第127話 お店の再開、主の不在 ~うぅぅぅあっしも行きたかったっス
また更新が途絶えましたが何とか一話更新いたします。
どうぞよろしく。
とか言いながら今もう一話を執筆中です。こちらは閑話になりますので短いかもしれません。
では第127話どうぞ。
「はい、皆さん宜しいですか。 ではおはようございます」
「「「「「おはようございます!!!」」」」」
朝を迎えたここ魔道具商店。開店前使用人全員を集めた朝礼が行われている。勿論居並ぶ使用人の前に立ち背筋を伸ばし凛とした声を出すのは総支配人のリラレットであった。
「昨日はご主人様より特別にお休みをいただきました。みなさん十分に英気を養えたと思います。本日からまたいつもの様にお店をオープンいたしますので張り切ってご奉仕願います。よろしいですね!」
「「「「「ハイ! よろしくお願いいたします」」」」」
リラレットの声に全員が声をそろえ答える。
「それでは各部門に分かれてミーティングを実施してください。終了次第朝の清掃を始めます。では解散!」
リラレットの声に使用人たちは各々が与えられた仕事のグループごとに集合しグループリーダーから仕事の指示と注意事項の伝達を受ける。
それが終われば全員手分けを市店の内外を清掃、それが終わった者からリーダーの確認を受け合格すれば朝食の時間だ。
「誰ですかー。お店の外にお掃除籠を置き忘れている方は」手代のアンドウがのんびりとした声を出す。
「申し訳ありません。私です」マリーが店のわき道から飛び出す様に躍り出てゴミの入った籠を回収していく。
「あっマリーさん。その籠は裏の籠ではありませんよ。右の倉庫用ですからそちらへ直して下さいね」
「ハイ!アンドウさん申し訳ありません。」マリーは再び風の如くビュンと姿を現すとアンドウの指示通り倉庫の方へと走り込んでいった。
「マリーさんは元気だなー」と呟くアンドウであった。
だが一昨日の夜中までアンドウとマリーは南の大国の工作員に買い物中に襲撃を受けそのまま拉致され倉庫に隠された地下へ閉じ込められ一夜を過ごしていた。
工作員の執拗な詰問に震えながらも答えず知矢の秘密を口にしなかったアンドウであったが工作員が暴力を振るって答えさせようとした時一緒に拉致されていたマリーが激高し暴言を吐き散らしながら工作員へ食って掛かったおかげでアンドウに危害は及ばなかった。
しかしその代わりマリーは殴られけられ打ちのめされけがを負ったのである。
その時の映像が頭から離れないアンドウは名目上とはいえ部下であるそして女性であるマリーを守れなかったことを一時は激しく後悔し落ち込んでいた。
しかし主の知矢の言葉もさることながら同郷で同僚のゼンゾウ、シンゾウ、ガンゾウが皆口をそろえて
「生きて帰れてよかったよ。でももしアンドウ君がマリーさんを庇ったりしたらきっともっとひどい目に遭っててしかもそんな痛い目にあったらご主人様の事を喋っちゃうでしょ。だから結果的に良かったんだよ。」
そんな事を言いながら慰める仲間だったがアンドウは納得できなかった。
しかし店の警備担当のミレが
「よく頑張った! ほんとだぞ。お前はマリーを心配し自分の代わりに痛めつけられていたのを何も出来なくて悔やんでいるらしいがそれは逆だ。」
と言ってきた。
「えっ? どうしてですか。私がしっかりしてればマリーさんもあんなに痛い目に遭わずに済んだのに。」
「まあお前も男だし上司と言う立場もあるから考えも解る。だがなもしお前がマリーを庇ったとしたらどうなる? まずもう生きてないだろう。何といっても商家も小僧や丁稚は体の出来が俺達とは違う。
そう鍛え方だ。そしてマリーもだ。やつはお前たちも薄々気が付いているだろうが幼いころから剣を持ち騎士団に交じって訓練を何年もやってきた。その体は残念ながら男のお前より筋肉も骨もそして気も丈夫だ。
だからこそあいつは身を挺して自分が痛めつけられたんだ。”自分ならこのぐらいでは怪我はしても死ぬ事は無い” と解っててな。言い方が乱暴かもしれねえが適材適所だ。」
「・・・・」アンドウは納得できたよな出来ないような判然とした気持ちだ。
「ああ、あとそれにな」ミレは一度言うだけ言って立ち去ろうとしたが直ぐに振り返り続ける。
「俺達使用人は皆奴隷だ。 そして奴隷紋を持ってるのは一目瞭然だ。だから南の奴らも魔法契約の事を十分に知っいてるからお前には必要以上に問いただしていなかった
。だがマリーはあくまでも雇われた使用人だ。奴隷紋もないし魔法契約で縛られてもいない。
だから・・・」
「だから?」
「あいつが奴らに食ってっかかって怪我をしたり気を失った事で言わば時間が稼げておかげでご主人様の救出まで無事生きていられたって考えるとマリーの行動は、まあ正解だったかな。結果論かもしんねえが。
じゃあこれ以上気にすんなよ。気にするとマリーが気にしすぎる」
ミレは言うだけ言ってその場を後にした。
アンドウの友人ゼンゾウ、シンゾウ、ガンゾウも「そうだってさ。そうだと僕たちも思うよ」じゃあ仕事があるからと皆がそこで四方へ別れた。
そんな会話を思い出しながら「マリーさんが気にしない様に僕も普通に頑張らないと」と考えを決め店の開店準備へと戻るのだった。
そんな様子を店の奥から窺がっていたリラレットとサーヤは
「アンドウ君もマリーさんももう少し休ませればよかったかしら。」と心配顔だ。
「ダイジョブ。怪我は魔法で治ってるし、忙しい方が気が紛れて怖い事も忘れさせる。
それに・・」
「それに?」
「たぶんマリーは誘拐された事とか暴力を振るわれた事なんか気にしてない。 気にしているのはアンドウの事と自分の不甲斐なさだけ。
だからマリーは考える時間があると変な事を考えだすから忙しく仕事をさせて考えさせなければすぐに忘れる。だから大丈夫」
ぶっきら棒な物言いのサーヤだが勿論心の中から心配はしているのだ。しかしマリーの気性をいち早くつかんだサーヤだから解る、『マリーは難しい事を考えさせてはいけない』と。
「それで良いのかしら」リラレットは眼鏡の奥で目じりを下げ眉を葉の字に歪める。
「良い。それにアンドウはシンゾウ達がいるから大丈夫。 夜ご飯は美味しい物をたくさん出してあげて。そうすれば安心して元気になる。」
「そうね。よし!じゃあ今日もいっぱいみんなで働いて夜はちょっと豪華においしいご飯を食べましょう!」
さあお仕事お仕事!とリラレットも気を取り直し自分の役割を果たすために店へと向かった。
残されたサーヤに傍で片づけをしていたマイが
「ねえねえ、あんなので良いの?よくわからないけど」と、ぼーっとした口調でマリーへ訪ねた。
「・・・半分はあれで良い」
「じゃあ半分は」
「リラレットも気にし過ぎだから余計な気を回し過ぎて二人が逆に気を遣うしいつまでも腫物を触る様にしていても互いの為にはならない。」
「・・・じゃあメイド長も含めてって事ね・・・・よくわからないけど、サーヤってすごいね」
「・・・ありがとう。 マイ、手が止まってる。もうすぐ開店、急げ」
「・・・オウ!」
変な二人の会話であった。
通常生活に戻りつつある魔道具商店の面々であったが変わってここ南の街道をラグーンから数時間進んだ脇間道との分岐地点より少し街道を外れ大きな森を迂回した先にある木々に覆われた崖下。
そこにはその魔道具書店のオーナー兼Aランク冒険者の知矢と同じくBランク冒険者のニャアラスがいた。
「見つけたニャ」ニャラスたちの前には木々に隠れ易々とは発見できそうにない影になった崖下に口を開く洞窟の入り口があった。
「ああそうだなここで間違いなっそうだ。」
南の大国”ルドマリッド人民共和国”の帝国潜入破壊工作員達が隠れ住んでいた森のキャンプ地。そこを隠す”幻惑” と ”回避” の魔道具を停止させる又は別に設けられた入り口を求めて二人はボンタが食事時に思い出した新人冒険者だった頃に訪れたこの地で見たことのある洞窟の話に何かを感じた知矢の発案でその洞窟を探していたところであった。
「入るニャ」とニャアラスが生活魔法のライトを唱え穴の中を照らした。
「おい、まあ待て」知矢はすぐにでも突入しそうなニャアラスを押し留める。
「ニャんだ」
「昨日の今日だ。同じ過ちを犯したくないから罠の危険性を十分に考慮してじっくり行くぞ」
そう言いながら知矢はレーダーを表示しコナビに罠を検索させる。
「ニャア、そうだったそうだった。」頭の後ろを手で描きながら反省したニャアラスは手にしていた大剣を鞘へ戻し代わりにマジックバックへ収納していた槍を出す。
その槍で進路を探るつもりのようだ。
「やはり罠があるな。」知矢はレーダに表示された赤い点の位置をニャアラスに伝えそのニャアラスは槍先でその辺りを探る。
「っ、有ったニャ」ニャアラスが確認したのはボンタが掛かった罠に酷似したやはり踏むと毒針が刺さる罠だった。
しかも巧妙に土で覆われさらに狭い通路の左右にずらして置いてある辺りが嫌らしい。
直ぐに知矢は無限そこへと罠を収納。さらに検索しながらニャアラスは別に地面をつつきながらそれは慎重に洞窟の中を一歩一歩進んでいくのだった。




