第114話 閑話 ~ 女 ・ 蜘蛛 ・ 元冒険者
こんばんは
今日の更新は閑話になります。
では第114話
そうぞ
マリーの日常
マリーの朝は早い
主が起きだす前は当然。
他の使用人達が起きだす前に起きなければならない。
これは別に新人イジメでもブラックだからでも無い。
マリーは自主的に未だ夜が明けきる前には裏庭へ出て1人木の棒を振ったり、庭石を落ちあげて筋トレを行っていた。
もう自らの立場は十分に理解していた。
しかし心の奥底では未だ常に鍛えて置かなければならない思いがあるのも確かだ。
だから毎日鍛える!
その後お湯を沸かし始めると朝食の準備の始まりだ。
その頃になると今日の朝食当番が顔を見せ始める。
「おはようございます」
互いに元気な挨拶を交わし作業へかかる。
「マリーさん、今日はご主人様当番ですからね」
アンドウが優しく声をかける。
「ハイ! 頑張ります」
「じゃあ先ずは朝のお茶ですよ」
「ハイ! この器具に葉を入れて……」
「マリーさん。その茶葉の量だとお湯を入れる隙間も無いですよ」
アンドウはあくまでもにこやかに優しく接する。
「ハイ! ええとそしてこのお湯をそそいで……」
「マリーさん。それはうどんを茹でたゆで汁ですよ」
アンドウはあくまでも冷静に話をする。
「ハイ! それからティーカップを温めて……」
「マリーさん。カップを直火にかけてはいけませんよ」
アンドウの心は菩薩のようだ。
「ハイ! そしてカップへ紅茶をそそいで………」
「マリーさん!!!!!何故カップの中の紅茶がグラグラ沸き立っているのですか!!!!」
アンドウは冷や汗をかくがあくまでも冷静に指導する。
「ハイ! そしてトレーへその後ワゴンで運ぶ……」
「マリーさん! 全力疾走は必要ありませんよ、ハァハァハァハァ」
アンドウは息を切らせながらも離れず指導する。
「ハイ! ドンドン、ご主人様おはようございます。
朝のお茶をお持ちしました、ワッアッ!! 」
慌てたマリーが躓きその勢いでワゴンが中に浮いた。
「おっと!」知矢はソファーから瞬時に跳び退き代わりに煮えたぎる紅茶がソファーへと着地した。
「マリーさん!!!! 紅茶は殺人兵器ではありません!!!」
アンドウは……真っ青な顔で
優しく指導する。
マリーの修行はまだまだこれから。
********************************
ピョンピョンの日常
ピョンピョンの朝は遅い
主が起きて支度を整えた後に優しく背中を撫ぜられながら夢見心地で目を覚ます。
「・・・・・・・・・・・
(ムニャムニャご主人様おはようございます)」
寝ぼけ眼で周囲を見渡すが今日も脱皮はしていない様だ。
朝食は知矢と一緒にテーブルに付く。
すると使用人が従魔専用のお皿で料理を出してくれる。
「・・・・・・(ありがとうございます)」
従魔は礼儀正しくお礼を述べる。
食後は色々だ。
知矢の肩に乗り外出する事もあるし主と総支配人らが会議を始める事もある。
そんな時は従魔は1人散歩をする時もある。
もちろん勝手に外出などはしない。
主の部屋の窓から壁を伝いあちこち移動してみたり、時に風に吐いた糸を流して隣の建物へ跳んでみたり。
時に他の蜘蛛に出会う事もあるがそんな時出会った蜘蛛たちは皆整列したり畏まり従魔を歓迎してくれる。
挨拶したり時には獲物の情報交換等を行うのだ。
散歩をしていると時に同族ではない、言わば獲物と出会う事もある。
この家を縄張りにしている従魔としては見逃せる事ではない。
その漆黒の標的は従魔に気がつくと即座に逃げを打つ。
そこでまんまと逃げられる従魔では無かった。
漆黒の標的も多足類、その逃げ足は俊敏である、しかし従魔の脚はさらに上を行く。
特に最近のレベルアップで獲得した‘’瞬速‘’の能力を得てからは瞬間移動かと思う程高速移動で標的の先へ周り込める様になった。
そして瞬間的に目の前に現れた従魔に驚くスキにつかさず得意の糸を吐きあっと言う間にがんじがらめで捕縛する。
従魔は知矢から十分な食事を与えられているので余計な間食はしない。
なので獲物は同族に分け与えたりする事が多い。
しかしその日は多くの獲物を手にして同族には十分行き渡った為日頃お世話に成っている知矢の使用人へプレゼントする事にした。
糸を天井の梁へ固定しその糸を伝いながら眼下には使用人達が集まり談笑する場へ降下。
サプライズプレゼントだ!
「「「「「「ギャー!!!!」」」」」」
喜びの歓声に満足した従魔は再び主の元へと戻って行った。
「「うん?」」
「何の騒ぎでございましょう」
「まるで G でも現れた様な叫び声だな」
「知矢様、それはご勘弁を」
一気に青ざめるリラレット。
「そう言えば、ピョンピョンが同族へ頼み害虫駆除の強化を要請したそうだ。その内にこの建物から奴らは居なくなるだろう」
「早くそうなる事を願っております」
「オッ、ピョンピョン。散歩は終わりか? えっ何?
使用人の皆へサプライズプレゼントを渡してきた? そうかお前も気を使うな。ヨシヨシ」
と主は従魔の背を指で優しく撫でるのだった。
********************************
ガインの日常
冒険者ギルド長 ガイン・パムラスの朝は早いが夜も遅いしかし朝が遅い事もあるし夜も早い事もある
冒険者ギルドは24時間営業、年中無休である。
もちろん交代で勤務するが仮眠室や湯あみ場もあり食堂完備、”24時間いつでもご飯を食べてお酒も飲めます” がキャッチフレーズかどうかは不明だ。
ガインはああ見えて若い冒険者から上級の老練な冒険者まで信頼も厚く顔も広い。
「ギルド長! 俺やっとCランクへ上がれました! 」
「おいやったな!お前なら必ずコツコツと経験を積んで上がってくると信じていたぞ! 」
「これもギルド長のおかげです! こんな俺を見捨てず指導してくれて・・・ウウッ」
「何も泣くこたあねえだろう。 よし今夜は俺の奢りだ仲間も読んで盛り上がろう」
「おいガイン久しいな」
「これはこれは老師いえ大魔導士ロギンス様ご無沙汰しております」
「何を堅苦しい、お前の若い頃のパーティメンバーじゃないか。昔を思い出しながら今夜は大いに飲もう、そうじゃ今ここいる冒険者どもよ今夜はわしの奢りじゃ。
こやつの若き頃の失敗談でも肴に大いに飲もうじゃないか! 」
「おお、ギルド長の若い頃の話だってよ」
「ギルド長も失敗なんかするんだな」
「大魔導士ロギンス様って言ったら伝説だぞ。そんな方とパーティ組んでいたんだな、さすがギルド長」
この様にガインは冒険者の中で人気が高かった。
そんなガインであるがその自出は今や辺境伯を仰せつかるバムラス家に籍を持つ一員であったが大貴族の長男以下の処遇に夢や希望が見いだせない事への反発から家出をし夢の冒険者になった苦労人? でもある。
そんなガインであるが冒険者上りで後輩冒険者からの評判は先に記したが同僚であり部下たちギルド職員からも頼りにされる兄貴的な存在、とはいかず
「ギルド長、この申請書の認可書類の様式に不備があります至急書き直しを」
「ギルド等、今年度の買取予算が欠乏しそうです。なんとか所業ギルドと交渉して入金を前倒しに」
「ギルド長、冒険者たちが下の食堂で喧嘩を始めました」
「ギルド長、貴族の方より冒険者への苦情が入ってます」
「ギルド長、Bランクの魔獣が街道に現れて市民が困ってます」
「ギルド長、申請書は未だですか、決済が滞って処理できません」
「ギルド長、Eランクの依頼が溜まってます。高額依頼だけでなく低定額依頼を受けるように指導してください」
「ギルド長、・・・・」
「えええええいい!何でもかんでも俺に持ってくるな!!!」
「ギルド長!」
「うるさい!何だ今度は」
「管理貴族のアンコール伯爵がお呼びとの事です」
「・・・・・すぐ行くと使いの方へ伝えてくれ」
「ギルド長、管理貴族から何か苦情でも」
疲れ果てていたガインにニーナが心配して声をかけた。
「・・・ああ、いや・・大したことない」
「ギルド長、少しお疲れのご様子です。たまには早くお帰りになって奥様やお子様とゆっくり過ごされては」
上司に気を遣うニーナであった。
「・・・・ああ、そうだな。たまには早く帰るか」
「おい、帰ったぞ!」
「おとうさまおかえりなさいまちぇ」まだ幼い子供が玄関まで父を出迎える。
「あなた、今日はお早いのね。おかえりなさい。」お疲れになったでしょうささすぐに夕食にしますからそちらでくつろいでお待ちくださいね」
妻も出迎えにでて主を労う。
その妻子の後ろには揃って腰を折り主人の帰りを出迎える使用人たちの列が。
その中から老紳士が一歩前に出て頭を下げる
「お帰りなさいませ旦那さま。お疲れのところ誠に恐縮ではございますが後ほど目を通しご返信していただきたい文がございまして」
嫌な顔を浮かべるガイン
「どっちのだ」
「司法貴族絡みが6件ほど。御家の物が2件ほどございまして。それぞれに急ぎ御裁可をと願っております。」
「・・・・・食事後に処理する。後で俺の部屋へ回せ」
「うけたまりましてございます」
執事は心苦しくも主にたまった仕事の決裁を願うのだった。
「何だこの決裁書類は、結局皆アイツ絡みじゃねえか! くっそ」
「辺境伯様からも『よく見てやれ』 とのお言葉が添えられております。」
「ちっ、あいつがこの都市に顔を出す様になって俺の仕事が何倍にも増えたんじゃねえかったく。」
「近年まれに見る功績を上げておられ都市管理貴族様からも添え状が届いております」
「で、これ全部返信と決済を、直ぐにか」
「いささか心苦しくはございますが」
「ったくニーナが珍しく俺をいたわり早く帰って休め何て言うと思ったら・・・」
「大変申し訳ございません。私の方からスコワールド様へお願い申し上げました。」
「・・・なに!じゃあ何か、自宅で仕事をさせる都合でおれは今日早く帰れただけか!」
「誠に申し上げにくいことながら」
「くっそ・・・次の書類持ってこい! こうなりゃ全部今日決済してやる! 」
こうして明るいうちに帰宅したはずのガインは結局夜中まで自宅で仕事をするのであった。
「「「おはようございますギルド長」」」
「・・・ああおはよう」
「おはようございます。ゆっくりお休みになれましたか」
ニーナが笑顔で挨拶をしてくる。
「ニーナ、お前!・・・・ッチッ。なんでもない。おはよう! お前のお気に入りの冒険者がいよいよ管理貴族から皇帝陛下表章を受けることが決まったぞ、良かったな。後で知らせてやれ泣いて喜ぶぞ。」
そんな嫌味でも言わなければやってられないと思ったガインであったがニーナには全く通じず。
「ええ! トーヤさんが表章ですか。報奨も出ますしきっと喜びますわ。後でお知らせしておきますね。
はい、ギルド長これが本日決裁が必要な書類になります」とにこやかにデスクの上へ木箱満載の書類を置いてにこやかに去っていった。
冒険がしたくて、貴族とのかかわりを断ちたくて、好きな事をして自由に生きたくて・・・
そんな思いで冒険者になったはずのガインは絶賛事務所類の山と毎日格闘するのであった。
頑張れガイン!
負けるなガイン!
書類はどんどんたまる一方だぞ!
今夜は廻る寿司を家族で食べに行きました。
「平日だから空いているだろう」
とがってん寿司へ足を運ぶも駐車場もほぼ満車。
でも少し待てば席が空いたのでそれ程の事はありませんでしたが。
GOTOクーポンを使い食べてきました。
でも結局は数年後増税されてむしり取られるのでしょうけどね。
ああ夢の無い話をしてしまった。(-_-;)




