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第115話 権力者は使える時は使いましょう!  ~いや全然困ってないっしょ兄貴

はいこんばんは。

本日も投稿できましたのでどうぞご覧になってください。


では第115話です。





「伯爵様、お帰りなさいませ」

執事がうやうやしく帰宅した主へと腰を折り挨拶をする。


「うむ、留守中何もなかったか」

魔馬車を降り玄関から屋敷に入って来た老人。この館、公式には城とも呼ばれる事が有るラグーン城の主アンコール伯爵であった。



「はい、本日は特に問題も無く」

安堵する様に報告する執事

アンコールも

「うむ」と機嫌が悪くなさそうに一言だけ発すると屋敷の自室へ着替えるために歩き出した。




召使の補助を受けながら室内着へと着替えるアンコール。

傍で見守る執事は「最近めっきり朝晩が冷える様になってまいりましたな。そろそろ外套を御召しになりますか」


などと話しながら着替えを済ませたアンコールは夕食までのひと時を公務で疲れ興奮気味になりがちな気持ちを落ち着かせるようにソファーへと深く腰掛け執事が自ら入れた紅茶を飲みながら過ごす。

この時が一息つきホット気を抜ける時間でもあった。


そこに思いもよらぬ声が



「俺にも紅茶をご馳走してくれないか」



主であるアンコールと執事の男しかいないはずの私室に第三の声が突然響いた。



「何!誰っ!あっ」突然の声に驚き二人が周囲を見回し視線を戻すとアンコールが座るソファーの向かい側にあるソファーに男が座っていた。



「脅かさんでくださいよ、トーヤ殿」


驚きの顔から安堵の表情になるアンコール。


執事もひと時の動揺からすぐさま立ち直り知矢の為に紅茶の用意を始める。。


しかし主の命も無いのに突然現れた不遜な冒険者へ黙って紅茶を供するのは如何な物であろうかという疑念がわかなくもないがこれまでの経緯も相まってこの屋敷の使用人は知矢の命を黙って聞いてしまう様になっていたのだ。



「済まんな寛いでいるところを。」

目の前に差し出された紅茶を口にしながら取りあえず詫びの言葉を口にする知矢だった。



「しかしトーヤ殿がこんな時間に突然現れる。何か起こりましたか」


主の方も突然私室へと断りも無く入り込んだ知矢を叱責するわけでもなく警備を呼ぶわけでもなく当然のように受け入れ話をすすめる辺りこの冒険者にはい一生頭が上がらない様だ。



「ああ、どうも気分が悪い奴らが俺の周囲をうろつくようになってな。そこで管理貴族である伯爵様へ助けを求めに来たと言う訳だ。」


助けを求めてという割にいささかも困った様子の無い知矢であった。






先日ボンタを伴い商店から夜陰に紛れて姿を消した知矢は一時消息を断ち情報収集を行っていた。


しかしボンタと二人で密かに情報を集めるのは思いのほか至難の業であった。


それはそうである。冒険者である二人はそう言った方への本格的な技術は持ち合わせてもおらず

そう言った伝手も持ち合わせていないのだから。


今まではそれで充分機能してきたが本格的な情報収集には不具合であった。



そこでこの都市における裏の世界にも顔が利く商業ギルドのギルドマスターであるルコビッチに命じたり併せて自らもレーダーで女の立ち回り先を確認したり接触する者がいないかなど監視も行っていたのだった。



ルコビッチは商業ギルドのギルドマスターと言う全うな職責を持っているが商売と言うのは表面に見える全うな物だけで済まない事も多く腕利きの実行部隊などの他に情報を特に巷では一切お目にかかれないような情報に接する事の出来る伝手を持っていた。



知矢は再びルコビッチを突然訪問すると驚愕と恐怖に震えるのを気にもせず


「どうせお前の事だからそう言った情報を手にするのは容易いだろう」

と言いつけ大金貨1枚を握らせ


「情報収集の経費だ。足らなければ情報と引き換えに請求しろ」

とだけ言い任せたのであった。



そして知矢の方でも掴んだ女の動向で密かに接触する人物が2人いることまではわかった。


その二人に加え女の素性も知矢の鑑定で探れば瞬時に分ると思っていたのだがどうやら何かの魔法による阻害か魔道具を使用しているのか鑑定不能であった。



鑑定不能・・・以前冒険者ギルドのガインが自らに行使していた”鑑定隠ぺいの魔法”を用いるか又は鑑定魔法どころか対象人物への魔法格子を阻害する様な魔道具が無ければ無理な話であった。



特に知矢の魔法行使力はその魔力SS級によって実際発現される魔法の力自体も強化されている為なまじの阻害魔法などでは対抗できなくなっていたはずだったのだが。



ともかくそんな鑑定を行わせたくない者である事はわかった。そしてその後ルコビッチからもたらされた情報がある意味核心を突いているのである。



「済まなかったな、無理を言って」

ルコビッチから情報を掴んだとの報を受け再度商業ギルドを訪れた知矢。


冷や汗をかきながらも「トーヤ様の為に頑張りました」 と目の前ではまるで尻尾を振る忠犬のようなまなざしで控えているルコビッチ。


そのもたらした情報は知矢にとっては意外であったが無くはない事だと以前から考えていたので驚愕するほどでは無かった。



「そうか奴らの系統か。なら何か変な感じだったのも解る気がする。」

知矢は以前遭遇した謎の女の素性がおおよそ明らかになった事で感じていた危険信号レッドシグナルも何かもやっとする気分の悪い感情も理解できた。



「トーヤ様、奴らが闇に潜んで行動するといささか面倒ではございませんか」

ルコビッチがその相手の素性から知矢の事を心配するそぶりを見せる。


「まあだがいざ争いになればどうと言う事は無いが・・・」


「そうです、奴らは真っ向から戦いを挑むなど余程自分たちに有利な場合でなければ挑んできません。逆に卑怯な手が奴らの常とう手段です。お気を付けください。」

重ねて知矢の事を心配するルコビッチであったが単に彼は知矢に以前殺気を浴びせられたことによる恐怖から手を貸している訳では無かった。



色々裏もあるこの男ではあるが性根しょうねの所はやはり商人のそれである。


魔道具商店にしてもうどんの屋台や奴隷の使い方等にしてもその知矢の商人としての手腕を見聞きし純粋な商人として尊敬をしているのだった。



特に魔道具商店の販売方法は今までこの世界では無かった対面実演販売を主軸に1つの商品に対してその金額と機能で豊富なラインナップを用意するなど新たな手法を導入した事への称賛もあった。


そして最近お目見えしたうどんの屋台。



誰も夜中に人気のない通りで食事をする屋台を出そうなど考えた者などいなかった。


そしてその食べ物も今までにない味や触感。人々を夢中にさせるにふさわしい料理だった。


しかも常に移動する事によって各所の者も食べるチャンスが生まれる等目新しさに溢れていた。


しかしその移動する屋台をうわさを聞きつけ通りを夜中に徘徊する者まで出現するなど多少のトラブルは有ったにせよ余計に人の興味を集める結果となった。



その他を含め根っからは商人としての血が流れているルコビッチだ。これからもこの人と交流を持っていれば新たな商売や商品を目にすることが出来る。あわよくば自分がその一番になれる、なりたいと言う思いも強く沸き起こっていた。


そう言った事でルコビッチもすっかり知矢へ尊敬の念を抱く一人になっていた。



「ああ、忠告ありがとう。

そうだなああいう輩はこちらが苦労して対するのもしゃくだな。そうだ!」


知矢は口元に薄い笑みを浮かべ妙案を思いついたと呟く知矢であった。







ニーナ「は~今日もいっぱいよっぱらちゃった」


後輩 「主任、あそこに屋台が出てますよ、酔い覚ましに寄って行きましょうよ」


ニーナ「良いわね。うどん?何かしらでもおいしそうな香り~」


後輩 「おじさん2杯貰える!」


知矢 「へいいらっしゃい。うどん2人前っすね少々お待ちを」


ニーナ「えっトーヤさん!どうしてこんな屋台を」


知矢 「ありゃ不味い処を見られたっすね。いやね持ち慣れない大金を手にしてつい・・・」


ニーナ「つい?どうしたの」


知矢 「先物取引や株の運用、ネット通貨何てのにも手を出して全部裏目に。終いには一発逆転を狙ってアフリエイトで月に1千万円何て広告に誘われて見事有り金をむしり取られるし、いやあお恥ずかしい。」


ニーナ「トーヤ君!今夜から家へ来なさい!」


知矢 「へ?」


ニーナ「私が養ってあげるからこんな屋台なんかやってないで!」


知矢 「ニーナさん(涙)」



こうしてネット広告で詐欺に遭ったりした知矢はこれ以降無事ニーナの紐として立派に生活するのであった。




なお本編とは全く関係がございません。



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