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第119話 誘惑   ~ 「ハッ!!何かトーヤ君に良からぬ女の気配が!」

こんばんは

本日は珍しく日曜ですが執筆時間が取れましたので投稿いたします。


では第119話 どうぞ。





(さて地下室を探すか。”スキャニング”!)

知矢は新たに作成した構造を解析把握する魔法を行使しし囚われたマリーとアンドウの居場所を特定すべく動き出した。



”スキャニング”を唱えた途端知矢の視界にはいつもの二次元レーダーとは異なり三次元図面の様な映像が浮かび出た。


(おお、これは中々の映像だな。マウスは無いけど視点移動とかは・・・)


「”ピーン”右手にマウスがあるつもりで念じると同様の操作が可能です」

コミュニケーション・ナビゲーターのコナビがすぐフォローしてくれた。


(いよいよもってこりゃあ便利だ)手の内にマウスがあるつもりで操作すると目の前に映し出されたスクリーンが移動したり拡大縮小もお手の物。知矢はJW-CADの操作に似ているなと思いながらすぐに操作を覚えた。

(よしさてさて地下と言ってたな)犯人の女が漏らしたセリフを思い出し立面構造から地下の状態を確認する。


すると倉庫の中央が広範囲で地下構造がある事が見受けられた。

その地下はいくつかのスパンに分れておりおそらく出来るだけ低温で日の当たらない様に保管する物、ワインや葉物でも保管するための様だ。


入口は犯人たちが休んでいるすぐ脇、木箱の下あたりに見受けられる。

だが知矢のレーダーでは二人の存在を感知できなかった。おそらくは魔法阻害のアイテムなどを使用しているのだろう。

しかしその魔道具の場所を特定し解除してから二人を探すより先に3人を制圧してからの方が早いだろうと考えを決めた。


知矢の素早さであれば奴らが知矢に気が付き抵抗行動に移る、もしくは囚われている二人を地下から出して人質にする時間を与えなければ問題ないと行動に移すことにした。


念の為陽動を準備し行動に移す知矢。

無限倉庫からワインが入った陶器製の瓶を一つ取り出しさらに手裏剣(投げナイフ)を準備、表の扉に向かってワインの瓶を投げつけた。


「ガシャーン」

ドアに当たった陶器のビンが割れその音が静まり返った倉庫へ響き渡ると3人は即立ち上がりじっと音の方向を見つめながら自らの武器を手にして腰をかがめた。

その様子からはさすがに手慣れた動きであると思われるが魔法阻害そ状態で3人のステータスは確認できていないが知矢の感は(手慣れているが手練れと言う程ではないな)と言っていた。


ビンが割れた音が消えた後も3人は周囲の様子を窺がいながら動こうとしなかったが知矢は必ず確認に動くと信じ手に手裏剣を持ったままこちらもじっと様子を窺がっている。


すると女が三人目の男へハンドサインを出し扉を左右から迂回して進む様に指示した。


優男と三人目の男は手に大ぶりのナイフやショートソードを構えながら足音も立てずにそっと、じわりじわりと扉へ近づく。

残された女は両手にナイフを持ち2人を見守る。


木箱の影になっている扉に木箱の左右から二人が呼吸を併せる様に飛び出そうとした・・・瞬間知矢は持っていた手裏剣を同時に二人の肩口へ投げた。


手裏剣が当たった瞬間相手が声を上げる前に日本刀を抜き去りながら瞬足で残った女へ接近、峰打ちで意識を刈り取ろうと肩口へ峰を振り降ろした瞬間、知矢の目の前から女の姿が消えた。


「ぐあー!」「ううっ!」知矢の手裏剣が刺さった男2人は苦痛の声を上げたがその声を無視し知矢は一瞬にして消えた女の姿を周囲を見回し求めた。


「おやおや、いつかのお兄さんじゃないか」声の方を見ると女は知矢が知覚できない一瞬の内に5mは移動し男たちが苦痛にしゃがみ込む前に立っていた。


「次に会った時は優しくしてくれる約束じゃなかったかしら」女は以前知矢と裏通りで遭遇し別れ際に言ったセリフを思い出すように言う。

その表情は襲撃を受けたと言うのに少し余裕の表情をみせるが知矢への警戒と手のナイフは健在だ。


「あんたが勝手に言っただけだろ。俺は人見知りでねえ、知らない人と変な約束はするな、付いて行くなってお袋が小さい俺によく言ってたもんさ」


知矢も警戒しながら軽口を聞いてみた。

しかし未だ知矢は女が一瞬で視界から消え移動した手品の種を暴けていない。何かの魔法なのかそれとも魔道具なのか再び接近してみるか、様子を窺がうか思考していた。


「ああらとんだお坊ちゃんだったのね。お姉さんがいろいろ教えてあげるわよ」広角を上げ薄っすらと笑みを浮かべ知矢を誘惑する様な視線を投げかける。


すると知矢は何か頭が霞む様な感覚を覚えた。

そして手にしていた日本刀が急に重く感じ肩の力が抜けていく。


眉間に皺よ寄せ歯を食いしばり何かわからぬ物へ抵抗しようと丹田へ気を込めるが今一つ力が戻らない。


「ふふふっ。ねえあなたは誰、あのお店の人なのでしょ。魔道具を作っているのは誰かしら」

女は薄笑いを浮かべたまま知矢へ問う。


知矢は思わず「俺が作っている」と言いそうになるのを必死に歯を食いしばり耐える。

しかし何かの力なのか知矢の思考は益々霞がかかり一瞬でも気を抜くと全身の力が抜けそうになる。


「あらあら若いのに随分頑張るわね。そんなに力まないでほら、楽になりなさい。そうすればもっと楽しくて気持ちのいいことを教えてあげるわよ」

女はゆっくりと知矢を警戒しながらも自分の”誘惑”の行使力ひっかっかった目の前の男が既に手の内にあると確信していた。



女が知矢へ近づくと更に知矢の思考は霞が増した様になっていた。

(このままだと不味い)虚ろな思考の中で知矢はそれだけを思い浮かべ全身が弛緩しそうな中残された力を一瞬振り絞った。


「うがーっ!!」歯をめい一杯食いしばり丹田の気を一気に込め残された力で地面に下す寸前だった手にした日本刀を一気に振り上げた。



しかしその刀は空を切り女は再び目の前から消えたのだった。



「ああ危ない危ない。まだそんな力が残ってたの?この坊やは只の坊やじゃないね。おいあんた達いつまで床に這いつくばってんだ。大した傷じゃないんだろうさっさと起きてこいつをやっちまいな。」


女は再び知矢の目の前から一瞬にしてさっきまでいた男たちの方へと移動していた。

が知矢はもはやそんな事を気に出来る状態では無かった。


刀を手にし構えてはいるものの目も虚ろになり始めその思考もわずかにしか残されてはいなかった。



男たちを叱咤する女が二人のに刺さっている知矢の手裏剣を抜こうと近づいたとき


「ば―ん!!!」扉が乱暴に開けはなたれたと思うと瞬間、女の眉間に十字手裏剣が突き刺さっていた。


「ご主人様!」表戸の外から様子を窺がっていたミレ、ノブユキ、アヤメが知矢の危機を感じ取り突入して来たのだった。

手裏剣を放ったノブユキ。続けて飛び込んできたミレとアヤメは残りの二人を瞬時に剣で打ち倒し意識を刈り取った。


眉間に手裏剣を受けた女は何か信じられないような表情をした後ばたりと崩れる様に倒れ、その生を終えた。



「ご主人様大丈夫ですか!」知矢を庇う様に3人の男女の前に立ちはだかり知矢を背に様子を窺がうノブユキ。


知矢は女が死んだことに寄りその”誘惑”の行使力から解放されたが全身に虚脱感を覚え立っているのがやっとであった。


しかしものの数十秒を経過するうちに意識ははっきり覚醒し、四肢の力も回復して来た。


「ふーっ」大きく息を吐く知矢。

「大丈夫ですか」男2人を縛り上げ女の死亡を確認したミレが知矢の肩を抱く様に支え顔色をうかがう。


「ぁ、ああ、何とか大丈夫だ。皆、助かった。油断した訳じゃなかったがどうやら女には何か相手を魅了する行使力か何かが有ったようだ。危うくその技で自由を奪われる寸前だった。本当に助かった、ありがとう」



知矢が呼吸を整えていると裏口からササスケとアカネも飛び込んできたが一歩間に合わなかったことを察知しばつの悪い顔をするのだった。


しかし知矢は自らの過信が招いた作戦ミスだと二人を慰める様に言い、代わりに商店の方へ先行するよう指示した。


2人は「了解いたしました」と挽回のチャンスと勇んで走り出て行った。


残った4人はすぐさま木箱を移動し地下への入り口を探すとすぐに木の扉を見つけ板を引き上げる。


中は真っ暗であったがノブユキが生活魔法の”ライト”を唱えるとその光には地下でロープで縛られたマリーとアンドウの姿が映った。



「ご主人様ごめんなさい」助けられそれまで気丈に耐えていたであろうアンドウが知矢や仲間の顔を見るや泣き出しながら知矢への詫びを口にする。


「おいおい何を謝る事が有る。俺の方こそ助けるのが遅くなって済まなかったな。しかし無事で良かった」

知矢はアンドウの頭にてをやり慰める様に優しく言葉をかける。


「ご主人様・・・申し訳ありません・・・」

何か気落ちする様な落ち込んだ様子のマリーが地下から助け出されるなり頭を下げる。


「いまアンドウにも言ったがお前たちは何も謝る必要はない。逆に危険な目に遭わせて悪かった。もっと早く警戒を厳にしとくべきだった俺の判断ミスでお前たちを苦しませる結果になった。」

と知矢は逆に二人へもう一度詫びを口にする。


そして殴られたのであろうマリーの傷と痣を見てすぐ回復魔法を唱え痣を消しおそらく痛みも消えたであろう。


しかしマリーはまだ暗い顔のままだ。

「・・・こんな奴らに抵抗も出来ない程・・・私って・・・弱かったのですね・・・」と呟くのだった。


ミレ達は慰めようと色々声をかけたがマリーは落ち込んだままだ。


すると知矢は「何を言っている。お前は騎士でもなければ冒険者でもない今は只の使用人のマリーだ。しかも剣やナイフも持たずに上司のアンドウを連れて武器を持つ複数に囲まれたらかなうはずもないであろう。この場合の対処は捕まっても命を何としてでも保ち助けを待つことこそ肝要だ。その傷を見るにおまえはアンドウへ敵の気を向かせない様わざと反抗して殴られたのだろう。まあ、その手は諸刃の剣の場合もあるから常時使えないが今回はアンドウは無傷、お前共々救出されたんだ。上々だ!」


知矢としては身を挺しアンドウを守ったであろうマリーを褒めた。


マリーとしては不甲斐なさを覚えたが知矢から”只の使用人のマリーだ、武器もない”と言われ(そうだった私は使用人のマリーだ)とまた自分の立場を思い出したのだった。

しかし(武器さえあれば捕まり事も無かったか・・・いやその時はアンドウさんを余計な危険にさらしたかもしれない)と少しだけ思考に進展を見せたかもしれなかったが知矢は(未だしばらくかかるな)とも思うのだった。


2人を助けた後知矢は拘束した男の様子を確認した後ノブユキに倒された女を見ていた。


知矢は床で横たわる女を見下げていたところ眉間に刺さったノブユキの十字手裏剣以外に女の脚の甲へ深く刺さり床に脚を縫い付ける様なナイフを見つけた。


女の甲からナイフを抜くと無限倉庫からぼろきれを出し丁寧にそのナイフの血のりをぬぐうと

「おい」と虚空へ声をかけナイフを指し出した。


すると一瞬でナイフが消え去り代わりに「手出しが遅れまして申し訳ありません」と詫びる声が届いた。


ミレ達はその声に一瞬殺気を放ち警戒したが

「ああ、この声の主は良いんだ。お前たちに言ってなかったが伯爵の手の者だ」とミレ達を安心させ代わりに「こいつらを運びマリーとアンドウを店へ送るのに馬魔車が必要だな。悪いがどこかで調達してきてくれ」とミレに頼むと再び虚空から

「先の角へ待機させております」との声。


「さすが準備が良いな。助かる」


知矢はミレに「アヤメを残し魔馬車で先に店へ戻ってくれ。俺も後から帰る。」

と本来1人でも帰れるのだが先ほどの件があり皆に心配を掛けぬようアヤメを残させた知矢であった。





魔馬車へ遠慮するマリーとアンドウを無理やり乗せた皆は知矢へ頭を下げ速やかに皆の待つ魔道具商店へと帰路へ着いた。

そしてもう一戦あるであろう準備を整えるためにも。



アヤメを脇に控えさせ知矢はまた虚空へ話し出す。

「遺体の始末と捕縛した二人は頼む。それとさっきのナイフ助かった。あれが無ければまた女が消えたかもしれなかったな。いいタイミングだった。」


知矢は何故女が一瞬で消えたのか未だ判然としていなかったがミレ達の突入音でまた消えたであろう女の行動を予測し瞬時にナイフを投てきし女の足を床に縫い付け行動の自由を奪った伯爵の手の者の判断と腕を褒めるのだった。


「いえもっと早く実行していればトーヤ様がご苦労する事は無かったと恥じております。」


「いや色々聞き出す事も念頭にあったからな。あれは完全に俺の油断だ。お前たちがいるとわかっていたから無茶も出来たんだがな」いや~しかし俺もまだまだだと言いながら後を影の者へ任せてその場を立ち去る知矢であった。



「さてアヤメ、店へ帰ろう。もうすぐ別の敵が都市に潜入して店を焼き討ちする手はずだと聞いた。俺たちの家を焼かれちゃ適わん」

「ハイ!絶対阻止します!」


知矢は速足でミレを伴い店へと急ぐのであった。






残された戦闘の終わった倉庫。



「オイ、この女見覚え有るか」真っ暗な倉庫に僅かに聞こえる男の声


「いや、しかし・・・」もう一人が言いよどむ


「おお、あの瞬間移動の術は魔法では無い」


「ああ、我々と同じ術だ・・・だがこんな女は見覚えも無い」


「伯爵様へ報告してこの件も早急に確認しなければな」


「うむ、さてとにかくこいつらを表の部隊に引き渡し我々も新たな侵入者の方へ向かうとしよう」


「おう!」



そして影の男たちは疑問を後へ回し次の行動へと移るのであった。






まだ朝は明けてはいない。


そしてまだ昨日は終わっていない。







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[一言] 瞬間移動、超能力の類いかな?
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