら美味しい匂いの元へ少しずつ少しずつ一歩一歩進むのだった。







本日弊社は年内の仕事を納めさせていただきました。

さて更新の方ですが次回は12月29日か30日を予定しております。

予定です、あくまで予定です。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 今回は毒だけど 少し前に魅了で死にかけたのに 自分が状態異常に無防備なまま 神にもらった本やギルドなどで対策や対応方すら調べないで 頼まれもしないのに敵の潜入基地に侵入する人が …
[一言] はたして餌付けは上手くいくのか?
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