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第121話 精霊召喚!!  ~『お呼びでしょうかご主人様』

はいこんばんは

本日もやっとこさ更新が出来ましたのでどうぞご覧ください。

では第121話どうぞ。



その日、商業中核都市ラグーンの目覚めは非常に騒がしいものになった。





都市中に騎士や兵士が走り回り、裏町と呼ばれる主に南の大国 ”ルドマリッド人民民共和国 ”からの亡命者や逃亡者や逃亡政治犯、そして情報収集や破壊工作を目的に潜む者などが隠れ住んでいた場所などは周囲を柵等で封鎖され全ての裏小路にも兵士が立っていた。



そこに住まう全ての者達を一人ひとり改め、家屋の中まで屋根裏から床下さらには隠し部屋などが無いかまで厳重な捜索が始まっている。



大きく4カ所に設けられた都市のゲートの内外には検問が設けられそれ以外に侵入できる、出来そうな箇所は厳重に警備され違法な個所は封鎖、埋め立てなどの工事もされていた。



水路なども柵が新調され更には柵へ近づけない様外柵や石積み等も増築する様子だ。



そんな慌ただしい街の中でひっそりと静まり返り寝息を立てているのが知矢が率いる魔道具商店であった。



昨夜からの騒ぎで徹夜で救出作戦や破壊工作員の襲撃に対し撃退戦を繰り広げさらに後始末まで行った使用人たちは精根尽き果て皆が無事に帰還した事で安心したのか全員が安らかな休息の時を得ていた。



しかし知矢は皆が寝静まり始めた頃やっと朝陽が顔を出した頃に店をそっと抜け1人通りを急いでいる。


途中で多くの兵士たちとすれ違いながらやっと起き出した都市の人々が騒ぎを知って戦々恐々と騎士たちの噂話に集まる横を静かに通り抜け最初の目的地 ”冒険者ギルド”の扉をくぐった。






表の喧騒に触発されたのかそれとも門の検問で不自由な出入りを避け仕事を諦めてたむろしているのか多くの冒険者がそこには集まってワイワイ騒ぎながら情報交換をしたり職員に事の詳細を迫ったりと大騒ぎである。



中には管理貴族から臨時雇いの仕事が出てないかと依頼掲示板を見回す者や全てを諦めたのか奥の食堂では早朝にもかかわらず既に酔っぱらいが大声を上げながら騒いでいたりもする。




そんな冒険者の間をすり抜け知矢はニーナのいるいつものカウンターへと向かった。



ニーナはいつもの席にいつもの様に背筋を伸ばし凛とした姿勢で静かに座っていた。

しかしいつもと少し異なるのがやはり騒ぎのせいで混沌とする冒険者や職員の様子を問題が有ったらすぐに対応すべく目を光らせる様に周囲を観察している点であろう。



そんなニーナへ知矢は近づいて行った。



「あら、今朝は随分とお早いですね。おはようございます」

先に知矢の姿に気が付いたニーナはいつものようにさわやかな笑顔で知矢を迎えてくれた。


「ええ、色々騒ぎが有りまして。おはようございますニーナさん」


知矢は疲れていたがその様子を気取られない様挨拶だけは元気に交わした。


「騒ぎですか? どうやらそうとうお疲れの様子ですが大丈夫ですか」

ニーナには隠す事は出来なかったようだ。



「あれ、そんな疲れた顔をしてますか?おかしいな」

一応少しとぼけてみせるのだが。



「その口ぶりですとこの都市の騒ぎにはトーヤさんも十分関与している様ですね。ひょっとしたら昨夜から寝ていないのでは?」


ニーナは知矢の顔を見つめながら体調とその行動を心配している。


「ニーナさんには隠し事は出来ませんね。確かに係わっています、と言うかうちの店や私が標的にされて反撃したと結果後始末がこの騒ぎと言う事です。

勿論アンコール伯爵とは密に連携しての事ですが。」詳細は今はと言葉を切り心配顔のニーナに今日訪れた本来の目的を告げた。


「お店とトーヤさんが! まあ大変! 」と口にしたニーナだったが疲れてはいるが怪我もなさそうでその様子からお店の使用人達にも問題ないと推測したニーナは知矢の目的、ギルド長のガインへの面会を案内するのだった。





**********



”コンコンコン”1階の喧騒とは大きく異なり静まり返る3Fにノックの音が響く。


「おう入れ」部屋の主からの反応が大声で聞こえた。



「失礼します。冒険者のトーヤ様がお見えです。」扉を開け見本となりそうな職員らしい言い方で知矢の訪いを告げたニーナは「どうぞお入りください」と知矢を誘うと扉を閉めそのまま奥へ消えた。




「・・・・・・・・」何か知矢をぶっちょう面で黙り込む冒険者ギルド長のガイン。



知矢はそんな顔を気にもしない素振りでガインのデスクの前にある大ぶりのソファーへ勝手に腰掛けるのだった。



「・・・・・・・・・・・・・」


「..........................」




何故か沈黙の時が流れるがそれを破ったのはニーナであった。


「はいトーヤさん紅茶を入れましたのでどうぞ。忙しく動き回って今朝はお茶も飲む暇が無かったのではないですか」とそっと知矢の前へティーカップをソーサー事静かに供した。



「ギルド長にはこちらがよろしいですね」とガインには茶色く濁った物が入る大ぶりのカップを目の前では無くソファーに座る知矢の反対側の席へと置いた。



「・・・・・っクッソ」渋顔をし何か言いたげにニーナを横目で見るが半ばあきらめる様にデスクから知矢の座るソファーへとドスンと移動した。




知矢とガイン。互いに飲み物を口にした後口火を切ったのはガインだった。


「・・・お前な先に俺に情報を流しておけよ。早朝アンコール伯爵からの急使で起こされて慌てて出仕したんだぞ俺は」

苦虫をかみつぶしたような顔で知矢に文句を言う。



「いやあ宮仕えの鏡みたいな方ですねギルド長は」と知矢はどこ吹く風と言う調子でガインをからかう。


そんな知矢を見ていたニーナは「体調は大丈夫そうね」と少し安堵するのだった。



「何が宮仕えだ。俺は自由な冒険者だぞ、ったく。」



確かにガインは若い頃から冒険者に憧れ家出をしてまでも冒険者になるんだと意気込み剣の腕を磨き仲間と集い時に苦しみ時に喜びを分かち合い数々の冒険を経験しその努力のかいあってこうして冒険者ギルドのギルド長となり後進の指導や冒険者の統括を行っていた。



しかしその実、ガインの本名は ”ガイン・ベルサシス・バスラム” と言い、今は辺境伯として帝国にその権を確固とするバスラム家の3男であった。



家出をし家名を捨てたつもりでいたガインであったが純粋な冒険者時代は自由な活動を謳歌していたがこうして都市に留まりギルド長として公式の立場を持った時、父親であるバスラム辺境伯に行方を掴まれ結果冒険者ギルド長と言う表の立場の他に密かに皇帝陛下から男爵位を授けられさらには辺境伯である父親の手助けを強要され今では ”司法貴族” と言う司法捜査権、逮捕権を持つ役まで与えられてしまったのだ。



知矢はその秘密の役職を持つガインへを揶揄うつもりで”宮仕えの鏡”等と評したのである。



「ふん。おおよその話は伯爵から聞いた。その後の詳細は未だが愛娘のマリエッタも無事だったと聞いた伯爵はその後怒り狂って騎士団全員総招集をかけ、まるで戦でも始めそうな勢いだったぞ」



この都市及び周辺の村や町を統括する管理貴族のアンコール伯爵。


知矢の使用人であるマリーは実は”マリエッタ・アンコール”と言い伯爵の娘であった。


今はその立場を消し名前を変え知矢の使用人として働き始めていたがそんな娘の境遇は理解していたつもりのアンコールではあったが娘が誘拐、しかも犯人はルドマリッド人民共和国と聞きそれは大変激怒したそうだ。



元々事前に知矢から工作員の件で相談を受け「この際だ都市から奴らを一掃しよう」と話し合っていたが誘拐の件を聞いたアンコールは


「一掃どころでは無い、完全根絶だ!全ての騎士と兵を緊急招集だ! 騎士伯にも騎士団を出させろ!周辺領域の貴族たちも南の奴らを根絶する旨触れを出せ!」


と言う大騒ぎが起こっていた。


その結果が都市内外の厳戒態勢と市中を縦横無尽に駆け回る騎士達であった。




「でお前の店は静まったのに何でこんなに早くから顔を出す? まさか何かまだあるんじゃねえだろうな」


厄介ごとを持ち込むなよとガインの顔には書いてあった。


「さて何が出るかはお楽しみってね」

いまだ軽口を聞く知矢にそろそろガインも苛立ちを隠しきれなくなる。


「オイいい加減さっさと話せ。勿体ぶる様な話なのか。もしつまんねえ話ならただじゃ置かないからな!」


「おお怖! ハイハイじゃあ話すとするか。実は捕まえた南の破壊工作員がこんなものを持っててな」


と知矢はマジックバックに偽装した無限倉庫から布地に包まれた物をテーブルの上へ”ゴトリ”と置いた。


知矢がその布を左右に開くとそこから出てきたのは乳白色の石だった。

しかしただの乳白色にぼやけた色では無く角度によってナナイロに煌めく薄い長方形の切り出して磨いた石に見える。


「あら綺麗な石ですね」とニーナが知矢の肩口から覗き込む様に声を出した。


「最初捕らえた男が腰の革ケースに手をやってて何か隠す素振りだったんで武器でも持っているのかと取り上げたんだがこいつが出てきたんだ。その男に『これは何だそんなに大事な物か』と聞いても顔を背けて答えやしないから『それじゃ捨てるか!』って地面へ叩き付けるそぶりを見せると喚きだして『やめろ!精霊が暴れ出す!』って言うんだよ」


「まあ精霊さんですか。この中に封じてあるとでも?」


「ニーナさん、私もそう思ったんですがどうやら違う様で。」


知矢は思い出す様にその男の話を始めた。



**********



『で、精霊が暴れ出すってどういうことだ。この中に閉じ込めてあるとでもいうのか』


『・・・・・』


それっきりだんまりを決め込んだ男に業を煮やした知矢は”鑑定魔法”を使ってみた。



 カッシャ (44)

 ・種族   人族 ルドマリッド人民共和国情報工作員

 ・精霊使い 精霊の山の一族

 ・知性 C級

 ・耐力 D級

 ・武力 C級

 ・幸力 D級

 ・筋力 C級

 ・速力 D級

 ・魔力 B級

 ・特力 基礎生活魔法LV8、風魔法LV10、火魔法LV14、精霊召喚LV12

 ・行使力 精霊封じLV24



『精霊の山の一族?』知矢はつい鑑定結果を口に呟いてしまった。


それを耳にした男は”キッ”と知矢を睨んだがすぐにまた顔を背けだんまりのままだった。


知矢は男を黙って見つめていたがどんな訳があるのかは解らないが工作員であり精霊使いでもあるこの男は今度の破壊工作や襲撃に何故精霊魔法を使わなかったのかと疑問に思い男から取り上げ手にしているその石を鑑定してみた。




『 ”精霊魂石”:精霊の行動を封じる石。指定した精霊に対して使用するとその精霊魂を本体から抜き去り石に封じることが出来る。精霊の種類・強さによって石の色と大きさが異なる。


この石は神聖霊を封じ込めておりその力は中位以上。


精霊の魂を開放するには石を破壊する事で現世に魂が復活しその力を取り戻す。


しかし精霊使い以外の者に石破壊されると制御が出来ず魂を封じられていた精霊の怒りの大きさによっては攻撃される場合有。 』




と出た。


しかも後述を読むと

『 精霊魂石は精霊使いの魔力と技でのみ封じられておりその術者の死亡または大きなダメージを受ける事によって魂が解放される場合もある。要注意』





**********



「とまあ情報としてはこんな感じなんだ。 そこでギルド長に確認するが捕らえた工作員は今後どんな処置を受ける」



「ううん・・・一般的には情報を引き出した後まあ、今回の場合は死刑だな。余程帝国に対して重要かつ有意義な情報提供でも出来なければ死刑を回避する理由は無い」


「って事は遅かれ早かれ精霊が出現して暴れ出すって事だよな」


「その情報のみで考えるとそうなる・・・精霊使いか。また厄介な・・・」

ガインは考え込んでいる。


「簡単に考えると別の精霊使いを呼んできてこの石から精霊を開放してもらうと静かにお引き取り願えるって考えたんだがどうなんだ。」

知矢は条件が合えばそれが可能で安全な方法だと思い聞いてみた。



「お前の言う通りだ。その方法なら封じられていた精霊を静かに開放できる。」


「じゃあギルドに所属してる精霊使いに依頼して頼めば安全にしかも精霊も無事自由になれると言う事か。早速依頼をかけて欲しい、早い方が良いだろう。」



知矢は鑑定結果からその方法しかないと思い早急に依頼を出してもらおうと早朝から押しかけたのであった。



「無理だ」

ガインがひと言呟く。


「何故」


「・・・・居ない」


「居ない?精霊使いがこのギルドに所属していないのか。じゃあ他のギルドに依頼して」


「・・・トーヤさん。帝国には精霊使いとか精霊使役の技を持つ人はいないのよ」

ニーナが残念そうにつぶやく。



「えっって事は・・・・」



ギルド長室に重い空気が漂うのだった。






「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(私の出番がないわご主人様!)」


「兄貴!あっしもっすよ!!!」


「私もですわトーヤ様」




(-_-;)



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[一言] トーヤが精霊使いになれば解決? 頑張れば逝けるって!
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